リキッドステーキングプロトコルLidoのエンジニアが、イーサリアムの次回アップグレード「Glamsterdam」への移行期において、ステーキング用の預入金が悪意ある第三者に奪われるリスクがあると警告しました。この問題に対処するために提案されていたコンセンサス仕様の変更案は、対応予定なし(not planned)として却下されたとされています。提案作成者は、仕様変更の代わりに預け入れ前の事前検証(pre-deposit checks)を防衛策として挙げています。委任型ステーキングプロトコルの資産安全性に関わる技術的課題として注目されます。
株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。
ステーキング預入金が奪われる脆弱性の指摘
Lidoのエンジニアリング責任者であるDima Gusakov氏は、Glamsterdamハードフォークの移行期において、悪意あるノードオペレーターが委任ステーキングの新規預入金をビルダー口座へ不正に流用できる脆弱性があると警告しました。
外部の報道によると、Glamsterdamではプロポーザー・ビルダー分離(ブロックを提案する側と構築する側を切り離す仕組み)がプロトコルに組み込まれ、ビルダー口座用のデポジットが新たに導入される予定とされています。Gusakov氏の指摘によれば、フォーク前後の移行期に預入キューが共有されることで、オペレーターがステーキングプロトコルの預入トランザクションを先回り(フロントラン)し、自らのビルダー引き出し資格情報を用いて預入金を自身のビルダー口座に紐付けることが可能になるとされています。この攻撃が成立した場合、本来意図していたバリデータは生成されず、プロトコルが拠出した資金が悪意あるオペレーターに引き出されてしまう可能性があると見られます。
仕様修正案の却下とプロトコル側の防衛策
この問題に対処するため、イーサリアムのコンセンサス仕様(consensus-specs)を管理するGitHubリポジトリにおいて修正を求めるイシューが提起されていましたが、対応予定なし(not planned)としてクローズされました。
関係者によると、イーサリアムのビルダーデポジット提案の著者であるJustin Traglia氏は、開発者間で議論が行われたものの、現時点で仕様変更を実施するための十分な支持がクライアント開発チームから得られなかったと説明したとされています。一方で、イシューの作成者はネットワーク全体の仕様変更ではなく、プロトコル側で資金を拠出する前に条件を確認する事前デポジット検証(pre-deposit checks)を実施することが防衛策になると指摘しています。
ポイント
- Lidoのエンジニアが、イーサリアムの次回アップグレード「Glamsterdam」移行期におけるステーキング預入金の乗っ取りリスクを警告した点で注目されます。
- イーサリアムのコンセンサス仕様リポジトリに提出された修正イシューは、クライアントからの支持不足などを理由に対応予定なし(not planned)としてクローズされました。
- 防衛策としてプロトコル側によるデポジット前の事前検証(pre-deposit checks)が挙げられており、ステーキング事業者が個別に対策を講じる必要がある点で注目されます。
総研プライム
ブロックチェーンを、
徹底的に読み解く。
技術の仕組み、企業の戦略、市場の構造まで。独自の調査・分析で掘り下げる専門レポート。
初月無料で読む