対象期間: 10/12(月)〜10/18(日) / データ取得日: 2026-10-19(月) / 公開日: 2026-10-20(火)
目次
- 円建てステーブルコイン
- ドル建てステーブルコイン(全体と定点10銘柄 / USDC / USDT / デペグチェック)
- 1週間の出来事
- 報道によると10月15日までの7日間にUSDCの償還が発行を5億ドル上回る、Circleは上半期の収益と費用の構造を公表
- 欧州のEBAがUSDCをMiCA上の「重要な電子マネートークン」に初めて指定、11月12日から監督を分担
- 3メガバンクと三菱UFJ信託銀行が円建てステーブルコインの共同発行と国際決済の実証の結果を公表、2026年度中の実取引の開始を目指す方針を改めて示す
- アナリストコメント
1. 円建てステーブルコイン|JPYSCは金曜に3.3億円を発行して203.9億円、円建て合計は2.0億円増の247.6億円
円建ての残高は合計247.6億円で、前週から2.0億円(+0.8%)増加しました(注5)。首位のJPYSCは金曜の10月16日に3.3億円を発行し、対象週に償還は記録されず、週間で3.5億円増加しました。JPYCの「流通」は発行体の管理アドレス以外が保有する残高で、今週は1.5億円減少して33.2億円になりましたが、9月のUpbit上場前(9月13日時点の19.5億円)と比べると1.7倍の水準です。
| 銘柄 | 発行者と型 | 残高(10/19時点) | 前週差 |
|---|---|---|---|
| JPYSC | SBI新生信託銀行(信託型) | 203.9億円 | +3.5億円(+1.7%) |
| JPYC | JPYC株式会社(資金移動業型) | 流通33.2億円 | -1.5億円(-4.3%) |
| GYEN | GMO-Z.com Trust Company(米国の信託会社) | 9.3億円 | ±0 |
| その他 | CJPY等 | 1.1億円 | — |
JPYSCは203.9億円で、前週から3.5億円増加しました。ブロックチェーンの記録では、対象週に発行が4件(10月13日12時45分の0.16億円、14日11時4分の0.05億円、15日11時29分の0.01億円、16日11時5分の3.28億円)記録され、償還はありませんでした(注5)。10月16日の発行3.28億円は、9月1日以降の1件あたりの発行額として最も大きく、8月27日の発行5.13億円以来の規模です。7月24日から10月9日まで12週続いていた「平日に発行、金曜の日中に償還を1件」という運用の型は、今週は金曜の償還が無く、代わりに金曜の午前に大口の発行が記録された点で前週までと異なります。Ethereum上の発行量を照会した値は、集計値と1円単位で一致しています。GYENは9.3億円で、対象週に動きはありませんでした。
JPYCの流通残高33.2億円の内訳は、Polygon上が17.5億円(前週18.3億円)、Ethereum上が7.8億円(同8.5億円)、Kaia上が6.8億円(同6.9億円)、Avalanche上が1.1億円(同1.0億円)です。減少はPolygon上の0.8億円とEthereum上の0.8億円に分かれ、Kaia上は0.1億円の減少、Avalanche上は0.1億円の増加です(注5)。発行体がオンチェーンで発行した量(発行量)は4チェーン合計212.9億円で前週から変わらず、集計上の発行体管理分が178.1億円から179.6億円へ1.5億円増加しました。今週の流通の減少も、前週までと同じく償還による発行量の縮小ではなく、市場に出ていたJPYCが発行体の管理下へ戻る動きです(注5)。上場直後に1円を大きく上回っていたUpbit上の価格が9月18日以降1円を下回る水準まで下落し、1JPYC=1円で発行できるJPYC EX(注11)で発行して価格の高い場所で売る裁定取引(注11)の動機が薄れたことを9月29日号で背景に挙げましたが、上場前後に発行された分が発行体の管理下へ戻る流れは4週目に入り、戻る量は前週の1.8億円から1.6億円へ縮小しました。
発行体の管理アドレス2件から外部アドレスへの払い出しは、対象週にEthereum上で0.3億円(166件)、Polygon上で1.1億円(624件)、計1.3億円(790件)記録されました。反対に、外部アドレスから管理アドレスへ戻る転送はEthereum上で1.0億円(174件)、Polygon上で1.9億円(432件)、計2.9億円(606件)です(注5・注10。日本時間の日付で集計した値)。1件あたりの平均は払い出しが約17万円、戻りが約48万円で、JPYC EXの発行上限(1回100万円、注11)を大きく下回る小口の転送が大半を占めます。差引では1.6億円の戻り超過で、集計元が示す同じ2チェーンの流通減少1.5億円とほぼ一致します。前週の払い出し1.7億円(889件)と戻り3.5億円(723件)と比べると、払い出し・戻りとも件数と金額が縮小しました。Kaia上では管理アドレス2件の残高が10月11日から10月18日(いずれも0時UTC)の間に0.08億円増加し、集計上の流通の減少0.08億円と一致しました。Kaia上の発行量57.0億円は変わっていません(注5。当社とJPYC株式会社の関係の開示は注9)。
円建ての制度面では、みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行・三菱UFJ信託銀行とTISIが10月16日、複数の銀行が共同で発行する信託型の円建てステーブルコインの実証を実施し、その結果を発表しました。3行は6月10日に2026年度中の実取引の開始を目指すと公表しており、今回の発表もこの方針に触れています(セクション3③)。JPYSCと同じ信託型(特定信託受益権の発行)の仕組みで、発行体が信託銀行である点も共通します。
図4は、上段が円建ての銘柄別残高の比較、下段がJPYCとJPYSCの推移です。JPYCの推移は、集計元が発行体の管理分を分けて集計し始めた7月22日以降の日次値を、発行残高(流通と発行体管理分の合計)と流通の2本で示しています(注5)。9月18日の点で発行残高と流通がともに増加した後、発行残高は横ばいのまま流通だけが緩やかに減少しており、4週続いた動きが発行体の管理下への移動であることが図からも読み取れます。JPYSCは、8月1日の点で200億円台に乗ってから横ばいで推移し、今週は10月17日の点で3.3億円増加して203.9億円になりました。

13週前の7月18日時点では、円建ての合計は約62.4億円でした(注5)。円建て市場の規模は3か月で約4.0倍になっており、この拡大はJPYSCの登場1件でほぼ説明できます。JPYSCは円建て合計の82%を占め、JPYCの比率は13%です。
