レイヤー1ブロックチェーンのアプトス(APT)は、スマートコントラクトの実行エンジンを刷新するアップグレード案「MonoMove」を発表しました。オンチェーン取引所の実取引を用いた社内テストでは、現行比で最大55倍の実行速度向上が確認されています。本アップグレードは金融機関や機関投資家による利用を想定し、処理能力の大幅な改善とエンジンレベルでのセキュリティ保護を両立させる設計となっています。2026年末までに機能開発を完了させ、ガバナンス投票を経て2027年にメインネットへ導入する計画です。
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実取引データで実証された処理速度とスループットの改善
MonoMoveは、プログラミング言語Moveで記述されたスマートコントラクトを実行する仮想マシン(Move VM)および周辺の実行スタックを刷新するアップグレードです。アプトス・ラボが育成したオンチェーン取引所「Decibel」のメインネット実取引をリプレイした検証において、現行の仮想マシンを大幅に上回る処理性能が測定されました。
個別の取引処理では、担保の引き出しで最大55倍、無期限先物(Perp)市場へのリクエストで最大38倍、注文の発注で最大22倍の高速化が確認されています。また、取引の受信から完了までを対象としたエンドツーエンドのスループット(一定時間内に処理できる全体の取引量)も最大11倍に改善しました。
これらの検証結果は、最適化処理や並列実行メカニズムである「Block-STM」を適用していない段階で得られたものであり、さらなる性能向上の余地が残されているとされています。アプトス側は、現在の処理ボトルネックが実行処理そのものから実行層とストレージ層の間に移行していると説明しており、実行エンジンの基本性能が大きく向上した結果であると分析しています。
機関投資家向け金融インフラを想定した堅牢性と開発計画
MonoMoveは、機関投資家や金融サービス企業が求める水準の信頼性を確保するため、エンジンレベルでのセキュリティ保護機能が強化される予定です。アプトス・ラボの共同創設者兼CEOであるエイヴリー・チン氏は、金融機関は処理能力が不足するインフラ上に市場を構築せず、信頼性の低いインフラに顧客資産を預けることもないと指摘し、MonoMoveがこれら2つの課題を解決する構成になっていると述べています。
セキュリティ面では、Move言語本来の仕様である暗号資産の発行、複製、転送を制御するルールを維持し、資産の二重使用や不正発行を防ぎます。さらに、検証機能や仮想マシンにバグが生じた場合でも資産を保護できるよう、実行時チェック機能がエンジンに追加されます。これにより、アプリケーション層の対策のみに依存せず、エンジン自体で特定障害を排除することが可能になります。
今後の展開として、アプトス・ラボは予期せぬ入力から脆弱性を探るファジングや広範なテストを継続するほか、導入に先立って重要コンポーネントに数学的証明手法である形式検証を適用する計画です。機能開発は2026年末までに完了する見込みであり、ガバナンス投票による合意形成を経て、2027年中のメインネット実装を目指して開発が進められます。
ポイント
- アプトスがスマートコントラクト実行スタックを刷新する「MonoMove」を発表し、実取引の検証で最大55倍の高速化を記録した点は、高負荷な分散型金融の処理能力を底上げする点で注目されます。
- 一連のトランザクション処理能力を示すエンドツーエンドのスループットが最大11倍に向上しており、並列実行技術の適用前でも大幅な性能改善が実証された点で注目されます。
- 金融機関や機関投資家の参入を見据え、仮想マシンのバグ発生時にも資産を保護する実行時チェック機能など、エンジンレベルの安全策が導入される点で注目されます。
- 形式検証による数学的証明やテストを経て、2026年末の開発完了および2027年のメインネット導入という明確なロードマップが示された点で注目されます。
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