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週刊Hyperliquid2026年8月19日

RWAシェアは53.7%に低下、ビットコインの取引が11.2%増加

対象期間: 8/12(水)〜8/18(火) / データ取得日: 2026-08-19(水) / 公開日: 2026-08-19(水)

本レポートは、特定の取引所やサービスの利用を推奨するものではありません。Hyperliquidを定点観測の対象とするのは、オンチェーン金融の中で取引量が最も大きく、資金の流れ・商品の広がり・収益構造の変化を数字で観測できるためです。オンチェーン金融のいまを掴むための市場観測レポートとして、読者のみなさま向けに毎週発行します。数値は公開データの当社集計に基づく情報提供であり、投資勧誘・投資助言を目的としません。

今週の目次

  1. 週間取引高とDEXシェア
  2. 資金フロー
  3. 銘柄別Top30とRWAシェア
  4. HYPE
  5. HIP-3市場
  6. ボルト
  7. ステーブルコイン・担保基盤
  8. 今週の出来事
    • HYPEを保有する米上場企業の四半期純利益が3,100万ドルへ増加
    • Hyperliquid Policy CenterがSECに全米市場システム規則の撤廃を支持する意見書を提出
    • 米国でのperp提供に向けた規制対応の動きが報じられる
  9. アナリストコメント

1. 週間取引高とDEXシェア|取引が12.6%減少しても、建玉は6.3%積み上がった

指標 数値 出典
週間perp取引高(8/12〜8/18) 357億ドル(約5.7兆円) 当社集計(注1)
前週比 -12.6%(前週409億ドル) 同上
日次ピーク 8/18の73億ドル 同上
デリバティブDEXシェア(主要11社ベース) 47.0%(分散型を名乗る全23社では35.2%) CoinGecko(注2)
主要デリバティブDEX11社の合計取引高(推計) 週約760億ドル 当社推計(注2)
OI(未決済建玉、注9) 116.3億ドル(8/19昼時点。前回取得の8/10朝は109.4億ドル) Hyperliquid公式データ

perp(無期限先物。決済期限がなく持ち続けられる先物取引)の週間取引高は357億ドルで、前週から12.6%減少しました。週5.7兆円は、東証プライム市場の1日平均売買代金11兆6,019億円(2026年7月、出典: 日本取引所グループ)の約5割にあたります。月間に換算すると約24.7兆円で、JPXのデリバティブ市場全体(同月401兆円)の6.2%です(注1)。

日次Perp取引高
日次Perp取引高

日次の内訳を見ると、平日と週末の差が前週よりも開きました。最も少なかった8/16(日)は9.4億ドルで、最も多かった8/18(火)の73.1億ドルの13%です。株式や指数を扱う外部運営市場(HIP-3)が取引の主役になったことで、原資産の市場が休みに入る土日は取引が細り、平日に戻るという波が定着しつつあります(注8)。

取引が減少する一方で、OI(未決済建玉。決済されずに残っているポジションの総額、注9)は116.3億ドルと6.3%増加しました。内訳は本体市場が75.0億ドル、HIP-3市場が41.3億ドルで、どちらも前回の取得時点を上回っています。ここだけは取得時点どうしの比較で、前回が8/10朝、今回が8/19昼と9日の間隔がある点にご注意ください(注9)。売買の量が減少しても、市場に残るポジションは積み上がりました。資金調達レート(perpの買い方と売り方の間で授受される調整金利)の週間平均は年率でBTC 7.1%、ETH 8.4%、HYPE 10.3%です。この指標は需給が中立でも金利成分により年率4%台半ばのプラスになる設計のため、いずれも買い方にやや傾いた水準にとどまります(注8)。

perpを扱うDEX(分散型取引所。企業ではなくブロックチェーン上のプログラムが運営する取引所)の合計取引規模は、継続比較のために固定している11社で週約760億ドルと推計され、Hyperliquidはその47.0%を占める首位です。パネル内2位のAster(9.2%)を5倍引き離す構図は変わりませんが、シェアは前週の52.1%から低下しました。低下の理由は、減少の度合いの差にあります。CoinGeckoの集計を前号の取得時点と比べると、Hyperliquidが20.1%減、Asterが18.1%減だった一方、Variationalは9.6%増、Extendedは13.0%増でした(注2)。

DEXシェア
DEXシェア

2. 資金フロー|3週続けて小幅な減少で、資金の総量は動いていない

取引の元手となるチェーン上のステーブルコイン残高(97.7%がUSDC、注3)は61.8億ドルで、対象週の減少は1,300万ドルでした。減少は3週続いていますが、幅は前週の3,400万ドルからさらに縮んでいます。6月末から7月初めにかけて約59億ドルまで落ち込んだ後、7月に62億ドル台へ戻り、そこから横ばいが続く形です。

チェーン上ステーブルコイン残高の週次増減
チェーン上ステーブルコイン残高の週次増減

資金の総量がほとんど動かないまま、取引だけが12.6%減少しました。週間出来高を預かり資産の総額(セクション7のTVL、60.1億ドル)で割った回転数は、前週の6.8回から5.9回に低下しています(注8)。前週に続いて、新規資金の出入りではなく場内資金の回転数の変化で取引高が変動した週でした。参考値として見ているArbitrumブリッジ経由の入出金は、対象週が1,310万ドルの入金超過でした(注3)。

3. 銘柄別Top30とRWAシェア|指数と原油が縮小し、RWAシェアは53.7%へ低下した

銘柄別の週間取引金額の上位30です(8/12〜8/18の当社集計、注4)。市場列の「本体」はHyperliquidの基本市場、xyzとparaは外部運営市場(HIP-3)を指します。前週比は、各銘柄の週間出来高の前週からの増減率です。

順位 銘柄 市場 週間出来高(百万ドル) 前週比 区分
1 BTC 本体 9,226 +11.2% 暗号資産
2 ETH 本体 3,555 -22.2% 暗号資産
3 SNDK(SanDisk) xyz 2,756 +29.4% 株式
4 SKHX(SK hynix) xyz 2,375 -16.2% 株式
5 SPCX(SpaceX) xyz 1,512 -43.8% 株式
6 XYZ100(株価指数) xyz 1,390 -30.6% 指数
7 SP500(S&P500) xyz 1,266 -40.5% 指数
8 HYPE 本体 1,181 -8.1% 暗号資産
9 MU(Micron) xyz 1,022 -37.6% 株式
10 DRAM(メモリ株ETF) xyz 975 -7.3% 指数
11 CL(WTI原油) xyz 901 -41.7% コモディティ
12 BRENTOIL(ブレント原油) xyz 678 -25.0% コモディティ
13 SKHY(SK hynix・別建て銘柄) xyz 650 +16.1% 株式
14 SILVER(銀) xyz 592 -1.5% コモディティ
15 SOL 本体 531 -29.0% 暗号資産
16 GOLD(金) xyz 481 -30.3% コモディティ
17 SMSN(Samsung) xyz 443 +4.4% 株式
18 NBIS(Nebius Group) xyz 383 +274.3% 株式
19 INTC(Intel) xyz 305 -31.2% 株式
20 NVDA(NVIDIA) xyz 258 -29.6% 株式
21 ZEC 本体 250 -29.4% 暗号資産
22 PUMP 本体 233 -18.9% 暗号資産
23 GOOGL(Google) xyz 231 +4.9% 株式
24 EWY(韓国株ETF) xyz 217 -1.0% 指数
25 PLTR(Palantir) xyz 209 -17.3% 株式
26 META(Meta) xyz 184 -4.4% 株式
27 TSLA(Tesla) xyz 167 +51.7% 株式
28 XRP 本体 164 -20.0% 暗号資産
29 CXMT(長鑫存儲) xyz 161 +64.8% 株式
30 CBRS(Cerebras) xyz 158 +152.2% 株式

株式・指数・コモディティ・FXなど現実資産(RWA)のperpが週間取引全体に占める「RWA取引シェア」は53.7%で、前週の57.5%から低下しました(注4)。内訳は株式34.5%、指数11.3%、コモディティ7.8%、FX・債券0.1%です。株式の割合は前週と同じで、低下したのは指数(13.6%→11.3%)とコモディティ(9.4%→7.8%)です。

資産クラス構成
資産クラス構成

減少幅の83%は外部運営市場xyzで生じ(-18.4%)、本体市場の減少は4.7%にとどまりました(注8)。銘柄別では、前週の主役だったSpaceXが11.8億ドル減(-43.8%)と最も大きく落ち込み、イーサリアムが10.2億ドル減、S&P500が8.6億ドル減、WTI原油が6.4億ドル減と続きます。逆に増加したのは、ビットコインの9.3億ドル増(+11.2%)と、SanDiskの6.3億ドル増(+29.4%)です。指数や原油のように相場全体を取りにいく銘柄が減少し、個別の材料がある銘柄に取引が残った週といえます。

その個別の材料はAIのデータセンター投資に集まりました。Nebius Group(+274.3%)、Cerebras(+152.2%)、長鑫存儲(+64.8%)と、GPUクラウド・AI半導体・メモリの銘柄が揃って増加しています。ビットコインが増加に転じたことと、株式側の物色が絞り込まれたことが重なり、暗号資産の割合は42.5%から46.3%へ戻りました。

4. HYPE|取引が12.6%減る中で、手数料の減少は4.0%にとどまった

HYPE(Hyperliquid独自のトークン)は58.32ドル、時価総額129.7億ドルで暗号資産の10位です(CoinGecko、8/19時点)。直近30日はBTC -1.4%に対してHYPE -3.6%と、前号時点で開いていた差が縮まりました。取引手数料が買い戻しを通じてHYPEに還流する設計のため、本章では手数料、買い戻し、保有・ステーキング(トークンをネットワーク運営に預けて報酬を得る仕組み)の順に流れを追います。

指標 数値 出典
週間手数料 840万ドル(前週比-4.0%) DefiLlama(注7)
対象週の買い戻し 約10.3万HYPE(約600万ドル) Hypurrscan・週初と週末の差分(注7)
Assistance Fund保有 4,645万HYPE(総供給の4.9%) Hypurrscan(8/19時点)
ステーキング総委任 4.37億HYPE(財団・チーム分を含む) Hyperliquid公式データ
ステーキング解除待ち 162万HYPE(総委任の0.4%) Hypurrscan(注8)
週次手数料
週次手数料

週間手数料は840万ドルで、前週から4.0%の減少でした(注7)。取引が12.6%減少したのと比べると、手数料の減り方は3分の1にとどまっています。

取引の減少を市場別に分けると、減少額の83%は手数料が大幅に割り引かれているHIP-3市場(報道によれば現在90%割引。前号セクション8③)で生じており、通常の料率が適用される本体市場の減少は4.7%にとどまります(注8)。割引の効いた市場が取引の増減を大きく動かし、通常料率の本体市場の減少が小幅だったことが、手数料の減り方が取引より小さかった主な背景と見込まれます(取引手数料のみの別集計では減少幅が開きます。注7)。

Assistance Fund(取引手数料でHYPEを買い戻して保有する公式基金)の買い戻しは約10.3万HYPEで、前週の約12.2万HYPEから縮小しました。保有量は4,645万HYPEとなり、総供給の4.9%に相当します。ステーキングは総委任4.37億HYPE、バリデータ(取引の検証者)は34で、解除待ち行列は162万HYPEと総委任の0.4%です(解除には7日を要するため、売却圧力の先行指標として観測しています。注8)。

5. HIP-3市場|新規上場は9銘柄で、対象週内に取引が立ったのは2銘柄だった

対象週の新規上場は9銘柄でした(注4)。xyz市場ではRoundhill Magnificent Seven ETF(MAGS)、IREN、Cloudflare、CrowdStrike、Reddit、Applied Optoelectronicsの6銘柄が、para市場ではSuper Micro Computerなど3銘柄が加わっています。このうちIREN(データセンター・AIクラウド)、Applied Optoelectronics(光通信部品)、Super Micro Computer(AIサーバー)はデータセンター関連で、セクション3で取引が増加した銘柄群と同じ方向を向いています。Roundhill Magnificent Seven ETF、Cloudflare、CrowdStrike、Redditは別の系統です。対象週内に取引が立ったのはSuper Micro Computer(42万ドル)とIREN(33万ドル)の2銘柄だけで、残る7銘柄は対象週の期間中に売買が成立しませんでした。上場から日が浅く、売買が始まったのは対象週の後という銘柄もあります(Applied Optoelectronicsは8/19時点の直近24時間で164万ドル)。

para市場は上場と取り消しの回転が速く、対象週に上場した3銘柄のうち2銘柄は、8/19時点で取引可能な一覧から外れています(出典: Hyperliquid公式データ)。同市場の稼働銘柄は20で、AVGO、COHR、CRDO、LRCXなど光通信・半導体製造装置に寄せた構成です。

現物市場の上場権オークション(仕組みは注9)は、対象週に終了した6枠のうち5枠で落札が成立しました(残る1枠は落札のないまま終了しています)。成立した5枠はいずれも下限価格の500 HYPE(約2.9万ドル)で、落札したのはすべて同一のアドレスです。EQSPY、EQNVDA、EQTSLA、EQAAPL、EQGOOGと、米国の主要株・ETFを連想させるティッカーを、31時間ごとの枠で5回続けて確保しています(出典: Hypurrscan)。ドル換算の落札額は2024年12月のピーク(約98万ドル)から3万ドル前後まで下がったままで、上場権そのものへの価格競争はほぼ起きていません。

現物上場権オークションの落札額推移
現物上場権オークションの落札額推移

現在も銘柄を取引できるのは4市場(8/19時点でxyz 100銘柄、para 20、hyna 18、mkts 2)で、売買はxyzに集中しています。OIで見ると、HIP-3市場41.3億ドルのうち41.1億ドル(99.5%)がxyzです(注4)。

6. ボルト|HLPの構成戦略の1つに1億ドルが配分された

ボルト(他の利用者に運用を任せられる、投資ファンドのような機能)は稼働3,144本、預かり資産は2.68億ドルです(8/19時点、注5)。前週の2.95億ドルから9.0%減少しました。減少はすべてHLPで生じており、同ボルトは前週の2.14億ドルから1.87億ドルへ2,722万ドル減少しています。合計の減少額(2,651万ドル)を上回るため、HLP以外のボルトの合計はわずかに増加した計算になります。上位のボルトは次のとおりで、HLPの構成戦略(合計からは除いています。理由は注5)も含めて並べています。

ボルト 預かり資産(百万ドル) 直近APR(%、注5)
Hyperliquidity Provider(HLP) 186.6 0.1
HLP Strategy X 100.0 0.2
HLP Liquidator 2 30.0 0.0
Systemic Strategies HyperGrowth 11.2 32.5
Growi HF 9.1 -0.2
Systemic Strategies L/S Grids 8.4 55.6

表のうちHLP Strategy XとHLP Liquidator 2は、HLP本体(186.6百万ドル)の内側にある口座です。その金額はHLP本体の数値にすでに含まれているため、合計の2.68億ドルには重ねて足していません(注5)。

この週の変化はHLPの内側で起きました。構成戦略の1つである「HLP Strategy X」の運用額が、8/15の13:38から16:38(日本時間)の間に101万ドルから1億ドルへ増加しています。同じ時間帯にHLP本体の預かり資産は1.87億ドル前後で横ばいのままでした(出典: Hyperliquid公式データ)。この口座への出資者はHLP本体だけであるため、HLPが自らの運用資金のうち1億ドルをこの戦略へ配分したものと読めます。HLPの預かり資産は今年3月の4.23億ドルから減少が続いており、規模が縮む中で運用の配分を組み替えたことになります(注5)。

7. ステーブルコイン・担保基盤|現物USDCの保有アドレス数が1週間で1.4万増加した

項目 数値(8/19時点) 出典
預かり資産の総額(TVL) 60.1億ドル DefiLlama
うち現物取引の口座残高 25.11億ドル(前週比-1.1%) Hypurrscan
うちperp側(証拠金・ボルト等) 約30.6億ドル(注6) 当社算出
うちArbitrumブリッジに残る分 4.35億ドル 当社集計(注3)
USDH発行量(実流通) 778万USDH Hypurrscan
現物USDCの保有アドレス数 106.3万(1週間で+1.4万) Hypurrscan
HyperEVMのTVL 12.55億ドル(前週比+4.1%) DefiLlama

通貨基盤は実質USDCのみで(チェーン上ステーブルコインの97.7%、注3。ステーブルコインがHyperliquid上でどう使われるかは注9)、Hyperliquid発のステーブルコインUSDHは全体の0.1%にとどまります(注6)。資金総量と取引がともに減少した週でしたが、現物口座のアドレス数は1週間で1.4万増加し、HyperEVMのTVLも4.1%増加しました(アドレス数は口座数の近似値です。注6)。

8. 今週の出来事

① HYPEを財務資産として保有する米上場企業のHyperion DeFi(NASDAQ: HYPD)が、8/12に2026年4〜6月期の決算を発表しました。純利益は3,095万ドルで、前四半期の884万ドルから3.5倍に増加しています。HYPE保有は6月末時点で204万HYPE・1.33億ドルです。これは一時的なトークン貸借と流動性ステーキングをすべて解消した場合の市場価値として同社が示すグロスの数値で、換算に使われた価格は1HYPE 65.0ドルです(本文の他の箇所で使う8/19時点の58.32ドルとは基準時点が違います)。同社はあわせて、HIP-3の市場開設事業者Entropyと、Hyperliquid上で許可不要の市場を立ち上げるSkew Technologiesに、それぞれ50万のステーキング済みHYPEを充てる契約を結んだと説明しました。6月以降にHIP-3・HIP-4の市場へ振り向けたHYPEは合計100万枚になります(出典: 同社の決算発表The Blockの報道)。市場開設に必要な50万HYPEのステーキング要件を、トークンを持つ上場企業が肩代わりする形の資金供給です。

② Hyperliquid Policy Centerとオラクル事業者のDouro Labsが、8/17にSECへ共同の意見書を提出しました。SECが6月11日に提案した、全米市場システム規則(Reg NMS)のRule 611(トレードスルー・ルール。より良い気配値がある市場を飛び越えた執行を禁じる規則)の撤廃案を支持する内容です。意見書では、オンチェーンの取引はこの規則が想定する市場構造に合わないと主張し、全国最良気配が取得できない場合に独立した参照価格を認めるよう求めています。提案への意見受付は8月17日が締切で、意見書はその当日に出されました(出典: SECの提案、締切はSidley Austinの解説、意見書はCryptobriefingの報道)。

③ 米国内でperpを提供する道筋として、CFTC(商品先物取引委員会)の既存の権限を使う案が8/12に報じられました。Hyperliquid Policy CenterとウォレットのPhantomが7月に共同提出した意見書に沿った内容で、オンチェーンのソフトウェア開発者を取引所や清算機関として登録させないこと、免許を持つ事業者がブロックチェーン上で約定から決済までを行えるようにすることを求めています(出典: The Blockの報道、8/12の続報はYahoo Finance)。Hyperliquidは現在、米国の利用者に対してサービスを提供していません。

9. アナリストコメント

取引が12.6%減少した週に、手数料の減少は4.0%にとどまりました。減少額の8割超が割引の効いた外部運営市場で起きたことを踏まえると、取引量の増減がそのまま収益の増減にはならない可能性が読み取れます。ただし集計の定義によって減少幅の見え方は変わるため(注7)、構造として断定するにはもう少し観測を重ねる必要があります。日本の証券会社や取引所にとって示唆的なのは、市場を開設する機能そのものが外部の事業者に開かれている点です。上場の権利は下限価格で誰にでも開かれ、取引の増減は外部の運営事業者が持ち込む銘柄しだいで動きます。加えて今週は、市場開設に必要な50万HYPEを米上場企業が供与する事例と、オンチェーン市場に既存の市場構造規則を当てはめないよう求める意見書が同じ週に出ました。運営機能を外部に開いた市場が規制の側からどう扱われるかは、日本で同種の仕組みを検討する際にも先行事例として見ておく価値があります。


注記(集計方法と出典の詳細)

  1. 週間取引高: Hyperliquid本体と外部運営市場(HIP-3)で取引可能な全317銘柄(上場廃止済みの銘柄は除く)について、公式の約定データ(売買数量×終値)を当社で合算した実測値です。本号から対象週を日本時間の水曜0:00〜火曜24:00に変更しました(前号までは月曜0:00〜日曜24:00)。前週比の比較対象(8/5〜8/11の409億ドル)も同じ水〜火の7日窓で集計し直しています。終値換算のため、実際の売買価格ベースとはわずかに差が出ます。円換算は159.7円/ドル(ECB参照レート、8/18時点)、月間換算は週間値×52/12です。東証プライムの売買代金とJPXデリバティブ取引代金の出典は日本取引所グループ「2026年7月の売買状況について」( 参照)です。
  2. DEXシェア: 対象はデリバティブ(perp)を扱う分散型取引所で、現物のみのDEX(Uniswap等)は含みません。CoinGeckoの取引所別出来高(BTC建て。8/19に取得した直近7日分)の当社集計です。本編の47.0%は、出来高上位の主要11社(Hyperliquid、Aster、ApeX Omni、Lighter、Variational、edgeX、Pacifica、GMTrade、Extended、SynFutures、dYdX)の合算に対する値です。この他にCoinGecko上で分散型を名乗る取引所が12社確認でき、全てを含めた広義のシェアが35.2%です。各社の出来高は取引所の報告値に基づき、独立に検証できないものを含むため、対象の取り方でシェアは変動します。中央集権型(Backpack等)は除外しています。比較対象の前週52.1%も同じ主要11社ベースです。本文の各社の増減率は、前号の取得時点(8/10)と本号の取得時点(8/19)で、それぞれ直近7日分を日次平均に正規化して比べた値であり、当社の週境界とは一致しません。主要11社の合計取引高(週約760億ドル)は、当社実測のHyperliquid週間取引高をシェアで割り戻した概算です。CoinGeckoは日次公表で、取得時点から遡る7日間を対象とするため、集計期間は当社の週境界と最大半日ずれます。
  3. 資金フロー: チェーン上(HyperEVM分を含む)の全ステーブルコイン残高の週次差分で、出典はDefiLlamaの公表値です(水曜0:00 UTC時点の差分。内訳はUSDCが97.7%)。日次公表のため、日本時間の週境界(火曜24:00=15:00 UTC)とは9時間ずれます。USDCが現在はHyperliquidのチェーン上で直接発行されるため、特定のブリッジを見るだけでは資金の出入りを捉えられず、全ての経路を反映する残高の増減を主指標としています。参考値として、かつて主経路だったArbitrumブリッジ経由の入出金(オンチェーンデータの当社集計)は対象週1,310万ドルの入金超過で、同ブリッジの残高(4.35億ドル)はDefiLlamaの公表値と0.1%以内で一致しています。
  4. 銘柄別出来高とRWA取引シェア: RWAはReal World Asset(株式・指数・コモディティ・FXなど現実世界の資産)の略です。シェアは週次出来高ベース(分子=RWA系perpの週間取引金額、分母=全perpの週間取引金額)で算出しています。前週の57.5%も同じ水〜火の窓で集計し直した値です(前号で示した59.7%は月〜日の窓によるもので、窓が異なるため直接は比較できません)。区分は、個別株・預託証券・上場前企業を参照するperpを「株式」、株価指数とETF等の指数連動商品を「指数」、商品価格を「コモディティ」としています。本号でRWA区分を新たに割り当てた銘柄は、xyz市場のMAGS・IREN・NET・CRWD・RDDT・AAOIと、para市場のSMCI・CRWD・10Yの9件で、原資産をOAK Researchと各社の公表情報で確認しました(セクション5の新規上場9銘柄とは別の集合で、件数が一致しているのは偶然です)。内訳の割合は四捨五入のため、合計がシェアと末尾で一致しない場合があります。Top30表も週間出来高ベースで、上位30銘柄で週間全体の90.8%をカバーします。新規上場の件数は上場イベント(perpDeploy)の記録から数えており、同一銘柄の重複登録は1件として扱っています。
  5. ボルト: 出典はHyperliquid公式データです(8/19時点。閉鎖済みを含む累計は9,469本)。本号から、預かり資産の合計はHLPの構成戦略(Strategy A・B・X、Liquidator群)を除いた値に統一しました。これらの口座は運営アドレスがHLP本体と同一で、出資者もHLP本体のみであるため、単純に合算すると同じ資金を二重に数えることになります。同じ基準で引き直すと前週は2.95億ドルで、前号に記載した3.35億ドル(構成戦略を含む単純合計)とは基準が異なります。ボルトの残高はOI(注9)と同様に取得時点のスナップショットで、前週の値は8/10朝、本号は8/19昼の取得です。HLP Strategy Xの運用額は8/15の13:38から16:38(日本時間)の間に101万ドルから1億ドルへ増加しました。同じ時間帯のHLP本体の口座価値は187.5百万ドルから187.1百万ドルへの小幅な変動にとどまっており、構成戦略の持分がHLP本体の口座価値の内側にあることを示しています。APRは公式データの直近実績(年率)で、過去の実績であり将来の収益を示すものではありません。
  6. perp側の担保額: 預かり資産の総額(DefiLlamaのTVL)から、現物取引の口座残高(Hypurrscan)とArbitrumブリッジ残高を差し引いた概算で、証拠金・ボルト・未実現損益などを含みます。このTVLはUSDC建ての預かり資産で、現物として保有されるHYPEやビットコイン等のトークン残高は含みません。USDHの発行量はジェネシスアドレス保有分を除く実流通で、保有者は14,666アドレスです(Hypurrscan、8/19時点)。現物USDCの保有アドレス数は口座数の近似値として掲載しています(1人が複数アドレスを持つ場合があります)。
  7. 手数料: 本編の週間手数料はDefiLlamaの公表値を主指標としています。perp・現物・HLPへの配分を含む広い定義で、日次公表のため集計窓が当社の週境界より9時間前にずれます(本号は8/12〜8/18のUTC日次合算)。突合先のHypurrscanは取引手数料のみを累積値の差分で集計しており(境界は取得できる直近値、8/11 8:51〜8/18 8:41 日本時間)、本号は659万ドル・前週比-14.0%でした。定義の広さの違いにより両者の乖離が10%を超えるため、当シリーズの規定に従い両方の値を記載します。減少の方向は一致しています。手数料率は取引金額の約2.35bp(DefiLlama基準)です。Assistance Fundの買い戻し(週初と週末の保有量差分、換算はHYPE 58.32ドル)は、Dune上の公開集計(手数料からの推計)の約10.9万HYPEと5%以内で整合しています。
  8. 前週比の分解と構造指標: 前週比の増減は、銘柄別の週間出来高(当社集計・全317銘柄)の差分で分解しています。全体の減少51.5億ドルのうち、外部運営市場xyzが42.9億ドル(83%)、本体市場が8.2億ドル(16%)で、残る0.4億ドル(1%)はmktsなど他のHIP-3市場で、その大半(0.36億ドル)はmktsです。日次の最小値(8/16の9.4億ドル)と最大値(8/18の73.1億ドル)は、いずれも当社集計の日本時間ベースです。資金調達レートは公式データの1時間ごとの実績を対象週(日本時間、168時間)で平均し、年率換算(×24×365)した値です。Hyperliquidの資金調達レートは金利成分を含む設計のため、需給が完全に中立でも年率4%台半ばのプラスになります。回転数(週間出来高÷預かり資産の総額。分母はセクション7のTVL)は5.9回で、前週は同じ算式で6.8回です。市場別の回転率(週間出来高÷OI)はxyz約4.6回転、本体約2.2回転です。ステーキングの解除待ちは、取得時点(8/19昼)で解除が完了していないものの合計です。HIP-3市場の手数料割引(現在90%割引)は報道ベースの情報で、前号のセクション8③に出典を記載しています。
  9. 仕組みの解説(初めての読者向け): 本文が前提にしている仕組みをここにまとめます。
    OI(未決済建玉): 決済されずに残っているポジションの総額です。取引高がその週の売買の量(フロー)を示すのに対し、OIは市場に積み上がったリスクの残高(ストック)を示し、取引が減少してもOIが増加する週は手仕舞いより持ち越しが優勢だったと読めます。本誌のOIは毎週の取得時点のスナップショットで、前週比も同時点どうしの比較です(前号は8/10朝、本号は8/19昼の取得です)。
    HIP-3: 所定のステーキング要件(50万HYPE)を満たした事業者が、自らperp市場を開設・運営できる仕組みです。xyz市場を運営するTradeXYZが代表例です。各市場の4銘柄目以降の追加上場は、全perp市場で共有のオークション枠か、実績に応じて付与される無料枠を使います(出典: Hyperliquid公式ドキュメント)。
    現物のティッカーオークション: 約31時間ごとに1枠が競売され、高い価格から始まり時間とともに下限の500 HYPEまで下がるダッチ方式で、最初に応札した人がティッカー(銘柄コード)と発行・上場の権利を得ます。支払いは2025年5月下旬からHYPE建てです(それ以前はUSDC建て。出典: Hyperliquid公式ドキュメント)。上場審査を入札コストに置き換えたスパム防止の仕組みで、落札額は上場需要の指標になります。
    ステーブルコインの用途: Hyperliquid上のUSDC等は、①perp取引の証拠金、②現物取引の決済通貨、③ボルトへ預ける運用原資、④HyperEVM上の貸付などに使われます。証券口座でいう預り金と委託保証金に相当する、取引の元手です。
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