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ブロックチェーン総研by Pacific Meta

ENSラボが「ENSv2」をイーサリアムメインネットで稼働開始。ガスコスト約99%低下を受け独自L2から直接展開へ転換の方針

イーサリアム・ネーム・サービス(ENS)の開発を担うENSラボは、新バージョンとなる「ENSv2」をイーサリアムのメインネットで稼働開始したと発表しました。ENSは英数字が並ぶウォレットアドレスを人が読みやすい名前に紐づける基幹的なインフラであり、すでに3,600万件以上の名前と600以上の対応アプリケーションを抱えています。今回のアップデートにより、名前を管理する基盤が階層化され、より細かな権限設定が可能となりました。当初計画されていた独自レイヤー2の開発を中止し、イーサリアムメインネットへ直接展開された点でも重要な節目となります。

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監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。

階層化レジストリの導入と管理・検証ツールの刷新

ENSv2では、プロトコルの基盤となる名前の登録・管理台帳(レジストリ)を階層化する仕組みが導入されました。この仕組みにより、個々の名前ごとに、その配下に位置するサブネームを管理するための独自レジストリを保持できるようになります。

あわせて、名前ごとに詳細な権限設定が行える仕様となりました。たとえば、サブネームの保有者に対して情報の参照先を設定する権限を付与しながら、名前そのものを第三者へ譲渡する権限は与えないといった、用途に応じた柔軟な運用が可能です。

プロトコルの稼働に伴い、利用者向けの環境も更新されています。名前の登録や更新、プロフィールの設定を行う「ENSアプリ」が刷新されたほか、開発者や上級者向けに「ENSエクスプローラー」の提供が開始されました。このエクスプローラーを利用することで、名前の変更履歴や管理権限を持つ主体、名前に紐づく情報を取得する設定などを詳細に確認できます。

既存ネームの継続性とDAOへの権限移管プロセス

既存のENS名については、ENSv2へ移行を行わなくても引き続き利用や更新が可能であり、再登録の必要はありません。移行期限も設定されておらず、システムの移行による利用停止などのリスクを避ける設計となっています。

新機能の利用を希望する場合は、ENSアプリを通じて移行条件を満たす「.eth」名をENSv2へアップグレードできます。ただし、譲渡禁止などの権限制限があらかじめ設定されている一部の名前は移行対象外となるほか、更新の猶予期間中にある名前は事前に更新手続きを行う必要があります。

また、ガバナンスを担う分散型自律組織「ENS DAO」では、ENSv2を有効化する提案が10月27日に実行されました。この提案には、ENSラボが保有しているENSv2の管理権限を段階的にENS DAOへと移管する手順も規定されています。

独自L2開発の中止とイーサリアムメインネットへの直接展開

ENSラボは当初、ENSv2を展開する基盤として独自のレイヤー2ネットワーク「ネームチェーン(Namechain)」の開発を進めていました。しかし、2026年2月6日に同チェーンの開発中止を発表し、イーサリアムメインネットへ直接展開する方針へと転換しました。

方針転換の背景として、イーサリアムの処理能力向上に伴い、過去1年間でENS名の登録にかかるガスコスト(手数料)が約99%低下したことが挙げられています。ENSラボは、独自レイヤー2の運用に伴って発生する技術的な複雑性や管理負担を総合的に考慮した結果、メインネット上での直接展開が最適であると判断しました。

ポイント

  • ENSラボがイーサリアムメインネットで「ENSv2」の稼働を開始し、3,600万件超の名前を支える基盤プロトコルが刷新された点で注目されます。
  • レジストリの階層化と詳細な権限管理が可能になったことで、サブネームの個別管理や譲渡制限など、ビジネスや組織での安全な運用環境が整備されました。
  • 既存のENS名は再登録や移行期限なしでそのまま継続利用できるため、広範なエコシステムの後方互換性が保たれています。
  • イーサリアムのガスコストが約99%低下したことを受け、独自L2「ネームチェーン」の開発を中止してメインネットへ直接展開するという、インフラ環境の変化に適応した方針転換が行われました。
  • ENS DAOでの提案実行により、プロトコルの管理権限を開発企業であるENSラボから分散型組織であるDAOへ移管するプロセスが進められています。

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