アニメやゲームの作品において音周りの演出を担当している音響監督。
そんな音響監督という職業に憧れているという方も多いのではないでしょうか。
今回Pacific Metaマガジンでは、有名な音響監督について紹介します。
見出しは以下の通りです。
- 音響監督とは?
- 日本の有名な音響監督10人
- 有名な音響監督の出身大学や前職/兼業している職
- 有名な音響監督が経営/所属する音響制作会社
- 音響監督になるには
- 代々木アニメーション学院で音響監督を目指そう!
- 音響監督に必要な素質
有名な音響監督の経歴を参考にしつつ、今から音響監督になるにはどうすればいいかといった情報もお届けします。
音響監督とは?
音響監督は音に関する演出を手掛ける人を指し、主にアニメやゲームの作品で使われる言葉です。
映画・ドラマ・ラジオなど、他のジャンルでも似たような仕事をするスタッフはいますが、その場合は「演出」「音響効果」などと呼ばれたりします。
アニメの音響監督は、作品の効果音やBGM制作を監督することが主な仕事で、声優のキャスティングなどアフレコにも携わります。
ただ、BGMの制作監督とアフレコの監督では必要なスキルがだいぶ異なってくるので、音響監督によっても得意分野は分かれてくるところです。
「音響制作会社に務める音響のプロ」または「声優経験などがあるアフレコ周りのプロ」、音響監督は大きくこの2タイプに分かれています。
日本の有名な音響監督10人
今も第一線で活躍をしている音響監督は数多く存在し、Wikipediaなどで調べれば一覧で150人近くの人名がヒットします。
本来であれば全員紹介したいところですが、この記事では10人に絞って特に知っておきたい注目の音響監督をお届けします。
多種多種な経歴を持つメンバーが揃っていますので、音響監督になるまでのキャリアなどにも注目してご覧ください。
ハマノ カズゾウ
略歴 | 舞台の演出家としてキャリアスタート その後、音響監督へ |
音響監督としての主な代表作 | 「家庭教師ヒットマンREBORN!」「未確認で進行形」 |
SNS | ハマノカズゾウ / Twitter |
元々劇団の脚本家をしていたハマノ カズゾウさんですが、そこで「演技の先生をやってくれないか」という話になり専門学校の講師として呼ばれたとのこと。
そこで、現在はバラエティ番組でもおなじみになった声優の三ツ矢雄二さんに会ったことで、音響監督としての道が開けました。
当時は音響監督という仕事を全く知らなかったハマノさんですが、そこから現在にかけては数々の作品を手掛けるアニメ音響監督として仕事を続けることになります。
千葉 繁(ちば しげる)
略歴 | 役者、声優としてキャリアスタート 1989年頃より音響監督を務める |
音響監督としての主な代表作 | 「きらりん☆レボリューション」「ゼノブレイド2」 |
SNS | 千葉 繁 / Twitter |
公式サイト | 株式会社81プロデュース |
現在は声優・ナレーターとして有名な千葉 繁さんですが、1989年頃からは音響監督としての顔を持つようになりました。
きっかけは押井守監督が制作したOVA『御先祖様万々歳!』で声がかかり、初の音響監督を経験したことです。
最近ではゲーム「ゼノブレイド2」でも音響監督を務めており、名前を目にした人もいるのではないでしょうか。
音響監督は演技指導も大きな仕事の1つ。
収録に臨む声優さんにとっては安心感のある現場だったのではないでしょうか。
明田川 進(あけたがわ すすむ)
略歴 | 制作会社を転々としつつ音響制作をおこなう 虫プロダクション →グループ・タック →サンリオ →手塚プロダクション →マジックカプセル |
音響監督としての主な代表作 | 「リボンの騎士」「ジャングル大帝」「うたわれるもの」 |
日本のアニメーション音響制作の第一人者とも言われる明田川 進さん。
非常にキャリアの長いベテラン音響監督です。
明田川さんはアニメ制作会社をいくつも転々としながら経験を積んだ後、1970年に音響制作会社のマジックカプセルを設立します。
虫プロダクション時代には「リボンの騎士」「ジャングル大帝」などの超有名作品に携わり、2000年代に入ってもアニメの音響監督を務めています。
ちなみに、同じく音響監督としてマジックカプセルに所属をしている明田川 仁(じん)さんは彼の息子です。
郷田 ほづみ(ごうだ ほづみ)
略歴 | ラジオ番組でデビュー その後、お笑いトリオの活動がメインに 1995年:声優に復帰 1999年頃~:音響監督の仕事が加わる |
音響監督としての主な代表作 | 「ひぐらしのなく頃に」「魔入りました!入間くん」 |
SNS | 郷田ほづみ / Twitter |
公式サイト | 株式会社 尾木プロ THE NEXT |
ラジオ番組でデビューして声優の活動などもしていた郷田 ほづみさんですが、当時結成していたお笑いトリオ「怪物ランド」で有名になったことにおり、一時期声優からは離れていました。
その後1995年から声優に復帰した郷田さんは、1999年に俳優・声優・歌手・ダンサーなどを目指せる「湘南アクターズスクール」を設立し、音響監督の仕事もするようになります。
バラエティに富んだ経歴を積み重ねてきた郷田さんですが、音響監督としては「ひぐらし」シリーズのほか、「アカメが斬る!」などの作品も手掛けました。
岩浪 美和(いわなみ よしかず)
略歴 | レコーディング・エンジニア →映像演出 →音響監督 |
音響監督としての主な代表作 | 「ガールズ&パンツァー」「ソードアート・オンライン」 |
SNS | 岩浪美和 / Twitter |
専門学校の音響芸術科を卒業した岩浪 美和さんは、そこからレコーディング・エンジニア→映像演出→音響監督と仕事内容を少しずつ変化させながら、アニメ作品に携わるようになっていきます。
音響監督としては1990年頃から活動を開始し、今も多数の作品に関わり続ける岩浪さん。手掛ける現場では声優のアドリブが多用されることでも知られており、代表作の1つ「この素晴らしい世界に祝福を!」は、その最たるものと言えるでしょう。
作品によっては監督、演出・脚色などをおこなうこともあり、アニメを総合的に演出することができる音響監督です。
西村 朋紘(にしむら ともひろ)
略歴 | シンガーソングライター、声優として活動開始 2003年頃~:音響監督 |
音響監督としての主な代表作 | 「シャドウハーツ」「グローランサー」 |
公式サイト | 有限会社OMO |
西村 朋紘さんは元々81プロデュースに所属していた声優で、1981年から「うる星やつら」などに出演して活動をしていました。
上でも紹介している千葉繁さんとはその頃出会い、師匠としてアドバイスをもらう長い付き合いとなっています。
そして、2003年から「有限会社OMO」の代表となった西村さんは、ゲームやCDドラマなどで音響監督の仕事を本格的におこなうようになります。
「シャドウハーツ」「グローランサー」といったタイトルは、RPG好きなら名前ぐらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
幾原 邦彦(いくはら くにひこ)
略歴 | 演出助手からキャリアスタート 次第に監督、音響監督を手掛けるようになる |
音響監督としての主な代表作 | 「輪るピングドラム」「ユリ熊嵐」「さらざんまい」 |
SNS | 幾原邦彦 / Twitter 幾原邦彦 / Instagram |
公式サイト | IKUNI.net |
アニメ監督、音楽プロデューサーとしても知られる幾原 邦彦さん。
キャリアの最初は東映動画(現・東映アニメーション)へ入社してアニメの演出を手掛けていましたが、退社して1996年に個人事務所を設立した頃から監督作品が増えはじめます。
幾原さんの作品は難解でありつつもじっくり見るとクセになる世界観が多く、監督・音響監督・脚本などを同時に手掛けることもあるため、手掛けた作品はまさに「幾原ワールド」と呼べるような世界観が広がります。
代表作として書いた3作品は、特に幾原さんの世界が色濃く反映されたアニメであるため、印象に残っている方も多いでしょう。
小坂 明子(こさか あきこ)
略歴 | 1973年:歌手デビュー 1984年:独立し作曲の仕事も増えだす |
音響監督としての主な代表作 | ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」 |
公式サイト | 小坂明子公式サイトMUCAL |
小坂 明子さんは、シンガーソングライター・ピアニスト・作曲家・作詞家などの顔を持つ女性で、音楽監督としても知られます。
1973年には自身の作詞作曲による「あなた」で歌手としてデビューした小坂さん。
200万枚を超える大ヒットを飛ばし、NHKの『第25回紅白歌合戦』にも出場します。
その後、1984年に独立したタイミングで作曲家としての仕事を本格的におこなうようになり、アニメ・ゲーム・テレビ番組などの作曲を数多く手掛けます。
アニメでは「セーラームーン」「めぞん一刻」「きんぎょ注意報!」などが代表作です。
藤原 啓治(ふじわら けいじ)
略歴 | 1983年:俳優としてデビュー 1990年頃から声優として活躍 2010年:音響監督デビュー |
音響監督としての主な代表作 | 「カッコカワイイ宣言!」「プピポー!」 |
公式サイト | 藤原 啓治|AIR AGENCY |
「クレヨンしんちゃん」野原ひろし役など、声優として多大な功績を残した藤原 啓治さん。
芸能事務所・音響制作会社であるAIR AGENCYの代表取締役も務めており、2010年以降は音響監督としても活動していました。
声優としての代表作は挙げればキリが無いほどですが、他にも日本芸術専門学校では講師を務めるなど、非常に幅広い活動をおこなっていた人物です。
三間 雅文(みま まさふみ)
略歴 | 音響制作会社マジックカプセルへ就職 1996年:フリーへ 1997年:テクノサウンドへ入社 2004年:テクノサウンド代表へ |
音響監督としての主な代表作 | 「ポケットモンスター」「鋼の錬金術師」「進撃の巨人」 |
SNS | 音響監督 三間雅文 / Twitter |
公式サイト | 三間 雅文|有限会社テクノサウンド |
親戚にあたる明田川 進さんが代表を務める音響制作会社、マジックカプセルに入社してキャリアをスタートさせた三間 雅文さん。
1996年には、そのマジックカプセルを退社して一時フリーになりますが、1997年に入社したテクノサウンドにおいて、2004年からは代表となっています。
代表となった今でもアニメを中心とした数多くの作品に関わっており、代表作にはビッグネームがいくつも並びます。
アニメ好きなら間違いなく、三間さんの手掛けた作品に1度は触れているでしょう。
有名な音響監督の出身大学や前職/兼業している職
有名な音響監督について、もう少し見ていきましょう。
この見出しでは、その人の出身学校や音響監督以外に経験した職歴なども見ていきます。
谷田部 勝義(やたべ かつよし)
出身学校 | 日本大学 芸術学部 映画科(中退) |
前職/兼業している職 | 演出家、監督 |
音響監督の他にも監督・絵コンテなどを多く手掛けている谷田部 勝義さん。
総合的にアニメ制作に携わっているクリエイターです。
「勇者シリーズ」に代表されるようにロボットもの、ヒーローものなどを中心に手掛けており、萌系は苦手と本人も語っています。
鶴岡 陽太(つるおか ようた)
出身学校 | 広島大学 |
前職/兼業している職 | アニメの企画・制作 |
企画・制作からアニメに携わることもある鶴岡 陽太さん。
京都アニメーションやシャフトが制作したアニメに携わることが非常におおく、「響け! ユーフォニアム2」「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」などでは制作兼任で音響監督を務めました。
特に「響け! ユーフォニアム2」は楽器の演奏が主題となっている作品なので、音響監督の果たす役割は大きなものになっているはずです。
高松 信司(たかまつ しんじ)
出身学校 | 法政大学 文学部(中退) |
前職/兼業している職 | 監督・演出・脚本 |
日本サンライズでガンダムシリーズなどを手掛け、制作→演出→監督とキャリアを積み重ねていった高松 信司さん。
徐々に自分のテリトリーを広げていき、有名作品を数多く手掛けるようになりました。
サンライズを離れた後は「こちら葛飾区亀有公園前派出所」「銀魂」などの監督を務めています。
有名な音響監督が経営/所属する音響制作会社
「将来、音響監督を目指したい!」という方は会社選びも重要です。
有名な音響監督が所属している音響制作会社についても見ていきましょう。
ちなみに、音響関連の仕事に携わる人の年収は、サイトの集計によれば401万円と出ており、サラリーマンの平均よりもやや低めとなっています。
音響の仕事の平均年収は401万円|求人ボックス
収入の幅は人によってバラツキがあるため、見習いや補佐の立場を抜けて独立できれば一気に増える可能性もあり、将来性を重視した職場選びがカギになるでしょう。
株式会社ダックスプロダクション
代表者/所属する音響監督 | 代表者:中尾勇一 音響監督:飯田里樹(現フリー) |
代表作 | 「時をかける少女」「サマーウォーズ」「五等分の花嫁∬」 |
ダックスプロダクションは2003年に設立した音響制作会社です。
細田守監督作品を数多く手掛けていることで知られており、「時をかける少女」「サマーウォーズ」「バケモノの子」などの制作に携わっています。
また、最近では「五等分の花嫁∬」などの作品でも有名です。
株式会社オーディオプランニング・ユー
代表者/所属する音響監督 | 代表者:浦上靖之 音響監督:大熊昭、浦上慶子 |
代表作 | 「クレヨンしんちゃん」「名探偵コナン」「コードギアス 反逆のルルーシュ」 |
オーディオプランニング・ユー(AUDIO PLANNING U)は1972年に設立された企業です。
国民的な長寿作品をいくつも手掛けていることで知られており、大手声優事務所に所属する中堅からベテランクラスを中心に起用することが特徴となっています。
近年では「コードギアス 反逆のルルーシュ」などが代表作です。
楽音舎
代表者/所属する音響監督 | 代表者:鶴岡陽太 音響監督:菊田浩巳 |
代表作 | 「物語シリーズ」「魔法少女まどか☆マギカ」「スーパーカブ」 |
上でも紹介した鶴岡 陽太さんが代表を務める楽音舎(らくおんしゃ)。
鶴岡さんの見出しでは京アニ作品を中心にお伝えしましたが、「物語シリーズ」「魔法少女まどか☆マギカ」といったシャフト作品も多く手掛けています。
近年において、有名作品を数多く手掛けている注目制作会社の1つとなりました。
音響監督になるには
上で紹介した音響監督の経歴を見ても分かるように、キャリアの最初から音響監督をすることは非常にまれです。
まずは以下のような経験を積んでから音響監督を目指すのが良いでしょう。
- 専門学校に通う
- 音響制作会社に就職する
- 演出家になる
専門学校では音響監督になるための知識やスキルを身につけることができます。
個人で買うのが難しい機材に触ることができたり、アフレコ現場を見ることができたりもするため、役立つ経験となるでしょう。
音響監督になるのであれば音響制作会社に就職するのが一番近いです。
いきなりアニメ業界で音響監督の求人情報は出ることは少ないですが、音響会社で経験を積んでいれば仕事が舞い込むことは珍しくありません。
また、音響も大きなくくりでは演出の一部なので、演出家から音響監督にシフトする人もいます。
この場合は、演劇・映像系の学科がある専門学校へ通うと進路が開けるでしょう。
「音響監督 なるには」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
代々木アニメーション学院で音響監督を目指そう!
音響監督を本気で目指すのなら、専門学校に通うことも有効です。
その中でもPacific Metaマガジンがおすすめする専門学校は代々木アニメーション学院。
代々木アニメーション学院は、アニメ・マンガ・イラスト・ゲームといったエンタメコンテンツに携わるクリエイターを育成している専門学校です。
ここにはアニメ音響科という学科もあるため、音響監督を目指す方にとってはうってつけでしょう。
アニメ音響科では専用の録音スタジオを教室内に併設しているため、実際にアフレコやアニメの音響制作を経験することもできます。
在学中にはプロの声優と一緒に仕事ができるチャンスも用意されており、代々木アニメーション学院ならではの機会と言えるでしょう。
また、講義では現場で活躍されているプロの講師に直接指導してもらうこともできるため、職場での働き方をイメージしながら実践的な内容を学ぶことも可能です。
資料請求は無料なので、興味のある方は一度チェックしてみてください!
「代々木アニメーション学院」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
音響監督に必要な素質
音響監督になるには、以下のような素質が求められます。
- 作りたい作品のイメージを明確に持つ
- 演出・演技について幅広く興味を持つ
- コミュニケーション能力を身につける
作品作りには絶対の正解というものが存在しません。
それでも音響監督として良いものを作りたいと思ったら、自分の理想となるイメージを持ち続けることが必要になってくるでしょう。
また、アニメの分野に限らず演出・演技の勉強を幅広くすることによって、仕事をしたときに引き出しが増えるという利点もあるはずです。
さらに、音響監督は演技をしている声優さんに指示を出す必要もあるため、自分のイメージを分かりやすく伝えるという意味でコミュニケーション能力も求められます。
有名な音響監督のまとめ
今回Pacific Metaマガジンでは、有名な音響監督について紹介してきました。
最後に、この記事のポイントを整理しましょう。
- 音響監督はアニメ・ゲーム業界で主に使われる職業で、「音響制作会社に務める音響のプロ」または「声優経験などがあるアフレコ周りのプロ」の2タイプに分かれる
- 音響監督には多種多種な経歴を持つ方が多く、いきなり音響監督として就職することはまれ
- 音響の仕事に就く人の平均年収はやや低めだが、見習いや補佐の立場を経て一人前になれば大きく収入が増える可能性もある
- 音響監督になるには「専門学校に通う」「音響制作会社に就職する」「演出家になる」といったルートを経る方法が存在する
- 音響監督を目指すなら、代々木アニメーション学院などの専門学校に通うのも有効
- 音響監督になるには「作りたい作品のイメージを明確に持つ」「演出・演技について幅広く興味を持つ」「コミュニケーション能力を身につける」といった行動で素質を身につけると良い
直接目指すのが難しい職業ではありますが、音響監督になるためのルートはいくつか存在します。
まずはアニメ・ゲームといった分野にこだわらず、音響制作の経験を積み重ねていくのが良いでしょう。