アニメーターを目指している方なら、ポートフォリオという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
ポートフォリオはアニメーターの採用試験にほぼ必須の存在なので、ぜひ押さえておきましょう。
Pacific Metaマガジンでは今回、アニメーターのポートフォリオ作成方法についてお伝えしていきます。
内容は以下の通りです。
- アニメーターのポートフォリオはなぜ必要?
- ポートフォリオの全体構成とボリュームについて
- 表紙・目次・プロフィール・作品集の4項目に分けて作り方を紹介
- アニメーターのポートフォリオは紙 or サイトのどちらで作る?
- アニメーターのポートフォリオ見本例
- CGアニメーターのポートフォリオについて補足
- ポートフォリオの作り方はYouTube動画から学べる
- アニメーターにおすすめの無料ポートフォリオサイト
- アニメーターに転職する方へおすすめのエージェントサイトを紹介
途中の見出しでは実際のポートフォリオも紹介しながら、詳しくお届けします。
アニメーターのポートフォリオはなぜ必要?
まずポートフォリオとは、デザイン・イラスト業界ではスキルや実績をアピールするための作品集として扱われます。
書類選考や面接などの採用試験では、履歴書とあわせて提出が必要になることも多いため、アニメーターを目指すのであれば作成はほぼ必須と言って良いでしょう。
細かい要件については会社によってもバラバラですが、この記事では一般的なポートフォリオの書き方を紹介していきます。
アニメーターのポートフォリオの全体構成とボリューム
まず、ポートフォリオに含める内容ですが、以下のような4部構成で作成していきます。
- 表紙(+裏表紙)
- 目次
- 自己紹介(プロフィール)
- 作品集
メインになるのは当然、作品集の部分です。
項目の区切りごとには中扉(項目ごとの表紙のようなもの)もつけると良いでしょう。
ボリュームは何枚ぐらいにすべきか迷う方もいると思いますが、枚数は50~60枚程度作っておくのが目安で、その中から企業によって取捨選択をするとちょうど良いです。
サイズはレイアウトが作りやすいA3かA4が良いでしょう。
アニメーターのポートフォリオは表紙から
就職試験でチェックをする企業の人は、数え切れないほど多くのポートフォリオを見るため、表紙である程度のインパクトを与えておきたいところです。
表紙は絶対目に入る部分でもあるので、手を抜かずに全力で制作しましょう。
表紙の絵を見ただけでポートフォリオのコンセプトが伝わるようなものがベストですが、どんな絵を持ってくるか迷う場合は、一番自信のあるジャンルを入れておきましょう。
最後に初歩的ですが、氏名や「ポートフォリオ」という文言を入れるのは忘れないようにしてください。
ポートフォリオに自己紹介(プロフィール)は必須!
ポートフォリオの最初か最後には自己紹介(プロフィール)を入れておきましょう。
フォーマットや必要事項がある場合はそれに従えば良いですが、特に指定がなければ以下のような内容を含めておけば大丈夫です。
また、履歴書を一緒に出している場合は、重複する内容を含めなくても問題ありません。
- 氏名(フリガナ)
- 顔写真
- 生年月日/年齢
- 最終学歴
- 自己PR(300文字前後で得意分野、今後やりたいこと)
- 職務経歴、受賞歴など
- 作業環境、使用可能ツール
- ポートフォリオサイトURL
- 連絡先
- その他、業務関連のSNS
前半は単純なプロフィールで、後半はアニメーターの選考にも深く関わってくる大事な部分です。
採用担当の方は自己PRや経歴、使用ツールなどと照らし合わせながら作品を見ていくので、これまでどのようなスキル・経験を得てきたのかが分かるように書きましょう。
アニメーターのポートフォリオに作品集は最も重要!
いくら外側がきちんとしていても、肝心の中身がきちんとしていないとポートフォリオの評価は上がりません。
作品集を入れる際は、基本的には自信のある作品から順に入れていくようにしましょう。
全ての作品をじっくり見てくれるところばかりではないので、良い作品を最後に取っておくのは非常にもったいないです。
また、数は多くなくても良いですが、自主制作のオリジナル作品を1つは入れましょう。
自分らしさを少しでも見せることが目的です。
ポートフォリオでは主に線画を見られているので、全体としてデジタルやカラー作品がメインになることはおすすめしません。
モノクロで丁寧に1つ1つの線を描いていきましょう。
模写
アピール項目 | 他人の絵にどれだけ似せられるか |
---|---|
内容 | アニメ・映画などのワンシーンを切り取り本物そっくりにデザインする |
枚数 | 10枚~20枚程度 |
デジタル or 手書き | どちらも入れておきたい |
ポートフォリオに含める作品集の1つ目として、イラストなどの模写があります。
題材は何でもOKですが、できる限り色々な角度・ポーズが含まれた絵を入れるようにしましょう。
模写というと「人のマネ」「コピー」といったイメージがあるかもしれませんが、アニメーターは人が描いた絵を似せて制作するスキルが求められるので、模写を入れておくことは重要です。
デッサン
アピール項目 | 限られた時間でポイントを抑えた絵が描けるか |
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内容 | 模写はせずに、多彩な角度・ポーズなどを使って対象物を描く |
枚数 | 10枚~20枚程度 |
デジタル or 手書き | 手書き(+αでデジタル) |
ポートフォリオの作品集には手書きのデッサンも入れておきましょう。
アニメのキャラクターは参考にできる実物が無いこともあるので、その場合は頭の中から想像で紙に描かないといけません。
人体を参考にして人型のキャラクターをメインにすれば大丈夫ですが、できれば機械・動物などもモチーフも入れれると良いです。
パース
アピール項目 | 遠近法を踏まえた絵をきちんと理解しているか |
---|---|
内容 | パースをきかせた奥行きのある絵を数点意識して入れる |
枚数 | 数枚程度 |
デジタル or 手書き | 手書き |
2,3枚でも問題ないですが、ポートフォリオにはパース(遠近感)を意識した絵を入れておく必要があります。
時々、アニメを見ていても遠近感がおかしい構図を見かけることがあると思いますが、きちんとしたスキルが無いとパースを意識した絵を描くことはできません。
パースを意識した絵を描く場合は、デッサンの書き込みよりも背景とキャラクターの配置などに気を配って、それ専用の作品を入れるようにしましょう。
アニメーターの人間力は目次で示す!
ページ数を入れただけの目次を最後にサクッと作る人が多いですが、目次をきちんと作っておけばポートフォリオの雰囲気を一目で理解できますし、ライバルと差をつけやすい場所でもあります。
幅広いスキルをアピールしつつ、得意分野は前半部分に枚数をかけて掲載するようにして、コンセプトが伝わるような目次を作りましょう。
特に見て欲しい部分には、サムネのような感じでミニサイズの画像を載せるなどしておくと、アピールにも繋がります。
アニメーターのポートフォリオは何で作る?
ポートフォリオを作る際は、アナログ・デジタル両方あるとアピールに繋がりやすいので、紙とWebサイトどちらも作ったほうが良いでしょう。
Webサイトで一通り作ってから、紙に印刷できるようにフォーマットを揃えておくと便利です。
紙の場合は、クリアファイルや見出し付きのバインダーで束ねておくのが一般的で、使い勝手が良い保存方法です。
見出しにあわせて中扉をつけると見栄えが良くなります。
細かい部分は企業ごとに要件が異なるので、それに合わせて調整をしながら制作しましょう。
アニメーターのポートフォリオ見本例
ポートフォリオの作成方法については一通り説明しましたが、他の人のレベルを確認したいという方に、アニメーターのポートフォリオ集を紹介します。
さらえみさん
プロとして活躍しているさらえみさんのサイトです。
さらえみ イラストレーション
ページを開くと「クリアなアニメタッチで親しみやすいイメージへ」というコンセプトが真っ先に目に飛び込んできます。
ページのレイアウトがものすごく見やすいですし、サイト内ではブログの運営もしているので、参考になる情報がたくさんあるはずです。
代々木アニメーション学院
代々木アニメーション学院、アニメーター科の学生作品が載せてあるサイトです。
アニメーター科 学生作品 |代々木アニメーション学院
ポートフォリオの作品集も載っているので、新卒でアニメーターを目指している方には特に参考になるでしょう。
描き込まれたイラストは、今にも動き出しそうな作品ばかりです。
「代々木アニメーション学院」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
彩玉さん
就活に関する記事を書かれており、グラフィック講師歴も豊富な管理人さんが運営しているサイトです。
アニメ背景の就職 失敗しない志望動機、ポートフォリオ、面接トークマニュアル
記事はかなりボリューミーですが、その分役立つ情報も満載で、ポートフォリオの作り方についても詳しく書かれています。
※上記の記事は背景専門のアニメーターを目指す場合なので、この記事の記載内容に比べて彩色を重視している部分などがあります。
CGアニメーターのポートフォリオはどうやって作る?
特に3DCGアニメーターの採用を受ける場合は、デモリールと呼ばれるアニメーションの作品集を入れることが一般的となっています。
10秒以内ぐらいで動きの分かる動画を作ることがメインになるので、気になる方は「デモリール ポートフォリオ」といったワードで調べてみてください。
ポートフォリオの作り方はYouTube動画から学べる
ここまで記事を見てきて、ポートフォリオを作っているところの過程が見たいと感じたも多いのではないでしょうか。
最近は、アニメーターの方が運営しているYouTubeチャンネルなどもあるので、ポートフォリオの作り方についても参考にできるはずです。
※上記動画は「高橋優也 アニメ作画 公式」チャンネルより
アニメーターにおすすめの無料ポートフォリオサイト
「ポートフォリオはWebサイトでも作っておきたい」と先ほどお伝えしましたが、この見出しでは無料で利用できるおすすめポートフォリオサイトを5つ紹介します。
pixiv
pixivは本来、イラストなどを投稿するコミュニティサイトですが、ポートフォリオサイトとして使う人も多く、「#ポートフォリオ」のタグ付きで作品が挙げられていることもあります。
ポートフォリオ提出前に作品をアップして反応を見るなどもできるので、見る側・描く側両方の立場で参考になるはずです(個人情報の扱いにはご注意ください)。
公式サイトはこちら
pixiv
foriio
foriio(フォリオ)は名前の通り、クリエイターがポートフォリオ作成をおこなうためのサイトで、制作物の作成・管理・共有機能を持っています。
プロのクリエイターも数多く使っているので圧倒的におすすめです。
公式サイトはこちら
foriio – すべてのクリエイターにポートフォリオを
PORTFOLIOBOX(ポートフォリオボックス)
PORTFOLIOBOXは、イラストレーター、デザイナー、写真家などがポートフォリオサイトを作成するためのサービスです。
無料で10ページ・30画像までは使用可能で、本格的に使いたければ有料へ移行して使うこともできます。
公式サイトはこちら
クリエイターのためのオンラインポートフォリオ (portfoliobox.net)
Ameba Ownd(アメーバ オウンド)
Ameba Owndは、アメーバブログなどで知られるサイバーエージェントが運営しているWebサイト作成サービスです。
ポートフォリオ専用のサービスではありませんが、ポートフォリオ用のテンプレートもありますし、デザインもスタイリッシュなので好んで使う人も多いです。
公式サイトはこちら
Ameba Ownd(アメーバ オウンド)
Behance
Behanceは、様々なクリエイターの作品に特化したSNSです。
Adobeがアメリカで始めたサービスのため言語のベースは英語ですが、他の人の作品を参考にしたい場合には役立つでしょう。
公式サイトはこちら
Behance の写真、ビデオ、ロゴ、イラスト、ブランディング
「イラストレーター ポートフォリオ」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
ポートフォリオを活かして転職するならマイナビクリエイター
記事の最後として、ポートフォリオ作成と転職活動を効果的に組み合わせられるマイナビクリエイターの紹介をします。
マイナビクリエイターは、ゲーム・Web・IT業界専門の転職支援サービスです。
アニメ業界は専門ではないものの、例えば「3Dゲームにおけるアニメーションパート」といった求人も扱っているため、これらの業界でアニメーションに携わる仕事がしたい方にはイチオシのサービスとなっています。
何よりマイナビクリエイターは「MATCHBOX」というポートフォリオ作成サービスを展開しているため、ポートフォリオを活かしつつ転職活動をしたいなら、ぜひ登録しておきましょう。
こちらは2022年3月2日に機能がリニューアルされているので、知っている方も再度要チェックです。
素材は画像・動画・3Dモデル・Webサイトなどから引っ張ってこられますし、紙・Webどちらの作成にも対応しています。
ポートフォリオ作成サービス – MATCHBOX (マイナビクリエイター)
興味のある方はアカウントの作成や、サービスに関する問合せ等をしてみてください。
「アニメーター 転職」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
アニメーターのポートフォリオのまとめ
今回Pacific Metaマガジンでは、アニメーターのポートフォリオ作成方法を紹介してきました。
最後に、この記事のポイントをおさらいしておきましょう。
- アニメーターの採用を受ける場合はポートフォリオの提出が必須になることもあるため必ず作成しておくべき
- ポートフォリオは表紙・目次・プロフィール・作品集の4部構成
- 表紙は絶対目に入る部分なので、気合を入れて制作する
- 目次は単にページ数を記載するだけではなく、作品のサムネなども入れると良い
- プロフィールには経歴やスキルなどを入れてきっちりアピールする
- 作品集は自信のある絵から順に入れ、オリジナル作品も1つは含める
- 模写・デッサン・パースなどの要素を入れ、線画を見てもらう
- ポートフォリオはWebページで作り、印刷もできるようにしておくと良い
- Webページの作成にははpixiv・foriio・PORTFOLIOBOX・Ameba Ownd・Behanceなどのサービスを使うのがおすすめ
- 他の人のポートフォリオサイトを見たり、YouTubeサイトで勉強したりするのも有効
- 3DCGアニメーターの場合はデモリールの作成が求められる
- ポートフォリオ作成を活かして転職活動をするならマイナビクリエイターの利用がおすすめ
事前にあまり考えすぎるのも良くないですが、ある程度の構成は決めてからポートフォリオ作成にとりかかるようにしましょう。