ゲーム・アニメなどの分野で需要が高まっているCGデザイナーという職種ですが、様々なスキルを必要としていて、就職は難しいと考える方も多いのではないでしょうか。
Pacific Metaマガジンでは今回、CGデザイナーになる難しさや苦労について紹介します。
内容は以下の通りです。
- CGデザイナーとは(前提知識)
- CGデザイナーの仕事内容(前提知識)
- CGデザイナーになるのは難しい?(本題)
- CGデザイナーの悩み・苦労
- CGデザイナーになるのはどうすればいいか、必要なスキルなど
- CGデザイナーの主な就職先・年収について
- CGデザイナーを目指すために、おすすめの専門学校を紹介
CGデザイナーを目指す難しさを紹介しつつも、この職業で成功するにはどうすればいいかも一緒にお伝えします。
CGデザイナーとは
CGデザイナーとは、コンピュータグラフィック(CG)を使って2D・3Dの映像を生み出す職業です。
CGクリエイターやCGアニメーターとの違いを聞く方も多いので整理しておくと、まずCGデザイナーとCGクリエイターはほぼ同じ意味と考えてください。
次にCGアニメーターも仕事内容は基本的に同じですが、アニメを作ることに特化している職業となっています。
具体的な仕事内容については、すぐ下の見出しで詳しく紹介します。
「クリエイター デザイナー」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
CGデザイナーの仕事内容
CGデザイナーの仕事内容について、今回は作業をおこなう際の順番通りに紹介します。
キャラクターなどが完成していく様子をイメージしながらご覧ください。
1.モデリング
最初の工程は、デッサンされた絵を立体的にしていくモデリングです。
言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
イラストレーターなどが描いたキャラクターや物、背景などの素材を元にして、専用のソフトを使いながら形を付けていきます。
この後に控えている作業の大元になる工程なので、当然重要度は高いです。
2.リギング
続いては、CGに動きを付けるための下準備であるリギングをおこないます。
リギングとは、モデリングをしたCGに関節などのポイントを設定する作業です。
これにより、キャラクターは人間のように滑らかな動きをすることが可能になります。
この工程は、かなり地味な作業で忍耐力を必要としますが、CGデザインの基礎部分を担う大事な作業です。
3.アニメーション
アニメーションの工程では、作ったモデルに実際の動きをつけていきます。
リギングされたポイントごとに動きが設定できるので、全体で連動させながら不自然なところが無いように調整します。
キャラクターの動きや表情などがここで決まるので、最も表現力が求められる工程です。
しかし、まだここで作業は終わりません。
4.テクスチャリング
アニメーションまでの工程でデザインの大まかな形は出来上がりましたが、このテクスチャリングで対象の質感を表現します。
具体的には、画像を上に貼り付けていくようなイメージで、キャラクターや背景に色合いを出したり、凹凸感を生み出したりする作業です。
場合によっては、わざと汚れやキズを付けて質感を出すこともあります。
5.ライティング
ライティングは、光の量や当て方を決めていく工程です。
制作物全体のバランスを見ながら調整を重ねていきます。
この作業を全くやらないと、作ったキャラクターだけが浮いているような感じになってしまうので、作品への没入感を高めるためには必須の作業です。
こういった作業によって、CGはよりリアルな存在感を持つようになります。
6.レンダリング
ここまでに決めてきた設定を全て計算・反映させて、1つの完成品を生み出すのがレンダリングです。
上で紹介した全ての工程が噛み合わないといけないため、一度で満足の行く作品ができることは多くありません。
納得がいかない部分があったり不具合が出たりした場合は、各工程を都度やり直しながら徐々にクオリティを高めていきます。
「アニメーター 仕事」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
CGデザイナーになるのは難しい?
上で紹介したように、多くの作業を1人でこなす必要があるCGデザイナーですが、仕事をする上で特に求められているポイントを紹介します。
何と言ってもCGを作るのが好きじゃないと難しい
CGを作ることが好きで楽しいと思えるかどうかは、CGデザイナーにとって非常に大事なポイントです。
作った作品は何度も修正を求められることもありますが、諦めずにCGの細部までこだわりを持って取り組み続けることで評価に繋がる面もあります。
仕事のノルマだけにとらわれず、作品に愛情を持てる人でないと、この業界は厳しいかもしれません。
地味な作業をいとわない人が向いている
完成したアニメやゲームを見ると、デザイナーの仕事は華々しいように感じるかもしれせんが、実際には毎日地道で同じような作業を繰り返すことも珍しくありません。
目立たない仕事でも手を抜かず続けられる人がCGデザイナーには向いていると言えるでしょう。
特に、下積み時代は地味な案件を大量にまわされることが多いと思いますが、締切に間に合うように根気よく作業をすることが重要です。
最後まで作品を作り上げる情熱は必要
情熱を持って、こだわりを持ちながら最後まで走り抜けられる人でないと、CGデザイナーになることは厳しいです。
CGデザインはクオリティに限界が無い作業なので、定量的な目標を決めるのが難しい分野でもあります。
そのような中でも飽きたり諦めたりすることなく、最後まで作品を完成させる情熱がこの仕事には必要です。
CGデザイナーの悩み・苦労
続いては、CGデザイナーの大変なところを3つ紹介します。
いずれも、CGデザイナーになる上では避けて通れないことなので、この職業を目指すのであればきちんと認識しておきましょう。
目の疲れ・体力
CGデザイナーの仕事はパソコンの前に長時間座る必要があるため、体力勝負の一面もあります。
特に「目」は他の仕事よりも酷使するので、最もダメージが大きい箇所です。
視力の低下や目がぼやけるなどの症状はデザイナーにとって致命的なので、普段からケアをおこないながら作業をしていく必要があります。
締め切り
どの仕事でもそうですが、CGデザイナーにとっても締め切りは避けて通れない悩みです。
仕事であるからには締め切りを守ることは絶対ですが、CGデザイナーとして本気で完成度の高い物を目指すのであれば、クオリティにも気を配らなければいけません。
締め切りとクオリティのバランスを常に保つことは難しく、締切間近に長時間労働になることもあります。
クライアントの希望を形にすること
クライアントは平面・アナログのイラストでイメージを伝えてくることが多いですが、それを3D・デジタルのモデルで表現しようとすると、どうしても違いが出てしまいます。
時にはクライアントに納得してもらえず、リテイクを繰り返されることもあるでしょう。
100%イメージ通りのものを作るのは現実的に難しいため、折り合いをつけて妥協点を探っていくスキルも必要となります。
CGデザイナーになるには
ここではCGデザイナーとして就職するまでのルートを紹介します。
資格や学歴はさほど重視されないことがほとんどですが、専門学校卒以上の学歴を求めている企業は多いです。
いずれのルートを選ぶにしても、その前に専門学校やデザイン系の大学に通って基礎的なスキルは習得しておくことをおすすめします。
スクールで専門的に学ぶ
専門学校に近いスキルを身につけられるのがスクールです。
デザイン系のスクールは豊富にあり、オンラインで受講できるところもたくさんあります。
未経験から通えることをアピールポイントにしているコースもあるため、すでに別の分野で大学に通っていたり、仕事をしたりしている方は、そういったスクールで経験を積むのがおすすめです。
時間とお金がかかるというデメリットはありますが、講師は基礎からしっかり教えてくれます。
週1回などのコースもあるので、副業的な働き方を目指している方にも向いています。
自分のペースで独学
CGデザインに関する動画や書籍は豊富にあるため、独学でも一定レベルのスキルを身につけることは可能です。
空き時間を使って自分のペースで学習できることが最大のメリットでしょう。
一方、独学を積み重ねても実績にはなりづらい、他人からのフィードバックがもらえないといった欠点もあります。
SNSを活用して作品を投稿する、コンテストに応募するなど、人に意見をもらう取り組みもあわせておこなうのがおすすめです。
アシスタントとして働きながら学ぶ
アシスタントのアルバイトなど、デザイン系の就職経験が無くてもOKな求人はあります。
学生のうちから経験を積みたいといった場合には、このような仕事を探すのも1つの手です。
ただ、CGデザインには専用のCGソフトやAdobeソフトを使うことがほとんどなので、それらのツールを触ったことが無い状態ではさすがに厳しいでしょう。
別の手段である程度のスキルを身に付けつつ、応募要項をよく見てから応募してください。
CGデザイナーに必要なスキル
この見出しでは、GCデザイナーに必要とされるスキル・能力をお届けします。
全てが必須というわけではありませんが、就職後には必要とされる能力ばかりなので、自分に足りないものが無いかどうかチェックしておきましょう。
コミュニケーション能力
CGデザイナーはチームで役割分担をして仕事をすることがほとんどです。
そのため、違う工程を任されているCGデザイナーとコミュニケーションを取ることは必須となります。
また、依頼主や上司などの関係者と意見を交わすことも日常的にあるでしょう。
CG制作ソフトが使える
当然ですが、CGデザイナーにはCGソフトのスキルが必要不可欠です。
本格的なソフトであれば「Maya」「3ds max」「Blender」など、初心者向けのソフトであれば「Metasequoia」「Tinkercad」などが代表として挙げられます。
また、あわせて「Illustrator」や「Photoshop」など編集ソフトのスキルも習得しておきたいところです。
デッサン力
人物や背景の構造などを深く理解して、正確に表現するデッサン力はCGデザイナーにも求められるスキルです。
無いと仕事ができないということはありませんが、質感をよりリアルに近づけるためには持っていることが望ましいでしょう。
発想力・表現力
クリエイターであれば誰しもが持っておきたいのが発想力・表現力です。
特にキャラクターを作る際は、表情や動きで全てのメッセージを伝える表現力が求められるでしょう。
この能力を鍛えるためには、情報をインプットすることも必要です。
多くの作品に触れることにより、発想や表現方法の引き出しも増えるでしょう。
体力
悩み・苦労の見出しでもお伝えしましたが、CGデザイナーとしてやっていくためには体力が必要です。
中には作品への熱量で精神的にカバーする人もいますが、何年も続けていると確実に体調を崩します。
可能な限り、筋トレなどの習慣をつけておくことをおすすめします。
CGデザイナーの主な就職先
ゲーム・アニメなどのエンタメ分野以外にも、CGデザイナーの就職先は存在します。
就職先によって求められるスキルも少しずつ変わってくるので、自分に向いている場所が無いかどうか確認しておきましょう。
ゲーム制作会社
CGデザイナーの代表的な就職先として挙げられるのはゲーム制作会社です。
このPacific Metaマガジンでも、よく取り上げる分野となっています。
扱うハードウェアやミドルウェアによっても違った知識・スキルが必要になるので、幅広い対応力が求められますし、プログラマーとの会話をおこなうにはITの知識も求められる職場です。
web・アプリ制作会社
web・アプリ制作会社においては、スマートフォン用の画面デザインなどでCGデザイナーの仕事があります。
現状では2DCGを主体とすることが多いので、3Dよりも2Dの方が得意という方に向いている職場でしょう。
アニメ制作会社
アニメ制作会社で働くCGデザイナーを指して「CGアニメーター」と呼ぶこともあります。
最近ではCGを積極的に取り入れるアニメが増えてきて、以前に比べると映像にしたときの違和感も少なくなってきました。
今、とても需要が増加している分野です。
映像制作会社
アニメに限らず、映画やテレビを扱う映像制作会社にもCGデザイナーの仕事があります。
映画・ドラマ・CMなどでは、実写と3DCGの組み合わせを当たり前のように見るようになってきているので、今後もCGデザイナーの需要は伸び続けるでしょう。
不動産会社
少し以外に感じるかもしれませんが、不動産会社では建物の設計用ソフトにCGが活用されています。
完成前の段階で、お客さんにイメージを分かりやすく伝えられるということで好評を受けており、これからも活用が広がっていくでしょう。
建設関係のCMでアニメを使ったものが多いという印象を持っている方もいると思いますが、建物とCGには親和性が高いのかもしれません。
CGデザイナーの年収
CGデザイナーを目指す上で気になるのは年収だと思いますが、情報を集めてみると300万~500万円の方が多くなっており、平均すると400万円に少し届かないぐらいとなっています。
参考サイト
CG デザイナーの年収、給料、給与は!? | 憧れクリエーターのお仕事図鑑
CGデザイナーの年収まとめ (給料/平均年収/企業名などを集計) | 転職会議
平均年収と見ると日本全体の平均より低い数値ですが、人気のある人は独立して一気に上へ抜ける場合もあり、スキルによるバラつきが大きいです。
若手や中小企業では収入が全く伸びないこともあり、「底辺できつい」といった声が聞かれることもあります。
難しい職業でもCGデザイナーになりたい!
就職率も悪く、なかなか就職できないと言われるCGデザイナーですが、しっかりとしたスキルを積み重ねていけば採用を受けられる可能性も高まります。
ここではPacific Metaマガジンおすすめの専門学校を3校お届けしますので、自分に合った学校があるかどうかチェックしてみてください。
代々木アニメーション学院 デジタルアニメ学部
代々木アニメーション学院は、アニメ・ゲーム・マンガといったエンタメコンテンツに関わるクリエイターを育成している専門学校です。
その中にあるデジタルアニメ学部では「アニメ3DCG科」「モデリング科」「アニメ撮影・編集・特効科」というコースがあり、PCを使った作品制作を通じて専門的な知識やスキルを身につけることができます。
また、アニメーターやアニメ監督を目指す人が集まる「アニメ学部」と連携することにより、学部を横断してアニメ制作をおこなうといった取り組みも考えられています。
在学中には実践的な経験を数多く積むことができるので、その経験やスキルは就職後もきっと役立つことでしょう。
資料請求は無料なので、気になる方は検討してみてください。
総合学園ヒューマンアカデミー ゲームカレッジCGデザイナー専攻
2つ目の紹介は、総合学園ヒューマンアカデミー。
ここでは分野ごとにカレッジ・専攻が分かれているのですが、今回一番おすすめなのはゲームカレッジのCGデザイナー専攻です。
ゲーム作りを通して2DCG・3DCGのスキルが習得できるのはもちろん、デッサンなどアナログ画力を鍛えるカリキュラムも用意されているので、デザイナーとしての基礎を1から学ぶこともできます。
中には卒業後にアニメ制作会社へ就職する方もいるので、就職先をゲーム会社だけに絞りたくないという方も、ぜひ一度チェックしてみてください。
また、総合学園ヒューマンアカデミーでは「デザインカレッジ」でもCGデザインを学べるカリキュラムがあります。
気になった方は、資料請求をするなどして比較してみましょう。
アミューズメントメディア総合学院 ゲーム・アニメ3DCG学科
アミューズメントメディア総合学院も、上2つで紹介した学校と同じようにゲームやアニメ、マンガなどのエンタメ分野について学べる専門学校ですが、ここには「ゲーム・アニメ3DCG学科」という、ゲームとアニメの制作を同時に学べる学科があります。
カリキュラムでは1年次に2回のゲーム開発実習、2年次には2回のアニメ制作実習という形で経験を積むことができるので、実践的なスキルを多く習得することが可能です。
2020年度卒業生における業界就職率は94%という高い数字ですし、今後さらなる伸びが期待される3Dの分野にカリキュラムを絞ったことによって、就職後の活躍も期待できるでしょう。
こちらも資料請求は無料なので、興味のある方は確認してみてください。
「アミューズメントメディア総合学院」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
CGデザイナーが難しいことについてのまとめ
今回Pacific Metaマガジンでは、CGデザイナーになる難しさについて紹介してきました。
この記事のポイントを最後におさらいしましょう。
- CGデザイナーはCGクリエイターとも呼ばれ、アニメを作ることに特化している人はCGアニメーターとも言われる
- CGデザイナーの仕事の流れは、モデリング → リギング → アニメーション → テクスチャリング → ライティング → レンダリングとなっている
- CGデザイナーになるためには「CGを作るのが好き」「地味な作業をいとわない」「最後まで作品を作り上げる情熱を持つ」などの要素が必要となる
- 「目の疲れ・体力の消耗」「締め切り間際は特に忙しい」「クライアントの要望を満たすのが難しい」といった悩みもある
- CGデザイナーを目指すためには、専門学校・大学で勉強するほかにスクール、独学、アシスタントで働くなどの方法がある
- CGデザイナーになるためには、CG制作ソフトやデッサンのスキルが必要で、さらにコミュニケーション能力や発想力・表現力、体力も求められる
- 就職先としてはゲーム・アニメ制作会社のほか、web・アプリ制作会社、映像制作会社、不動産会社などが挙げられる
- CGデザイナーの年収は日本人の平均よりやや低いが、スキルや就職先によっては大きく伸びることも多い
- スキルを磨くためには専門学校へ通うこともおすすめ
特に3DCGをきちんと学んでいけば、幅広い就職先が視野に入れられます。
様々な分野に興味を持ちつつ、スキルを磨いていきましょう。