大手金融機関のスタンダードチャータード銀行は、アラブ首長国連邦(UAE)の富裕層顧客を対象に、ビットコイン(BTC)およびイーサ(ETH)の取引サービスを開始しました。同サービスは外部への暗号資産送金を禁止するクローズドループ(閉鎖型)モデルを採用しており、取引時には最大2%のスプレッドが課されます。伝統的な国際銀行が自社システム内で取引を完結させる仕組みを構築した事例であり、規制された環境下で暗号資産へのアクセスを提供する新たな動きとして注目されます。
クリプトマーケットの動きは、総研プライムの週刊レポート「週刊クリプトマーケット」で毎週追っています。最新号を読む(初月無料)
株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。
外部送金を制限した閉鎖型モデルの採用
スタンダードチャータード銀行が提供を開始した取引サービスは、ビットコインとイーサの主要2銘柄を対象としています。
本サービスの特徴は、同行のシステム外への暗号資産の送金を禁止したクローズドループ(閉鎖型)モデルが採用されている点です。資産の移動を銀行のインフラ内に制限することで、外部ウォレットへの誤送金や不正流出といったリスクを抑える設計になっていると見られます。
なお、同サービスはドバイの仮想資産規制機関(VARA)の認可を受け、同行傘下のベンチャー企業であるZodia Marketsなどと連携して提供されているとされています。
手数料構造と富裕層向けサービスの位置づけ
本サービスにおける取引手数料として、同行は最大2%のスプレッド(売買価格の差額)を設定しています。
外部ウォレットの作成や管理を行うことなく、銀行口座を通じて直接暗号資産の売買が可能となる利便性を提供する一方で、最大2%のスプレッドは暗号資産取引に特化した外部の取引所と比較して高水準にあると見られます。規制された大手金融機関が提供する信頼性やセキュリティの対価として、こうしたコスト構造が設定されている可能性があります。
ポイント
- スタンダードチャータード銀行がUAEの富裕層顧客向けにビットコインとイーサの取引を開始した点
- 外部への暗号資産送金を禁止するクローズドループ(閉鎖型)モデルを採用し、銀行システム内で取引が完結する点
- 取引時のスプレッドが最大2%に設定されている点
- 大手国際銀行が直接的な暗号資産売買サービスを自社の管理下で展開した事例である点