KDDI社のWeb3事業を多角的に支援 ー 海外コラボの創出からバリデータ連携、イベントまで広がる協業のかたち
2025.09.09
- Web3マーケティング
- オフラインイベント/セミナー支援
- 日本企業の海外進出支援
- バリデータ

執筆者
株式会社 Pacific Meta

KDDI株式会社(以下、KDDI)は、「αU wallet」「αU market」などを通じて、いち早くブロックチェーンを活用した事業に取り組んできました。
NFTマーケットプレイスやウォレットといったエンドユーザー向けサービスに加え、ブロックチェーンの基盤を支える「バリデータ事業」にも参入し、着実に領域を広げてきました。
そうした挑戦を進めるなかで、Pacific Metaでは、NFTマーケットでの海外コラボレーション、バリデータ参画支援、イベント登壇支援など、多角的に伴走させていただいております。
今回は、KDDIにおいて Web3事業を推進する
- 笠井 道彦さん(オープンイノベーション推進本部 ビジネス共創推進室3G グループリーダー)
- 関口 直紀さん(オープンイノベーション推進本部 ビジネス共創推進室3G コアスタッフ)
- 畠 雅和さん(オープンイノベーション推進本部 ビジネス共創推進室3G コアスタッフ)
の3名に、Pacific Metaとの協働で得られた成果や今後の展望について伺いました。
※インタビューは2025年7月に実施されたものです。所属部署などは当時の情報です。
目次
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「αU」を軸に広がる、KDDIのWeb3への挑戦
— まずは、貴社のWeb3事業の歩みについて教えてください。
笠井
私たちはもともとスタートアップ向けの投資ファンドを持ち、10年以上にわたり投資および、スタートアップと共同で新規事業を立ち上げてきました。2010年前後にはトークンを活用して資金調達を行うスタートアップが増え、私たちもその動きに対応すべくクリプト領域の検討を始めました。
また同時期に、メタバース領域でのサービスも展開しており、そこでVTuberの発信や投げ銭によって新しい経済圏が生まれる様子を目の当たりにしました。DAOやトークンが活用される姿を通じて、クリエイター中心のコミュニティとトークン技術の相性の良さを実感したことも、Web3に取り組む契機となりました。
こうした2つの流れが重なり、ブロックチェーン資産を管理する「ウォレット」の重要性に着目しました。そこでまず「αU wallet」を立ち上げ、さらに分かりやすいユースケースとしてNFTを扱う「αU market」を展開しました。当時NFTはブームでもあり、一般の方にも直感的に理解しやすい入り口になると考えたからです。

— 貴社がWeb3事業を進めるにあたり、Pacific Metaとの協業はどのように始まったのでしょうか。
笠井
Pacific Metaさんとの出会いは偶然でした。私が上海のシェアオフィスを利用していた際に、当時同じく上海を拠点としていた邵さんとお会いしたのが最初のきっかけです。その後しばらくして、私たちがWeb3事業を本格的に検討していく中で改めてご相談する機会があり、協業が始まりました。
当時は国内の有力なWeb3プロジェクトがまだ少なく、海外とのネットワークを持つパートナーが必要でした。そうした背景もあり、Pacific Metaさんの知見やつながりが心強いと感じました。
「いつかSTEPNと」――念願のコラボが実現
— 当時、Web3に関するプロジェクトを進める中で、どのような課題に直面されていたのでしょうか。
笠井
Web3事業を推進するにあたっては、「αU market」のようなプラットフォームにどのプロジェクトやサービスを迎えるかが極めて重要です。しかし、先進的でグローバルに評価されているプロジェクトの多くは海外発であり、私たちだけではなかなか接点を持てないものも多くありました。さらにWeb3は分散的な組織も多く、従来のネットワークではアクセスが難しいという課題もありました。
畠
実はチーム内では以前から「いつか(業界を代表する海外発プロジェクトである)STEPNとコラボできたらいいよね」と話していました。ただ接点がなかったため、実現には至らなかったんです。それが今回、Pacific Metaさんに間に入っていただいたことで、念願のコラボレーションが形になりました。私たちにとって非常に大きな成果でした。
また、海外プロジェクトと話す機会はこれまでもありましたが、言語の壁もネックでした。英語での交渉に時間がかかったり、後回しになってしまうことも少なくなかったんです。
Pacific Metaさんに入っていただいたことで、レスポンスも早く意思疎通もスムーズになりました。
STEPNとのコラボは、単に「つながり」をつくっていただいたというだけでなく、コミュニケーション面での橋渡しがあったからこそ実現できたのだと思います。

笠井
私たちの強みを海外に伝えきれず、逆に海外プロジェクトのニーズも十分に理解しきれない―そうした「あと一歩」を踏み出せない状況を、Pacific Metaさんが補ってくれました。双方の強みを理解しながら調整いただいたことで、具体的なコラボレーションにつなげられたと感じています。
また、Web3の新しいユースケースやトレンドは海外から生まれることが非常に多いと感じています。会社としてもグローバル展開は重要な流れであり、事業部の方向性とも重なっています。
私たち自身としては、海外に向けた発信と、海外で生まれた新しい動きを日本のお客さまに届ける「輸入」の両輪を意識しながら事業を進めていきたいですね。
海外接点づくりからバリデータ参画まで、支援の全貌
— そのような事業展開をされる中で、Pacific Metaからの具体的な支援内容についてお聞かせください。
笠井・関口・畠
私たちが受けている支援は、大きく3つに分けられます。
まず1つ目は「αU market」に関する支援です。NFTマーケットプレイスの戦略策定やラインナップの検討を共に進めていただきました。特に印象的だったのは、海外の有力プロジェクトを誘致していただいたことです。その代表例が「STEPN × INFOBAR」のコラボレーションで、KDDIのIPである「INFOBAR」デザインを「STEPN」のスニーカーのビジュアルに取り入れたNFTを限定販売し、完売という成果につながりました。
2つ目は、KDDIのバリデータ事業に関する支援です。バリデータはブロックチェーンの取引を監視・承認する役割を担い、その対価として暗号資産の報酬を得る仕組みです。Pacific Metaさんからは、参画先プロジェクトの事業性評価や、経済条件・将来性を踏まえた海外案件のご提案をいただきました。
実は、逆にPacific MetaさんからKDDIにバリデータ業務をご依頼いただいたことも印象深いです。私たちの強みであるインフラとセキュリティを活用いただき、バリデータ運営の一部を支援する形で協業しました。このように、単なる受発注を超えて、双方向に価値を提供し合える関係を築けたのは大きな成果だったと感じています。

そしてPacific Metaから受けた支援の3つ目が、イベントに関するものです。これまでに「αU market」の2周年記念イベントと、地域創生やNFT、ステーブルコインをテーマにしたWeb3勉強会の2回をご一緒しました。
2周年イベントでは、Pacific Metaの金山さんに複数のブロックチェーンゲームプロジェクトを集めたパネルディスカッションのモデレーターを務めていただきました。幅広い企画を詰め込んだ中で手が回り切らない部分を力強くサポートいただき、まるでKDDIスタッフの一員かのように会場を盛り上げてくださったのは大変心強かったです。
勉強会では、Pacific Metaさんのネットワークを通じて多様な企業にご参加いただき、新しいつながりが生まれるなど、非常に有意義な機会になりました。

最大の収穫は、未来につながる実績、そして自信。
— Pacific Metaからのご支援の中で得られた最大の成果をお聞かせください。
笠井
単なる依頼・対応という形ではなく、ディスカッションを通じて一緒に事業を検討できたことが大きなポイントでした。その結果、私たちの「考える幅」と「できる幅」が大きく広がりました。自社だけで施策を検討しているとどうしても視野が狭まりがちですが、Pacific Metaさんとの協働を通じて、これまで接点のなかった海外プロジェクトや新しい案件に触れることができました。その結果、海外とのコラボを実現でき、この分野で「自分たちもやれる」という自信や実感を持てたことが最大の成果だと思います。
畠
私にとっての一番の成果はやはりSTEPNとのコラボです。NFTを企画・販売し、200点が完売したのはインパクトのある実績でしたし、KDDIの代表的なIPの一つである「INFOBAR」と組み合わせて発信できたことは業界内での反響も大きく、さまざまな方から声をかけていただくきっかけにもなりました。その裏でPacific Metaの金山さんが泥臭く営業活動をしてくださったのも印象的で、普通のコンサルタントは担ってくれないような部分まで一緒に走っていただいたことに感謝しています。
関口
私の担当領域では、バリデータ事業のご支援が大きかったです。例えば、Pacific Metaさんとの取り組みを通じて「Bifrost」というプロジェクトにバリデータとして参画できましたが、数ある海外プロジェクトの中から信頼できる案件を見極めるのは容易ではありません。ご紹介いただいたことで、信頼性が高く、かつビジネスとしても良い条件の案件に参画できました。
さらにノード運用以外でも連携が広がり、新たな事業機会にもつながっています。また、Pacific Metaさん自身もノード運営に課題を抱えられていたため、私たちがインフラ面で支える関係も生まれ、双方にとって有意義な取り組みになったと感じています。
松本(Pacific Meta)
バリデータには2つの要件があります。ひとつは「常にインターネットに繋がり続けること」、もうひとつは「停電すら許されない安定性」です。KDDI様の強固なデータセンターとインフラによって、私たちは安心してノードを運用できており、これはブロックチェーンのセキュリティにも直結する重要な役割です。
現在、私たちはKDDIさんと共に「Bifrost」にバリデータとして参画していますが、先日プロジェクトCEOから「Pacific MetaとKDDIは非常に信頼できるバリデータだ」と直接評価をいただきました。こうしてプロジェクト側から高い評価をいただけているのも、KDDIさんの強固なインフラと信頼性があってこそだと思います。

— Pacific Metaのチームと協働する中で、どういった印象を持たれたのかもお伺いしてもよろしいでしょうか?
笠井
第一印象は「とても仲の良いチーム」だということです。メンバー一人ひとりが個性的で、聞いたら忘れられないようなバックグラウンドを持っている。その多様性が幅広い事業展開につながっていると感じます。雰囲気も明るく、スタートアップ投資の経験から見ても「応援したくなる」チームですね。
関口
コミュニケーションが活発で、仕事以外の活動も一緒に楽しんでいる様子が伝わってきます。その延長で新しい領域も積極的に探索していて、「まだ形になってはいませんが、今こんなことを考えているんですよ」と未来志向の話をよくしてくれる。そうした姿勢にワクワクしますし、一緒に新しい挑戦を広げていけると感じています。
畠
単なる受発注の関係を超えて、気軽に話せるパートナーだと思います。親しみやすさがありながら、仕事では必ず成果を出そうと真剣に取り組んでくれる。

— 今後、Pacific Metaに期待することを挙げるとしたらどんなことがありますか?
笠井
Web3の分野は、まだ成功モデルが確立されていない分、無数の可能性があると思います。国内外の様々な地域からユニークな動きが生まれていますが、自社だけで情報収集をするには限界があります。Pacific Metaさんと一緒に領域を広げ、日本で事業化する際にどう組み合わせるかを検討できれば、業界全体の発展にもつながると思います。
関口
私の期待は、これまで以上に海外プロジェクトとの連携を深めていくことです。今後はプロジェクトが描くビジョンや構想といったさらに深い部分にまで一緒に関わり、協業していけると面白いと感じています。
畠
私も海外プロジェクトとの協業はぜひ拡大させたいと思っています。加えて、両社で生み出したプロジェクトを逆に海外に展開することにもチャレンジしたいです。Pacific Metaさんには海外ネットワークという強みがあるので、NFTやバリデータの取り組みももっと広げられると思います。可能性は無限にあるので、ぜひ長く一緒に挑戦していきたいですね。

KDDIが描く、Web3事業の未来
— 貴社の今後のWeb3事業の展望についてお聞かせください。
笠井
これまではウォレットやNFTといった、ブロックチェーンに馴染みのない方でも使いやすいユースケースを中心に展開してきました。今後も企業やクリエイターの皆さまと連携しながら、より多くのお客さまにこうしたサービスを届けていきたいと考えています。
さらに今後は、暗号資産やトークンを活用した新しい金融の形にも挑戦したいと思っています。Web3の面白さの一つは、これらを活用することで、これまでにない金融の形を生み出せる点にあると思います。海外の先行事例を参考にしつつ、日本の法律や文化に合った形で、一般の方々にも安心して使っていただける仕組みを整え、より身近な存在にしていきたい。そのためにも、新しいチャレンジを続けていきたいと考えています。

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このプロジェクトの担当コンサルタント
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Co-founder, Head of Global Business Development
Kousei Sho
東京大学経済学部卒。ByteDance本社でグローバルブランディングを担当後、BCG Digital Ventures及びユニチャームのジョイントベンチャーにて、BDマネージャーを務める。Pacific Meta共同創業後、現在は日本から海外への事業開発を統括。
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Executive Officer, Business Development
Shohei Matsumoto
トークン・ファイナンスコンサルタント。事業開発コンサルタント。Web3スタートアップでオンチェーンの分析ツール開発に携わった後、Web3に特化したファンドを持つSkyland Venturesでキャピタリストとして投資を行う。現在はPacific Metaにて新規事業開発を行う。
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Marketing, Consultant
Ryoei Kaneyama
Pacific Metaでは、プロモーション責任者として世界30カ国以上へのプロモーションを実施。また、WebXや東京ゲームショウなどでのサイドイベントを複数統括。過去にはフォロワー1.5万人以上のWeb3特化Instagramアカウントを運用。
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Business Development Lead
Andy Hung
プライム上場企業にて海外企画担当を経て、M&Aアドバイザーを務めたのち、主にインバウンド案件を支援。 Pacific Meta参画後は、英語・中国語・日本語を駆使したグローバルコミュニケーションを強みに、国内外クライアントの成長を支援する。