対象期間: 8/24(月)〜8/30(日) / データ取得日: 2026-08-31(月) / 公開日: 2026-09-01(火)
本レポートは、特定の発行体やサービスの利用を推奨するものではありません。ステーブルコインを定点観測の対象とするのは、トークン化された資産の中で発行規模が最も大きく、発行量・流通チェーン・使われ方の変化を数字で観測できるためです。オンチェーン金融のいまを掴むための市場観測レポートとして、読者のみなさま向けに毎週発行します。数値は公開データの当社集計に基づく情報提供であり、投資勧誘・投資助言を目的としません。
目次
- 円建てステーブルコイン
- ドル建てステーブルコイン(全体と定点10銘柄 / USDC / USDT / 価格ウォッチ)
- 1週間の出来事
- 米国の39州の銀行協会が業界保有のブロックチェーン網の構築を発表
- World Liberty FinancialがUSD1をCanton Networkにネイティブ発行
- FRBスタッフが国際送金の総括でステーブルコインを代替手段になり得ると記述
- アナリストコメント
1. 円建てステーブルコイン|JPYCの流通が増加から減少に転じ、減少はKaia上に集中
円建ての残高は合計238.7億円で、前週から1.3億円(-0.5%)減少しました(注5)。
| 銘柄 | 発行者と型 | 残高(8/31時点) | 前週差 |
|---|---|---|---|
| JPYSC | SBI新生信託銀行(信託型) | 200.6億円 | ほぼ横ばい(+0.2億円) |
| JPYC | JPYC株式会社(資金移動業型) | 流通27.3億円 | -1.5億円(-5.2%) |
| GYEN | GMO-Z.com Trust Company(米国の信託会社) | 9.7億円 | 増減なし |
| その他 | CJPY等 | 1.1億円 | — |
JPYCの流通残高は27.3億円(前週比-5.2%)となり、4週続いた増加から減少に転じました。減少はKaia上に集中しており、Kaia上の流通は19.9億円から18.1億円へ1.8億円減少した一方、Polygon上(+0.2億円)とAvalanche上(+0.2億円)は小幅に増加し、Ethereum上は0.1億円減少しました。Kaia上の発行量35.0億円はブロックチェーンの記録の直接照会で前週から変わっておらず、減少分は市場に出回る分が発行体の保有分へ移ったものです(注5。当社とJPYC社の関係の開示は注9)。送金の動きを見ると、対象週のKaia上のJPYC送金は9,304件・約5.6億円で、前週の11,129件・約3.5億円から件数は16%減少し、送金額は6割増加しました(Dune上の当社集計、注5)。1件あたりの平均送金額は約3.1万円から約6.0万円に上昇しており、少額の利用が減少する一方で、まとまった単位の資金移動が増加した週です。
GYENは9.7億円で、今週は残高の動きがありませんでした。発行体は2026年5月にGYENの発行終了と新規購入の停止を発表しており、2026年11月11日を期限とする償還(1GYEN=1円)の期間中です(出典: 発行体の告知、2026年5月15日)。前号までの週は償還による減少が続いていましたが、今週は残高が動いていません。
首位のJPYSCは200.6億円でほぼ横ばいでした。7月末の大口発行以降、残高は200億円台で安定しています。Ethereum上の発行量をブロックチェーンの記録で照会した値は、集計値と1円単位で一致しています(注5)。

13週前の5月30日時点では、円建ての合計は約39億円でした(注5)。円建て市場の規模は3か月で約6倍になっており、この拡大はJPYSCの登場1件でほぼ説明できます。
2. ドル建てステーブルコイン
2-1. 全体と定点10銘柄|総残高は3,103億ドルへ11億ドル増、2週連続の増加
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| ドル建て総残高(8/31時点) | 3,103.5億ドル | DefiLlama(注1) |
| 前週差 | +11.3億ドル(+0.4%) | 同(注2・注3) |
| 直近13週 | -80.6億ドル(-2.5%) | 同(注2・注4) |
| 年初来 | +1.3% | 同(注2) |
| 1年前比 | +10.2% | 同(注2) |
総残高3,103.5億ドルは、日本の外貨準備高1兆2,871億ドル(2026年7月末、財務省)の約24%にあたる規模で、円換算では約49.6兆円(1ドル=159.68円、注6)です。前週差は+11.3億ドル(+0.4%)と、前週(+18.4億ドル)に続く2週連続の増加になりました。5月中旬から続いた13週累計の縮小幅は-80.6億ドルで、前号時点の-114.7億ドルから34億ドル縮まっています。

定点観測する10銘柄です。合計でドル建て全体の92.5%を占めます(注3)。
| 銘柄(発行体・運営) | 残高(億ドル) | 前週差(百万ドル) | 前週比 |
|---|---|---|---|
| USDT(Tether) | 1,835 | +269 | +0.15% |
| USDC(Circle) | 740 | +371 | +0.50% |
| USDS(Sky) | 67 | +21 | +0.32% |
| DAI(Sky、旧MakerDAO) | 48 | +4 | +0.08% |
| USD1(World Liberty Financial) | 42 | +180 | +4.49% |
| USDe(Ethena) | 41 | -11 | -0.27% |
| USDG(Paxos系) | 33 | -62 | -1.85% |
| PYUSD(PayPal) | 28 | -103 | -3.56% |
| RLUSD(Ripple) | 24 | +296 | +14.26% |
| USDD(Tron系) | 15 | 0 | -0.02% |
なおUSDSは、集計元のDefiLlamaが過去の系列を改定したため、前号に掲載した残高(63.6億ドル)とは接続しません(注3)。
今週の前週差+11.3億ドルは、増加した銘柄の合計+17.6億ドルと、減少した銘柄の合計-6.3億ドルの差引です(注3)。増加側はUSDC(+3.7億ドル)、RLUSD(+3.0億ドル)、USDT(+2.7億ドル)、BUIDL(+2.1億ドル)、USDtb(+2.0億ドル)、USD1(+1.8億ドル)と、上位が比較的小さな差で並びました。取引需要の強かった前週(USDC単体で+17.3億ドル)と異なり、機関投資家向けの使い道を持つ中位の銘柄が増加側に目立つ構成です。減少側の最大はSolana上のUSX(Solstice、-1.5億ドル、-38.2%)で、USYC(-1.5億ドル、-5.1%)、PYUSD(-1.0億ドル、-3.6%)が続きます。
RLUSDは23.7億ドル(+14.3%)となり、前週の+21.0%に続く2桁の増加率でした。2週間の合計では+6.6億ドルです。チェーン別ではEthereum上で+2.4億ドル、発行元の台帳であるXRP Ledger上で+0.5億ドルと、増加の中心はEthereum上にあります。増加は週の後半に集中しており、前週のRLUSD建て融資ファンドの組成報道(8/21)を挟んで、発行規模の拡大が2週続いています。
BUIDL(BlackRockのトークン化ファンド。利回りを分配で還元する型、注1)は27.9億ドル(+7.9%)で、増加分の大半はAptos上(+1.5億ドル)です。Ethenaが発行するUSDtbは5.3億ドル(+58.7%)となりましたが、増加率の高さは母数の小ささによるもので、金額では+2.0億ドルです。増加は対象週の前半にEthereum上で集中して起きています。USDtbは5月末には11.0億ドルの残高があり、6月の大幅な減少からの回復の途上にあります(注4)。USD1は毎日増加して41.9億ドル(+4.5%)となりました。発行元は対象週にCanton Networkへのネイティブ発行を発表しており、詳細はセクション3のとおりです。

直近13週の純減は80.6億ドルです。銘柄別では、USDT(-50.6億ドル)、USDS(-21.8億ドル)、USDC(-18.8億ドル)の3銘柄で計91.2億ドルの減少となり、USDGO(+9.3億ドル)、USDG(+7.3億ドル)、RLUSD(+6.3億ドル)などの増加が一部を打ち消しました(注4)。前号で観測点とした「USDT・USDCの増加への反転が続くか」については、今週も両銘柄が増加側にあり、反転は2週続いています。

チェーン別では、Ethereum(+11.0億ドル、+0.7%)とTron(+4.5億ドル、+0.5%)が増加側の中心です(注3)。EthereumはUSDCとRLUSD、TronはUSDTの増加によるものです。Arbitrum(+1.1億ドル)とPlasma(+1.1億ドル、+11.3%)が続きます。減少側はSolana(-2.1億ドル。USDCの-3.9億ドルが主因)、BSC(-1.7億ドル)、Ink(-1.2億ドル、-39.4%)です。Hyperliquid L1は68.7億ドルとチェーン別で5番目の規模のまま、今週はほぼ横ばい(+0.1億ドル)でした(ブリッジ重複を含む参考値、注3)。この内訳は姉妹レポートの週刊Hyperliquidが毎週観測しています。

2-2. USDC|Ethereum上で9億ドル増、Solana上は3週続けて前週と逆方向
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