クリプト史上初のヴァンパイアアタックを仕掛けたSushiSwapは、Uniswapを刺激し、UNIの発売に追い込んだ。Uniswapは、25万人のユーザーに供給量の15%をエアドロップし、最低400UNIのエアドロップの総額は今日で3,600ドル相当となっている。この件でUniswapのエアドロップは、トークンの市場進出のスタンダードを確立した。
最良の状況では、エアドロップはプロトコルの分散化を促し、初期ユーザーに報酬を与え、インセンティブを調整し、コミュニティを強固にする。しかし、最悪の場合、エアドロップはユーザーベースを疎外し、これまで積み上げた勢いを鈍らせ、コミュニティ内の議論を悪化させ、シビルによって大量の価値を失うリスクがある。
エアドロップはますます厳しく精査され、以前ほど高く評価されることは少なくなっている。権利を主張するユーザーと、そのニーズに応えられないプロジェクトチームが、両極端の立場に立たされている現在、エアドロップはユーザーとプロトコルの間でPvPのような対立関係を生んでおり多くの人々がエアドロップが依然として有効な手段であるか疑問を抱いている。このレポートでは、最近のエアドロップ事例を検討し、エアドロップ前後のプロトコルの健全性を分析し、トークンの市場進出に際する課題への解決策を議論する。
エアドロップの熱狂
UNIのエアドロップ以来、dYdX、ENS、Jito、Arbitrumなど、多くの注目を集めるエアドロップが行われている。この戦略は、多くのプロジェクトにとって資金調達やユーザー獲得の成功につながり、ユーザーは、新しいプロジェクトから将来のエアドロップを期待し始め、プロジェクト側は『エアドロップはユーザーに創造された価値の一部を還元する』と述べることで、この期待を維持してきた。
ユーザーに価値を還元することは、プロジェクトの成功を左右する要因である流動性と注目を集めるために、特に賢明なインセンティブだった。エアドロップは、プロジェクトが初期にトークン供給を多くのユーザーに分散させるのに役立ち、ガバナンスの分散化も促進したのだ。将来のエアドロップへの期待だけで、degenたちは確立されたプロトコルからリスクの高い未検証のプロトコルに注意と流動性を移すこともしばしばあった。
しかし、すべてのエアドロップが同様に成功するわけではない。インターネットコンピューターやAPEコインなど、一部の銘柄はエアドロップ後に価格が大幅に下落している。一方、BONK(280倍)、TIA(2.5倍)、UNI(2.9倍)などのエアドロップは、ローンチ時の評価額の数倍で取引されている。

トップ10のエアドロップのうち4つは、それぞれ10億ドル以上を初期ユーザーやコミュニティメンバーに配布した。また、dYdXのエアドロップはローンチ時に約8億ドルの価値があり、取引高が10万ドルを超えるユーザーには6万ドル相当のエアドロップが提供された。
UNIのエアドロップは、その後のすべてのエアドロップを凌駕しピーク時には64億ドルの価値を持っていた。更にクリプト業界史上最も大きかった50個のエアドロップは、総額266億ドル以上の価値を配布しており、この巨額の報酬は、システムを悪用しようとする巧妙なプレーヤーを引き寄せる機会ともなっている。

これにより、新しいクリプトユーザーの層であるエアドロップファーマーが誕生した。エアドロップファーミングは非常に収益性が高く、これらのプログラムに関連するリスクは通常、最小限にとどまる。
エアドロップファーマーは、以下の簡単なプロセスに従う:
- プラットフォームを探索する
- エアドロップの配分がどのように計算されるかを特定する(例:取引回数、取引量、流動性のロックなど)
- プロトコルにほとんど付加価値をもたらさない取引を行い、その結果、上位にランク付けされる
- これを複数のウォレットにわたって繰り返す
クリプト業界における注目を集めるプロトコルのローンチは、今やシビルやボットによる非自然な活動と同義となっており、初期のエアドロップされたトークン供給の大部分を獲得するために行われるものだ。エアドロップファーミングは、今や業界内の小さなサブセクターに発展しており、エアドロップ志向のCTインフルエンサー、キャンペーンプラットフォーム、エアドロップファーミングアプリケーション、そしてファーマー自身が存在している。
このファーミング活動は、アプリケーションのパフォーマンスやトラクション指標に大きな影響を与えており、このような活動に対抗するために、エアドロップの基準はUNI以来大幅に進化している。プロトコルやアプリケーションチームはこの行動を認識し、今では将来のエアドロップやポイントプログラムの約束を通じてこのようなユーザーに対する、対ファーミング活動を開始している。
エアドロップデザインの進化

エアドロップは、当初、ユーザーの過去の行動(dYdXでの取引量、ENSドメインの登録など)に基づいて報酬を与える形で始まった。しかし現在では、多くのエアドロッププログラムはプロトコルチームがユーザーの行動をどのように評価し、それに応じてトークンを配分るかを決定するという包括的なポイントプログラムに従っている。
例えば、UNIのエアドロップは最初は各スワッパーに対して一律の報酬(400トークン)を与える形でスタートした。その後、階層化されたエアドロップが登場し、プロトコルはユーザーを階層別に分類し、各階層内でのエアドロップの量を一定にしていた(Jitoの例)。Optimismチームは、複数の基準に基づいたエアドロップを一般化し、基準を満たすユーザーにはそれぞれの基準に応じて追加のトークンが支給される仕組みを導入した。
この手法は、ArbitrumやzkSyncなど多くのプロトコルで採用されている。
また、現在は多くのプロジェクトチームがエアドロップ戦略として線形配分を利用しており、EthenaやKaminoはその最近の例である。
過去1年間に注目を集めたもう一つのトレンドは、プロトコルの直接のユーザーではないが、プロジェクトの可視性を高めるのに役立つ強力なクリプトコミュニティにトークンをエアドロップするというものだ。Milady、Pudgy Penguins、MadLadsは、この1年でいくつか注目されるエアドロップを受け、その中にはCelestia、Ethenaなどが含まれている。
LayerZero、Wormhole、zkSync。筆者の意見では、このトレンドはBonkエアドロップの成功によってさらに人気が高まったと考えられる。Bonkエアドロップは、Solanaエコシステムの多くのコミュニティにトークンを配布し、大きな反響を呼んだ。
この記事の残りでは、エアドロップ後にプロトコルの利用方法がどのように変化するかについてさらに詳しく掘り下げ、ユーザーの行動や有機的なトラクションを理解するための新しい手法を提供していく。この新しいアプローチにより、エコシステムのユーザーや投資家は、真の利用状況をより正確に測定し、それを基に流動的な投資プロセスを改善するためのツールキットを手に入れることができるだろう。
LayerZero
LayerZeroは、ブロックチェーンを接続し、開発者がシームレスなOmuni Chainトークンやアプリケーションを構築できる相互運用性プロトコルだ。LayerZeroプロトコルで最も人気のあるアプリケーションは、1つのチェーンから別のチェーンへ資産を橋渡しする機能を提供している。
もしこれらの巨大なクラスターについて知らなければ、プロトコルの無機的な使用を特定するための最大のキャンペーンを見逃しているも同然である。
LayerZeroは最近、以下の2つの段階で行われたシビル識別キャンペーンを終了した:
- 自己報告と初期特定
- シビルクラスターを特定するためのオープンコミュニティバウンティ
これらの2つの段階でエアドロップファーミング活動を特定し排除したにもかかわらず、多くのシビルウォレットが審査を通過し、わずかに増加した報酬を受け取っている。エアドロップのスナップショットを発表してから1週間後、主要なdAppsの活動は著しく低下し、少なくとも全体で70%のWoW(週次ベース)の減少が見られた。

LayerZeroチームがシビルファーミングdAppsと見なしているアプリケーション
彼らのブログ投稿でエアドロップの資格とシビル検出について説明している。チームは、Merkly、L2Pass、L2Marathonなどのアプリケーションと密接にやり取りしているウォレット(低価値NFTをチェーン間で循環させるなどの取引を行うアプリ)は、おそらくシビルウォレットである可能性が高いと記述している。

これらのdAppsの月間利用統計は、スナップショット日以降に急激な減少を示している。LayerZeroチームは、これらのアプリから発信される多くのトランザクションをシビル駆動と正しく分類しているが、活動の大幅な減少はすべてのLayerZeroベースのアプリケーションに影響を与えている。

Stargateへのメッセージ数は、LayerZeroプロトコルの主力アプリケーションであるStargateのスナップショット発表後の翌月に70%減少し、シビル中心だとラベル付けされたアプリケーションでは82〜86%減少した。すべてのLayerZeroアプリケーション全体でボリュームが急速に減少した理由は以下の2つである。
- すべてのLayerZeroアプリケーション(Stargateなどのアプリケーションを含む)の活動の大部分がエアドロップファーミングによって推進されていた
- エアドロップファーマーが、今後のエアドロップを狙ってdeBridgeなど他のブリッジアプリケーションに移行し、取引量の急激な減少を引き起こしていた

LayerZeroは、5月19日(422日後)に初めて、サポートされている80のチェーン全体で4万件未満のメッセージを中継する日に到達した。Polygon、BNBチェーン、Gnosis Chain、Celoなどのチェーンは、ユーザーが支払う低い取引手数料が理由でエアドロップファーマーに利用されていた可能性が高い。これらの低コストチェーンから発信されるアクティビティはピーク時から93.1%減少し、スナップショット前の前月比で71.2%減少している。これらのチェーンを通じてエアドロップファーマーがLayerZeroのスマートコントラクトとやり取りし、エアドロップの基準を満たそうとしていたと考えられる。
しかし、メッセージの伝達量の減少だけを見ると不完全な理解にとどまる。比較的高いパフォーマンスをベンチマークすると、すべてのブリッジを通じたネットブリッジング量が4月の101億ドルから5月には83億ドルに減少しており、これは17.8%の減少を示している。同時にLayerZeroを活用したStargateのブリッジング量は16.7億ドルから4.07億ドルに減少し、取引量が75%も減少したことが分かる。

この出来事はStargateに限ったものではなくほとんどのブリッジで見られる再発テーマである。一般的なメッセージのカテゴリーや相互運用性ソリューションにおけるもう一つの主要プロトコルであるWormholeも、最近トークンをエアドロップした後に利用が急激に減少している。Wormholeプロトコルによって可能になった代表的なブリッジであるPortalでも、ブリッジ総量が減少している。

これらの主要なエアドロップの発表後、5月にはLayerZeroとWormholeの主力ブリッジの組み合わせの4倍の取引量を記録したAcrossに、多くのブリッジ関連の活動が移行した。5月末にStargate V2がローンチされると、Stargateは取引量を回復し、6月27日には徐々に最先端のブリッジとしてのポジションでAcrossを逆転した。

約2年前のローンチ以来、LayerZeroには約600万のユニークなウォレットアドレスが関わっている。2024年6月19日、チームはユーザートークンの配分と128万のウォレットにトークンをエアドロップする計画を発表した。その他の470万以上のウォレットは、低い活動、自己申告、またはサイビルとして第三者により識別されたため、エアドロップの対象外となった。これにより、LayerZeroチーム自体が、やりとりするウォレットの78%を有機的でないまたは非アクティブなユーザーと見なしていると解釈できる。
レイヤー2のエアドロップ
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