本文へスキップ
ブロックチェーン総研by Pacific Meta

ジリカが独自L1からイーサリアムL2へ移行を発表。vLEIを用いた機関向けネットワークに転換する方針

レイヤー1ブロックチェーンのジリカ(Zilliqa)運営チームは、独自のレイヤー1からイーサリアムのレイヤー2へ移行する方針を11月5日に発表しました。新たに構築されるジリカ・インスティテューショナル・レイヤー(ZIL)は、本人確認やコンプライアンス機能を備えた規制対象の機関向けネットワークへと転換されます。長年独自チェーンを運営してきたプロジェクトが、流動性の枯渇や安全性の維持負担を理由にイーサリアム基盤の活用へと舵を切った事例として注目されます。

クリプトマーケットの動きは、総研プライムの週刊レポート「週刊クリプトマーケット」で毎週追っています。最新号を読む(初月無料)

監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。

独自チェーン維持の限界とイーサリアムL2への移行背景

ジリカは2019年1月にメインネットを公開したレイヤー1ブロックチェーンです。取引を分割して並列処理するシャーディング技術を強みとし、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用したジリカ2.0への刷新も進めていました。

しかし、約9年間にわたり独自のレイヤー1開発に取り組んできたものの、独立したブロックチェーンを維持するために必要なネットワーク利用規模やエコシステムの成長には達しませんでした。さらに、独立したチェーンに対する資金供給や流動性の枯渇に加え、最近発生した複数のセキュリティ事故を通じて、単独でネットワークの安全性を維持するために膨大なリソースが必要であることが明らかになったと説明されています。

独立したレイヤー1では運営とセキュリティを自ら維持する必要がありますが、イーサリアムのレイヤー2では、取引処理を外部で行いつつイーサリアムを決済やセキュリティの基盤として利用できます。ジリカ運営チームは、移行を通じてイーサリアムが持つセキュリティと流動性を活用する方針です。なお、具体的な移行時期については明らかにされていません。

法人認証「vLEI」の導入と運営体制

新ネットワークであるジリカ・インスティテューショナル・レイヤーは、金融機関をはじめとする規制対象事業者の利用を想定しています。一般的なパブリックブロックチェーンでは、ウォレットアドレスのみから取引相手の法人や権限保有者を確認することが困難であるという課題がありました。

この課題を解決するため、新ネットワークでは検証可能な法人識別子であるvLEI(verifiable Legal Entity Identifier)を採用します。vLEIは、法人を識別する国際的な仕組みであるLEIを基盤としたデジタル認証情報であり、法人の身元や代表者の取引権限を暗号技術によって検証可能です。ネットワークではvLEIを通じて身元を確認し、認証済みウォレットを許可リストに登録することで、登録者のみが取引できる参加許可制の市場を構築します。一方で、取引記録自体は公開され、監査可能な状態が維持されます。本機能は当初は機関向けに提供され、その後に個人やAIエージェントへと対象を広げる予定とされています。

ネットワークの運営には、リヒテンシュタインの国有通信事業者テレコム・リヒテンシュタインが51パーセントを保有し、ジリカも主要株主である国家支援トラストネットワーク「LTIN」が関与します。LTINは取引の順序付けや一括処理を行うシーケンサーを運営するほか、参加機関へのvLEI発行を担う適格vLEI発行者(QVI)の認定取得を進めています。

なお、既存のパートナーシップやコミュニティ、独自トークンであるZILは維持されます。ZIL保有者が現時点で対応すべき手続きはなく、取引所やステーキング利用者への影響を含む技術的な詳細は移行前に公表される予定です。

ポイント

  • 独立したレイヤー1の維持に必要な利用規模の不足、流動性の枯渇、セキュリティ維持にかかる負担の増大から、イーサリアムのレイヤー2への移行が決定された点
  • イーサリアムのセキュリティと流動性を基盤としながら、本人確認やコンプライアンス要件を満たす規制対象の機関向けネットワークへ転換する点
  • 法人識別基盤であるvLEIを活用し、監査可能性を保ちながら身元確認済みの事業者のみが参加できる許可制市場を構築する点
  • リヒテンシュタインの国家支援組織LTINがシーケンサー運営とvLEI発行を担い、官民連携によるインフラ体制を敷く点
  • 独自トークン「ZIL」は維持され、保有者の即時対応は不要であり、技術的詳細は移行前に公式サイトで告知される点

記事を検索する