対象期間: 9/14(月)〜9/20(日) / データ取得日: 2026-09-21(月) / 公開日: 2026-09-22(火)
目次
- 円建てステーブルコイン
- ドル建てステーブルコイン(全体と定点10銘柄 / USDC / USDT / 価格ウォッチ)
- 1週間の出来事
- 韓国のUpbitがJPYCを上場、JPYC EXの累計発行額は100億円を突破
- CircleがUSDCを手数料の支払いに使う独自チェーン「Arc」のメインネットを開始
- Hyperliquidが担保付きの貸借機能を開始、初日の借入は2.69億ドル
- アナリストコメント
1. 円建てステーブルコイン|JPYCの流通はUpbit上場で2.2倍の42.9億円、JPYC EXでの発行が2日間で5,400件を超える
円建ての残高は合計253.7億円で、前週から23.4億円(+10.1%)増加しました(注5)。増加のほぼ全額がJPYCです。JPYCの「流通」は発行体の管理アドレス以外が保有する残高で、今週はUpbit上場をきっかけにJPYC EXでの発行が集中し、保有者の手元にあるJPYCが1週間で2倍を超えました(次の段落と注5)。表の各行は四捨五入しているため、行の合計は253.7億円と0.1億円ずれます。
| 銘柄 | 発行者と型 | 残高(9/21時点) | 前週差 |
|---|---|---|---|
| JPYSC | SBI新生信託銀行(信託型) | 200.3億円 | -0.02億円(-0.01%) |
| JPYC | JPYC株式会社(資金移動業型) | 流通42.9億円 | +23.4億円(+120%) |
| GYEN | GMO-Z.com Trust Company(米国の信託会社) | 9.5億円 | ±0(-107円) |
| その他 | CJPY等 | 1.1億円 | — |
JPYCの流通残高は42.9億円となり、前週の19.5億円から2.2倍に増加しました。3週続いた減少は止まり、増加分の23.4億円はEthereum上(1.2億円から11.5億円へ+10.3億円)とPolygon上(7.4億円から21.6億円へ+14.2億円)に集中しています。Kaia上は9.8億円から8.7億円へ1.1億円減少しました(注5)。増加のきっかけは9月17日の韓国の暗号資産取引所Upbitへの上場です。Upbitは同日9時48分にJPYCとPYUSDをウォン建て、ビットコイン建て、USDT建ての3市場で取り扱うと告知し、JPYCの取引は18時に始まりました。入出金はEthereum上のJPYCだけが対象で、取引開始直後の価格は一時27.2ウォンと、告知に記された基準価格8.81ウォンの約3.1倍に達しました(出典: JinaCoin、Seoul Economic Daily)。経緯は当社の深掘り解説にまとめています。海外の取引所で1円を上回る価格がついたことで、1JPYC=1円で発行できるJPYC EX(注11)に発行の申込みが集中し、発行されたJPYCが分散型取引所で売られる裁定取引(注11)を通じて、Ethereum上とPolygon上の流通が同じ日に増加したとみられます。1円の発行窓口が、海外で生まれた需要の急増をそのまま受け止めた形です。
ブロックチェーンの記録では、発行体の管理アドレス2件からEthereum上とPolygon上の外部アドレスへの払い出し、すなわちJPYC EXで発行を受けた利用者へのJPYCの送付が、9月17日に7.6億円(1,506件)、18日に20.9億円(3,965件)記録され、2日間の合計は28.5億円(5,471件)で、1件あたり平均約52万円です(注5。JPYC EXの発行は1回100万円が上限、注11)。払い出し先のアドレスは日別の延べで約3,900件にのぼり、1件あたりの金額が小さく件数が多い形は、多数の利用者がJPYC EXで発行した動きと整合します。JPYC株式会社は9月18日、JPYC EXの累計発行額が100億円を突破したと発表しました(出典: JPYC株式会社の発表)。同日の報道によれば、非公式のダッシュボード(JPYC info)が示す累計発行額は9月17日(UTC)の1日で80.1億JPYCから105.5億JPYCへ25.4億JPYC増加し、JPYC EXの発行予約はEthereum上で17日20時34分から23時43分まで、Polygon上で22時19分から翌0時22分まで一時停止しました(JinaCoin、JinaCoinによる)。発行体は同じ17日から18日にかけて、4チェーンでオンチェーンの発行(発行量そのものを増やす取引)を計124.8億円行い、集計上の発行量は88.1億円から212.9億円へ増加しました。発行分の大半は今後の発行に備えて発行体の管理アドレスに置かれており、集計上の発行体管理分は68.6億円から170.0億円へ増加しています(注5)。JPYC EXでは発行と償還の両方向が動いており、18日から20日にはEthereum上で2.1億円、Polygon上で3.4億円が管理アドレスへ戻る転送も記録されています(注5)。
Kaia上では発行体が22.0億円を新たに発行し、Kaia上の発行量は57.0億円になりました。流通の減少1.1億円は、この発行分を除いた管理アドレス2件の残高増加1.1億円と一致しており、発行体の管理下への移動です(注5)。送金の件数は増加に転じ、対象週のKaia上のJPYC送金は19,010件で、前週の7,172件から2.7倍になりました(Dune上の当社集計、注5。当社とJPYC株式会社の関係の開示は注9)。同じ集計の送金額(約31.4億円)には同じ週の発行体による発行22.0億円が含まれるとみられるため、利用の増減を見る値としては件数を用いています。
首位のJPYSCは200.3億円で、前週からほぼ横ばい(-0.02億円)でした。ブロックチェーンの記録では、対象週に発行が4件(9/14〜9/17の平日午前と午後、計0.36億円)、償還が1件(9/18の13時36分、0.38億円)記録されており、差引で0.02億円の減少です(注5)。償還を毎週金曜の日中に1件まとめて記録する型は7月24日以降9週続いており、金額は8月の5.6〜6.0億円から9月は0.8億円、0.6億円、0.4億円と縮小しています。Ethereum上の発行量を照会した値は、集計値と1円単位で一致しています。GYENは9.5億円で、前週から変わりませんでした。
図4は、上段が円建ての銘柄別残高の比較、下段がJPYCとJPYSCの推移です。JPYCの推移は、集計元が発行体の管理分を分けて集計し始めた7月22日以降の日次値を、発行残高(流通と発行体管理分の合計)と流通の2本で示しています(注5)。9月18日の点で、発行残高と流通がともに増加した形がそのまま表れています。JPYSCは、収録が始まった7月22日以降、8月1日の点で200億円台に乗ってから横ばいで推移しています。

13週前の6月20日時点では、円建ての合計は約42.8億円でした(注5)。円建て市場の規模は3か月で約5.9倍になっており、この拡大はJPYSCの登場1件でほぼ説明できます。JPYSCは円建て合計の79%を占め、本号で2.2倍になったJPYCの比率は17%です。
