本文へスキップ
ブロックチェーン総研by Pacific Meta

仏Alice & Bobがビットコイン暗号解読の新量子モデルを発表。解読に必要なハードウェア規模を従来の17分の1に削減

フランスの量子コンピューティング企業Alice & Bobが、ビットコインの暗号鍵を解読するために必要な計算資源を大幅に引き下げる新たな量子計算モデルを発表しました。新モデルにより、潜在的な攻撃に必要とされるハードウェアの規模が従来の予測から17分の1に削減されると試算されています。この試算は量子計算を用いた攻撃の実現可能性を高めるものであり、暗号資産エコシステム全体において耐量子セキュリティへの早期移行を促す圧力が強まっています。

クリプトマーケットの動きは、総研プライムの週刊レポート「週刊クリプトマーケット」で毎週追っています。最新号を読む(初月無料)

監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。

暗号解読に必要な量子計算ハードウェアの規模が大幅に縮小

Alice & Bobが提示した新たな理論モデルでは、ビットコインの暗号解読に要するハードウェアリソースが従来想定されていた水準から17分の1に削減されると報告されています。外部の先行研究では解読に数十万規模以上の物理量子ビット(量子コンピュータの最小情報単位)が必要と試算されていましたが、同社のモデルでは約3万個(2万9,588個)の物理量子ビットによって約1時間で秘密鍵を導出できる計算になるとされています。この成果により、これまで遠い将来の課題と見なされがちであった量子計算による暗号解読攻撃が、より早期に実現可能な段階へ近づいたと指摘されています。

耐量子暗号への早期移行が急務となる背景

今回のモデルは、ビットコインネットワークにおける耐量子暗号(量子コンピュータによる解読に耐性を持つ暗号技術)への対応を急ぐべきだという議論を加速させています。現在のビットコインの平均ブロック生成時間は約10分であるため、約1時間とされる解読時間では未承認トランザクションを直ちに改ざんすることは難しいとされています。一方で、すでに公開鍵がブロックチェーン上に露出しているアドレスに関しては、攻撃者が時間をかけて秘密鍵を算出できるリスクが生じる可能性があります。耐量子アルゴリズムへの移行やプロトコルのアップグレードには長期の検証と合意形成が必要とされるため、業界内では早急な準備着手を求める声が高まっています。

ポイント

  • 量子コンピューティング企業Alice & Bobが、ビットコイン暗号の解読に必要なハードウェアを17分の1に削減する新モデルを発表した点で注目されます。
  • 物理量子ビットの必要数が約3万個規模に引き下げられ、量子攻撃の現実味が大きく増したと見られます。
  • 公開鍵が露出しているアドレスの保有資産に対する潜在的な脅威が懸念材料として浮上しています。
  • プロトコルの安全性維持に向け、耐量子セキュリティへの移行議論が前倒しで進む契機になると考えられます。

記事を検索する