米中間選挙で民主党が上下両院の多数派を奪還したことを受け、エリザベス・ウォーレン上院議員が2027年1月に始まる新議会で上院銀行委員会の委員長に就任する見通しとなりました。同委員会は米証券取引委員会(SEC)などの金融当局を所管し、仮想通貨の市場構造法案の審議や召喚権限を行使できる重要なポストです。同氏の初期の優先課題には予測市場におけるインサイダー取引疑惑や仮想通貨企業の消費者保護体制の調査が挙がっており、議会による暗号資産業界への監督姿勢が一段と強まる可能性があります。
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銀行委員長就任による権限拡大と召喚権の行使
ウォーレン氏は、シェロッド・ブラウン前委員長の落選に伴い2025年1月から銀行委員会の民主党トップ(少数党筆頭)を務めてきました。同氏とスタッフはこれまでの2年間で企業に対して数百通の書簡を送り、数千項目の質問への回答を求めてきましたが、少数党の立場では回答を強制することはできませんでした。
しかし、委員長に正式に就任した場合は公聴会や法案審議の日程決定権を握るだけでなく、召喚状を用いて証言や資料の提出を強制できるようになります。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同氏の監督および調査は大手銀行やウォール街にとどまらず、仮想通貨から予測市場に至る新しい取引技術全般に及ぶ見通しです。
予測市場と仮想通貨企業に対する調査方針
初期の優先課題としては、プライベート・エクイティ業界を対象とする法案の推進に加え、予測市場でのインサイダー取引疑惑の調査、仮想通貨企業の消費者保護体制の調査の3点が挙げられています。
予測市場をめぐっては、ウォーレン氏は2026年6月に商品先物取引委員会(CFTC)のマイケル・セリグ委員長へ書簡を送付し、トランプ大統領一族が予測市場や仮想通貨企業に金銭的利害を持つ点を挙げてCFTCの規制能力に疑問を示していました。また、トランプ政権がプラットフォーム上のインサイダー取引を野放しにしているとも批判しています。ドナルド・トランプ・ジュニア氏とカルシやポリマーケットとの関係については、9月に共和党のジョン・カーティス上院議員も司法委員会に調査を求めており、新議会において実態解明に向けた追及が進むと見られます。なお、ジュニア氏の広報担当は取引を行っておらずマーケティング面の助言にとどまるとしている状況です。
仮想通貨市場構造法案をめぐる対立と先行き
ウォーレン氏は仮想通貨規制の法制化自体には意欲を示しているものの、共和党のティム・スコット委員長が主導した市場構造法案(クラリティー法案)の修正案に対しては、トランプ一族の利益相反を助長するとして反対してきました。
下院においても金融サービス委員会の委員長には民主党のマキシーン・ウォーターズ議員が最有力とされ、ショーン・キャステン議員も意欲を示しています。下院民主党が新たな市場構造法案を協議しているものの、業界関係者からは否定的な見方が出ています。さらに、トランプ大統領が今後2年間にわたり法案に対する拒否権を保持していることから、規制法案の成立に向けた先行きは不透明な情勢となっています。
ポイント
- 2026年11月の中間選挙で民主党が多数派を奪還したことで、仮想通貨懐疑派として知られるウォーレン上院議員が2027年1月より上院銀行委員長に就く見通しとなりました。
- 委員長就任により召喚権限を獲得するため、従来の書簡による質問にとどまらず、企業に対して証言や資料提出を強制できるようになる点で注目されます。
- カルシやポリマーケットなどの予測市場におけるインサイダー取引疑惑や、仮想通貨企業の消費者保護体制が初期の優先調査課題に設定されています。
- ウォーレン氏は法制化に意欲を見せつつも共和党主導の修正案には反対しており、大統領の拒否権保持も含めて市場構造法案の行方に不透明感が広がっています。
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