【インタビュー】メタバースは果たして「終わった」のか?『The Sandbox』ファウンダーの答え/日本と紡ぐ未来
2024.12.26
- レポート
執筆者
Pacific Meta編集部
ビットコインの急騰、次々に登場する新しいプラットフォーム―。一寸先も未知数なWeb3業界。
Pacific Meta Researchでは、そんな業界のトップランナーへのインタビューを通じて、最新動向とリアルな声をお届けしていく。 今回は、ゲーム会社The Sandboxの共同創業者でCOOのセバスチャン・ボルジェ(Sebastien Borget)氏に話を聞くことができた。
「メタバース」という言葉は一時の流行に終わったのか?その答えを、ボルジェ氏がどのように描くのか。そして日本とWeb3、そしてメタバースの未来について、彼の視点から語ってもらった。
ボルジェ氏は、日本文化への深い愛情を持ち、私たち日本人にも共感できる部分が多い人物だ。実際に「カシオの時計やポーターのカバンを愛用している」というエピソードからも、日本の精緻な製品に対する深い敬意を感じる。そんな彼が語る、日本とメタバースの新たな可能性とは―
聞き手 株式会社Pacific Meta 共同創業者・事業開発部長 邵 鴻成
※本インタビューは2024年11月23日に実施されたものです。
目次
メタバースは果たして「終わった」のか?
— メタバースという概念は、まだ勢いを持っていると思いますか?
ボルジェ氏:
もちろん。私たちはそれを証明するために活動しています。 メタバースの話題を聞く機会は減ったかもしれませんが、かといってそれが衰退を意味するわけではありません。FortniteやRobloxといった企業も、引き続きメタバースに注力していることを発表しています。
私たちも積極的にクリエイターを支援したり、製品を高頻度でアップデートしたりしています。今度リリースするアルファ シーズン4ではさらに多くのブランドを招いています。
私たちが目指すメタバースは一過性のものではありません。私たちが作っているのは、リアルな体験を提供できる空間です。
例えば、The Sandboxではユーザーが自らコンテンツを創造し、より深い価値を生み出せるようになっています。メタバースというのは、その可能性を実現するためのツールに過ぎません。この仮想空間を、交流や創造、収益活動、教育の場として提供することが私たちの使命であり、それを着実に実現しています。
FortniteやRobloxが持つ1億人以上のユーザーには及びませんが、The Sandboxに50万人のプレイヤーが集まったというのは、私たちにとっては非常に意義のある成果です。
困難な市場環境の中でも着実に成長を遂げるThe Sandbox/2025年 Web3ゲーム業界に求められる姿勢とは
— 2024年はThe Sandboxにとってどんな年でしたか?
ボルジェ氏:
The Sandboxとしては素晴らしい一年でした。新たにローンチしたシーズン4では、ユニークプレイヤー数が50万人に達し、過去最高を記録しました。アップデートも好評で、土地販売も好成績を収め、トークンも安定しています。 近年、多くのプロジェクトが資金調達や投資家の確保に失敗し、人員削減やプロジェクトの終了を余儀なくされています。そんな中でも、The Sandboxのユーザーベースは600万ウォレットにまで成長しました。
— Web3ゲーム業界の現状や今後の展望を聞かせてください。
ボルジェ氏:
今年、業界全体としては成長したものの、各プロジェクトが独自のゲームエコシステムを持ち、独立して乱立している状態です。特定のプロジェクトが数百万人のユーザーを獲得したとしても、他での価値上昇にはつながっていない状況です。新しいプロジェクトは今一度コミュニティを築き直し、支持を集める必要があるでしょう。
— 昨今、ビットコインなどの価格上昇が目立ちますが、もしブルラン(市場の急騰)が起きた場合、The SandboxやWeb3ゲーム業界にはどのような影響があるとお考えですか?