暗号資産企業のDWF Labs(DWFラボ)の子会社2社が、暗号資産の保管サービスを手がけるBitGo(ビットゴー)に対し、契約違反があったとしてロンドンの高等法院に提訴しました。原告側は、BitGoが割引価格で購入したトークンを売却制限(ロックアップ)期間の終了前に売却したと主張し、1億4,100万ドル(約223億円)の損害賠償を請求しています。流動性の高くない市場環境における大口保有者の売却行動と、契約上のロックアップ条件の履行をめぐる法的な争いとして関心を集めています。
株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。
早期売却による契約違反と提訴に至る経緯
報道によると、DWFラボの子会社側は、BitGoに対するトークン販売契約において売却制限(投資家が購入直後に売却することを防ぐ仕組み)が設定されていたと説明しています。この契約では、トークン購入時の価格割引の条件として、当初3カ月間の売却制限とその後の段階的な解除条件が定められていました。
しかし子会社側は、最初の制限解除が予定されていた時期の約2カ月前に、BitGoによってトークンが取引所へ移されたと主張しています。DWFラボは4月と5月の段階でBitGoに対して問題を提起したものの、必要な確約を得られなかったことから、今回の提訴に踏み切ったとしています。
なお、原告の親会社であるDWFラボは、ドナルド・トランプ米大統領とその一族が支援するWorld Liberty Financial(WLFI)への投資企業としても知られており、2025年に2,500万ドル分のWLFIトークンを購入したと報じられています。
対象トークンの価格下落と損害の規模
訴訟の対象となっているのは、Falcon Finance(ファルコン・ファイナンス)のトークン「FF」と、ゲーム関連トークン「ESPORTS」の2銘柄です。子会社側は、売買が少ない市場において大量のトークンが早期に売却されたことで相場が押し下げられ、自社が保有し続けていたトークンの資産価値も減少したと主張しています。
報道によれば、対象となったトークンの価格推移は以下の通り記録されています。
- FF:3月上旬の約0.08ドルから4月下旬には約0.07ドルへ下落
- ESPORTS:3月中旬の約0.28ドルから6月上旬には約0.07ドルへ下落
原告側は、こうした市場価格の下落によって被った損害に対し、1億4,100万ドル(約223億円、1ドル=158円換算)の支払いを求めています。
ポイント
- DWF Labsの子会社2社が、BitGoを相手取り1億4,100万ドル(約223億円)の損害賠償を求めてロンドン高等法院に提訴しました。
- 割引価格の条件として設定されていた売却制限(ロックアップ)の期限前にトークンが取引所へ移されたとする、契約違反の有無が争点となっています。
- 対象となった「FF」および「ESPORTS」トークンが薄商いの市場で売却され、価格下落を招いたことが損害の根拠とされています。
- 大口取引におけるロックアップ契約の履行と、市場価格への影響に関する法的リスクを浮き彫りにした事例として注目されます。
総研プライム
ブロックチェーンを、
徹底的に読み解く。
技術の仕組み、企業の戦略、市場の構造まで。独自の調査・分析で掘り下げる専門レポート。
初月無料で読む