欧州の主要証券取引所ユーロネクストは、暗号資産運用会社CoinSharesが提供するZcash(ZEC)の暗号資産上場投資商品(ETP)について、取引開始を前に停止措置を講じました。ユーロネクストの広報担当者がCointelegraphに対して明らかにしたところによると、停止理由は「業務上の決済要件」によるものです。この停止措置は、中央証券保管機関(CSD:証券の保管や受渡決済を一括管理する機関)による決済業務の対応が整うまで維持される方針です。伝統的な金融取引所において暗号資産関連商品の組成が進む一方、既存の証券決済インフラとの円滑な接続が実務上の前提条件となることを示す事例と見られます。
株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。
業務上の決済要件を理由に取引開始を一時見合わせ
ユーロネクストの広報担当者はCointelegraphに対し、今回の停止措置が「業務上の決済要件(operational settlement requirements)」によるものであると説明しました。同担当者によれば、CSDにおいて決済業務が正式にサポートされるまで、対象商品の取引停止が継続されます。
今回の措置は商品の適格性そのものを否定したものではなく、決済手続きというバックオフィス領域の実務的な確認プロセスに起因するものと見られます。
伝統的金融インフラとの接続における実務課題
暗号資産を対象としたETPなどの金融商品を欧州の伝統的な取引市場へ上場させる場合、取引所単体での承認にとどまらず、受渡や保管を担うCSD側のインフラ対応が不可欠となります。
今回の決定は、暗号資産関連商品が既存の金融システムへ組み込まれるプロセスにおいて、決済インフラの要件を満たすことが極めて重要なハードルとなっている実態を浮き彫りにしています。CSDによる決済運用のサポート体制が整い次第、取引の開始に向けた手続きが進む可能性がありますが、現時点で具体的な運用開始時期は決済対応の進捗に左右される状況となっています。
ポイント
- ユーロネクストが、CoinSharesの手掛けるZcash ETPの取り扱いを上場直前の段階で停止しました
- 取引停止の要因は「業務上の決済要件」であり、CSD(中央証券保管機関)による決済業務のサポートが完了するまで措置が継続される方針です
- 取引所だけでなく決済インフラ側の運用対応が暗号資産上場商品の流通において必須の実務要件となる点で注目されます
総研プライム
ブロックチェーンを、
徹底的に読み解く。
技術の仕組み、企業の戦略、市場の構造まで。独自の調査・分析で掘り下げる専門レポート。
初月無料で読む