声優をはじめとして、声の仕事をしている方におなじみとなっている練習方法が外郎売(ういろううり)という歌舞伎演目の台本を朗読することです。
今回Pacific Metaマガジンでは、そんな外郎売について全文の内容をお届けし、声優さんがどう練習に役立てているかなどを紹介します。
見出しは以下の通りです。
- 外郎売の全文(ふりがな付き)
- 外郎売の全文の意味を現代語訳で知ろう
- 声優が外郎売で意識して練習するポイント
- 声優を目指すなら外郎売は暗記しないといけない?
- 外郎売の暗記のコツ
- プロ声優が読む外郎売の動画
- 声優を目指すなら滑舌のために外郎売とあわせてやりたい練習方法
- 声優を目指すならプロダクション直属の養成所がおススメ
- 外郎売(ういろううり)ってどうして有名なの?
声優を目指しているという方は、全文を暗記する勢いで読み込んでみてください!
外郎売の全文(ふりがな付き)
まずは『外郎売』の全文を掲載します。
元になっている台本が非常に古いため、掲載されている資料によっては漢字や読み方が若干異なる場合もありますが、大枠の内容は共通しているはずです。
この後に載せている現代語訳も合わせてじっくりご覧ください。
第一節
拙者親方と申すは、御立会(おたちあい)の中(うち)に、御存じのお方もござりましょうが、お江戸を立って二十里上方(かみがた)、相州(そうしゅう)小田原一色町(いっしきまち)をお過ぎなされて、青物町(あおものちょう)を登りへお出(いで)なさるれば、欄干橋虎屋藤右衛門(らんかんばしとらやとうえもん)、只今は剃髪(ていはつ)致して、円斉(えんさい)と名乗りまする。
元朝(がんちょう)より大晦日(おおつごもり)までお手に入れまする此(こ)の薬は、昔陳(ちん)の国の唐人(とうじん)、外郎(ういろう)という人、わが朝(ちょう)へ来たり、帝(みかど)へ参内(さんだい)の折(おり)から、此の薬を深(ふ)く籠(こ)め置き、用ゆる時は一粒ずつ、冠の透(す)き間より取りい出す。
依(よ)ってその名を帝より、透頂香(とうちんこう)と給わる。即(すなわ)ち文字(もんじ)には頂き、透く、香(におい)と書きて、『とうちんこう』と申す。
只今は此の薬殊(こと)の外(ほか)、世上(せじょう)に弘(ひろ)まり、ほうぼうに偽看板(にせかんばん)を出(だ)だし、イヤ、小田原の灰俵(はいだわら)のさん俵の炭俵(すみだわら)のと、いろいろに申せども、平仮名をもって「ういろう」といたしたは、親方円斉ばかり。
もしやお立会の内に、熱海か塔ノ沢(とうのさわ)へ、湯治(とうじ)にお出(で)なさるるか、または伊勢御参宮(いせごさんぐう)の折からは、必ず門違(かどちが)いなされまするな。
お上(のぼ)りならば右の方(かた)お下(くだ)りなれば左側、八方(はっぽう)が八棟(やつむね)、表が三ッ棟(みつむね)玉堂造(ぎょうくどうづくり)。
破風(はふ)には菊に桐の薹(とう)の御紋(ごもん)を御赦免(ごしゃめん)あって系図正しき薬でござる。
第二節
イヤ最前より家名(かめい)の自慢ばかり申しても、御存知ない方には、正身(しょうじん)の胡椒の丸呑み白河夜船(しらかわよふね)。さらば一粒たべかけて、その気味合(きみあい)をお目にかけましょう。
先(ま)ず此の薬をかように一粒 舌の上に載せまして、腹内(ふくない)へ納めますると、イヤどうも云(い)えぬは、胃・心(しん)・肺・肝(きも)が健やかになって薫風咽候(くんぷうのんど)より来たり、口中微涼(こうちゅうびりょう)を生(しょう)ずるが如し。
魚(ぎょ)、鳥(ちょう)、木の子(きのこ)・麺類の喰合(くいあわ)せ、その外(ほか)万病速効あること神の如ごとし。
さて此の薬 第一の奇妙には、舌の廻る事が銭(ぜに)ごまが跣足(はだし)で逃げる。
ひょっと舌が廻り出すと、矢も楯もたまらぬじゃ。
第三節
そりゃそりゃそりゃ、そりゃそりゃ廻って来たは、廻って来るは、あわや咽喉(のど)、さたらな舌(ぜつ)に、か牙(げ)さ歯音(しおん)。はまの二つは唇(しん)の軽重(けいちょう)開合(かいごう)爽やかに、あかさたなはまやらわ、をこそとのほもよろお。
一つへぎへぎに へぎほしはじかみ
盆(ぼん)まめ 盆米(ぼんごめ) ぼんごぼう。
摘み蓼(だて) つみ豆 つみ山椒(ざんしょ)、書写山(しょしゃざん)の写僧正(しゃそうじょう)。
粉米(こごめ)の生噛(なまがみ) 粉米の生噛 こん小米(こごめ)のこ生噛、繻子(しゅす)緋繻子(ひじゅす)、繻子繻珍(しゅすしゅちん)、親も嘉兵衛(かへい)子も嘉兵衛、親かへい子かへい、子嘉兵衛親嘉兵衛。
古栗(ふるくり)の木のふる切り口。
雨合羽(あまがっぱ)か番合羽(ばんがっぱ)か、貴様の脚絆(きゃはん)も皮脚絆(かわきゃはん)、我等が脚絆(ぎゃはん)も皮脚絆(かわぎゃはん)。
しっ革袴(かわばかま)のしっぽころびを、三針針長(みはりはりなが)にちょと縫うて、縫うてちょとぶん出せ、河原撫子(かわらなでしこ)、野石竹(のぜきちく)。
のら如来(にょらい)のら如来、三(み)のら如来六(む)のら如来。
一寸先のお小仏(こぼとけ)のお蹴躓(けつまず)きゃるな。細溝(ほそどぶ)にどじょにょろり、京(きょう)のなま鱈(だら)奈良なま学鰹(まながつお)、ちょと四五貫目(しごかんめ)。
お茶立ちょ茶立ちょ、ちゃっと立ちょ茶立ちょ、青竹茶筅(あおたけちゃせん)でお茶ちゃと立ちょ。
第四節
来るは来るは何が来る、高野(こうや)の山のおこけら小僧、狸百匹、箸百膳(はしひゃくぜん)、天目百杯(てんもくひゃっぱい)、棒八百本(ぼうはっぴゃっぽん)。
武具・馬具・武具・馬具・三武具馬具(みぶぐばぐ)、合わせて武具・馬具・六武具馬具(むぶぐばぐ)
菊、栗、きく、くり、三菊栗(みきくくり)、合わせて菊、栗、六菊栗(むきくくり)。
麦、塵(ごみ)、麦、塵、三麦塵(みむぎごみ)、合わせて麦、塵、六麦塵(むむぎごみ)。
あの長押(なげし)の長薙刀(ながなぎなた)は、誰(た)が長薙刀ぞ。
向こうの胡麻殻(ごまがら)は荏(え)の胡麻殻か、真胡麻殻(まごまがら)か、あれこそほんのまの真胡麻殻。
がらぴぃがらぴぃ風車(かざぐるま)。
起きゃがれこぼし、起きゃがれ小法師(こぼし)、昨夜(ゆんべ)も溢(こぼ)して又 溢した。
たぁぷぽぽ、たぁぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、たっぽたっぽ干蛸(ひぃだこ)、落ちたら煮て食おう。
煮ても焼いても喰われぬ物は、五徳(ごとく)鉄弓(てっきゅう)かな熊童子(ぐまどうじ)に、石熊(いしくま)石持(いしもち)、虎熊(とらくま)虎きす
中(なか)にも東寺(とうじ)の羅生門には、茨木童子(いばらぎどうじ)がうで栗五合(くりごごう)つかんでおむしゃる。
かの頼光(らいこう)の膝元去らず。
第五節
鮒(ふな)・金柑(きんかん)・椎茸(しいたけ)・定めて後段(ごだん)な、蕎麦切(そばきり)素麺(そうめん)、饂飩(うどん)か愚鈍(ぐどん)な子新発知(こしんぼち)。
小棚(こだな)の小下(こした)の小桶(こおけ)に、小味噌(こみそ)が小有(こあ)るぞ、小杓子(こしゃくし)小持(こも)って小掬(こすく)って小寄(こよ)こせ。
おっと合点だ、心得田圃(たんぼ)の川崎・神奈川・程ヶ谷・戸塚は走って行けば、灸(やいと)を擦り剥く三里ばかりか、藤沢、平塚、大礒(おおいそ)がしや、小磯(こいそ)の宿(しゅく)を七つ起きして、早天早々(そうてんそうそう)、相州小田原、透頂香(とうちんこう)、隠れ御座らぬ。
貴賎群衆(きせんぐんじゅ)の、花の御江戸の花ういろう。
アレあの花を見て、御心(おこころ)を御和(おやわ)らぎやと言う、産子(うぶこ)・這子(はうこ)に至(い)るまで、此の外郎の御評判、御存じ無いとは申されまいまいつぶり、角出せ棒出せぼうぼう眉に、臼(うす)、杵(きね)、すりばち、ばちばち、ぐわらぐわらぐわらと、羽目をはずして今日(こんにち)おいでのいずれも様(様)に、上げねばならぬ、売らねばならぬと息せい引っぱり、東方世界の薬の元じめ、薬師如来(やくしにょらい)も照覧あれと、ホホ敬って外郎はいらっしゃりませぬか。
外郎売の全文の意味を現代語訳で知ろう
続いては現代語訳を載せます。
忠実に単語を1つ1つ記載するだけではなく、ある程度意訳している部分もありますのでご了承ください。
また、特に第三節以降は語呂合わせを重視した早口言葉がメインになるので、あまり物語性には期待しない方が良いかもしれません。
第一節
私の親方というのは、ここに居る方の中にもご存知の方はいるでしょうが、江戸から二十里(約80km弱)大阪方面へ進み、相模(現在の神奈川)小田原にある「一色町」を過ぎて、「青物町」をさらに行ったところにおり、欄干橋虎屋 藤右衛門、今は髪を剃って隠居しており、「円斎」と名乗っています。
元旦から大晦日まで手に入れることができるこの薬は、昔「陳」の国(実在した国ではない)の外国人、「外郎」と名乗る人が我が国へきて、帝へ参上したときからこの薬を大事にしまっており、使う時は1粒ずつ帽子の隙間から取り出しました。
その様子から、(薬の名前は)帝より「透頂香」と付けていただく。つまり文字では「頂き」「透く」「香」と書いて「とうちんこう」という。
今では、この薬は思った以上に世間に広まり、色々なところで偽物まで出るようになり、いや小田原産の「灰俵」だの「さん俵」だの「炭俵」だの色々言われていますが(「灰俵」以降は小田原にかけて「~わら」と韻を踏んでいるだけのダジャレ)、ひらがなで「ういろう」と書いているのは親方の円斉だけです。
もしやこの場にいる方の中に、熱海や塔ノ沢(現在の箱根)へ湯治に行くときや、伊勢神宮へ参る際には、絶対間違いないようにしてください。
大阪方面へ向かうならば右側に、江戸へ行くのならば左側に店はあり、八方(の屋根)には計8つの棟があり、表からは3つの棟が見える立派で美しい建物です。
屋根の合わせ目の部分には菊や桐の薹の御紋を使うことを許されている、由緒正しい薬なのです。
第二節
さて、先程から店の自慢ばかり言っていても、知らない方にとっては胡椒を丸呑みしたときの味のように、名所を寝て通りすぎた白河夜船の話のように、ありがたみが無いことでしょう。であれば1粒服用してみて、その効き目をお見せいたしましょう。
まず、この薬をこのように1粒舌の上に乗せて腹の中へおさめると、何とも言えず胃・心・肺・肝臓の調子が良くなって、爽やかな風が喉の奥から来て口の中に涼しい風が吹いているようになります。
魚・鳥・キノコ・麺類の食べ合わせで起こる体調不良や、その他の万病にも即効性があるのは、まるで神の仕業のようです。
さて、この薬における特段の効能としては、コマが裸足で逃げ出すほど舌がよく回るようになります。
ちょっと舌が回りだすと矢や盾を持っていても止められないほどだ。
第三節
※ここから先は早口言葉がメインになります。
現代の早口言葉と同じく文章自体に意味が無い場合も多いので、参考程度にご覧ください。
それそれそれ、それそれ舌が回ってきた、舌が回ってくる。
「あ」「わ」「や」は喉音、「さ」「た」「ら」「な」は舌音、「か」は牙音、「さ」は歯音に分類される。
「は」「ま」の2つは唇音で始まるが(薬のおかげで)口の開け閉めがはっきりしている。
「あかさたなはまやらわ」「をこそとのほもよろお」。
一つの「へぎ折敷」「へぎ干し」「はじかみ生姜」
お盆のお供えに使う豆・米・ごぼう
摘んだばかりの蓼・豆・山椒、「書写山」にいるお経を写すお坊さん
粉のようになった粉米の生噛み、砕けてしまった小米の生噛み
繻子(織物)緋繻子(紅染めの繻子)、繻子 繻珍(色とりどりに模様を織り出した繻子)
親も「嘉兵衛」を名乗り子も「嘉兵衛」を名乗る、親嘉兵衛 子嘉兵衛、子嘉兵衛 親嘉兵衛
古い栗の木を切ったときの古い切り口
きちんとした合羽か、安物の合羽か
あなたの脚絆(きゃはん:脛に巻く衣服)も革製の脚絆、我々の脚絆も革製の脚絆
革袴のほころびを3針ざっくりと軽く縫って、縫ってちょっと表に飛び出せ河原撫子、野石竹
のら如来のら如来、三のら如来 六のら如来(※語呂だけ)
目の前の小さな仏様にお躓きになるな
細い溝にどじょうがにょろり
京の生鱈、奈良の生マナガツオ、ちょっと4,5貫(1kg=3.75kg)
お茶をたてろ、お茶をたてろ、すばやくお茶をたてろ、お茶をたてろ、青竹の茶せんでお茶をすばやくたてろ
第四節
来るぞ来るぞ何が来る、高野山金剛峰寺のこわっぱ小僧、タヌキ100匹、箸100膳、茶碗100杯、棒800本
武具・馬具・武具・馬具・三武具馬具、合わせて武具・馬具・六武具馬具
菊、栗、菊、栗、三菊栗、合わせて菊、栗、六菊栗
麦、塵、麦、塵、三麦塵、合わせて麦、塵、六麦塵(このあたりの言い回しには特に意味が無いです)
あの長押(なげし:家の柱を水平に繋ぐ横木)に乗っている薙刀は誰の薙刀か。
向こうにあるゴマの絞りかすは、エゴマの絞りかすか普通のゴマの絞りかすか、あれこそ本当のゴマを使った絞りかす。
「がらぴぃがらぴぃ」と風車がよく回る。
起き上がりこぼし、起きやがれ小法師、昨夜も寝小便をして、また寝小便をした。
たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりからちりから、つったっぽ、たっぽたっぽ干し蛸、地面に落ちてきたら煮て食おう(擬音は太鼓などの音を表現している)。
煮ても焼いても食べられないものは「五徳」「鉄弓」「金童子」に、「熊童子」「イシモチ(魚)」「虎熊童子」「キス(魚)」。
※金童子・熊童子・虎熊童子は、酒呑童子と呼ばれた鬼の手下のこと
酒呑童子の手下の中でも東寺にある羅生門には、手下である茨城童子が腕とゆで栗を5合つかんでいらっしゃる。
かの源頼光のお膝元から離れることなく。
第五節
フナ・きんかん・しいたけ・定めて(源頼光の家来「頼光四天王」である渡辺綱(わたなべの つな)、坂田金時(さかた きんとき)、占部季武(うらべ すえたけ)、碓井貞光(うすい さだみつ)の名前をもじったもの)食後の締めにはそば切り・そうめん、うどんか愚鈍な、なりたて小坊主。
棚の下の桶には味噌があるぞ、しゃもじを持ってすくってよこせ。
おっとガッテンだ心得た、川崎・神奈川・保土ヶ谷・戸塚は走っていけば「やいと」(膝下にあるくぼみでお灸をすえるツボの1つ。「三里」とも呼ばれる)を擦りむくほどの速さで三里ぐらいに距離に感じられる。
藤沢・平塚・大磯(大忙しとかけている)・小磯の宿を午前4時頃に起きて早朝から早々に、相州小田原で知らない人が居ないほどの透頂香を持って江戸に着いた。
身分の高い人から低い人までが集まっている華やかな江戸のように素晴らしい花ういろう。
あれ、あの花を見て心を和やかにしなさいと言いたくなる赤ちゃんや子どもに至るまで、このういろうの評判を知らないとは言うまいな、まいまいつぶり(カタツムリ)。
角出せ棒出せぼうぼう眉毛に、うす・きね・すり鉢のように大きな音を立て、羽目を外して本日来ている全ての皆様に、この薬をあげなくてはならない、売らなくてはならないという気持ちで力を込めて気を張って、東方浄瑠璃世界にいて薬の元締めのような存在である薬師如来もご覧あれと、ほほう(掛け声)敬って申し上げます。
「外郎は、ご入用ではありませんか。」
声優が外郎売で意識して練習するポイント
続いて、声優さんが外郎売で練習をする際に意識するポイントを紹介します。
将来声優になりたいという方や、滑舌や発声を良くしたいという方はチェックしてみてください。
早口言葉で滑舌練習
上の本文を軽くでも見ていただいた方はよく分かると思いますが、外郎売は特に後半部分で早口言葉が連発されます。
声優さんの練習教材として有名になったのは、この特徴によるところが大きいですね。
滑舌を鍛えたいという方は、特に第三節以降を繰り返し早口で朗読することによって、大きな効果が期待できるでしょう。
また、外郎売には50音をフルに使った幅広い早口言葉が用意されているので、読んでいて苦手に感じた部分を重点的に鍛えれば怖いもの無しです。
喉を意識した発声練習
外郎売を最初から最後まで通して読むと、少なくとも5分以上はかかります。
一気に読み切ろうとすると意外に体力を使いますし、声を張り上げながら大きいボリュームで読めばなおさらです。
呼吸法や喉の通りを良くしたいと考えている方は、発声方法のトレーニングとあわせて外郎売の朗読をすることによって、喉や体力を鍛えることができます。
これをやる際は多少噛んでしまってもかまわないので、一つ一つの単語をしっかり喉の奥から出すことを意識しましょう。
ひとり演技で表現練習
外郎売は、薬を売る商人が口上を述べるお話です。
人に物を売るためには、感情を込めてちょっとした演技を入れることも必要ですから、表現の練習にもうってつけと言えます。
滑舌や発声の仕方に慣れてきたら、登場する商人の気持ちになって感情を入れながら朗読してみましょう。
複数人による会話シーンは無いので、一人で黙々と練習をするのに最適なテキストです。
声優を目指すなら外郎売は暗記しないといけない?
外郎売は、声優養成所ではほぼ必ず取り扱う教材なので、修得はプロになるための最低条件と言っても過言ではありません。
暗記必須で習わされたという話もよく聞きますので、声優を目指したいという方は今から覚えておいて損はないでしょう。
外郎売の暗記のコツ
外郎売は「暗記しろ」と言われてすぐに暗記できる分量ではないので、この見出しではコツを簡単に説明します。
句点は無視して、ブレスに合わせた区切りで覚える
外郎売の原文には句読点が多く使われていますが、読む際には全て区切りを入れる必要はありません。
自分のブレスしやすいタイミングで区切りを入れるようにして、一息ごとに内容や口の動きを覚えると良いでしょう。
特に早口言葉の部分は人によって読み方に個性が出る部分だと思いますので、ある程度読み方が分かってきたら自分なりの句読点、ブレスのタイミングを書き込んでいきましょう。
このあたりは、下で紹介している朗読動画も参考になるはずです。
区切りを徐々につなげて読み、何度も何度も繰り返す
一気に全文を暗記しようとするのは心が折れる可能性もあるので、少しずつ暗唱できる部分も増やしていきましょう。
一息で言える部分を1つの区切りとして、2つ目が覚えられたら1つ目と合わせて言ってみる、3つ目が覚えられたら1~3つ目まで通しで言ってみる、というように繰り返しながら覚えていくのがおすすめです。
前半部分は現代語訳の意味を考えながら覚えられる部分も多いですが、後半はあまり意味の無い早口言葉が続いていきます。
頭で考えるよりも口の動きを染み込ませて覚えてしまったほうが早いかもしれません。
プロ声優が読む外郎売の動画
お手本とも言える、プロの声優による朗読動画もアップロードされています。
今回は2つの動画を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
梶裕貴
『進撃の巨人』エレン・イェーガー役などでおなじみの梶裕貴さんによる朗読です。
暗記用としてスピード感を重視した作りになっているため、朗読時間はなんと約4分で収まっています。
何度もひたすら繰り返して聴くだけでも効果がありそうです。
アーツビジョン「チームお楽しみ会」有志のバトンリレー
こちらは声優さん9人によるリレー形式での朗読です。
上の動画とは違って演技を重視した読み方になっているので、十人十色の個性が楽しめる朗読となっています。
目的に合わせて使い分けください。
声優を目指すなら滑舌のために外郎売とあわせてやりたい練習方法
外郎売は滑舌練習に適した練習方法ですが、それだけでは足りない部分も出てきます。
朗読以外に舌の筋肉(舌筋:ぜっきん)を鍛えるトレーニングも有効でしょう。
簡単にできるトレーニングの例を挙げると、舌を口から限界まで出した後、時計回り&反時計回りに10回転ずつさせるといった単純な動きでも続ければ効果が出ます。
滑舌の向上は日常生活にも役立ちますので、気になる人は詳しく調べてみてください。
声優を目指すならプロダクション直属の養成所がおススメ
声優を目指すためには養成所に通うのが一般的ですが、時間をかけて養成所に通っても、スムーズにデビューできる声優さんは一握りと言われています。
しかし、今回Pacific Metaマガジンがおすすめするインターナショナル・メディア学院という養成所は、プロダクション直属となっているためデビューがしやすいというメリットがあります。
また、インターナショナル・メディア学院は『ドラゴンボール』ベジータ役でおなじみの堀川りょうさんが学院長を務めており、『エヴァンゲリオン』アスカ役の宮村優子さんらも講師となっている養成所です。
現役の声優からレッスンを受けられる経験はとても貴重なので、そちらも大きなメリットとなるでしょう。
さらにインターナショナル・メディア学院ではオンライン校も開校しているほか、通う曜日や時間を自由に選択することができる制度もあります。
興味を持たれた方は、ぜひ入学案内の資料請求をしてみてください。
外郎売(ういろううり)ってどうして有名なの?
外郎売の演目が誕生したのは1718年、今から300年以上前と言われています。
どのように今の時代まで受け継がれてきたのか、流れを簡単に見てみましょう。
元々は歌舞伎の演目の一つ
元々外郎売は、歌舞伎の演目として誕生しました。
演目で登場する「外郎」は、小田原の外郎家が製造・販売する実在の薬を元にしています。
現代でおなじみになっている食べ物の外郎とは違い、病を治す薬として存在していた外郎。
この薬の効能をもっと世間に知らしめたいと考えた歌舞伎役者、二代目市川団十郎が自ら台本を作ったとされています。
この演目が大当たりしたことにより、外郎売は歌舞伎の世界でポピュラーな存在となりました。
声優・アナウンサーなど声を使う職業を目指す人の発声教材として有名
歴史のある外郎売の演目は、声優・アナウンサーといった声を使う職業の教材としても古くから利用されることとなりました。
多用される早口言葉が滑舌の練習に良いことはもちろんですが、商人が薬を売るときの口上であることから、熱意たっぷりに心を込めて読むことにより演技の向上にも繋がる内容となっています。
こうして外郎売は、業界を越えて様々な人に知られる演目となりました。
声優の外郎売についてのまとめ
今回Pacific Metaマガジンでは、声優のトレーニング教材としての外郎売について紹介してきました。
最後に、この記事のポイントを整理しましょう。
- 外郎売は歌舞伎の演目として誕生した
- 今では声優・アナウンサーなどの発声教材としても有名
- 発声教材としては滑舌練習・発声練習・表現練習などに活かせる
- 声優を目指すなら外郎売の暗記はほぼ必須
- 暗記するにはブレスに合わせた区切りで覚えること、区切りを徐々につなげて読むことなどを意識すると良い
- 声優さんが朗読する動画もあるので、読み方の参考にしたい
- 滑舌を鍛えるには、舌の筋肉を鍛えるトレーニングも有効
- 声優を目指すならインターナショナル・メディア学院がおすすめ
いきなり暗記を目指すのは大変なので、まずは内容や言葉の意味を理解するところから始めると良いでしょう。