暗号資産取引所バイナンス(Binance)の優良顧客が、イランの軍事組織向けの資金移動網に関与していた疑いがあるとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じました。米国およびイスラエルの当局によると、この顧客が責任者を務める暗号資産企業は、イスラム革命防衛隊(IRGC)向けの秘密決済ネットワークに関係していたとされています。バイナンスでは当該顧客が手数料優遇などを受ける特別な立場にあったため、社内での口座閉鎖対応に上層部の承認が必要だったと伝えられています。大口顧客への優遇措置が制裁遵守の運用に影響を与えた事例として、暗号資産取引所のコンプライアンス管理の観点から注目されます。
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イラン軍事組織向け決済網への関与と当局の捜査
ウォール・ストリート・ジャーナルが10月9日に報じた内容によると、バイナンスの顧客がイラン政権の資金調達役が運営する暗号資産関連企業の責任者を務めていました。米国とイスラエルの当局の説明では、この資金調達役がイスラム革命防衛隊(IRGC)向けの秘密決済ネットワークを指揮していたとされています。
不審な取引の端緒となったのは、この顧客とイラン国内の両替商との間で行われた取引でした。その後、米国およびスイスの法執行当局が当該口座についてバイナンスに問い合わせを行いました。社内記録などからは、イランの首都テヘランからこの口座に対して繰り返しアクセスがあったことも確認されています。
なお、バイナンスのイラン関連取引については、ブルームバーグが9月22日に米司法省(DOJ)による制裁違反の疑いでの捜査を報じており、米当局による監視の目が向けられています。
優良顧客の特別待遇と取引所による口座閉鎖の経緯
バイナンスの社内記録によると、当該顧客は取引手数料の優遇や個別対応を受ける優良顧客として位置づけられていました。このような特別な扱いを受けていたことから、同社の調査担当者がこの顧客との取引関係を打ち切るためには、上層部による承認が必要な仕組みになっていたとされています。
バイナンス側はWSJの取材に対し、一連の対応について説明を行っています。それによると、関連する口座の取引については2025年終盤に停止措置を取り、2026年5月には最後の関連口座を閉鎖したとしています。大口顧客への手厚いサービスが、不審取引への迅速な対応プロセスにどのように影響するかを示す事例となっています。
ポイント
- バイナンスの優良顧客が、イスラム革命防衛隊(IRGC)向けの秘密決済ネットワークを指揮する資金調達役の関連企業で責任者を務めていた疑いが報じられました。
- 口座にはテヘランからの反復アクセスが確認され、米国やスイスの法執行当局から問い合わせが行われていたとされています。
- 取引手数料の優遇などを受ける優良顧客であったため、調査担当者が取引を打ち切るには上層部の承認が必要だったとされ、取引所の内部統制のあり方という点で注目されます。
- バイナンスは2025年終盤に関連口座の取引を停止し、2026年5月までにすべての関連口座を閉鎖したと説明しています。
- 米司法省による制裁違反容疑の捜査も伝えられており、国際制裁への遵守体制が暗号資産業界全体で厳しく問われています。
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