昨今3DCG技術の進歩が目覚ましいアニメ業界ですが、まだまだ手描きでアニメ制作を行う機会は多くあります✨
手描きでアニメ制作に取り組むには、長年培われてきたスキルと使いやすい道具の数々が欠かせないでしょう。
そんなアニメーター必須の道具1つが、鉛筆です。
歴戦のアニメーターたちは、一体どんな鉛筆をどのように使うのでしょうか?
今回Pacific Metaマガジンでは、アニメーターの鉛筆について以下の内容を中心にご紹介します。
- アニメーターがよく使う鉛筆の種類と硬さ
- アニメーターの鉛筆消費量やシャーペンの是非について
- デジタルアニメーターにおすすめの鉛筆風ブラシ
- アニメーター必須道具一覧
- アニメーターを目指すのにおすすめの専門学校
2021年6月には、アニメーター御用達の色鉛筆が生産終了するということでアニメ業界に激震を走らせました。
どうして生産終了に至ったのか、おすすめの代替品はあるのかについてもお話しします。
アニメーターがよく使う鉛筆
アニメーターに欠かせない道具はたくさんありますが、そのなかでもこれが無いと始まらないというのが鉛筆です。
鉛筆はアニメーターの武器ともいえるもので、使い心地などの観点からブランドにこだわる方も少なくありません!
数多ある鉛筆ブランドのなかでも、アニメーターに愛されているものがあるといいます?
まずは、アニメーターがよく使うといわれている鉛筆とその硬さについてご紹介します。
ブランド
全編3DCG作品でない限り、アニメの一瞬一瞬を手描きしなければなりません。
キャラクターを手描きするために最も使用されているのが鉛筆と色鉛筆です。
一言に鉛筆といえども様々なメーカーのものがありますが、アニメ業界ではどんな鉛筆が使われているのでしょうか?
アニメ業界で最も親しまれているのが、こちらの三菱のuni(ユニ)シリーズです。
uniには鉛筆から色鉛筆まであり、アニメーターといえば三菱の鉛筆!というほど愛用されてきました✨
uniは「学生からプロの方まで」を謳っており、様々な用途に使用できるほどバランスの取れた鉛筆といえるでしょう。
なかでもハイユニと呼ばれる鉛筆は、大小の粒子を混合することでより滑らかに線を描けるように改良されています!
鉛筆の濃さ
鉛筆にはHB、B、2Bなど硬さが異なり、硬さによって描いたときの線の濃さが異なります。
硬いほど丈夫で薄い線を引くことができ、柔らかいほど太く濃い線を引くことができるんです。
鉛筆の硬さの種類は17と多いですが、アニメ業界でよく使われる鉛筆の硬さは決まっています。
アニメ業界では、基本的に2Bが最も使用される濃さのようです。
2Bは鉛筆の硬さのなかでも5番目に硬いため、日常生活で普通に使用される鉛筆よりも色が濃いといえるでしょう。
とはいっても、アニメ業界では2Bしか使わないというわけではありません!
アニメーションでは様々な演出を行うために、用途によって鉛筆の硬さを使い分けます✨
細かい部分は2Bよりも薄いBを使い、エフェクトなど派手に描写しなければならない部分は4Bを使います。
一般的に好んで使用されているHBは、アニメーターにとってはほとんど使う機会がないということですね。
アニメーターに人気の硬質色鉛筆が生産終了
前述のように、アニメ業界では三菱の鉛筆や色鉛筆が定番のように使用されてきました。
しかし三菱は、2021年6月末までに販売している鉛筆のうち「硬質色鉛筆」の生産を終了すると発表しました。
生産終了の理由は「原材料調達の問題から」とのことで、アニメ業界からは悲しみの声があがっています。
アニメーターの1日の鉛筆の消費量
アニメーターは常に同じ線の細さを維持するために、頻繁に鉛筆を削ります。
そのため鉛筆の消費量は激しく、2~3日に1本のペースで無くなるといわれています。
アニメーターのシャーペンと鉛筆の使用比率とその理由
アニメ―ターのなかでのシャーペン使用率はかなり低いようです。
シャーペンは簡単に折れてしまうことに加え、筆圧が安定しません。
そのため、スタジオによってはシャーペンの使用を禁止しているところもあるようです!
クリスタで使えるおすすめの鉛筆風ブラシ
デジタルアニメーターの方で、鉛筆のような作画をしたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、クリスタで使えるおすすめの鉛筆風ブラシについてご紹介します!
アニメーター専用リアル風鉛筆 社内の人監修版
こちらは、実際にアニメーターとして働いている方に監修をしてもらったアニメーター専用リアル風鉛筆というブラシです。
B~F程度の硬さを想定して作られているため、実際のアニメ制作現場と近い鉛筆を楽しむことができます。
シン・アニメーター専用鉛筆
こちらはアニメーターを職業とする方が直々に制作したブラシで、その名もシン・アニメーター専用鉛筆といいます。
ダウンロード後には紙質設定を「漆喰」もしくは「鉛筆」に変更することが、作者によっておすすめされていますよ。
アニメーターにおすすめの色鉛筆
前述の通り、アニメーター御用達の三菱硬質色鉛筆が生産終了してしまいました。
代替品が見つからない…!という方におすすめな色鉛筆は、トンボ鉛筆 硬質色鉛筆・Col-Erase 色鉛筆などです。
詳しくは下記のリンクを参照してみてくださいね✨
アニメーターの仕事道具は鉛筆だけじゃない!
アニメーター必須の道具として鉛筆を紹介してきましたが、アニメーターに欠かせない道具は鉛筆だけではありません。
ここでは、アニメ制作に必要な道具についてまとめてご紹介します!
鉛筆
ご紹介した通り、アニメーターとして最も欠かせない道具です✨
この鉛筆でアニメーションのなかの動きを細かく再現していきます。
消しゴム
いくらプロのアニメーターでも、描いた線が気に入らない・消したいと思うことがあります。
そんな時には、鉛筆の線を消せる消しゴムがあれば問題ありません。
鉛筆同様に、アニメーターそれぞれにこだわりの消しゴムがあるようですよ?
作画用紙
線が描けても、描く場所が無ければ仕方ありません?
鉛筆と共に最も欠かせないのが作画用紙です。
たった数秒のアニメーションを作るのにも、大量の作画用紙を消費します。
鉛筆削り
アニメーターは、常に同じ太さ・濃さの線を描くために頻繁に鉛筆を削ることを求められます。
鉛筆削りには手動のものと電動のものがありますが、鉛筆を差し込むだけで削ることができる電動鉛筆削りが愛されているようです。
定規
どれほど作画上手な方でも、機械類をフリーハンドで描くのは難しいでしょう。
まっすぐに綺麗な線を描くために、定規があると便利です。
ライトボックス
いわゆるトレス台と呼ばれるものです。
紙をLEDで照らして透けさせることで、似た構図の絵を寸分たがわず描くことができます。
タップ
紙をずれないように固定する道具です。
平たい棒状のものにいくつかの突起が付いており、穴の開いた紙に突起を通すことで固定します✨
クリップ
大きな動きの間に挟む細かい動きを描く(タップ割)ときに欠かせないのがクリップです。
クリップはなるべく長さがあると便利ですよ。
手袋
アニメを動かすフィルムに指紋が付かないように、手袋をすることもあります。
手袋を付ければ、指紋や手の汚れがフィルムに付くことはありません✨
字消し板
字消し板は、主にステンレスなどの素材でできている薄い板です。
四角や丸などいくつかの模様に切り抜かれており、ちょっとしたはみ出しなどを部分的に消したいときに便利ですね。
羽ぼうき
絵の上の消しゴムくず、もしくは鉛筆の粉などを払うときに使います。
手で払ってしまうと、さらに手の汚れが絵に付いてしまうことがありますが、羽ぼうきを使えばそんな事態を防げます✨
「アニメーター 仕事」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
アニメーターにおすすめの鉛筆の持ち方
基本的には自分の描きやすいように持つのが一番です。
しかし、絵が上手い方の持ち方を見ると、鉛筆の持ち手を長く持っている方が多いようですね。
持ち手を長く持つと、より可動域が広くなるため柔らかい線が描きやすくなるのかもしれません✨
アニメーターがやっている短くなった鉛筆を繋げて長い鉛筆を作る方法
短くなってしまった鉛筆は、使いにくくはありますが鉛筆の質としては変わらないので捨てるにはもったいないですよね?
そんなときは、新しい鉛筆に接着して使ってしまいましょう。
新しい鉛筆ならばまだ削り面が平らなので、簡単に短くなった鉛筆を接着することができます。
これを繰り返していけば、少しの鉛筆も無駄にすることなく使い切ることができますね!
アニメーターを目指すのにおすすめの学校
アニメーターを目指したい!でもどんな進路を選べばよいか分からない…という方におすすめしたい進路の1つが専門学校への入学です。
専門学校のなかには、アニメーターを目指す学科が設置されているものも複数あります!
Pacific Metaマガジンがおすすめする、アニメーターを目指せる専門学校についてご紹介します。
アミューズメントメディア総合学院
アミューズメントメディア総合学院は、東京と大阪に拠点を構えるクリエイター専門学校です。
アニメに関する学科だけでも「ゲーム・アニメ3DCG学科」「アニメーション学科」「キャラクターデザイン学科」と豊富ですよ。
なかでもアニメーション学科はアニメーターを目指すのにうってつけの学科で、なんと7年連続業界就職率100%を誇っています。
アニメーション学科は「アニメーター・監督専攻」「制作・プロデュース専攻」の2つに分かれており、前者では作画を中心に、後者では制作管理を中心に学ぶことができます✨
今記事でご紹介したように、鉛筆を用いて作画からアニメ制作に関わりたい方はアニメーター・監督専攻がおすすめです。
アニメーター・監督専攻では、絵が苦手な人でもアニメーターに就職できるように基本的なデッサンから授業を行います!
講師には業界のプロが付いてくれるため、即戦力になれるようなスキルが身につきますよ?
アミューズメントメディア総合学院のアニメーション学科からは、MAPPA・ufotable・マッドハウス・サンライズ・東映アニメーションなどへの就職実績があります。
『電光超特急ヒカリアン』の脚本で知られる月永ヒデヲさんも、アミューズメントメディア総合学院のアニメーション学科出身です。
アミューズメントメディア総合学院が気になる方は、まずは資料請求から始めてみてくださいね!
「アミューズメントメディア総合学院」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
「アニメーター 就職」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
代々木アニメーション学院
代々木アニメーション学院は、「代アニ」の愛称でも知られるクリエイター専門学校です。
東京校・大阪校・名古屋校・福岡校・広島校・札幌校・仙台校・金沢校と拠点が多いのが特徴的で、地方に住んでいても学びやすいのが嬉しいですね?
代々木アニメーション学院ではアニメ学部が設置されており、なかでも「アニメーター科」「アニメ背景美術科」「アニメ監督・演出科」「アニメ音響科」に分かれています。
アニメーター科が、その名の通りアニメーターを目指せる学科です。
人体描写と作画技法を集中的に始動するため、アニメ制作の現場で即戦力になるスキルを磨けます!
絵を描くにおいて壁に当たりがちな人体描写ですが、骨の仕組みから学ぶことができるため絵初心者でも安心です。
代々木アニメーション学院からは、ガイナックス・京都アニメーション・サンライズ・スタジオジブリ・東映アニメーションなどへの就職実績があります。
京都アニメーション取締役であり『涼宮ハルヒの憂鬱』の総作画監督でも知られる池田晶子さんも、代々木アニメーション学院のアニメーター科出身です。
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総合学園ヒューマンアカデミー
総合学園ヒューマンアカデミーは、ヒューマンホールディングスの傘下企業によって経営されているクリエイター専門学校です。
札幌校・仙台校・千葉校・大宮校・東京校・新宿校・秋葉原校・横浜校・富士河口湖校・静岡校・名古屋校・京都校・大阪校・神戸校・広島校・北九州校・福岡校・熊本校・鹿児島校・那覇校と全国に20校舎を展開しています。
クリエイター専門学校のなかでも、これだけ多く全国展開しているのは総合学園ヒューマンアカデミーぐらいのものでしょう✨
総合学園ヒューマンアカデミーでは、ゲーム専攻のなかにアニメーター専攻があります。
そのため、学べるアニメーション技術もどちらかというとデジタルに寄っているのが特徴的です!
デッサンには自信があるからデジタル機器を中心に学びたい、という方には総合学園ヒューマンアカデミーがおすすめですよ。
総合学園ヒューマンアカデミーからは、カプコン・コナミデジタルエンタテインメント・スクウェア・エニックス・スタジオジブリ・レベルファイブなどへの就職実績があります。
就職実績を見ても分かる通り、どちらかというとゲーム業界でのアニメーション制作に取り組んでいる方が多いようですね。
総合学園ヒューマンアカデミーが気になる方は、まずは資料請求から始めてみてくださいね!
アニメーターの鉛筆についてのまとめ
今回Pacific Metaマガジンでは、アニメーターの鉛筆について以下の内容を中心にご紹介しました。
- アニメーターに最も親しまれているのは三菱鉛筆
- 三菱硬質色鉛筆は2021年6月末に生産終了
- アニメ制作にシャーペンは向かない
- おすすめの鉛筆風ブラシは「アニメーター専用リアル風鉛筆 社内の人監修版」「シン・アニメーター専用鉛筆」
- おすすめの色鉛筆は「トンボ鉛筆 硬質色鉛筆」「Col-Erase 色鉛筆」
- アニメーター必須道具は鉛筆以外にもたくさんある
- アニメーターを目指すなら専門学校に行こう
アニメやゲームの供給が増えるなか、これらの業界に関わるクリエイターの需要は日に日に増してきています。
特に作業量も多くクオリティの高さも求められるアニメーターは、即戦力を欲しがる現場も少なくありません。
アニメーター専門学校ではアニメーターになるための基礎の基礎から学ぶことができ、業界が欲しがる即戦力になることも夢ではありませんよ。
また、今記事で紹介したアニメーター必須道具はどれも値段が張るものではありません。
個人的に収集し、今のうちに扱いに慣れておくのも良いですね?
アニメーターを目指したい方は、まずは専門学校への入学を考えてみましょう!