対象期間: 10/5(月)〜10/11(日) / データ取得日: 2026-10-12(月) / 公開日: 2026-10-13(火)
目次
- 円建てステーブルコイン
- ドル建てステーブルコイン(全体と定点10銘柄 / USDC / USDT / 価格ウォッチ)
- 1週間の出来事
- JPYC株式会社が公正取引委員会へ情報提供、導入店の割引などの優遇策への考え方を公表
- 報道によるとCircleの週次の数値では10月8日までの7日間に償還が発行を8億ドル上回る、Samsung WalletへのUSDC搭載も発表
- 欧州のESMAがMiCA未準拠のステーブルコインの残高を3か月以内に解消するよう求める
- アナリストコメント
1. 円建てステーブルコイン|JPYSCは4営業日続けて発行し週間で増加、JPYCは発行体へ戻る転送が続き流通34.7億円
円建ての残高は合計245.5億円で、前週から2.1億円(-0.8%)減少しました(注5)。首位のJPYSCは平日に4日続けて発行があり、金曜の償還を差し引いても週間で0.1億円増加しました。JPYCの「流通」は発行体の管理アドレス以外が保有する残高で、今週は2.2億円減少して34.7億円になりましたが、9月のUpbit上場前(9月13日時点の19.5億円)と比べると1.8倍の水準です。
| 銘柄 | 発行者と型 | 残高(10/12時点) | 前週差 |
|---|---|---|---|
| JPYSC | SBI新生信託銀行(信託型) | 200.4億円 | +0.1億円(+0.07%) |
| JPYC | JPYC株式会社(資金移動業型) | 流通34.7億円 | -2.2億円(-6.0%) |
| GYEN | GMO-Z.com Trust Company(米国の信託会社) | 9.3億円 | ±0 |
| その他 | CJPY等 | 1.1億円 | — |
JPYSCは200.4億円で、前週から0.14億円増加しました。ブロックチェーンの記録では、対象週に発行が4件(10月5日から8日の各日午前から昼、計0.84億円)、償還が1件(10月9日13時13分、0.71億円)記録されており、差引で0.14億円の増加です(注5)。10月5日の発行0.43億円は、9月以降の1件あたりの発行額として最も大きい記録です。平日午前に小口の発行を続け、金曜の日中に償還を1件まとめて記録する運用の型は7月24日以降12週続いており、償還額は9月に0.8億円、0.6億円、0.4億円、0.3億円と縮小した後、10月2日は0.65億円、10月9日は0.71億円でした。Ethereum上の発行量を照会した値は、集計値と1円単位で一致しています。GYENは9.3億円で、対象週に動きはありませんでした。
JPYCの流通残高34.7億円の内訳は、Polygon上が18.3億円(前週18.9億円)、Ethereum上が8.5億円(同9.8億円)、Kaia上が6.9億円(同7.2億円)、Avalanche上が1.0億円(同1.0億円)です。減少はEthereum上の1.2億円、Polygon上の0.6億円、Kaia上の0.3億円に分かれ、日次では10月5日から11日まで毎日減少しています(注5。10月11日の点は進行中の値)。発行体がオンチェーンで発行した量(発行量)は4チェーン合計212.9億円で前週から変わらず、集計上の発行体管理分が175.93億円から178.13億円へ2.2億円増加しました。すなわち今週の流通の減少も、前週までと同じく償還による発行量の縮小ではなく、市場に出ていたJPYCが発行体の管理下へ戻る動きです(注5)。上場直後に1円を大きく上回っていたUpbit上の価格が9月18日以降1円を下回る水準まで下落し、1JPYC=1円で発行できるJPYC EX(注11)で発行して価格の高い場所で売る裁定取引(注11)の動機が薄れたことを前々号で背景に挙げましたが、上場前後に発行された分が発行体の管理下へ戻る流れは3週目に入りました。
発行体の管理アドレス2件から外部アドレスへの払い出しは、対象週にEthereum上で0.5億円(212件)、Polygon上で1.2億円(677件)、計1.7億円(889件)記録されました。反対に、外部アドレスから管理アドレスへ戻る転送はEthereum上で1.7億円(297件)、Polygon上で1.8億円(426件)、計3.5億円(723件)です(注5・注10。日本時間の日付で集計した値)。1件あたりの平均は払い出しが約19万円、戻りが約49万円で、JPYC EXの発行上限(1回100万円、注11)を大きく下回る小口の転送が大半を占めます。差引では1.8億円の戻り超過で、集計元が示す同じ2チェーンの流通減少1.9億円とほぼ一致します。前週の払い出し2.4億円(1,097件)と戻り3.5億円(748件)と比べると、払い出しは件数・金額ともに縮小し、戻りは金額がほぼ同じで件数は小幅に減少しました。Kaia上では管理アドレス2件の残高が10月4日から10月11日(いずれも0時UTC)の間に0.32億円増加し、集計上の流通の減少0.32億円と一致しました。Kaia上の発行量57.0億円は変わっていません(注5。当社とJPYC株式会社の関係の開示は注9)。
JPYC株式会社は10月9日、ステーブルコイン決済の導入店が割引や送料無料などの優遇策を行うことへの考え方を公表し、キャッシュレス決済市場の競争環境について9月14日に公正取引委員会へ情報提供したことを明らかにしました(セクション3①)。発表によると、JPYC決済の導入店は150以上に広がっています。流通の残高が発行体の管理下へ戻る間も、決済の導入店は広がり、発行体は優遇策をめぐる考え方を公表しています。
図4は、上段が円建ての銘柄別残高の比較、下段がJPYCとJPYSCの推移です。JPYCの推移は、集計元が発行体の管理分を分けて集計し始めた7月22日以降の日次値を、発行残高(流通と発行体管理分の合計)と流通の2本で示しています(注5)。9月18日の点で発行残高と流通がともに増加した後、発行残高は横ばいのまま流通だけが緩やかに減少しており、3週続いた動きが発行体の管理下への移動であることが図からも読み取れます。JPYSCは、8月1日の点で200億円台に乗ってから横ばいで推移し、今週は10月6日から9日の点で増加を続けて9日の点で201億円台に乗った後、10日の点で償還分だけ下がりました。

13週前の7月11日時点では、円建ての合計は約47.0億円でした(注5)。円建て市場の規模は3か月で約5.2倍になっており、この拡大はJPYSCの登場1件でほぼ説明できます。JPYSCは円建て合計の82%を占め、JPYCの比率は14%です。
