SMBC日興証券と英ブロックチェーン開発会社のNethermindは、国内投資家向けの分散型金融基盤「DeFi Gateway」の開発を開始することを発表しました。本プロジェクトには米Uniswap Labsや米Coinbaseのブロックチェーン「Base」などが加わり、国内にとどまっている流動性を世界のオンチェーン市場へ接続することを目指しています。証券会社が主体となり、規制に対応した分散型取引所(DEX)の流動性プールとAIインターフェースを組み合わせることで、国内投資家が安全にグローバル市場へ参加できるインフラの構築を狙う点で重要な取り組みといえます。
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規制対応型DEXとAIエージェントによる流動性接続の仕組み
DeFi Gatewayは、規制に対応したDEXの流動性プール(暗号資産の交換に使われる資産が集まる場所)と、AIエージェント型のインターフェースの2つの要素で構成されます。主な利用対象者として、専門的な知識を持たない個人や企業の財務部門が想定されています。
従来、DEXでの流動性提供には、運用するブロックチェーンの選定や価格変動による資産の目減り(インパーマネントロス)への理解など、高度な知識が求められていました。DeFi Gatewayでは、AIエージェント型のインターフェースが不足する知識や技術を補う設計とされています。これにより、国内の個人や企業に滞留している資金を世界のオンチェーン市場につなぐとともに、将来的には日本発のステーブルコインや現実資産(RWA)、トークン化株式に海外投資家がアクセスできる基盤としての役割も視野に入れています。
Uniswap v4のフックを活用した損失抑制と取引ルールの実装
技術面で協力する研究機関Nyx Foundationによると、DEXでは市場価格の変動に伴い、流動性提供者が意図しない損失を被るケースが多い点が課題とされています。外の市場とプール内の価格差を狙った取引によって資産が割安で買い取られ、手数料収入を上回る目減りが発生するためです。
この課題に対し、DeFi GatewayではDEX大手Uniswapの最新版v4に備わる「フック」機能を活用します。フックはプール内に独自のルールを組み込める機能であり、取引相手のアドレスの事前チェックや、相場の急変時に手数料を引き上げる仕組みなどを設定できます。これにより、意図的な市場の歪みを生む取引を抑え、トレーダーと流動性提供者の双方が安定した環境で取引できるメカニズムの構築が進められています。
金融規制への適応と今後の法的位置付けにおける論点
DeFi Gatewayの流動性プールはSMBC日興証券の社外システムであるBaseやUniswap上に展開され、世界中の参加者が取引相手となり得ます。自社で直接管理しきれない分散型環境において投資家保護を果たすため、産業側から技術的な解決策を提示し、当局と対話しながら実装を進める方針が取られています。
マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策(AML/CFT)としては、リアルタイムの取引監視と随時更新されるブラックリストをフックに組み込む手法が検討されています。一方で、従来の本人確認(KYC)に基づくホワイトリスト方式については、情報管理の安全性などの観点から再定義が必要との立場が示されています。
今後の主な論点となるのは、DeFi Gatewayを既存の金融法制の中でどのように位置付けるかという点です。金融庁は有識者研究会においてDeFiやDEXの制度対応を優先的に検討する候補に挙げており、規制を適用する範囲と不要な部分を整理する議論が進むかどうかが焦点となっています。
ポイント
- SMBC日興証券と英Nethermindが主導し、BaseやUniswap Labsと連携して国内投資家向け基盤「DeFi Gateway」の開発を開始しました。
- 専門知識のない個人や企業の財務部を対象に、規制対応型DEXプールとAIエージェント型インターフェースを提供する設計です。
- Uniswap v4のフック機能を活用し、流動性提供者の資産目減りを抑える仕組みや、リアルタイム監視・ブラックリストによる不正対策を導入する方針です。
- 国内の滞留資金を世界のオンチェーン市場へつなぎ、日本発のRWAやトークン化株式の取引を仲介するインフラを目指す点で注目されます。
- 金融庁がDeFiやDEXの制度対応を優先検討候補とするなか、分散型インフラを法律上どう位置付けるかの整理が今後の重要課題となります。
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