東京証券取引所は2026年11月6日、別荘やホテル事業などを展開するNOTAのグロース市場への新規上場を承認しました。上場予定日は12月9日で、証券コードは「673A」に決定しています。同社は完全子会社を通じて暗号資産(仮想通貨)「NOT A HOTEL COIN(NAC)」を発行しており、上場後は国内株式市場における暗号資産関連株の一つに加わります。現実の宿泊体験と連動するRWA(現実資産)領域のプロジェクトを手がける企業の上場事例として、Web3ビジネスと伝統的資本市場の接続という観点から注目されます。
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上場概要とこれまでの資本調達
東証の資料によると、今回の新規上場に際して新株公募は508万800株、既存株主による売出しは1,221万6,600株が予定されています。需要に応じたオーバーアロットメントによる追加売出しは259万4,600株を予定しており、募集および売出しは上場承認と同じ11月6日の取締役会で決議されました。今後のスケジュールとして、仮条件は11月20日、公開価格は11月30日に決定する見通しです。
主幹事は野村證券とSBI証券が務めます。SBIホールディングスとSBIインベストメントは同社の株主でもあります。また同社は、2026年8月6日にシリーズDの第三者割当増資によって100億円の資金調達を実施したことを発表しています。引受先はトヨタ自動車の戦略投資会社であるトヨタ・インベンション・パートナーズとSBIグループが中心で、既存株主による65億円の株式譲渡を含めた総取引額は165億円に達していました。
暗号資産NACの発行とRWA分野での取り組み
NOTAの完全子会社であるNOT A HOTEL DAOは、暗号資産「NOT A HOTEL COIN(NAC)」を発行しています。NACは2024年12月にGMOコインを通じたIEO(取引所を介したトークン販売)において、目標額である20億円を満額調達し、同月13日より売買が開始されました。さらに2026年10月8日にはコインチェックでも販売所および積立サービスでの取扱いが開始され、国内での取扱取引所は2社体制となっています。
NACは、トークンをNOT A HOTEL DAOに一定期間預け入れる(レンディングする)ことで物件の宿泊権が付与され、預けたNACは1年後に返還される設計となっています。コインチェックはNACを現実の宿泊体験と連動するRWA(現実資産)領域のプロジェクトと位置づけています。なお、対象物件の所有権自体はNAC保有者ではなくNOT A HOTEL DAOが保有しており、トークン保有者が得られる権利は宿泊権をはじめとする利用面に限定されています。
グループ経営体制と事業領域の展開
同社は2020年4月にNOT A HOTELとして設立されました。社名変更日については、発表資料や報道において10月2日付(一部発表では10月5日)で現社名のNOTAに変更したとされています。
事業面では、別荘を年10泊単位から共同でシェア購入できる「NOT A HOTEL」を中核として展開してきました。現在は住宅事業を手がけるNOT A HOUSE、クルーザーやジェットなどのモビリティをシェア購入できるNOT A GARAGE、街づくり事業のNOT A CITYを傘下に抱えています。モビリティ事業のNOT A GARAGEについては、トヨタ系の投資会社などと連携して推進していく方針を示しています。
ポイント
- 暗号資産NACの発行元を完全子会社に持つ企業が東証グロース市場へ上場を承認され、国内の暗号資産関連株として加わる点で注目されます。
- 発行トークンのNACは、レンディングによる宿泊権の付与と1年後の返還という仕組みを持ち、実物体験と連動するRWA(現実資産)のユースケースとして運用されています。
- IEOによる20億円の調達や国内取引所2社での取扱いに加え、未上場段階での100億円規模のエクイティ調達など、暗号資産と株式市場双方の調達手法を活用してきた点で重要です。
- トヨタ系投資会社やSBIグループからの出資受入れ、野村證券とSBI証券が主幹事を務める体制など、大手金融機関や事業会社との資本連携を背景に上場を迎える点で注目されます。
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