日本のアニメは世界に誇るサブカルチャーです。
世界中で人の心を魅了する日本アニメを自分の手で作りたい、アニメ業界で仕事がしたいと思う方もいらっしゃるでしょう。
今回、Pacific Metaマガジンでは、アニメ業界に就職したい方に向けて下記の内容についてご紹介していきたいと思います。
- アニメクリエイターとは何か
- アニメクリエイターの仕事内容
- アニメクリエイターの収入について
- 有名なアニメクリエイターの方の紹介
- アニメクリエイターになるためにオススメの大学や専門学校を紹介
アニメクリエイターとは?
実はアニメクリエイター(アニメクリエイターズ)という専門用語が存在するわけではありません。
ですので、監督・脚本・演出・作画・デザインなどを担当する人の総称として使われる場合もあれば、アニメーション制作の一連の作業を担当する立場にある人を指すこともあります。
ただし、世間で一般的にアニメクリエイターと呼ばれるのは「アニメ制作をする作家」であることが多いようです。
したがって、アニメクリエーター とは大まかに「脚本・演出・絵コンテなどアニメ制作の中心に立って作品を完成させていく責任者」であると言えるでしょう。
アニメクリエイターの作る世界観がそのままアニメになるので、アニメ制作においてとても重要なポジションになります。
アニメクリエイター(アニメーション作家)になるためにはまずはアニメーターを経験し、実績を重ねていく必要があります。
また画力があるだけでなく、各工程の技術についての知識も求められるので、習得しなければならない技術も多岐にわたります。
アニメクリエイターになるまでには並々ならぬ苦労や努力が必要ですが、アニメ制作の要となる重要な仕事なので、憧れる方はとても多いようです。
アニメクリエイターの仕事内容
アニメクリエーターになるためにはまず最初にアニメーターとして技術を習得しておく必要があります。
アニメーターとは主に作画を担当するポジションに就いている人を指します。
アニメーターには原画と動画の2種類の仕事があります。
動画マン
新人アニメーターがまず最初に任されるのが「動画」です。
動画担当は「動画マン」とも呼ばれています。
動画マンの主な仕事内容は以下の通り。
- 原画や設定資料・指示書を受け取る
- 原画をトレースする
- 原画と原画の間に中割りを描く
動画マンはまず原画マンが作成した原画を元に仕事をします。
原画を忠実にトレース(写し作業)してから、アニメの動きが自然になるよう原画と原画の間に中割りを描いていくのがメインの作業になります。
パラパラ漫画を描くイメージですね。
一見単純作業のようですが、作画のイメージが壊れない様、丁寧で慎重に絵を描かなければなりません。
動画マンはアニメクリエイターの基盤になる大切な下積みの時期です。
ここでできるだけ作画のスキルを身に付けたいところですね。
原画マン
動画マンとして下積みを積んだあとは「原画」を作成する「原画マン」にステップアップします。
- 絵コンテ・設定資料やレイアウト用紙を受け取る
- アニメの構成を把握する
- 監督・脚本と打ち合わせをする
- 原画を作成する
原画マンに求められるものは「クリエイティブ力」になります。
原画マンは、監督や脚本などと綿密な打ち合わせをしながら、キャラクターの持つ個性を把握し、ストーリーをドラマティックに描いていきます。
作品の世界観やストーリーによって表現の仕方は色々あるので、イマジネーションを膨らませることができるよう、アニメの構成を理解することも大切です。
「アニメーター 原画」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
「アニメーター 仕事」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
アニメクリエイターの年収はどのくらい?
まず、アニメクリエイターとアニメーターでは、年収に大きな違いがあります。
アニメーターの平均年収はおよそ250万円程度と言われています。
対して、アニメクリエイターの年収は、担当するアニメの予算やアニメクリエイター自身の人気で大きく差がつくのが特徴です。
参考までに、アニメクリエーターが担当するテレビアニメは、1話につきおよそ25万円ほどが平均収入となっています。
また、劇場版アニメの場合は、一般的な映画監督と同程度の収入となります。
(日本映画監督協会の規定によると、映画監督の最低報酬が350万円ということです。)
知名度もなく、ほとんど仕事がないようなアニメクリエイターの場合、年収は150万円程度と、アニメーターの年収より安い場合もあるようです。
しかし、人気アニメクリエーターになると1億円を超える年収を得られる人もいます。
とは言え、アニメクリエーターの平均年収は650万円ほどなので賃金が安いと言われるアニメ業界の中では比較的高収入になりますね。
参考:平均年収.JP
例えばアニメクリエイターで有名なのはこの方々!
ここで、日本を代表する人気アニメクリエーターを3名ほどご紹介しておきます。
経歴や代表作など、是非参考にしてみてください。
宮崎駿
生年月日 | 1941年1月5日 |
出身 | 東京府東京市 |
居住地 | 埼玉県所沢市 |
最終学歴 | 学習院大学政経学部 |
所属 | 株式会社スタジオジブリ |
受賞歴 | ベルリン国際映画祭金熊賞/アカデミー長編アニメ映画賞/アカデミー名誉賞など |
宮崎駿さんは、日本を代表するアニメクリエーターとして世界中の人が知る有名人です。
アニメ界の巨匠と名高い宮崎駿さんですが、元々は漫画家を目指していたそうです。
しかし漫画家として芽が出なかったことで、大学卒業後に定期採用でアニメーターとして東映動画へ入社しています。
就職後は、アニメーターとして頭角を現すまでさほど時間がかからなかったのだとか。
類まれなる才能の持ち主だったことが分かりますね。
宮崎駿さんは1985年に徳間書店からの出資で株式会社スタジオジブリを設立し、代表を務めています。
スタジオジブリ作品は、脚本なしで絵コンテと同時進行で作品を作る手法を取っている事でも有名です。
スタジオジブリでは、アニメーションの制作準備段階でイメージボードを莫大に描き、作品の構想を練り上げているのだそうです。
そのため脚本が必要ないとのことなのですが、驚異の制作管理能力と超人的な作画能力を持っている人でないと成し遂げられるものではありませんね。
以下、宮崎駿作品の代表的なものを一部記載しておきます。
(なお、上記で書いた通り、役職に記載している「脚本」は本来の意味での脚本とは異なります。)
公開年 | 作品名 | 役職 |
1963年12月21日 | わんわん忠臣蔵 | 動画 |
1969年10月5日~1970年12月27日 | ムーミン | 原画 |
1971年10月24日~1972年3月26日 | ルパン三世 | 原画 |
1972年12月17日 | パンダコパンダ | 原案・脚本・場面設定・原画 |
1974年1月6日~1974年12月29日 | アルプスの少女ハイジ | 場面設定・レイアウト |
1976年1月4~1976年12月26日 | 母をたずねて三千里 | 場面設定・レイアウト |
1978年4月4日~1978年10月31日 | 未来少年コナン | 絵コンテ |
1779年12月15日 | ルパン三世カリオストロの城 | 脚本・監督 |
1984年3月11日 | 風の谷のナウシカ | 原作・脚本・監督 |
1986年8月2日 | 天空の城ラピュタ | 原作・脚本・監督 |
1988年4月16日 | となりのトトロ | 原作・脚本・監督 |
1989年7月29日 | 魔女の宅急便 | プロデューサー・脚本・絵コンテ・監督 |
1992年7月18日 | 紅の豚 | 原作・脚本・監督 |
1995年7月15日 | 耳をすませば | 製作プロデューサー・脚本・絵コンテ |
1997年7月12日 | もののけ姫 | 原作・脚本・監督 |
2001年7月20日 | 千と千尋の神隠し | 原作・脚本・監督 |
2004年11月20日 | ハウルの動く城 | 企画・脚本・監督 |
2008年7月19日 | 崖の上のポニョ | 原作・脚本・監督 |
2013年7月20日 | 風立ちぬ | 原作・脚本・監督 |
新海誠
生年月日 | 1973年2月9日 |
出身 | 長野県南佐久郡小海町 |
住居地 | 埼玉県さいたま市南区 |
最終学歴 | 中央大学文学部 |
所属 | 株式会社コミックス・ウェーブ・フィルム |
受賞歴 | 野間出版文化賞/星雲賞 /カートゥーンズ・オン・ザ・ベイ プルチネルラ賞 他 |
新海誠さんは、作品の風景描写の緻密さ、美しさに定評があるアニメクリエーターです。
その独特の世界観は新海ワールドとも称され、観る人の心を揺さぶります。
「思春期のとき、風景の美しさに自身が救われ励まされてきたため、そういう感覚を作品に込めていきたい」というのが新海誠アニメの根底にあることは、ファンの間では有名な話です。
新海誠さんの実家は、1909年に創業された建設会社「新津組」を代々営んでおり、相当ゆとりのある暮らしをしてきたと思われます。
年商が70億円を超える企業の経営者のもと生まれた新海誠さんでも、多感な思春期には色々なことがあったのでしょうね。
新海誠さんは「新津組」4代目の跡継ぎとして住宅メーカーで修業をする予定でした。
しかし、大学時代アルバイトで働き出したゲーム会社、「日本ファルコム」に正式入社し、クリエーターとしての人生を歩み始めます。
本来はゲーム開発をしたかったそうですが、ロールプレイングゲームのパッケージ制作を担当し、オープニングムービーを作成することで才能を開花させました。
仕事の傍ら自主制作アニメーションを制作し、いくつかの作品で賞を受賞すると5年ほど勤務した「日本ファルコム」を退社しています。
のち、7年間ほどゲームのオープニングアニメーションを制作してから劇場アニメのアニメクリエーターとしてデビューをしました。
公開年 | 作品名 | 役職 |
2002年2月2日 | ほしのこえ | 監督・脚本・演出・作画・美術・編集 |
2004年11月20日 | 雲のむこう、約束の場所 | 原作・脚本・監督 |
2007年3月3日 | 秒速5センチメートル | 原作・脚本・監督 |
2011年5月7日 | 星を追う子ども | 原作・脚本・監督 |
2013年5月31日 | 言の葉の庭 | 原作・脚本・監督・編集 |
2016年8月26日 | 君の名は。 | 原作・脚本・監督 |
2019年7月19日 | 天気の子 | 原作・脚本・監督 |
庵野秀明
生年月日 | 1960年5月22日 |
出身 | 山口県宇部市 |
住居地 | 不明 |
学歴 | 私立大阪芸術大学映像計画学科(中退) |
所属 | 株式会社カラー |
受賞歴 | 日本SF大賞受賞作/日本アカデミー賞/紫綬褒章受賞 他 |
庵野秀明さんは、エヴァンゲリオンシリーズで世界中のアニメファンと虜にしたアニメクリエーターですね。
庵野秀明さんの経歴をみると、高校は県内屈指の進学校、山口県立宇部高校に入学していたことが分かります。
ところが、入学するや「自分にとって無駄な勉強はしない」と決意し、美術部に入部、ひたすらマンガやアニメ・特撮モノ、星の観察に没頭したそうです。
通常の教科についての興味が全くなかったので、学校からは問題児とされていたのだとか。
高校2年生の時、念願だった8ミリフィルム機材を購入して、文化祭展示用の実写特撮やセルアニメなどを作成し、才能を徐々に開花させていきました。
庵野秀明さんの人生を大きく変えたのは大学2年生の時。
参加した日本SF大会大阪コンベンションのオープニングアニメーションの制作です。
以降、共同作業としてのフィルムやイベント制作に没頭し、アニメの世界へはまり込んでいきました。
大学に在学中、宮崎駿さんの映画「風の谷のナウシカ」で、原画担当に採用されたことを機に上京し、大学は中退しています。
「風の谷のナウシカ」では映画のクライマックス部分、巨神兵登場のシーン担当に抜擢され宮崎駿さんからその才能を評価されました。
ここで宮崎駿さんから監督・演出の仕事について学び、アニメクリエーターとしての礎を築き、アニメ監督としての活躍をスタートします。
以降、いくつかの有名アニメを担当し、庵野秀明さんの代表作「新世紀エヴァンゲリオン」が誕生。
約25年もの間、アニメファンを夢中にさせています。
公開年 | 作品名 | 役職 |
1988年3月12日 | 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア | メカニカルデザイン |
1990年4月13日~1991年4月12日 | ふしぎの海のナディア | 総監督 |
1995年10月4日 ~1996年3月27日 | 新世紀エヴァンゲリオン | 原作・脚本・監督 |
1997年3月15日/1997年7月19日 | 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シリーズ(部作) | 原作・脚本・監督 |
2007年9月1日/2009年6月27日/2012年11月17日/2021年3月8日 | ヱヴァンゲリヲン新劇場版シリーズ(4部作) | 原作・脚本・監督 |
2016年7月19日 | シン・ゴジラ | 総監督 |
アニメクリエイターになるには?
アニメ クリエーターになるには特別な資格が必要なわけではありません。
雇用の際必要になる学歴も高卒程度なので、高学歴である必要もなく、誰でも目指すことができる職業ではあります。
とは言え、アニメクリエーターとして名を馳せたいと思った時には、莫大な量の絵を描き続けられる根気や、絵を描くためのスキルを向上し続ける努力、時代のニーズや自身の感性など、求められるものが多くあります。
アニメは、多くの人が協力してひとつの作品を創り上げるので、コミュニケーション能力も大切になります。
つまり、社会人としてのルールやマナーを守りつつ、仲間を大切にする気持ちを持ってアニメを制作していくのがアニメクリエーターの役割とも言えますね。
アニメクリエイターになるためにおすすめな大学!
アニメクリエーターには特別な資格はありませんが、学歴を見て採用する企業もあります。
大学に進学することは、自身を選択肢を広げる意味でも将来的に役に立ちます。
ここでは、アニメクリエーターになるのにオススメの大学をご紹介します。
デジタルハリウッド大学
デジタルハリウッド大学(DHU)は、デジタルコミュニケーションを理解し、コンピュータを利用して作品を創造することに特化した大学です。
デジタルハリウッド大学では4年間を通じて専門的にアニメの勉強ができるカリキュラムが組まれているのが特徴です。
トップクリエイターから各種技術を学べる環境が用意されていて、アニメーター・制作・脚本・演出・監督などアニメクリエーターになるための人材育成に力を入れています。
東京工芸大学
東京工芸大学の芸術学部にはアニメーション学科があります。
アニメーション学科では、「制作分野」と「研究分野」があり、次世代のアニメーションに関連する様々な分野で活躍できる人材の育成を目標にしています。
アニメクリエーターになるために、制作技術だけでなくアニメ作品を客観的に評価したり、制作過程の文化的な側面を学ぶことができるのは大学ならではの魅力ですね。
創造力と観察力、客観的な分析力を学び、アニメクリエーターになるためのスキルを身に付けたい方におすすめの大学です。
京都芸術大学
京都芸術大学芸術学部では、「イラストレーション」を学ぶことができる情報デザイン学科があります。
情報デザイン学科では、魅力的な「イラスト」を描くだけでなく、デザインやデジタルスキルを使いこなす力と、企画・アイデアの「考える力」を表現することを学べます。
アイデアを出し、企画やイベント、商品、広告などに展開していく方法を実践していくカリキュラムが組まれており、アニメだけでなくイラストを扱う業界への就職全般に対応できるスキル取得にも長けているので、将来の選択肢が広く持てるのは心強いですね。
アニメクリエイターを目指すならこの専門学校へ!
アニメクリエーターになるために、4年制大学に通わず短期で専門知識や技術を身に付けたい方にオススメなのが専門学校です。
以下、アニメクリエーターになるためにオススメな専門学校を記載しておきますので、参考にされてください。
代々木アニメーション学院
代々木アニメーション学院が設立されたのは1978年。
アニメ業界の発展とともに歩んできた歴史のある専門学校です。
2022年現在、日本で放送されているほぼ全てのアニメ作品で代々木アニメーション学院の卒業生が関わっているというのは驚きですね。
代々木アニメーション学院の校舎は全国に10校あります。
どこの校舎でもカリキュラム・教材は同じなので、地方にいてもプロを目指すことができるのですよ。
アニメーター科では、アニメの要となる原画の描き方を、現場と同じ制作工程を通して学んでいきます。
レイアウトから第1原画、第2原画の描き方まで現場の素材を使いながら習得していくため、卒業後も即実践として仕事に取り掛かることが可能です。
2022年現在、アニメーター科の生徒になれば、一人一台Wacomの「mobilestudio Pro13」を2年間無償で貸し出ししてくれるのもうれしいですね。
代々木アニメーション学院について興味がある方はお気軽に資料請求をしてみてください!
アミューズメントメディア総合学院
アミューズメントメディア総合学院アニメーション学科では、目指す職種に合わせた専攻コースが2つ用意されています。
作画のプロとしてアニメ制作に関わりたいという方には「アニメーター/監督専攻コース」がオススメです。
また、制作管理・演出などアニメ制作すべてに関わりたい方には「製作・プロデュース専攻コース」があります。
アミューズメントメディア総合学院では、途中で進路変更をしたいという要望にも応えられるよう、通学中に専攻を変更することにも対応しています。
卒業生には一般には出ていない最新の求人・就職情報を提供しているため、安心して就職活動をすることができます。
さらに就職の際は、専任のスタッフが一人一人の適性を見極めながら徹底したサポートをしているので、就職実績だけでなく離職率が低いことも心強いですね。
アミューズメントメディア総合学院の詳細を知りたい方は資料請求をされてみてください!
「アミューズメントメディア総合学院」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
アニメクリエイターについてのまとめ
今回、Pacific Metaマガジンでは下記の内容をご紹介させていただきました。
- アニメクリエーターはアニメ制作の一連の作業を担当する立場にある人のことである
- アニメクリエーターの仕事は動画マン・原画マンで経験を積むことからスタートする
- アニメクリエーターの平均年収は650万円ほどであるが、収入には大きな差がある場合が多い
- 日本を代表する有名アニメクリエーターを紹介
- アニメクリエーターになるのにオススメの大学を3校紹介
- アニメクリエーターになるための専門学校を2校紹介
アニメクリエーターへの道のりは簡単なものではありませんが、とてもやりがいがありますね。
自分が携わった作品が形になって、世の中に残るのは素晴らしいことだと思います。
いちアニメファンとして、日本の優れたアニメ文化を引率するアニメクリエーターがひとりでも多く誕生することを心から楽しみにしています。