ここ数年の社会はますますグローバル化が進み、TOEICなどのテスト受験が盛んになるなど、英語力のある人材に対する需要が高まっています。
では、ゲーム業界で働く人にも同じように英語力が求められているのでしょうか。
今回、Pacific Metaマガジンではゲーム業界に必要な英語スキルについて以下の内容を紹介いたします。
- ゲーム業界に英語は必須?
- ゲーム業界で特に英語が必要とされる職種
- 英語力を磨く方法
- ゲーム業界に入るために必要なスキル
- ゲーム業界の職種と仕事内容について
- ゲーム業界に転職するなら
職種によってどの程度の英語力が必要なのか、なぜ必要なのかなど、具体的なケースに分けて詳しく見ていきます。
ゲーム業界で働くなら英語力は必須?
いよいよ「ゲーム業界では英語力が必要か」という本題に入ります。
最初に結論を言ってしまうと、以下のようになります。
- 他の職場に比べて高い英語力が求められるケースは少ない
- 英語力があれば職種や業務の選択肢が広がる
英語が苦手でも入社は普通にできるが、習得すれば入社後に活躍の場を広げられる可能性が高い、といったイメージです。
なぜそのように考えられるのか、次の項目で見ていきます。
なぜ英語力が必要なの?
ゲーム業界で英語力が必要になるシーンを考えてみましょう。
- プログラムの単語が英語だったり、ゲームの用語に英語が使われたりしている
- 海外でおこなわれるイベントへの参加
- 外国人のメンバーとコミュニケーションを取る
- 英語圏向けに展開するゲームの情報発信・翻訳
- 海外ユーザーからの意見を取り入れる
職種にもよりますが、英語力が必要になる場面が色々考えられます。
日常会話レベルが必要になるケース・職種は多くないですが、英語ができることによって選択肢が広がるのは間違いないでしょう。
どの程度の英語力が必要なの?
必要な英語力については、目指す職種によって大きく異なります。
プログラムやソフトウェアに使われている英語は必要最低限なものを覚えればいいため、入社後の経験で十分カバーできるでしょう。
プログラマー・グラフィックデザイナー・デバッガーなどは、一部を除きそれほど高い英語力を必要としません。
一方、海外のユーザーを相手にするような仕事では高い英語力が必須となります。
広報やカスタマーサポートはもちろん、海外展開を視野に入れたゲームでは企画書段階で英語を用いる場合もあります。
プロデューサーやディレクターといった上位の役職に就いている方も、イベントなどで海外のクリエイターと話をする機会が多く、英語力が必要になるでしょう。
ゲーム業界で英語力が必要な職種
上の見出しでも触れた英語力が必要な職種について、4つに分けて詳しく見ていきます。
これらの職種を目指す方は特に注目してご覧ください。
エンジニア職
今回紹介する中では、必要な英語レベルは最も低いと考えられます。
プログラミング言語は英語で書かれることが一般的ですが、プログラムに関わる英単語は数が限られているため、大まかな意味を捉えるのはそこまで難しくありません。
分からない言葉があった際に、Webの翻訳等で調べればほとんどは対処できるでしょう。
ただし、海外発祥の新技術を取り入れる場合はこの限りではありません。
海外で生まれ日本に浸透していないプログラミング言語、ゲームエンジンを扱うとなった場合には、日本語の資料が乏しい状態です。
自分が先頭に立って新技術に立ち向かうケースは稀だと思いますが、技術の進化へと対応するために英語力が役立つ場面も考えられます。
営業職
海外向けに営業・広報・プロモーションを仕掛けていく方には英語力が必須となります。
日常会話の他に、ゲームの内容やマーケティングの用語なども扱う必要があるので、要求される英語力はかなり高いものになります。
もっとも、国内向け・国外向けの人材はそれぞれ別で用意されていることが多いので、英語ができなければ営業職になれないということは全くありません。
逆に海外展開をおこなっている会社で営業職を目指す際に、英語力が高ければ大きなアピールポイントになります。
企画職
最近では、日本でヒットしたゲームを海外展開したり、あるいは最初から全世界同時に販売するといった手法が一般的になりつつあります。
そういった意味では、プロデューサー・ディレクター・プランナー(ゲームデザイナー)といった企画職は高い英語力が求められる職種です。
ここで言う英語力とは、単純に英語を読み書きする能力だけではなく、英語圏の文化に対する理解力も指します。
海外のマナー・しきたり、人気の出やすいトレンド、禁止されている表現などは日本と違ってくるため、それらを意識した企画を最初から作ることで、海外展開へのハードルを大幅に下げられるはずです。
ローカライザー
ローカライザーとは、日本で発売されたソフトを海外向けに、あるいは海外で発売されたソフトを日本向けに翻訳する人を指します。
ゲームをローカライズする際は、文化の違いに合わせてシステム周りの画面配置やボタン配置を変更したりという作業も発生しますが、これらは「カルチャライズ」と呼んで区別され、ローカライザーの仕事とは別であることがほとんどです。
大手企業で制作された市場規模の大きいソフトは、海外展開を考えローカライザーをつけることが多いですが、ゲームには専門用語や固有名詞があふれているので、微妙なニュアンスを理解した上で翻訳をするのは簡単ではありません。
当然、ローカライザーには高い英語力が必須であり、実力が年収にも直結する仕事です。
ゲーム業界で必要な英語を勉強する方法
ここからは英語の勉強方法について触れていきます。
ゲーム業界に絡めた補足説明も入れていくので、ぜひご覧ください。
英会話スクールへ通う
話す・聴く力を高める上では、最もポピュラーで効果があります。
特に会話の多い営業職で英語力を活かしたい方にはおすすめです。
決められた時間に通う必要がある、お金がかかるといったデメリットはありますが、日常会話レベルの英語を体系的に習得することができます。
ただ、ゲーム業界の英語力といった部分では足りないところもあるので、専門用語などについては独学を組み合わせた勉強を検討しましょう。
語学留学で学ぶ
思い切って留学をするという手もあります。
留学の最大のメリットは、海外の文化を知れるところ。
プランナーなどの企画職やローカライザーといった職種を目指すのであれば、留学の経験は確実に役立ちます。
また、半ば強制的に英語を浴びることになるので、積極的に交流をおこなえば話す・聴く力の向上も期待できるでしょう。
独学で勉強する
最後に紹介する方法は、独学による勉強です。
英語を独学で習得するといっても幅が広いですが、基本的な単語が身についたと感じた後におすすめなのが、ゲームやアプリを英語でプレイすること。
海外版のゲームを輸入するのはややハードルが高いですが、最近は日本製品でも英語の音声や字幕を付けられるものが増えています。
一度日本語でプレイした後に英語へ切り替えれば、何を言っているのかおおよそ理解できるはずですし、翻訳による変化を確認することもできます。
特にローカライザーを目指す方にとっては必須とも言える勉強法です。
ゲーム業界に入るために英語力以外で必要なスキル
続いては、英語に限らずゲーム業界で必要なスキルを見ていきます。
英語力と合わせて、足りないところや伸ばしたいところがあればチェックしてみてください。
企画力
プロデューサー・ディレクター・プランナーといった企画職には当然必要となってくるスキルです。
企画書やプレゼンテーション資料の作成などが代表的な仕事として挙げられますが、あわせて人に伝えるための資料作りや話し方が重要になってきます。
良いものを作るための努力はもちろんですが、何も知らない他人が見ても理解できるような企画作りを心がけましょう。
プログラミングスキル
もちろんプログラマーには必須のスキルですが、企画職を目指す上でも習得していたほうが望ましいです。
企画には自由な発想が欲しいところですが、最終的にプログラムとして実装することを忘れてはいけません。
プログラミングスキルを習得することで実装時のイメージを反映した企画を作れるようになり、いざ制作に移った時にスムーズな進行が期待できます。
プログラミングがどうしても苦手な方は、考え方の基礎となるアルゴリズムなどの理解を最初に目指しましょう。
創造力
現実に無いものを生み出すゲーム作りは、全体で見れば創造力の必要な行ためです。
特にプランナーなどの企画職には必要なスキルと言えるでしょう。
「創造力」というと、今までにない画期的なものを誕生させる力というイメージがありますが、それだけではありません。
今までの慣習を壊して、ちょっとした変化を生み出すことも立派な創造となり得ます。
特にゲーム作りにおいては、プレイヤーを飽きさせないためのちょっとした工夫が評価を大きく上げることも珍しくありません。
発想力
創造力と似ていますが、こちらは企画の源となるひらめきとも言える能力です。
やはりプランナーなどの企画職に欠かせない力と言えるでしょう。
発想力はセンスが全てだと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
発想に必要な要素は、知識を多く蓄えることと、意識を常に研ぎ澄ますことです。
画期的なゲームを数多く生み出している人も、裏では相当な努力をしているはず。
企画職を目指す方は、時にはゲーム以外の刺激にも触れ、ゲームに活かせる要素は無いか一瞬でも考えるクセをつけましょう。
コミュニケーション能力
ゲーム業界に限った話ではありませんが、コミュニケーション能力はどの職種においても必要になります。
チームの取りまとめをするプロデューサーやディレクターはもちろん、企画を説明する必要のあるプランナーにも高い能力が求められるでしょう。
また、黙々と作業する印象の強いプログラマーも、ゲーム作りにおいてはグラフィックやシナリオ、BGMの実装などで他の班と連携を取る機会が多いです。
1つのゲームを作り上げるために、コミュニケーション能力は必須と言えます。
ゲーム業界の主な職種と仕事内容
ゲーム作りのメインとなる職種とその仕事内容について、簡単に説明していきます。
ゲームプロデューサー
ゲーム作りを統括する立場で、簡単に言ってしまえば制作に携わる中で一番偉い人です。
一般的に名前を知られている人物も多く、そのぶん成功・失敗の要因を1人で負うこともあります。
体外的な活動も多く、海外でのイベントに参加する機会などもあるでしょう。
ゲームディレクター
ゲーム制作の現場における責任者です。
普通はプロデューサーのすぐ下に位置する職種ですが、プロデューサーと兼任する場合もあります。
チームメンバーを管理する立場なので、海外スタッフと会話をする場面も多いでしょう。
ゲームプログラマー
ゲーム作りの要であるプログラミングをおこない、時にはテスト工程にも参加します。
一人前のプログラマーであれば、2つ3つと複数のプログラミング言語を習得しているでしょう。
プログラム言語やエラーメッセージなどは英語表記なので、日常的に英語に触れる機会は多いです。
ゲームプランナー
ゲームの構想を考えてアイデアを出す企画職です。
自分のアイデアを説明するため、プレゼンテーションの機会も頻繁にあります。
大きな会社であれば、最初から英語圏をターゲットに含めた企画を立ち上げることもあるでしょう。
ゲームデザイナー
ゲームデザイナーは、ゲームプランナーと同じ意味で使われることが多い企画職です。
グラフィックデザイナーと混同されがちですが、絵を描く職種ではありません。
プランナーと同じく、海外展開を視野に入れたプロジェクトに携わる機会もあるでしょう。
デバッガー
ゲームのバグや不具合を見つけるのが主な仕事です。
ゲームをより面白くするための改善点を提案する場合もあります。
プログラマーとは分離させてソースコードには触れないケースが多いですが、エラーメッセージ等で英語に触れる機会はあるかもしれません。
「ゲーム業界の職種」についてより詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
ゲーム業界に入るには?
上記いずれの職種を目指すにしても、ゲームメーカー等へ就職するのが一般的です。
ゲーム業界へ入るルートは大卒・専門学校からの新卒、アルバイトからの就職、転職など様々ですが、職種によっては未経験から入ることもできます。
プログラマーやCGデザイナーなどの専門職は完全に未経験だと厳しいですが、求人の募集要件をよく確認し、志望動機などの一般的な面接対策をおこなえば、ゲーム業界に入ることは十分可能です。
ゲーム業界に転職するならマイナビクリエイター
この記事を見ている方は、少なからずゲーム業界での仕事に興味を持っていると思います。
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今回の記事で言えば、「英語が苦手だからスキルを必要としない職場を探したい」「英語が得意だから活かせる仕事に就きたい」といった相談にも細かく乗ってくれるはず。
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また、マイナビのゲーム業界とのコネクションを活かして、メーカーによる説明会や面談等のイベントも数多く開催されています。
直接話を聞ける機会が用意されているのも嬉しいポイントです。
ゲーム業界だけに絞らず、プログラマーといった職種に絞ったキャリア相談にも乗ってくれるので、将来を見据えた長い付き合いにも期待出来ます。
マイナビクリエイターの評判や口コミについては、Pacific Metaマガジンでも調査記事も掲載していますので、マイナビクリエイターについてもっと知りたいという方は、こちらも参考にしてください。
ゲーム業界の英語についてのまとめ
今回Pacific Metaマガジンでは、ゲーム業界で必要になる英語スキルについて、職種の説明を交えながら紹介してきました。
- ゲーム業界には様々な職種があるが、求められる英語力はそれぞれ異なる。
- ゲーム業界に入るだけなら英語力は必須ではない。
- ローカライザーを目指すなら高い英語力が必須。
- 企画職もある程度の英語力や、英語圏の文化に対する理解力が必要。
- 営業・エンジニアでも英語力があると仕事の幅が広がる。
- 英語力を高めるには、言語を英語にしてゲームをプレイするのも効果的。
- 英語以外にも必要なスキルはあるので、目指す職種に応じて優先順位を決めること。
まずは目指す職種を決めて、そこに向かって必要な英語力を鍛えるのが効果的でしょう。
また、ゲーム業界で必要な英語力は日常生活に必要なものとは若干異なるため、勉強の際は注意してください。