【Web3の時代到来!?】トランプ氏勝利!暗号資産業界への好影響をグローバルWeb3ファームが解説
2024.11.06
- レポート
執筆者
Pacific Meta編集部
米国大統領選挙の開票が続く中、共和党のドナルド・トランプ氏が事実上の勝利を確実にしました。4年ぶりの返り咲きとなるトランプ大統領の再任は、米国内外に多大な影響をもたらすと見られており、その政策の方向性について各界の関心が高まっています。
本レポートでは、暗号資産市場に焦点を当て、トランプ大統領の就任が日米のマーケットに与える影響を掘り下げていきます。前回の任期中に暗号資産に対する規制強化を進めたトランプ氏が、今回の就任でどのような姿勢を示し、新たな市場環境を形成していくのか、その展望についても考察します。
1. 選挙結果と政治的影響
現在、米国で大統領選挙の集計が行われていますが、共和党候補であるドナルド・トランプ氏の勝利が、ほぼ確実な状況です。トランプ氏は、2017年1月〜2021年1月にも大統領を務めていましたが、今回の勝利により4年の期間を空けて2度目の大統領就任となります。
トランプ大統領の政策や人物像など注目すべきポイントは多岐にわたりますが、今回は、トランプ大統領就任により米国や国際的な暗号資産市場がどうなっていくかにフォーカスして、予測と考察を行っていきたいと思います。
結論から言うと、トランプ大統領の就任は米国の暗号資産市場にとってポジティブな影響を与えることが期待されています。
トランプ大統領は前回の大統領任期中、暗号資産に対して懐疑的な見方を示していました。しかし今回の大統領選挙ではその姿勢を一転し、たびたびビットコインや暗号資産に対してフレンドリーな発言を繰り返してきました。発言だけでなく、ビットコインカンファレンスに登壇したり、選挙資金として暗号資産での寄付を受け付けることを表明したことからも、トランプ大統領の本気度が見て取れます。
このような最近のトランプ大統領の姿勢を受けて、現在の米国の不明瞭な規制体制を見直す大きな転換になるのではないかと期待されています。【参考記事】
2. 政策面や暗号資産規制でのポジティブな影響
トランプ大統領は大統領選期間中から、暗号資産に対するポジティブな発言を繰り返してきましたが、それは政策面にも表されています。その発言の内容を大きく分けると「ビットコインを国家戦略に組み込むこと」と「暗号資産に対する規制緩和」です。
米国の暗号資産戦略とビットコイン超大国への道
トランプ大統領は、7月27日にナッシュビルで開催されたビットコイン・カンファレンスに登壇し、新政権では米国を世界の暗号資産市場の中心地とし、ビットコイン超大国を目指すことへの展望を発表しました。これには、米国の金融市場において新たな国際的競争力を獲得しようという狙いがあります。具体的には、トランプ政権下においてビットコインを国家戦略準備金に組み込み、経済政策の柱として活用していくという計画です。
また、共和党のシンシア・ルミス上院議員は、同カンファレンスで、米国政府が過去の犯罪捜査の過程で、差し押さえによって手に入れた20万BTCを米連邦準備制度の過剰準備金に変換できるように法律を整備し、将来的に100万BTC(供給量の約5%)に到達するまで備蓄を増やそうとしていると述べました。【参考記事】
ゲイリー・ゲンスラー現SEC委員長の解雇
米国では、暗号資産に対する法整備が遅れており、現行の証券法の中で暗号資産を規定し取り締まろうとしています。しかし、実際には暗号資産を全て証券と同等の規制の枠組みで取り締まることが難しいため、長年暗号資産業界からは曖昧な規制基準に対して不満の声があります。
その中心にいるのが、米証券取引委員会(SEC)という政府から独立した機関で委員長を務めるゲイリー・ゲンスラー氏です。ゲンスラー氏率いるSECは、これまで様々な暗号資産プロジェクトや関連企業に対して、対話を無視した強行的な規制を行なってきたことで、暗号資産推進派から度々否定的な声が上がる人物として有名です。
トランプ大統領は、前述したビットコイン・カンファレンスで「ゲンスラー委員長を初日に解任し、ビットコインと仮想通貨の大統領諮問委員会を組織する」と民衆の前で語っています。【参考記事】
これにより、暗号資産に対する規制の緩和と透明な市場環境の実現が期待されています。
さらに、フロリダ州選出の共和党下院議員バイロン・ドナルドは、暗号資産ベンチャーキャピタル会社ブロックタワーの投資家向け説明会で講演した際に、トランプ大統領との私的な会話があったことを明かしました。ドナルド氏は、SECの暗号資産規制の姿勢を強く批判した上で、「トランプ大統領は、大掃除をする準備ができている」と語り、トランプ氏からゲンスラー委員長の解雇を検討している旨の話を聞いたことを示唆したのです。【参考記事】
3. 暗号資産マーケットにもたらす影響
トランプ大統領が再び就任した場合、暗号資産市場にはポジティブな影響が期待されています。例えば、著名な幾つかの機関投資家は以下のようなビットコインの価格予想を出しています。
- スタンダードチャータード銀行:2024年末までにビットコインが12万5000ドルに達する【参考記事】
- バーンスタイン社:ビットコインは第4四半期で9万ドルまで上昇【参考記事】
- ヴァンエック社のアナリスト:2024年末までにビットコインが10万ドル【参考記事】
これらの予測に共通するのは、トランプ政権の規制緩和への期待が背景にある点です。また、規制リスクの後退は、投資家心理を改善し、大口投資家の参入を促すことが予想されます。
総じて、トランプ政権の再来は、暗号資産市場の成長を加速させ、新たな市場拡大のフェーズを迎える重要な契機になるかもしれません。
現時点の大型銘柄の動き(11月6日16時時点)
日本時間の6日午前からビットコインは大きく価格上昇を始め、12時ごろには一時7万5000ドルに達しATH(All Time High)を記録しました。トランプ大統領就任が決定的となった6日16時現在のビットコイン価格は、若干の調整が入り7万4400ドル(24時間比8.4%上昇)に達しています。イーサリアムは、やや低調な動きですが、こちらも価格上昇をしており現在2580ドル(24時間比 6.6%上昇)となっています。
その他、特に注目するべきはミームコインの値動きです。上位の銘柄では、ドージコインが24時間比 20.6%上昇、シバコインが24時間比 8.4%上昇、ペペコインが24時間比16.1 %上昇、ドッグウィズハットが24時間比 18.7%上昇といずれも大きく上昇をしています。それ以外のカテゴリーでも24時間比10%以上の上昇をしているアルトコインが数多くあり、暗号資産業界にとってこの大統領選の結果がポジティブに受け止められていることが伺えます。
もちろんこのトレンドがどこまで続くかはわかりません。トランプ大統領の今後の発言や地政学リスクで市況が変わってしまう可能性もあるため、この値動きがどのように変化するかは注視するべきでしょう。
4. 今後の展望
トランプ大統領の再任により、米国の暗号資産に対する変化への期待感は高まっています。このような米国の政策転換が、金融やテクノロジー産業への国際的な影響を与えたことは過去にも見られました。
また、米国の規制緩和が進めば、前例主義的な日本政府や各省庁でも新しい規制の見直しや市場ルールの導入が進む可能性は十分考えられます。
特に、DeFi領域の規制は大きな進展があるかもしれません。その背景には、トランプ一家が支援するDeFiプロジェクトワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial:WLFI)の存在です。WLFIは、現在の米国の基準ではSECの規制の対象になる可能性が報道されています。【参考記事】
しかし、トランプ氏が大統領に就任したことで、これまでの規制の枠組みが変化し、DeFiに対する規制緩和が進むことが期待されます。米国でDeFiが法律的に認められるような状況になると、日本でもDeFiに関する法案(ガバナンストークンの法的扱いなど)が積極的に議論されていく可能性は十分にあります。
総じて、トランプ大統領就任は、それは日本の規制にも大きな影響を与えるはずです。日本は、暗号資産業界の発展を促すと同時に、国際的に遅れを取らないための環境整備が急務となるでしょう。
注意:このコンテンツは、一般的な教育および情報提供を目的としており、資産、投資、金融商品の売買や保有の推奨や勧告と解釈、または依拠されるべきものではありません。また、財務、法務、税務のアドバイスを構成するものでもありません。
※画像はShutterstockのライセンス許諾により使用