VRクリエイターとは、VRで使われる映像を作成する仕事で、VRエンジニアとも呼ばれています。
VRはVirtual Reality(バーチャルリアリティ)の略で「仮想現実」のことを言います。
コンピューターによって作られた仮想の世界をまるで現実かのように体験させる技術です。
最近ではゲームや映画、アニメだけでなく、不動産・医療・旅行・自動車業界にもVRが使用されており、耳にする機会が多いのでないでしょうか。
とはいえ、まだまだ作り手が少なく、将来的に需要がある業界だと言われております。
そこで今回Pacific Metaマガジンでは、VRクリエイターについて、以下の内容を紹介していきます。
- VRクリエイターのなり方について
- VRクリエイターに必要なスキルや資格
- VRクリエイターオススメの専門学校
- 世界的に有名なVRクリエイターについて
その他にも有名VRクリエイターやVRクリエイターの年収なども解説していきます!
VRクリエイターになるにはどんな方法がある?
VRクリエイターになるには独学でも可能ですが、あまりオススメしません。
独学は周りに相談できず挫折しやすいため、学習ができる環境に身を置くことがよいでしょう。
そこで、Pacific Metaマガジンでは下記2つの方法を推奨しています。
- 専門学校・大学でプログラミングや3DCGを学ぶ
- VRコンテンツ制作会社やゲーム会社に就職する
以下、詳しくご説明していきます。
専門学校・大学でプログラミングや3DCGを学ぶ
効率よく学習を進めたい方には、専門学校や大学に通うことをオススメします。
専門学校に通うことで、時間の無駄なくVRクリエイターに必要なスキルが学べ、学習の壁にぶつかっても、その場で講師に教えてもらえます。
カリキュラムも決まっており、必要な知識や技術を無理なく順番に習得していけるのは、初心者にとってありがたいことでしょう。
しかし、お金がかかる点や、学習時間の融通がきかない点を考慮しなければなりません。
とくに働きながら専門学校に通う場合は、授業時間に合わせてスケジュールを調整する必要があるでしょう。
また大学に通うことについては、「VR」と名称がついた学部や学科はまだ多くはなく、基本的には工学系、情報科学系の学部が該当します。
あるいはVRに関連する研究を行っている研究室があれば、その中で知識を取得していくのも1つの方法でしょう。
VRコンテンツ制作会社やゲーム会社に就職する
通学以外では、VRコンテンツ制作会社やゲーム会社に就職することが挙げられます。
VRはまだ私生活には普及しておらず、今後さらに拡大を予想される技術です。
そのため、経験豊富なVRクリエイターは少なく、必要な人材数が不足しています。
業界全体がこのような状態のため、新卒採用した人材をゼロから教育してVRクリエイターに育てる企業も存在します。
企業によっては新卒でなくても、未経験から研修で育成してくれる企業もあるようです。
よって、未経験で入社でもVRクリエイターに必要なスキルを身につけることが可能でしょう。
VRクリエイターになるにはどんなスキルが必要?
VRクリエイターになるために必要なスキルは主に、プログラミングスキル・3DCG技術・デッサン力・発想力の4つです。
以下、順番に説明します。
プログラミングスキル
VRクリエイターはITエンジニアの一種であるため、プログラミング言語を理解できて、扱えるスキルが求められます。
ゲーム開発エンジンはUnityとUnreal Engineがあり、VRクリエイターにはどちらかを使いこなせることが必須と言えるでしょう。
Unityはスマートフォン向けのゲームアプリの開発で多く使用されているエンジンです。
プログラミングスキルがない人でも扱える点が魅力で、プログラミング言語は主にC#やJavaScriptを利用します。
Unreal Engineはゲーム業界では幅広く利用されているエンジンです。
美しいグラフィックが実現でき、よりハイパフォーマンスなマシンスペックが求められるのが特徴です。
マウスだけである程度のゲームの作成ができる点も特徴で、プログラミング言語は主にC++を利用します。
3DCG技術
VRの世界は3DCGが土台に作られています。
3DCG技術はVR領域で活動するのに必須なスキルです。
VRでは仮想現実を目に見える形に実現するため、360度に渡ってCG映像を展開する技術が求められます。
しかし、通常のCG映像と同じ技術・技法なので、CG映像を作成できる方は、VRのCG映像制作に活かせるでしょう。
また、映像を作成するために高機能な3DCGソフトを使用します。
Mayaや3ds Maxが代表的なソフトであり、専用のソフトを使いこなすだけのスキルも求められます。
3DCG技術を極めていけば、3Dグラフィックスを使いこなせる3DCGデザイナーとしても活躍できる可能性もあるでしょう。
デッサン力
VRは没入体験を与えることが重要になるため、違和感のないリアルな世界を作るCG制作が必要になります。
より本物の世界を表現するためには、物の形や光や陰影を正確に把握する力が求められます。
物の構造などを理解して正確に表現することで、リアリティのあるCG制作ができるのです。
普段から物をよく見るデッサン力や観察力も磨くことが大切でしょう。
発想力
ゲームにおいて、実在しない架空の世界をあたかも現実に存在するかのように表現する能力が必要です。
リアリティある作品を作るためには、光と影の入り方・風の影響など、架空の世界ではどのような状態になるのかを、頭の中でイメーできる発想力が求められます。
クリエイター職の適正について詳しく知りたいという方は、こちらの記事も合わせてご覧ください!
VRクリエイターにおすすめの資格
VRクリエイターになるために取得しなければならない資格はありません。
しかし、イラストや映像、CGに対する基本的な知見を持っていることを証明するためにも、取っておいた方がよい資格があります。
CGクリエイター検定
CGクリエイター検定は、CG制作や映像制作の技術力を証明するCG-ARTS協会主催の民間資格です。
CGを利用して映像表現を行うデザイナー・クリエイターのための検定試験で、「ベーシック」と「エキスパート」と難易度によって分かれています。
試験では、2次元と3次元のCGやデザイン・映像制作の基本的な知識から、3次元CGアニメーションの制作手法などの応用的な知識まで問われます。
Photoshopクリエイター能力試験
Adobe社が提供するイラスト制作ソフト『Photoshop』の、活用能力を測り認定する民間資格です。
試験はPhotoshopを使い問題の指示に従って、ひとつのグラフィック作品を1から作り上げます。
限られた時間内で、指示通りに制作しないといけないため、実践的な能力が問われるでしょう。
また、「スタンダード」と「エキスパート」に分かれており、自身のレベルに合わせて試験を受験することができます。
「エキスパート」では、実技試験だけでなく知識試験も出題されるようです。
Illustratorクリエイター能力認定試験
Adobe社が提供するイラスト制作ソフト『Illustrator』の、活用能力を測り認定する民間資格です。
デザイン作成において主に使用されているソフトであるため、デザインを扱う仕事に就きたい人はとっておくべき資格でしょう。
試験はDTPファイルおよびWebデザインパーツの作成や、問題の指示に従って1からひとつの作品を作り上げていきます。
Photoshopクリエイター能力試験同様、限られた時間内で、指示通りに制作するのが求められる課題となるため、実践的な能力が問われるでしょう。
難易度も「スタンダード」と「エキスパート」の2段階に分かれているため、個人の実力に合ったレベルで受験できます。
有名なVRクリエイターにはどんな人がいるの?
VRクリエイターで有名人はいるのでしょうか?
ここではVR業界で前線で活躍する2名を紹介します。
高橋建滋
1人目は高橋建滋(たかはしけんじ)氏です。
1976年生まれで、株式会社桜花一門の代表取締役、NPO法人オキュフェスの代表理事などの肩書を持つ、日本でいち早くVRを手掛けてきたクリエイターです。
元々はゲームプランナーで、早稲田大学応用化学科卒業後、1998年に㈱コーエーに入社。
真三國無双シリーズの立ち上げからプランナーとして参加します。
2008年には㈱クリーチャーズに移籍。
ポケモン初の3Dアクションゲーム、ポケパークのディレクターに携わります。
2013年にゲーム用のデバイスOculusDK1をキックスターターで手に入れることで、VR開発に取組みます。
同年にはVR開発者の交流のきっかけとなるVRコンテンツ出展イベント「Ocufes(オキュフェス、現Japan VR Fest)」を開催し以後、同イベントを継続的に運営します。
2014年に独立。日本初VRでの脱サラをします。
2016年に株式会社桜花一門を設立し、投資を受けながら2017年にはPlayStationVR用ホラーゲーム「Chainman」を開発販売します。
2018年にはOculusGO用「ModernArcheryVR」を販売、2019年にVR会議システム「桜花広場」作成し、現在、自社では出社させない完全VRオフィス化を目指し、VRソフト開発を行っています。
メディアに協力し、テレビでVRが紹介される際には、タレント・芸能人にVRを体験させたり、若手クリエーター・エンジニア向けに講演を行なったり、出版もしているため、日本にVRを普及させている第一人者と言えるでしょう。
浅井宣通
2人目は浅井宣通(あさいのぶみち)氏です。
クリエイティブ・テクニカルディレクター、メディアアーティスト。
人間の顔をマッピングしてリアルタイムに映像を重ね合わせる「リアルタイムフェイスマッピング」をはじめとしたテクノロジーアートで、世界的に知られている方です。
1968年生まれで、東北大学理学部卒業後、数社を経て現在はWOW.inに所属。
ディレクターでありながら自身もアーティストとして世界的に活躍しています。
最初のフェイスマッピング作品、「OMOTE(2014)」は、一週間で500万ビューを記録し世界的な話題を集めます。
2016年のグラミー賞でのレディー・ガガへのフェイスマッピングは世界2億人に同時放送され大きな反響を呼び、「CONNECTED COLORS(2016)」においては、世界十数人のイノベーターの1人に選出。インテルのCMで全世界で放送されます。
さらに、長編VR作品「攻殻機動隊 新劇場版 Virtual Reality Diver」は、2018年ベネチア国際映画祭でBest of VRを受賞。
他、国内外で数々の賞を受賞しつつ、スピーカーとしてもグローバルに活動しています。
デザイン・アートとテクノロジーの融合により革新的な表現に挑戦し続けており、日本を代表するVRクリエイターでしょう。
VRクリエイターになるには専門学校がオススメ!
VRクリエイターになるには、専門学校に通う・VRコンテンツ制作会社に就職する方法があると、先述しました。
VRコンテンツ制作会社に入社し、研修で技術を身に着けていくことも1つの方法ですが、全く知識やスキルがない状態でVRクリエイターの就職を目指す場合、採用においては不利になりやすいこともあるようです。
ですので、全くの初心者であれば専門学校に通い、あらかじめVRの知見やスキルを習得しておくのが良いでしょう。
以下、オススメの専門学校を紹介します。
代々木アニメーション学院
代々木アニメーション学院は、マルチなゲームクリエイターを目指せるゲーム総合科とゲームプログラマーに特化したゲームプログラミング科があります。
Unityとトレーニングパートナー契約を結んでおり、認定資格取得をめざしたカリキュラムを実施しています。
とくにゲームプログラミング科では、Unreal Engineも習得でき、さらにはゲーミングPC、VR機器(VIVE ProEye、OculusRift S)などの充実した設備・環境の中で、3DCG技術からモーションキャプチャーまでVRクリエイターに必要なスキルを学習できるのは魅力でしょう。
また、学部・学科を超えてのチーム制作ができるため、ゲーム企画から開発までの流れを体験できます。
代々木アニメーションではチーム制作実習を通じて、チームワークやチーム内でとるべき個人の行動が学べ、実践で活かせる経験が積めるではないでしょうか。
就職活動においても、学校の講師による就職カウンセリングなどの手厚いサポートも受けられ、学校と提携している企業の採用枠が年間で500枠近くもあります。
就職を有利に進められるのはありがたいですね。
アミューズメントメディア総合学院
アミューズメントメディア総合学院は、ゲーム・アニメ・イラスト・小説といった幅広いコンテンツのクリエイター育成に力を入れている専門学校です。
VRクリエイターに関する学科としては、ゲームプログラマー学科やゲーム・アニメ3DCG学科があり、ゲーム制作・アニメ制作・CG制作など必要な技術が習得できるでしょう。
ゲームプログラマー学科では、「ゲーム開発をプロと同じ方法で実践すること」を重視しており、入学年に講義と並行して、ゲーム開発実習を3回行い、就職活動用に3つのゲーム作品をつくります。
ゲーム・アニメ3DCG学科では、世界的な評価を得ているカリキュラムと、1年次に2回のゲーム開発実習、2年次に2回のアニメ制作実習、計4回の共同制作実習により実践的な経験とスキルを習得していきます。
どちらも、現場出身の学科担任が講義を行い、プロクリエイターから週一回の技術指導や作品評価などのアドバイスが受けられ、初心者にもしっかりしたサポートされています。
ゲーム業界の業界就職率が過去には2年連続100%という実績もあります。
就職における実績の高さも人気の1つと言えるでしょう。
また、独自の産学共同があります。
内容はグループ企業が寄りあって作品制作の場を提供。それらの制作現場に在校生が参加することで、プロの現場体験ができる仕組みです。
産学共同を利用して、在学中からデビューをしている方や、就職に繋がっている方もいるよようですので、チャンスが与えられているのも魅力ではないでしょうか。
総合学園ヒューマンアカデミー ゲームカレッジ
総合学園ヒューマンアカデミー ゲームカレッジは、ゲーム業界に特化したクリエイターの育成をおこなっている専門学校です。
プログラマーやプランナー、eスポーツまで細かく学科が用意されているので、効率よく目指す分野の学習ができるでしょう。
VRクリエイターに関する学科としてはゲームプログラマー専攻、CGデザイナー専攻です。
ゲームプログラマー専攻では、C / C++をはじめプログラミング言語の学習だけでなく、授業にIT資格取得対策も組み込まれており、就職サポートも行っています。
もちろんUnityなどのゲームエンジンの習得と、OculusRiftなどのVR機器を実装したゲーム制作ができ、VRの最新技術も学べます。
CGデザイナー専攻では、2DCGと3DCGの両方のスキルを身につけることができます。
2DCGはPhotshop、Illustratorを、3DCGは、3Dsmax、Premire、AfterEffectsなどのソフトにおける操作方法をはじめ、現場のワークフローで求められるレベルを目指したカリキュラムになっています。
過去にはスクウェア・エニックスのマネージャーによるCG制作セミナーが開催されたこともあり、ゲーム業界の第一線で働くプロフェッショナルから直接講義を受ける機会があるのも魅力でしょう。
また、「ゲーム合宿」も外せません。
これは全国のヒューマンアカデミーゲームカレッジの学生とゲーム会社が集い、学生は自己制作したゲームをプレゼンなどで業界企業にアプローチできるとともに、面接・会社説明会を受けられるイベントです。
ゲーム合宿で内定が決まった学生も多数おり、学生と企業とのマッチングの場となっているようです。
総合学園ヒューマンアカデミー生だけの特権を活用するのもよいのではないでしょうか。
VRクリエイターの年収ってどれくらい?
VRクリエイターの年収は「IT人材白書2020」によると、VRエンジニアを含む先端IT従事者においては、年収1000万から1500万の人の割合が最も高く(15.2%)、次に年収600万から700万(13.6%)となっています。
対して先端IT非従事者では、最も高くて年収500万から600万の人(15.2%)であることから他の職種と比べて比較的高いと言えるでしょう。
(引用元:IT人材白書2020)
もちろん未経験であれば年収は下がり、即戦力となるスキルを持っていれば年収は増え、個々の実績に応じて年収は変動します。
他の職種と比べて比較的年収は高いといえども、自身の能力向上は必須です。
VRクリエイターについてのまとめ
今回Pacific Metaマガジンでは、VRクリエイターについて紹介してきました。
本記事の内容を以下にまとめてみました。
- VRクリエイターになる方法は専門学校・大学でプログラミングや3DCGを学ぶか、
VRコンテンツ制作会社やゲーム会社に就職するかの2種類がある - 初心者は専門学校で、効率よくVRの知識・スキルを身につけるのがオススメ
- VRクリエイターはプログラミングスキル・3DCG技術・デッサン力・発想力が求められる
- CGクリエイター検定・Photoshopクリエイター能力試験・Illustratorクリエイター能力認定試験の資格を取得しておけば差別化できる
- VRクリエイターの年収は他業種に比べて高い
需要があり、未経験者でもきちんと学習すればスキルを身につけられるので、興味がある方はVRクリエイターを目指してみてはいかがでしょうか。