国内暗号資産取引所のコインチェックは2026年10月8日、ノットアホテルダオ(NOT A HOTEL DAO)が発行する暗号資産「ノットアホテルコイン(NAC)」の取扱いを開始し、同社とのサービス連携を発表しました。NACの国内取扱いはGMOコインに続き2例目となり、今回の追加によってコインチェックで売買できる暗号資産は36銘柄となりました。本提携ではコインチェックの組込型金融サービス「Coincheck CaaS」が導入され、外部アプリ上で暗号資産の残高確認やレンディングなどが直接行える環境が整えられています。
株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。
Coincheck CaaS導入による外部アプリ機能の拡張
今回の連携では、APIを通じて暗号資産関連機能を他社のアプリやサービスに組み込める組込型金融サービス「Coincheck CaaS(コインチェック・カース)」が活用されています。同サービスの導入事例としては、メルコイン、クレディセゾンに続く3例目となります。
これにより、ノットアホテル(別荘を年間10泊からシェア購入でき、全国の拠点を相互利用できるサービス)のアプリ利用者は、コインチェック口座で保有するNACの残高を同アプリ上で確認できるようになりました。さらに、保有するNACをノットアホテルダオが提供するレンディングサービスへ貸し出すことも可能です。
提供されるレンディングサービスには、NACを預けることで宿泊権を得られる「宿泊権レンディング」と、預けたNACと利息を受け取る「NAC受取型レンディング」の2種類が存在します。宿泊権レンディングでは貸出期間の終了後に預けたNACが返還されます。
また、コインチェックで購入したNACは、宿泊権の抽選・購入サービス「ザ・ドア(THE DOOR)」でも利用できます。条件を満たす保有者は毎月の宿泊権抽選に応募でき、保有数量や保有期間に応じて当選確率が高くなる仕組みです。このほか、管理費や飲食、レンタカーなどの付帯サービス費用の支払いにもNACを利用できます。なお、無償抽選においてはGMOコインとコインチェックの残高を合算できますが、レンディングや支払い、宿泊権の購入については、同時に連携できる取引所が1つに制限されるため連携中の残高のみが対象となります。
IEO実施元以外への取扱拡大とこれまでの経緯
NACは、イーサリアムのトークン規格「ERC-20」に基づいて発行されている暗号資産です。2024年12月にGMOコインを通じて国内7例目となるIEO(暗号資産取引所を通じたトークン販売による資金調達)を実施し、目標額である20億円を調達しました。
国内のIEO銘柄には公募価格を下回る事例も見られるなか、NACは上場から約1年10カ月が経過した2026年10月6日時点でも約1060円を記録し、IEO時の販売価格(1000円)を上回る水準を維持しています。国内においてIEO実施元以外の交換業者へ取扱先を広げた事例としては、過去にコインチェックでIEOを実施したのちに他社へ上場したパレットトークン(PLT)などの前例があり、今回のコインチェックでの取扱開始によって購入手段や流動性の向上が図られた形です。
コインチェックとノットアホテルダオは2025年12月より、新規取扱いや現実資産(RWA)分野での連携強化に向けた検討を開始していました。なお、ノットアホテルダオの親会社は、事業領域の拡大に伴い2026年10月2日付で「NOT A HOTEL株式会社」から「NOTA株式会社」へと社名を変更しています。
ポイント
- コインチェックが販売所および積立サービスでNACの取扱いを開始し、同社の取扱暗号資産は36銘柄に達した点
- 国内IEOで20億円を調達した銘柄が、実施元であるGMOコイン以外の取引所へ取扱先を広げた数少ない事例である点
- 組込型金融サービス「Coincheck CaaS」により、外部アプリ内で暗号資産の残高確認、レンディング、付帯サービス支払いがシームレスに行える実用環境が構築された点
- 2024年12月のIEO販売価格1000円に対し、2026年10月6日時点で約1060円と公募価格を上回る価格推移を維持している点
総研プライム
ブロックチェーンを、
徹底的に読み解く。
技術の仕組み、企業の戦略、市場の構造まで。独自の調査・分析で掘り下げる専門レポート。
初月無料で読む