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ブロックチェーン総研by Pacific Meta

SCSKが米Circleの独自ブロックチェーン「Arc」のノードを約1カ月で構築。伝統金融の不正対策知見をオンチェーン領域へ展開する方針

住友商事グループの総合ITサービス企業であるSCSKは、米Circleが手がける独自のレイヤー1ブロックチェーン「Arc」において、住友商事のバリデーターノード環境を約1カ月で構築しました。全国80社以上の金融機関にマネーロンダリング対策システムを提供してきた実績を背景に、同社は従来の金融インフラの知見をオンチェーン金融へ展開する取り組みを本格化させています。さらに、ステーブルコインを用いた海外経費支払いの社内実証を実施し、大企業が実務へ導入する際に直面する制度面や会計面の課題を検証しています。

監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。

「Arc」ノードの短期構築とオンチェーン金融犯罪対策への応用

米Circleが開発するレイヤー1ブロックチェーン「Arc」は、ステーブルコインによる決済や送金、外国為替取引、トークン化資産の取引に向けて設計され、9月に稼働を開始しました。日本からの創設バリデーターとしてSBIグループと住友商事が参画しており、住友商事のノード環境構築を同社グループのSCSKが担いました。SCSKは昨年度に住友商事と共同でイーサリアムなどのノード運用や技術・事業性の検証を行っていた経験と、金融機関向け基盤構築の知見を組み合わせることで、約1カ月という短期間で環境構築を完了させました。

同社は、地方銀行を中心に全国80社以上の金融機関に導入されているAIマネーロンダリング(AML)対策システム「BankSavior」を手がけており、為替取引分析業のライセンスを持つ専門子会社SCSK RegTech Edgeも運営しています。オンチェーン上の不正取引を追跡するKYT(取引追跡)ツールは海外ベンダーが先行していますが、日本の法制度や商慣習に合わせた「疑わしい取引の届出」への対応や、既存金融のKYC(本人確認)情報との突合といった課題が残されています。同社は長年培った既存金融の経験を掛け合わせ、伝統的な金融とDeFi(分散型金融)の双方をカバーする金融犯罪対策を展開する方針です。

ステーブルコインの社内実証で浮き彫りとなった企業実装の課題

SCSKは、従来の銀行間送金をステーブルコインに置き換える社内実証(PoC)として、海外経費支払いの検証を行いました。この実証では経理や財務の実務担当者を巻き込み、企業が実際に導入する際の業務フロー、コスト、為替管理への影響を確認しています。その結果、海外拠点側での暗号資産交換業者の口座開設やウォレット管理が会計実務に新たな負荷を与えることや、環境を整えるだけでも時間を要することが明らかになりました。

また、制度面および会計面における障壁も具体化しています。企業間決済の実務においては、日本国内の資金移動業における「100万円の上限規制」がグローバル取引を見据えた際の大きな制約となっています。加えて、会計処理においてステーブルコインが預金とは異なる「電子決済手段」という独立した勘定科目になるため、経理担当者の管理負担が増大することも課題として挙げられています。こうした結果から、同社はステーブルコインの導入メリットとして、送金コストや時間の短縮だけでなく、プログラマビリティ(取引や処理を自動化・プログラムできる特性)により着目することが重要であるという見解を示しています。

ポイント

  • 米Circleの独自レイヤー1ブロックチェーン「Arc」において、住友商事のバリデーターノード環境を約1カ月で迅速に構築した実績を持つ点で注目されます。
  • 国内80社以上の金融機関に導入実績があるAMLシステムのノウハウを活用し、オンチェーン領域における日本固有の法制度や商慣習に即した金融犯罪対策を目指す点で重要です。
  • 海外経費支払いの社内実証を通じて、ウォレット管理の負担、資金移動業における100万円の上限規制、独立した勘定科目による会計実務の負荷といった大企業におけるリアルな実装課題を明らかにした点で示唆に富んでいます。
  • ステーブルコインを企業決済に活用する意義として、送金速度やコストの改善にとどまらず、プログラマビリティの利点に着目すべきという視点を提示している点で注目されます。

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