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週刊ステーブルコイン2026年9月8日

JPYCの流通が6億円減少しKaia上で未流通分へ移動、ドル建て総残高は3,113億ドルへ3週連続の増加(9/7取得)

対象期間: 8/31(月)〜9/6(日) / データ取得日: 2026-09-07(月) / 公開日: 2026-09-08(火)

本レポートは、特定の発行体やサービスの利用を推奨するものではありません。ステーブルコインを定点観測の対象とするのは、トークン化された資産の中で発行規模が最も大きく、発行量・流通チェーン・使われ方の変化を数字で観測できるためです。オンチェーン金融のいまを掴むための市場観測レポートとして、読者のみなさま向けに毎週発行します。数値は公開データの当社集計に基づく情報提供であり、投資勧誘・投資助言を目的としません。

目次

  1. 円建てステーブルコイン
  2. ドル建てステーブルコイン(全体と定点10銘柄 / USDC / USDT / 価格ウォッチ)
  3. 1週間の出来事
    • 世界21の金融機関がドル建てステーブルコインの新会社設立を発表、東アジアからは三菱UFJ銀行が参加
    • EthenaがUSDe建ての決済アプリ「Ethena Pay」をAvalanche上で提供開始
    • Circle社長が米下院でGENIUS法の完全実施とCLARITY法の成立を要請
  4. アナリストコメント

1. 円建てステーブルコイン|JPYCの流通が6.0億円減少、減少はKaia上に集中し同額が未流通分(集計上の発行体管理分)へ移動

円建ての残高は合計232.5億円で、前週から6.3億円(-2.6%)減少しました(注5)。

銘柄 発行者と型 残高(9/7時点) 前週差
JPYSC SBI新生信託銀行(信託型) 200.3億円 -0.3億円(-0.2%)
JPYC JPYC株式会社(資金移動業型) 流通21.4億円 -6.0億円(-21.8%)
GYEN GMO-Z.com Trust Company(米国の信託会社) 9.7億円 増減なし
その他 CJPY等 1.1億円

JPYCの流通残高は21.4億円(前週比-21.8%)となり、2週連続で減少しました。減少はKaia上に集中しており、Kaia上の流通は18.1億円から11.9億円へ6.2億円減少した一方、Polygon上は0.2億円増加し、Ethereum上とAvalanche上はほぼ変わりませんでした。Kaia上の発行量35.0億円はブロックチェーンの記録の直接照会で前週から変わっていません。集計元が「未流通(発行体の管理分)」に分類している2つのアドレスの残高を照会すると、対象週の7日間で合計6.2億円増加しており、流通の減少分と一致します(注5)。発行量が変わっていないため焼却は記録されておらず、この週に起きたのは、市場に出回っていたJPYCが集計上の発行体管理分へ移る動きです。減少は対象週の7日間すべてで続き、1日あたりの減少幅は週の前半が最も大きくなりました。送金の動きを見ると、対象週のKaia上のJPYC送金は9,161件・約29.9億円で、前週の9,380件・約5.7億円から件数は約2%減少し、送金額は5.2倍に増加しました(Dune上の当社集計、注5)。1件あたりの平均送金額は約6.1万円から約32.6万円に上昇しており、まとまった単位の送金が増加した週です(当社とJPYC社の関係の開示は注9)。

首位のJPYSCは200.3億円で、前週から0.3億円(-0.2%)減少しました。ブロックチェーンの記録では、対象週に発行が4件(8/31〜9/3の平日午前、計0.5億円)、償還が1件(9/4昼、0.8億円)記録されており、差引で0.3億円の減少です(注5)。7月下旬以降の償還は毎週金曜の日中に1件ずつまとめて記録されており、対象週の償還も金曜1件の型は同じです。ただし金額は前4週の5.6〜6.0億円から0.8億円へ縮小し、発行も前4週は週合計で5.5〜6.3億円(うち5億円台の大口が毎週1件)だったのに対し対象週は計0.5億円で、週次の発行・償還の規模が細った週です。Ethereum上の発行量を照会した値は、集計値と1円単位で一致しています。

GYENは9.7億円で、2週続けて残高の動きがありませんでした。発行体は2026年5月にGYENの発行終了と新規購入の停止を発表しており、2026年11月11日を期限とする償還(1GYEN=1円)の期間中です(出典: 発行体の告知、2026年5月15日)。

円建てステーブルコイン
円建てステーブルコイン

13週前の6月6日時点では、円建ての合計は約39.6億円でした(注5)。円建て市場の規模は3か月で約5.9倍になっており、この拡大はJPYSCの登場1件でほぼ説明できます。JPYSCは円建て合計の86%を占めています。

2. ドル建てステーブルコイン

2-1. 全体と定点10銘柄|総残高は3,113億ドルへ11億ドル増、3週連続の増加

指標 数値 出典
ドル建て総残高(9/7時点) 3,113.3億ドル DefiLlama(注1)
前週差 +10.8億ドル(+0.35%) 同(注2・注3)
直近13週 -35.6億ドル(-1.1%) 同(注2・注4)
年初来 +1.5% 同(注2)
1年前比 +8.6% 同(注2)

総残高3,113.3億ドルは、日本の外貨準備高1兆2,871億ドル(2026年7月末、財務省)の約24%にあたる規模で、円換算では約48.6兆円(1ドル=156.25円、注6)です。円換算の規模は前号の約49.6兆円から減少していますが、これは為替が1ドル=159.68円から156.25円へ2.1%円高に進んだためで、ドル建ての残高は増加しています。前週差は+10.8億ドル(+0.35%)と、8月25日号(+18.4億ドル)、9月1日号(+11.3億ドル)に続く3週連続の増加になりました(注2)。5月17日の過去1年の最高値3,208.7億ドルからは3.0%下の水準です。直近13週の縮小幅は-35.6億ドルで、前号時点の-80.6億ドルから縮まっていますが、これは13週の起点が5月30日から6月6日へ1週進み、6月上旬の減少分が窓から外れたことによる部分が大きいです(注4)。

ドル建て総残高の52週推移
ドル建て総残高の52週推移

定点観測する10銘柄です。合計でドル建て全体の92.6%を占めます(注3)。

銘柄(発行体・運営) 残高(億ドル) 前週差(百万ドル) 前週比
USDT(Tether) 1,834 -1 -0.00%
USDC(Circle) 747 +555 +0.75%
USDS(Sky) 66 -93 -1.39%
DAI(Sky、旧MakerDAO) 48 +12 +0.26%
USD1(World Liberty Financial) 43 +90 +2.16%
USDe(Ethena) 44 +301 +7.39%
USDG(Paxos系) 32 -68 -2.07%
PYUSD(PayPal) 29 +146 +5.27%
RLUSD(Ripple) 24 +57 +2.42%
USDD(Tron系) 15 -2 -0.12%

今週の前週差+10.8億ドルは、増加した銘柄の合計+14.7億ドルと、減少した銘柄の合計-3.9億ドルの差引です(注3)。増加側はUSDC(+5.6億ドル)、USDe(+3.0億ドル)、PYUSD(+1.5億ドル)、USDGO(+1.1億ドル)、USD1(+0.9億ドル)、RLUSD(+0.6億ドル)の順で、上位2銘柄で増加側の約6割を占めます。減少側の最大はUSYC(-1.6億ドル、-5.6%)で、USDS(-0.9億ドル、-1.4%)、USDG(-0.7億ドル、-2.1%)が続きます。減少側の合計は前週(-6.3億ドル)より小さく、増加側に対して減少側が薄い週でした。

USDeは43.7億ドル(+7.4%)で、増加の大半はEthereum上(+2.9億ドル)です。増加は8月31日の点から週を通じて続き、9月2日の点で+1.0億ドルと最大になりました。発行元のEthenaは9月1日に、残高をUSDeで保有する決済アプリ「Ethena Pay」の提供開始を発表しており、詳細はセクション3のとおりです。PYUSDは29.1億ドル(+5.3%)となり、前週の-1.0億ドルから増加に転じました。チェーン別ではSolana上(+0.5億ドル)、Arbitrum上(+0.5億ドル)、Ethereum上(+0.4億ドル)に分散しており、9月1日以降の日次では0.9〜1.6億ドルの増減を繰り返しながら水準を上げています。USDGO(OSL Groupが展開しAnchorage Digital Bankが発行する、Solana上のドル建てステーブルコイン)は13.6億ドル(+8.5%)で、13週では+10.5億ドルと最大の増加銘柄です。RLUSDは24.1億ドル(+2.4%)で3週連続の増加ですが、増加率は+21.0%、+14.3%、+2.4%と週ごとに縮小しています。

減少側では、USYC(Circleのトークン化マネーマーケットファンド)が26.2億ドルとなり、2週連続で減少しました(2週の合計で-3.0億ドル)。減少はBSC上(-1.4億ドル)に集中しています。USDGは32.0億ドル(-2.1%)で、X Layer上で-2.1億ドル、Robinhood Chain上で+2.1億ドルと、ほぼ同額がチェーン間で移し替わりました。Robinhood Chain上のUSDGは6.5億ドルとなり、1週間で約1.5倍になっています。

今週の増減の内訳(銘柄別)
今週の増減の内訳(銘柄別)

直近13週(6月6日→9月5日)の純減は35.6億ドルです。銘柄別では、USDT(-39.3億ドル)、USDS(-19.2億ドル)、USDC(-8.8億ドル)の3銘柄で計67.3億ドルの減少となりました。USDGO(+10.5億ドル)、RLUSD(+7.2億ドル)、USDG(+7.0億ドル)、BUIDL(+4.1億ドル)などの増加(その他の銘柄を含む増加側の合計は約39.5億ドル)が、3銘柄の減少額の約6割を打ち消しています。3銘柄以外の減少(USD1、USYC、USDeなど計約7.7億ドル)を含めた純減が35.6億ドルです(注4)。前号で観測点とした「USDT・USDCの増加への反転が続くか」については、USDCは3週連続の増加となった一方、USDTは今週ほぼ横ばいで反転が一服しています。

直近13週の増減の内訳
直近13週の増減の内訳

チェーン別では、Solana(+6.0億ドル、+3.7%)が増加側の首位です(注3)。Tron(+3.5億ドル、+0.4%)、Ethereum(+2.2億ドル、+0.1%)、Robinhood Chain(+2.0億ドル、+26.1%)、Hyperliquid L1(+1.9億ドル、+2.8%)が続きます。Solana上の増加はUSDC(+3.6億ドル)、USDGO(+1.1億ドル)、BUIDL(+0.9億ドル)、USD1(+0.8億ドル)に分散しており、単一銘柄の動きではありません。Tron上の増加はUSDTによるものです。減少側はBSC(-2.5億ドル。USYCの-1.4億ドルとUSDeの-0.8億ドルが主因)、X Layer(-2.2億ドル。USDGの移動)、Plasma(-0.8億ドル。USDTの-1.7億ドルをUSDeの+0.9億ドルが一部相殺)です。Hyperliquid L1は70.7億ドルとチェーン別で5番目の規模で、今週は1.9億ドル増加しました(ブリッジ重複を含む参考値、注3)。この内訳は姉妹レポートの週刊Hyperliquidが毎週観測しています。

チェーン別の前週差
チェーン別の前週差

2-2. USDC|Solana上で3.6億ドル増と4週続けて前週と逆方向、Hyperliquid上も1.9億ドル増

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