CASIO社のWeb3事業のグローバル展開支援。戦略構築、コミュニティ運営を伴走しながら、海外大型プロジェクトとのコラボを実現

2024.09.13

  • Web3コンサルティング
  • 日本企業の海外進出支援

執筆者

株式会社 Pacific Meta

CASIO事例記事_サムネイル

カシオ計算機株式会社(以下「CASIO」)様は、40年もの歴史があるG-SHOCKブランドの新たな可能性を探るため、Web3技術やメタバースを活用した「VIRTUAL G-SHOCK」プロジェクトを2023年9月に公開されました。

CASIOとして、社内初のWeb3事業を本格化する中、グローバル展開とコミュニティ運営を強化する必要性があると感じたことから、Pacific Metaにご相談いただきました。

Pacifc Metaでは、2024年3月から現在に至るまで、海外プロジェクトとのコラボレーショングローバル展開コミュニティ運営など幅広くご支援をしております。

今回のインタビューでは、「カシオ計算機株式会社 時計マーケティング部 D2C・CRM企画室」の大林大祐室長、立崎祐輝リーダー、VIRTUAL G-SHOCK プロジェクトリーダーの佐藤一輝氏、にご参加いただき、Pacific Metaの支援で得られた成果や今後の展望について率直な感想を伺いました。

※インタビューは2024年8月20日に実施されたものです。
その後の進展により、一部情報が更新されています。

目次

ブランドの大きな節目に新たな体験を提供するために親和性の高いNFT事業へ

— まずは、「VIRTUAL G-SHOCK」について教えてください。

佐藤

「VIRTUAL G-SHOCK」プロジェクトは2023年9月に公開されたプロジェクトです。
きっかけはG-SHOCKが40周年を迎えたことでした。

G-SHOCKの今後を考えると、より若い世代や、これまでG-SHOCKに馴染みの薄かった層にアプローチする必要性を感じました。

佐藤一輝さん – カシオ計算機株式会社 時計マーケティング部 D2C・CRM企画室

そこで、新たな魅力ポイントを創出し、G-SHOCKとして新しい体験を提供することを目指しました。

具体的には、バーチャル領域、特にNFTやメタバースといった分野を中心に、新しいコンテンツやコミュニティの構築に焦点を当てています

— 新規事業を始める際に、様々な領域への進出を検討されたと思います。その中でNFTやメタバースといった分野を選択された理由をお聞かせください。

大林

プロジェクトが公開された2023年9月より前、実際にプロジェクトの構想が始まったのは2022年9月頃でした。

ちょうどその時期がNFTアートの全盛期であったことが、大きな要因の一つです。
G-SHOCKは、ファッション・スポーツ・ミュージック・アートという四つの要素がブランドを構成しています。

大林 大祐さん:カシオ計算機株式会社 時計マーケティング部 D2C・CRM企画室 室長

中でも特にアートは、長年に渡ってブランドとして取り組んできた領域であり、これまでの過去の経験を生かした展開がWeb3業界でもできるのではないかと考えました。

また、eスポーツなどの取り組みも並行して進めていたので、バーチャル領域も合わせて展開することで効率的に事業を進められると判断しました。

そこで、現在のチームのベースとなるプロジェクトチームを2022年9月頃にチームを発足させ、準備を進め、プロジェクト自体を公開したのが2023年9月という流れになります。

— 2023年9月にプロジェクトが発足されたとのことですが、その後のプロジェクトの発展や歩みについて教えていただけますでしょうか?

佐藤

先ほど申し上げた通り2023年の9月から始まって、最初はNFTを活用したコミュニティ作りに注力しました。

Discordでコミュニティを開設し、「Come Together and Create Anew」というビジョンのもと、G-SHOCK CREATOR PASSというSBT(会員権)を配布しました。

このクリエイターパスを通じて、これまでカシオ計算機という会社が長年育て上げてきたG-SHOCKというブランドをユーザーの皆さんと一緒に楽しんでいこうという想いの元、プロジェクトをスタートさせました。

その後、G-SHOCK CREATOR PASSのカラーデザインコンテストを開催したり、eスポーツを一緒に楽しむというような、ユーザーとの共創を推進するイベントを開催。

2023年12月には、未来の耐衝撃構造をバーチャル空間で表現したVIRTUAL G-SHOCK NFTを2種類販売するに至りました。

2024年に入ってからは、他のプロジェクトとのコラボレーションに重点を置いています
まさに今、私が着けているようなNFTのブルーチップである”Doodles”とコラボレーションをし、実際の腕時計とアバター用のデジタルアイテムを展開しました。

また、Astar zkEVM上の”Yoki Origins”とのコラボレーションでは、カシオの時計事業50周年をテーマにしたNFTを制作いたしました。

さらに、8月22日に発表した”STEPN GO”とのコラボレーションでは、時計をモチーフにしながらも、スニーカーという形を取り入れ、G-SHOCKの中でも「G-SQUAD」というスポーツラインを意識したスニーカー型NFTの販売を発表しました。

メタバースの分野では、アバターの腕が視認できるプラットフォームのVRChatを選び、2023年9月にG-SHOCK STOREをオープン。
このストアでは、G-SHOCKの時計をカスタマイズできる体験を提供しました。

さらに2023年12月には、”G-SHOCK THE RIDE”というG-SHOCKの耐衝撃性を体感できるアトラクションを公開しました。

トレンドをおさえてグローバルにコラボレーションを推進し、発信することの難しさに直面

— プロジェクト発足後、Pacific Metaが支援させていただく形になったと思います。その際にプロジェクトを進める中でどのような課題に直面されたのかについて教えてください。

佐藤

そうですね、まず一つは2024年に他のプロジェクトとのコラボレーションを進めていく中で、スピード感と、市場のトレンドを踏まえて進めていく必要がありました

私達がプロジェクト発足から持っていた軸がグローバルに展開していくことだったので、日本市場からではなく、最初からグローバルから抑えるところを考えていました。

この点で、Pacifc Metaの特にグローバルに強い点と、豊富なネットワークは非常に魅力的でした。Pacific Meta Partnersを見ても分かるように、国内外の繋がりが豊富にあります。

そのため、カシオとしてコラボレーションをしていく上で、「どうやったらうまくコラボレーションできるか、しっかりと実現まで持っていくか」という点ををしっかりと抑えた上でサポートいただけるんじゃないかなという点がありました。

加えて、コミュニティ運営やマーケティングの面でも課題を感じていました。

VIRTUAL G-SHOCKプロジェクトは、社内の横断プロジェクトとして立ち上がり、企画から始まってDiscordやXの運用までを様々な部署のメンバーが一気通貫で行う必要がありました

その中でもSNSやDiscordの運用だけでなく、プレスリリースの拡散やメディアへのアプローチなどのプロモーションも含めて、総合的に支援してくれるパートナーを探していました。

大林

課題という点では2023年にプロジェクトをローンチして、グローバルでやっていきましょうという中で課題に直面しました。

弊社の時計事業は世界中で展開しており、各エリアに拠点があります。

通常、その拠点が中心となって時計を販売していますが、Web3プロジェクトは世界中への一括配信が基本となるため、社内での調整が困難で非常に労力を要しました…。

本社から海外へ直接発信する前例がない中で、この新しい事業を進めなければならないという状況かつ、NFTという社内の中では未知なる分野での理解促進・共感醸成を行いながら、自社発行を行うということが難しいなっていう課題がありました。

日本発でグローバルに発信し、それをサポートしてくれる企業を探していたところ、Pacific Metaさんが期待に応えてくれそうだということで、お声がけさせていただきました。

戦略的にグローバルな発信を推進しつつ、STEPN GOとのコラボレーションを実現

— では具体的な支援内容についてお聞かせください。

立崎

私たちが受けている支援は大きく分けて3つの領域があります。

1つ目はグローバルを起点としたマーケティングです。

この分野では、辛川さん(Pacifc Meta 戦略コンサルティング担当)を中心に戦略を立てていただくところから始まり、それをどう実行に移していくかというフェーズまで、Pacific Metaさんに伴走いただいています。

立﨑 祐輝さん:カシオ計算機株式会社 時計マーケティング部 D2C・CRM企画室 リーダー

2つ目がそのコミュニティ運営の分野です。

こちらは山崎さん(Pacifc Meta コミュニティ運営担当)を中心に、DiscordやXなどのプラットフォームで、どのようなコミュニケーションを取るべきかを整理していただいています。

さらに、実際にそれを実行に移す際に、どういう文脈でコミュニケーションを取っていくべきかなど、細かい部分まで体系的にアドバイスをいただいています。

そして3つ目が、海外Web3プロジェクトとのコラボレーションを目的としたソーシング及び交渉代行です。 

邵さん(Pacifc Meta グローバルアライアンス担当)を中心に、Pacific Metaさんの豊富なネットワークを活かして、私たちだけでは接点を持つことが難しい海外の有力プロジェクトとの橋渡しをしていただいています。

— Pacific Metaのチームと協働する中で、どういった印象を持たれたのかもお伺いしてもよろしいでしょうか?

大林

最も強く感じたのは、Pacific Metaのネットワークの広さです。
我々も1-2年この業界で活動してきましたが、Pacific Metaの繋がりの広さには驚かされます。

例えば、STEPNとのコラボレーションの際も、Polygonさんの紹介でFSLさんとミーティングをしたところ、Pacific Metaの方が登場しました。

Pacific Metaの方々、特に邵さんを含めて、どこに行ってもいらっしゃるんです。(笑)

立崎

Web3というとデジタルな方向に考えが向きがちですが、Pacific Metaの皆さんは「人」を大切にしているという印象が強いですね。

人同士のコミュニケーションを重視しています。

一方で、マーケティングの面では、きちんと文脈化して、勢いだけでなく、しっかりとした戦略に基づいて進めていく道筋を示してくれます。

つまり、機械的な側面と人間的な側面のバランスが取れているという印象が非常に強いです。

— これまでの支援の中で、最も高い成果だったと感じられるところを一つお伺いしてもよろしいでしょうか?

大林

そうですね、Pacific Metaとの協働が始まってまだ半年ほどですが、この期間で最も大きな成果と感じているのは、8月22日に正式ローンチしたSTEPN GOとのコラボレーションです。

私たちも、STEPNを最初に紹介してもらった時点である程度イメージはできていましたが、実際にコラボを実現するまでにはかなりの道のりがありました。

ここまでたどり着けたのは、Pacific Metaのサポートが大きかったと感じています
特に印象的だったのは、コミュニケーション面でのサポートです。

直接のやり取りでは言いづらい部分があったり、双方の意向を調整する必要があったのではないかと思います。

そういった状況で、Pacific Metaが我々の意向を十分に汲み取りつつ、間に入ってうまくコントロールしてくれました。

— どのような企業にPacific Metaとの協力をおすすめしたいと思いますか?

立崎

我々は事業をグロースさせていこうというタイミングでPacific Metaと一緒に仕事をしました。

私自身はプロジェクトの途中から参加したのですが、後から入ったにも関わらず、初めからわかりやすい説明をしていただいたという印象が強いです。

我々のようにNFTをこれからグロースさせていこうという企業はもちろん、Web3を始めようというところに対しても、非常にわかりやすく導入サポートをしていただけるんじゃないかと思います。

これから始めよう、これから大きくしようというところは、基本的にスムーズに入っていけるんじゃないかという印象があります。

大林

おそらく私達のサポート事例を通じて得た経験がPacific Metaに蓄積されていると思います。

立崎が言っていたような、いわゆるWeb2の事業をもっている会社に対して、そういった知見を有効に活用できるんじゃないでしょうか。

そのため、我々と近い業界ではなくて、ものづくりをしている会社が新しい領域としてWeb3に参入する際のパートナー企業の選択肢としては非常に良いと思います。

今後は、新たな事業機会を探索し、一過性のものではなく、次の主力事業へ

— VIRTUAL G-SHOCKプロジェクトとしての今後の展望をお聞かせください。

佐藤

今後の期待というところに関しては、まず一つは、今回のSTEPN GOもそうなんですけど、G-SHOCKがWeb3業界やゲームも含めて、どういうポテンシャルがあるかを一緒に模索していきたいと思っています。

正直に言うと、このプロジェクトは個人的な思いでもあるんですけど、一過性のもので終わらせたくないんです。

カシオ計算機の次の主力事業になるくらいの気持ちでやっていきたいというのが、長期的なビジョンとしてあります。

G-SHOCKは40年間、基本的には物理的な腕時計でやってきましたが、40年経ったからこそ、G-SHOCKとしてのカルチャーや思想が出来上がってきました。

だからこそ、次のフェーズではデジタルコンテンツなどの新しい可能性への挑戦もできるのではないかと思っています。

そこで、ブロックチェーンとNFTという技術を使いながら、バーチャルコンテンツ、ゲームやアニメなど、いろんなコンテンツにG-SHOCKを落とし込んでいき、若い人たちや、感度の高いアーリーアダプターに対して、G-SHOCKブランドをよりかっこいい、人気のあるブランドにしていきたいと考えています。

思想的な面でいうと、G-SHOCKは挑戦の相棒といいますか、何か果敢に挑むときに常に自分のそばにあるようなアイテムだと考えています。

物理的なタフネスがあったからこそ、地球上のどこでもG-SHOCKをつけて挑戦できるという世界観になってきました。

次に残されたフロンティアは宇宙とバーチャル空間だと思います。

まずは私たちとしては、このバーチャル空間の中で、ゲーム内のアバターがつけるものでも何でもいいのですが、挑戦の相棒として追い続けられるような、そういった世界観を作っていきたいと考えています。

これは中長期的な道のりですが、まずは手前の段階として、いろんなプロジェクトやゲームと組みながら、よりグローバルにこういった取り組みを発信していきたいと思っています。

そういった面でPacific Metaのサポートを期待しています。

— 最後に、Web3事業に取りくもうとされている企業の皆さまに、アドバイスがございましたら、お願いします。

大林

アドバイスというと少し おこがましいのですが、Web3をやることが目的になってしまうと失敗しちゃうなっていうのはあると思います。

あくまでもWeb3は手段なので、まずはWeb3を使って何をしたいのか、どういう目的を達成したいのかを明確にする必要があります

うまくいっていないケースを見ると、「とりあえずWeb3で何かをやってみました!」という感じで、その先には何もないので、「やったはいいけどどうしましょう?」となることが多いように思えます。

我々もそういった経験があるので胸を張って言えることではないのですが、何を本当に事業として実現したいのか、大きな目的は何なのかを明確にすることが、一番のポイントなんじゃないかなと個人的に思っています。

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    このプロジェクトの担当コンサルタント

    • Co-founder, Head of Global Business Development

      Kousei Sho

      東京大学経済学部卒。ByteDance本社でグローバルブランディングを担当後、BCG Digital Ventures及びユニチャームのジョイントベンチャーにて、BDマネージャーを務める。現在は海外事業部を統括。

    • Counsultant

      Shota Karakawa

      事業開発コンサルタント。総合化学メーカーで商品戦略、事業戦略の立案等を推進後、コンサルティング業界にて技術起点での新規事業開発を中心にユースケース創出とサービスデザインを支援。

    • Business Development Manager

      Madoka Danielle Yamazaki-Ransom

      BDマネージャー。海外向けSNS運用の経験を経た後、現在は日本のプロジェクトの海外進出を支援。日英ネイティブのクアドロリンガル。