対象期間: 8/24(月)〜8/30(日) / データ取得日: 2026-08-31(月) / 公開日: 2026-08-31(月)
本レポートは、特定の取引所やサービスの利用を推奨するものではありません。暗号資産市場全体を定点観測の対象とするのは、価格・出来高・資金の所在の変化を公開データの数字で横断的に観測できるためです。暗号資産市場のいまを掴むための市場観測レポートとして、読者のみなさま向けに毎週発行します。数値は公開データの当社集計に基づく情報提供であり、投資勧誘・投資助言を目的としません。
目次
- 市場全体スコアボード
- ビットコイン(BTC): 週内の値動きと出来事
- イーサリアム(ETH): 週内の値動きと出来事
- 主要銘柄と注目銘柄(時価総額上位100の急騰・急落)
- セクター別の動き(11セクター指数の週間騰落)
- 資金の所在(ステーブルコイン残高・ETFフロー)
- デリバティブ(未決済建玉・資金調達レート)
- 今週の出来事: マーケットに大きな影響を与えた出来事3選
- ウォルシュFRB議長がジャクソンホールで初講演、物価最優先の姿勢を表明
- 米7月PCE物価指数が前年比3.7%と市場予想を上回る
- NVIDIAの5〜7月期決算が予想を上回り、テック株とビットコインが連動して上昇
- アナリストコメント
1. 市場全体スコアボード|時価総額は2.64兆ドルで前週比+1.2%
ビットコインは78,401ドルで、7日間で+1.7%でした(注2)。週の前半に80,000ドル台へ乗せたあと、週の後半はインフレ指標と金融政策のイベントで押し戻され、週間では小幅の上昇にとどまりました。円建てでは約1,252万円です(注9)。暗号資産市場全体と周辺市場の位置を表にまとめました。
| 指標 | 今週の値 | 週間変化 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 暗号資産の時価総額全体 | 2.64兆ドル(約422兆円、注9) | +1.2%(注1) | CoinGecko |
| 24時間売買代金(全体) | 492億ドル | -44.8%(注1) | CoinGecko |
| ビットコイン・ドミナンス(時価総額全体に占める比率) | 59.5% | +0.2pt(注1) | CoinGecko |
| イーサリアム・ドミナンス(同) | 11.3% | +0.1pt(注1) | CoinGecko |
| ビットコイン(BTC) | 78,401ドル(約1,252万円、注9) | +1.7%(注2) | CoinGecko |
| イーサリアム(ETH) | 2,472.37ドル(約39.5万円、注9) | +1.9%(注2) | CoinGecko |
| S&P500 | 7,711.76 | +0.5% | FRED |
| ナスダック総合 | 26,402.42 | +0.8% | FRED |
| Fear & Greed Index(市場心理) | 69(強欲) | 前週66から+3pt | alternative.me |
米国株はS&P500が+0.5%、ナスダック総合が+0.8%と、前週の下落から反発しました。暗号資産の時価総額全体も+1.2%と同方向ですが、前週の+16.4%からは勢いが大きく鈍っています。24時間売買代金は492億ドルで、前週取得時点の892億ドルから44.8%減少しました(取得時点の直近24時間の値のため振れが大きい点は注1のとおりです)。市場心理を0〜100で数値化するFear & Greed Indexは、週内65〜74の「強欲(Greed)」圏で推移し、週末は69でした(注1)。

2. ビットコイン(BTC): 週内の値動きと出来事
ビットコインは78,401ドルで、7日間で+1.7%でした(注2)。週初8/24(月)午後に週間安値の76,870ドルを付けたあと、現物ETFへの資金流入が続くなかで8/25(火)午後に週間高値の80,698ドルまで上昇しました(注3)。8/26(水)夜の米7月PCE発表後は78,000ドル前後へ下げ、8/27(木)〜8/28(金)はNVIDIA決算を受けたテック株の上昇と連動して80,000ドル台を回復する場面がありました。8/28(金)夜のウォルシュFRB議長の講演後は未明にかけて再び下げ、8/29(土)朝に77,346ドルまで下落したあと、週末は78,858ドルで引けています(注3)。
週内の値動きと出来事の対応をチャートで示します。

| # | 日時(日本時間) | 何が起きたか |
|---|---|---|
| ① | 8/24(月)21:12 | Strategyが週次開示で、8/17〜8/23にビットコインの売買がなかったことを示しました。同時にMSTR株を約20億ドル分売却し、うち15.9億ドルでドル建て流動性プール「USD Cash」を新設しています(出典: The Block、8/24) |
| ② | 8/26(水)21:30 | 米7月PCE物価指数が前月比+0.2%・前年比+3.7%となりました(出典: 米商務省経済分析局の発表)。前年比は市場予想の3.6%を上回ったと報じられ、ビットコインは発表後に78,000ドル前後へ下落しました(注3、セクション8②) |
| ③ | 8/27(木)5:20 | NVIDIAの5〜7月期決算が売上962億ドル・調整後EPS2.22ドルとなり、いずれも市場予想を上回ったと報じられました(米国時間8/26引け後)。翌8/27は同社株が8%上昇し、テック株とビットコインが連動して上昇したと報じられています(出典: CoinDesk、8/27。セクション8③) |
| ④ | 8/28(金)23:00 | ウォルシュFRB議長がジャクソンホール経済シンポジウムで基調講演を行い、PCEインフレの12か月率3.7%・6か月率4.1%を挙げて物価安定を最優先とする姿勢を示しました(就任後初のジャクソンホール登壇。出典: FRBの講演録、セクション8①)。ビットコインは講演後に下落しました(注3) |
週前半の上昇は、後述する現物ETFへの流入が支えでした。転機は②のPCE上振れで、そこから④の議長講演まで、マクロ側の材料が出るたびに80,000ドル台を維持できない展開が続いています。①のStrategyの開示は、最大の企業保有者の買いが2週連続で止まっていることを示しますが、当日の値動きへの目立った影響は確認できません(注3)。
需給面では、現物ETFが8/24(月)〜8/27(木)の4営業日で流入を続けたあと、8/28(金)分は2.0億ドルの流出に転じました。週合計は9.2億ドルの純流入で、前週の19.2億ドルから半減しています(注5)。

資金調達レート(決済期限のない無期限先物で、買い持ちと売り持ちの間で定期的に受け渡す手数料。注7)は、取得時点でHyperliquid年率+11.0%、Binance+7.6%、Bybit+7.5%です。買いと売りが釣り合った状態を示す基準水準(年率約11%、注7)に対しCEXの2市場が下回る売り寄りで、Hyperliquidは中立です。前週はHyperliquidだけが+18.8%と買い寄りでしたが、その傾きは1週間で解消しました。
直近30日で見ると、8月中旬までの62,000〜65,000ドル台のレンジを前週に上抜けたあと、今週は77,000〜81,000ドル台での値固めの位置にあります。

ビットコインを大量保有するDAT企業(デジタル資産トレジャリー企業。暗号資産の保有を主目的とする上場企業)の状況です。mNAV(株式時価総額が保有暗号資産の時価の何倍かを示す倍率、注10)とあわせて示します。
| 企業 | 上場市場 | 保有BTC | 保有BTCの時価 | 株式時価総額 | mNAV |
|---|---|---|---|---|---|
| Strategy(MSTR) | 米国 | 840,447(8/23時点) | 659億ドル | 489億ドル | 0.74 |
| Metaplanet(3350) | 日本 | 43,000(8/18時点) | 34億ドル | 28億ドル | 0.82 |
| Strive(ASST) | 米国 | 21,356(8/24時点) | 17億ドル | 19億ドル | 1.11 |
Strategyはビットコインの売買を止めたまま、自社株式の市場売却で約20億ドルを調達したと報じられています(上表①)。Striveは8/24の開示で1,110BTCを買い増し、保有を21,356BTCとしています(出典: SoSoValue集計、注10)。mNAVはStriveが1.11と、表の3社で唯一1倍を上回りました(前週は0.99)。Metaplanetの株価は8/28終値で346円と、前週終値の306円から13.1%上昇し、mNAVは0.82へ上昇しています(前週0.77。注10)。
3. イーサリアム(ETH): 週内の値動きと出来事
イーサリアムは2,472.37ドル(約39.5万円、注9)で、7日間で+1.9%と、ビットコインと同水準の小幅な上昇でした(注2)。時価総額全体に占める比率は11.3%で、前週から0.1pt上昇しています。

イーサリアムの現物ETF(米国上場)は5営業日全てで流入し、週合計8.2億ドルの純流入でした(注5)。前週の6.97億ドルから増加し、8/17から数えて10営業日連続の流入です。週合計の絶対額ではビットコイン(9.2億ドル)がなお上回りますが、ビットコイン側が流出に転じた8/28(金)もイーサリアムは1.0億ドルの流入を維持しており、流入の持続性ではイーサリアムが優位でした。

資金調達レートは取得時点でHyperliquid・Bybitが年率+11.0%と基準水準どおりの中立、Binanceが+9.1%とわずかに下回る水準です(注7)。先物の傾きに目立った偏りはありません。
イーサリアムを大量保有するDAT企業の状況です(注10)。
| 企業 | 上場市場 | 保有ETH | 保有ETHの時価 | 株式時価総額 | mNAV |
|---|---|---|---|---|---|
| BitMine Immersion(BMNR) | 米国 | 5,847,611(8/23時点) | 145億ドル | 144億ドル | 0.99 |
| SharpLink Gaming(SBET) | 米国 | 888,938(8/3時点) | 22億ドル | 18億ドル | 0.81 |
BitMine Immersionは8/24に、保有が約584.8万ETH(8/23時点。当社計算でETHの流通供給量の約4.8%、注10)に達し、暗号資産・現金等の合計が149億ドルになったと公表しました。このうち約506.7万ETHをステーキング(トークンを預けて報酬を得る仕組み)に回しています(出典: 会社公表、8/24)。SharpLink Gamingの保有量の直近の公表値は8/3時点の888,938ETHのままで、mNAVは0.81です(前週0.79。注10)。
4. 主要銘柄と注目銘柄|±10%動意は13銘柄に収縮、上昇側は個別材料型
時価総額上位10銘柄の状況です(注2)。円建て価格は1ドル=159.68円で換算しています(注9)。
| 順位 | 銘柄 | 価格(ドル) | 価格(円) | 時価総額 | 7日騰落 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | BTC | $78,401 | 12,519,072円 | 15,736億ドル | +1.7% |
| 2 | ETH | $2,472.37 | 394,788円 | 2,982億ドル | +1.9% |
| 3 | USDT | $0.99989 | 160円 | 1,834億ドル | — |
| 4 | BNB | $695.27 | 111,021円 | 926億ドル | -0.2% |
| 5 | XRP | $1.39 | 222円 | 872億ドル | -6.7% |
| 6 | USDC | $0.999887 | 160円 | 739億ドル | — |
| 7 | SOL | $104.00 | 16,607円 | 608億ドル | +10.4% |
| 8 | TRX | $0.339 | 54円 | 322億ドル | -1.2% |
| 9 | FIGR_HELOC | $1.00 | 160円 | 218億ドル | — |
| 10 | HYPE | $81.50 | 13,014円 | 181億ドル | +1.1% |
上位10銘柄では、上昇はBTC・ETH・SOL・HYPEの4銘柄にとどまり、前週に+51.1%だったXRP(-6.7%)をはじめBNB・TRXが下落しました。順位の入れ替わりはありません。最も動いたのはSOL(+10.4%)で、スポットSOL ETFが8営業日連続の流入になったと報じられています(出典: CryptoPotato、8/28。同記事の騰落率は当社と集計期間が異なります)。
注目銘柄として、時価総額上位100位以内で週間の騰落率が±10%以上となった銘柄を全て示します(注2)。今週は13銘柄(上昇7・下落6)で、前週の55銘柄(全て上昇)から動意が収縮しました。市場全体が横ばいに近づき、物色が個別材料のある銘柄へ絞られた週です。
| 順位 | 銘柄 | 名称 | 7日騰落 | 時価総額 | 24h売買代金 |
|---|---|---|---|---|---|
| 12 | RAIN | Rain | +23.7% | 122.0億ドル | 42百万ドル |
| 93 | VET | VeChain | +20.8% | 5.9億ドル | 17百万ドル |
| 14 | XMR | Monero | +16.8% | 92.9億ドル | 166百万ドル |
| 29 | UNI | Uniswap | +16.0% | 32.8億ドル | 801百万ドル |
| 72 | LIT | Lighter | +14.5% | 9.5億ドル | 51百万ドル |
| 7 | SOL | Solana | +10.4% | 607.3億ドル | 2,539百万ドル |
| 47 | MNT | Mantle | +10.1% | 18.6億ドル | 35百万ドル |
| 54 | PEPE | Pepe | -10.0% | 15.3億ドル | 176百万ドル |
| 31 | SUI | Sui | -10.2% | 30.1億ドル | 301百万ドル |
| 96 | FLR | Flare | -10.4% | 5.6億ドル | 3百万ドル |
| 94 | FIL | Filecoin | -11.0% | 5.6億ドル | 40百万ドル |
| 91 | ARB | Arbitrum | -12.2% | 5.9億ドル | 50百万ドル |
| 88 | STABLE | Stable | -13.6% | 6.9億ドル | 9百万ドル |
Rain(RAIN、+23.7%)が上昇率の首位です。Arbitrum上で予測市場(出来事の結果に賭ける市場)の作成・取引基盤を提供するプロトコルのトークンで、8/25に上場来高値を付けました(CoinGecko、注2)。74億トークンの焼却(流通からの恒久的な除外)が材料と報じられています(出典: Invezz、8/26)。CoinGecko集計の時価総額は122億ドルと表の中で最大ですが、24時間売買代金は42百万ドルと時価総額対比で薄く、規模の解釈には留意が必要です(注2)。Monero(XMR、+16.8%)は、クロスチェーン取引基盤のTHORChainが8/25の大型更新(v3.20)でMoneroのネイティブスワップ(ラップ版を介さない直接交換)に対応したことと重なって上昇しました(出典: Decrypt、8/25)。前週のZcash(ZEC、+72.6%)に続き、プライバシー系銘柄への物色が続いています(ZEC自体は今週-0.1%と一服しました)。下落側は、前週にそれぞれ+57.7%・+20.0%・+36.6%と上昇したPEPE・FLR・ARBが並び、前週の上昇分を一部戻す反落が目立ちます(注2)。
5. セクター別の動き|11セクター中6セクターが下落、Gamingは-10.8%
キリフダ株式会社が算出するセクター指数「KIRIFUDA Digital Assets Sector Index」(188銘柄を11セクターに分類、注8)の週間騰落です。総合指数(KFI)は+2.1%でした。

前週は11セクター全てが上昇しましたが、今週は上昇5・下落6と方向が割れました。上昇はPrivacy(+5.5%)、Trading(+5.4%)、Infrastructure(+3.0%)、Meme(+1.9%)、L1(+1.7%)の5セクターです。下落はGaming(-10.8%)が最大で、Scaling(-4.6%)、NFT(-3.6%)、Others(-2.6%)、AI(-1.8%)、DeFi(-0.5%)と続きます。Privacyは、構成銘柄のMonero(XMR、+16.8%。前述のTHORChain対応)の上昇と整合します。Gamingは、構成銘柄のGALA(-11.5%)、AXS(-10.2%)、SAND(-16.0%)がそろって下落しており、前週の+43.1%と大きく上昇した反動とみられます。Scaling(-4.6%)はARB(-12.2%)、DOT(-7.4%)の下落と整合します(構成銘柄の騰落はいずれもCoinGecko、8/31取得。組入比率が非公開のため寄与度は断定できません。注8)。
6. 資金の所在|ステーブルコイン残高は3,097億ドルへ12.0億ドル増加
市場に待機している資金の量を、ステーブルコインの流通総額で追います。

流通総額は3,097億ドルで、前週日曜から+12.0億ドル(+0.4%)でした(注4)。前週(+21.9億ドル)に続く増加ですが、増加幅は縮小しています。DeFi全体の預かり資産(TVL)は886.9億ドルで前週比+1.9%でした(出典: DefiLlama、注4。ドル建てのTVLには預かり資産自体の価格変動も含まれます)。
ETF経由の資金は、ビットコインが週9.2億ドルの流入(金曜のみ流出)、イーサリアムが週8.2億ドルの流入(5営業日全て流入)です(セクション2・3、注5)。場内の待機資金(ステーブルコイン残高)と規制商品経由の機関マネー(ETFフロー)は今週も同じ流入方向を向いていますが、ビットコイン側のETFが週末に流出へ転じており、流入の勢いは前週から鈍りました。
7. デリバティブ|建玉は5.0%減少、CEXの資金調達レートは売り寄りへ
デリバティブ取引所の未決済建玉(OI。まだ決済されていないポジションの総額)は、建玉上位100社・全上場銘柄の合算をビットコイン換算した値で253.7万BTC、ドル換算で約1,989億ドルです(注6)。前週からBTC建てで5.0%、ドル換算でも3.7%減少しました。前週は枚数が減少してドル建て金額が増加する清算主導の動きでしたが、今週は両方の建てが減少しており、価格が横ばいのなかでポジションの整理が進みました。取引所別ではBinance(39.9万BTC)が最大で、Hyperliquid(17.6万BTC)、Bybit、MEXC、Gateと続き、Hyperliquidが2位を維持しています。
資金調達レートは、ビットコインがBinance年率+7.6%・Bybit+7.5%と基準水準(約11%、注7)を下回る売り寄りで、Hyperliquidは+11.0%の中立です。前週の「Hyperliquidのみ買い寄り」から傾きが解消し、CEX側はやや売りに傾きました。イーサリアムは3市場とも中立圏で、価格の一服に対して先物の過熱はありません。オンチェーン取引所の動向は週刊Hyperliquidで毎週詳しく観測しています。
8. 今週の出来事: マーケットに大きな影響を与えた出来事3選
ブロックチェーン総研編集部が、今週マーケットに大きな影響を与えた出来事を3つ選びました。
ウォルシュFRB議長がジャクソンホールで初講演、物価最優先の姿勢を表明(8/28)
ウォルシュFRB議長は米国時間8/28、ジャクソンホール経済シンポジウムで基調講演を行いました(出典: FRBの講演録。5月の議長就任後、初めてのジャクソンホール登壇と報じられています〔出典: NewsBTC〕)。PCEインフレの12か月率が3.7%、6か月率が4.1%と目標の2%を上回っている点を挙げ、「FRBのいまの最優先は物価であるべきだ」と述べています。講演を受けて、予測市場Polymarketでは2026年内に少なくとも1回の利上げが行われる確率が前週の50%未満から68%へ上昇したと報じられ(出典: crypto.news、8/28)、ビットコインは講演後に78,000ドルを割り込みました(出典: Coinpedia、8/28)。前週の上昇の起点が米財務省の買い戻しによる長期金利の低下だっただけに、金融政策側の発言が反対方向の材料として週末の価格を動かしました。
米7月PCE物価指数が前年比3.7%と市場予想を上回る(8/26)
米商務省経済分析局が8/26に公表した7月のPCE物価指数は、前月比+0.2%・前年比+3.7%でした(出典: BEAの発表)。食品・エネルギーを除くコア指数も前月比+0.2%・前年比+3.3%です。前年比は市場予想の3.6%を上回ったと報じられ、ビットコインは発表後に78,000ドル前後へ下げました(瞬間的には78,000ドル割れも報じられています。出典: Cointelegraph、8/26)。8/28のウォルシュ講演が挙げた6か月率4.1%は12か月率3.7%を上回っており、直近の物価の伸びのほうが速い状態です。週の後半は、インフレ関連の材料が出るたびに価格が下押しされる展開が続きました。
NVIDIAの5〜7月期決算が予想を上回り、テック株とビットコインが連動して上昇(8/26〜8/27)
NVIDIAが米国時間8/26の引け後に公表した2027年1月期第2四半期(おおむね5〜7月)の決算は、売上962億ドル・調整後EPS2.22ドルで、いずれも市場予想を上回ったと報じられています(出典: Yahoo Finance、8/26)。翌8/27は同社株が8%上昇し、テック株の上昇とあわせてビットコインも80,000ドル近辺へ上昇したと報じられています(出典: CoinDesk、8/27)。PCEの上振れで下げた翌日に株式側の好材料で戻すという、伝統市場との連動が週半ばの値動きを往復させました。
9. アナリストコメント
今週のビットコインは、8/25の週間高値80,698ドルから8/29朝の77,346ドルまで、マクロ指標と金融政策のイベントで往復しました。7月PCEの前年比3.7%とウォルシュ議長の物価最優先の表明で、予測市場が織り込む「年内に少なくとも1回の利上げ」の確率は68%へ上昇したと報じられています(前掲crypto.news)。一方で需給側に過熱はなく、資金調達レートはCEX2市場で基準水準を下回り、未決済建玉は5.0%減少しました。現物ETFはイーサリアム側が10営業日連続の流入を保ち、ステーブルコイン残高も増加が続いています。前週の上昇の起点が財務省の買い戻しによる金利低下だった分、今週は金利観測の反転にビットコインが株式より大きく反応しました。週間でS&P500が+0.5%を維持したのに対し、ビットコインは金曜の講演をはさんだ8/28夜から8/29朝にかけて約79,600ドルから77,346ドルまで下落しており(注3)、米国の金融政策カレンダーが暗号資産のリスク管理にそのまま直結する現状を示しています。日本の金融プレイヤーにとっては、資金の流入(ETF・ステーブルコイン)が続くなかでレバレッジが軽い市場構造は、イベントの結果次第で上下どちらにも動きやすい状態と読めます。来月のFOMCとインフレ指標の日程を、暗号資産の観測にも組み込むことが必要な局面です。
注記(集計方法と出典の詳細)
- 総時価総額・24時間売買代金・ドミナンスはCoinGeckoの集計値で、2026-08-31(月)朝の取得時点のスナップショットです。CoinGeckoに登録された約1.9万銘柄の合算で、取引所の自己申告データを含みます。週間変化は前週号(2026-08-24取得)のスナップショットとの比較です。24時間売買代金は取得時点の直近24時間の値のため、週間変化が大きく振れることがあります(前週892億ドル→今週492億ドル)。ポイント(pt)の変化は丸める前の値で計算しているため、表示値どうしの引き算とはわずかに一致しないことがあります。株価指数の週間変化は金曜終値同士(8/21→8/28)の比較です。Fear & Greed Indexの「今週の値」は対象週最終日(日曜)の値で、週間変化は前週日曜の値との比較です。
- 銘柄別の価格・時価総額・騰落率・売買代金はCoinGecko(取得時点)によります。7日騰落率は取得時点から遡る7日間で、対象週の境界とずれがあります。図中の価格はUTC日次終値のため、本文の取得時点の値とわずかに異なることがあります。注目銘柄の抽出条件は「時価総額上位100位以内・週間騰落±10%以上・ステーブルコインとドル連動型を除く」です。ステーブルコインとドル連動型トークン(USDT、USDC、FIGR_HELOC)の騰落率は「—」としました。注目銘柄表の順位・時価総額はCoinGeckoの集計で、上位10銘柄表とは取得タイミングがわずかに異なるため数値に差が出ることがあります。時価総額は流通供給量の算定に依存し、集計サイトによって値や順位が異なる銘柄があります(本文で触れたRAINが該当します)。前週の該当銘柄数(55銘柄)は前週号の同条件の集計です。
- ビットコインの週間安値・高値・時刻はCoinGeckoの1時間足の当社集計で、日本時間の対象週内(月曜0:00以上・翌月曜0:00未満の半開区間)の値です。1時間足のため、報道にある瞬間の高値・安値とは差が出ることがあります。チャートの時刻表記はUTCのため、日本時間とは9時間ずれます。チャート上の①〜④は発表・報道の時刻(日本時間に換算)に打点しており、値動きとの対応は時刻の前後関係を示すもので、因果を断定するものではありません。
- ステーブルコイン流通総額はDefiLlamaの集計(ドルペッグ型、全チェーン合算)です。週次比較は日曜時点の値同士で行い、日次公表値のため集計境界は日本時間の週境界と最大9時間ずれます。DeFiのTVLも日曜時点の値同士の比較です。ステーブルコイン流通総額とDeFiのTVLの前週値は、出典側の遡及改定を反映して再取得しているため、前週号の表示値と異なることがあります(今週はTVLの水準が前週号の表示値から下方に改定されています)。DeFiのTVLはドル建てのため、預かり資産の価格変動局面では資金の出入りがなくても増減します。
- ETFフローはSoSoValueの集計(米国上場スポットETFの合算、日次・ドル建て)です。週合計は8/24〜8/28の5営業日分です。日付はSoSoValueの集計日(米国営業日)によります。報道機関の集計とは日次の値が数千万ドル単位で異なることがあります。「10営業日連続の流入」は前週号と今週の当社取得値(8/17〜8/28)の確認によります。
- 未決済建玉はCoinGeckoのデリバティブ取引所一覧のうち建玉上位100社の合算で、ビットコイン以外も含む全上場銘柄の建玉をビットコイン建てに換算した値です。取引所の自己申告値を含み、独立に検証できない数値を含みます。ドル換算は取得時点のビットコイン価格($78,401)で行いました。前週比は前週号の同基準の値(267.2万BTC、ドル換算約2,065億ドル)との比較です。
- 資金調達レートはHyperliquid公式データの予想レート(取得時点の次回適用分)です。取引所ごとに適用間隔が異なるため、1時間あたりに換算して比較し、年率換算は時間あたりレート×24×365で計算しました。多くの取引所は、資金調達レートにあらかじめ金利相当分として8時間あたり0.01%(年率換算で約11%)を組み込んでおり、本文ではこの水準を基準水準と呼びます。基準水準からの上振れが買いの傾き、下振れが売りの傾きを示します。
- セクター指数はKIRIFUDA Digital Assets Sector Index(キリフダ株式会社)を出典明記のうえ引用しています。188銘柄を11セクターに分類した出来高加重の日次指数で、時価総額加重の指標とは動きが異なります。週間騰落の集計期間は8/22から8/29までです(指数の公表が取得時点で8/29分までのためです)。指数水準の基準日がセクターごとに異なるため、騰落率だけを使っています。各セクターの構成銘柄は同社サイトで公開されていますが、ページ構造の変更により構成銘柄リストを再取得できない状態が続いているため、本文の構成銘柄の記述は8/10取得のリストによります。組入比率は非公開のため、各銘柄が指数の騰落にどれだけ寄与したかは検証できません。構成銘柄の騰落率・売買代金はCoinGeckoの値で、取得時点から遡る7日間のため指数の集計期間とは数日ずれます。
- 円換算は1ドル=159.68円(ECB参照レート、8/28時点、出典: Frankfurter)で計算しました。銘柄別の円建て価格は、表示用に丸める前のドル建て価格に同レートを掛け、円未満を四捨五入した値です。このため、表のドル建て価格に159.68円を掛けた値とはわずかに差が出ることがあります。前週号の円換算は1ドル=158.70円(8/21時点)のため、円建ての週間変化には為替の変動も含まれます。
- DAT企業の保有量は、Strategyが週次開示を報じたThe Block(8/24。8-K原本はSEC EDGARに提出)、Metaplanetが会社発表(8/18時点の43,000BTC。Super League社への2,100BTC拠出は取引完了前のため保有は変わっていません)、StriveがSoSoValueの開示集計(8/24時点)、BitMineが会社公表(8/24、保有は8/23時点)、SharpLinkが会社開示(8/3時点)によります。株式時価総額は、Strategy・Strive・BitMine・SharpLinkがSoSoValueの取得値(8/28終値ベース)、Metaplanetがstockanalysis.comの時価総額(8/28終値346円、4,433.2億円)を1ドル=159.68円で換算した値です。Metaplanetの発行済株式数はstockanalysis.comの時価総額表示に含まれる値をそのまま用いており、前週号(時価総額を株価で除して株式数を推計)とは算定基準がわずかに異なるため、前週mNAV(0.77)との比較には基準差が含まれます。本文の前週終値306円は前週号の取得値(stockanalysis.com、8/21終値)です。BitMineの「流通供給量の約4.8%」は、ETHの流通供給量約1.206億ETH(CoinGeckoの時価総額÷価格からの当社算出)に対する比率です。mNAVは「株式時価総額÷保有暗号資産の時価(保有量×取得時点の暗号資産価格)」の当社計算で、負債・暗号資産以外の事業・将来の希薄化を考慮しない単純な倍率です。mNAVは丸める前の値で計算しているため、表の丸めた金額どうしの割り算とはわずかに差が出ることがあります。前週のmNAV(Strategy 0.71、Metaplanet 0.77、Strive 0.99、BitMine 0.97、SharpLink 0.79)は前週号の同基準の値です。表の対象は、保有量の直近の開示を確認できた企業としています。個別企業・個別銘柄への言及は公開データの整理を目的とする情報提供であり、株式・トークンの売買を推奨するものではありません。
