最近では、普段ゲームをやらない人にも「eスポーツ(イースポーツ)」という言葉が浸透しつつあります。
「eスポーツをオリンピック競技にしてはどうか」という声もあがっている一方で、解決が必要とされている課題や問題点も数多く存在しているのが実状です。
今回Pacific Metaマガジンでは、eスポーツが抱える問題点についてを特集します。
内容は以下の通りです。
- 日本でeスポーツが抱えている問題点と対策について
- 世界的に見たeスポーツの問題点と現状について
- eスポーツがオリンピック種目になる可能性について
- eスポーツに携わる仕事がしたいならG-JOBエージェントを要チェック
具体的な事例を紹介しつつ、eスポーツの現状と将来についてお届けしていきます。
日本のeスポーツの現状と問題点は?
まずは、日本を中心としてこれまでのeスポーツの発展を振り返り、数多くの問題点を抱えている現状について見ていきます。
日本のeスポーツの立ち遅れ
ここでは、eスポーツを発展させるターニングポイントとなった出来事をピックアップし、世界と日本で比較しながら振り返ります。
世界 | 日本 | |
1972年 | 米スタンフォード大学で雑誌の1年間の購読料をかけて「スペース ウォー!」で競い合う | |
1974年 | 「セガTVゲーム機全国コンテスト 東京決勝大会」開催 | |
1980年 | 米で「スペースインベーダー選手権」開催 参加者は全米で1万人以上 |
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1983年 | コンピューターゲームのチームとして「U.S.ナショナルビデオチーム」設立 | |
1985年 | 「全国キャラバンファミコン大会」開催 | |
1988年 | 最初のオンラインスポーツゲームとされる『Netrek』が誕生する | |
1991年 | 『ストリートファイターII』が発売され、2人のプレイヤーによる直接対戦をゲームでおこなうという概念を普及させた | |
1996年 | 国際的なeスポーツ大会 である「EVO」の前身が設立 | |
2000年 | 日本で最初のeスポーツ企業BattleTop Japanが創業 | |
2000年代 | 韓国でオンラインゲームが大流行し、eスポーツのテレビ中継も確立される | |
2010年代 | ストリーミングでの配信サービス普及もありeスポーツの視聴者数・賞金額が跳ね上がる | |
2016年 | 東京アニメ・声優専門学校が、日本の専門学校初となるプロゲーマー・eスポーツ教育を開始 | |
2018年 | 日本eスポーツ連合 (JeSU) が設立 次いで、日本eスポーツリーグ協会 (JeSA) が設立 |
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2019年 | CAPCOM ProTour 2019アジアプレミアにて、500万円のはずの賞金が10万円に減額されたという選手側の発言が物議を醸す |
現在のeスポーツが流行る大きなきっかけとなった出来事の1つは、韓国でインターネットカフェやオンラインゲームが急速に普及したことです。
韓国はeスポーツのパイオニアとしても知られており、韓国のeスポーツ選手はオリンピックの聖火リレーにも参加するなど、非常に評価の高い職業となっています。
一方、同時期の日本ではオフラインの家庭用ゲームやゲームセンターで遊ぶことがメインであり、オンラインの対戦ゲームが普及するまでには時間がかかったという側面がありました。
さらには、法律の解釈をめぐってeスポーツ団体と選手の間で騒動が起きたこともあり、日本では大規模な大会が開かれにくくなっているという課題もあります。
こういったこともあり、日本では競技としてのeスポーツの発展が、韓国・アメリカといったeスポーツ先進国に比べるとやや遅れています。
法律の問題
eスポーツの大会を開催するためには、様々な法律上の課題をクリアする必要があります。
これらの法律をクリアするハードルの高さも、日本でeスポーツが発展しづらい要因の1つにもなっています。
著作権法
eスポーツの大会を開催するためには、ソフトの販売・開発元などゲーム会社の許諾を得なくてはなりません。
権利関係をきちんとチェックする必要があるので、専門的な知識も必要になってきます。
刑法 賭博罪
参加者からお金を集めて、その集めたお金を賞金に回してしまうと、賭博とみなされる可能性があります。
別途スポンサーからお金を集めるなどして、賞金はそこから出すという流れにしなくてはなりません。
風営適正化法
参加者からお金を集めてゲームをプレイさせる → ゲームセンターの運営と同じ法律(風営適正化法)が適用される → 適用されると商品の提供がNGとなる、という流れに陥る可能性があります。
特にアーケードゲームの筐体を設置する場合は注意が必要です。
景品表示法
課金が有利になるゲームにおいて、関連ゲーム会社が大会を主催する場合は賞金額が制限される可能性があります。
賞金額を釣り上げることでゲームの課金を誘発することができてしまうため、このような決まりになっています。
暴力的な描写
特にバトルロイヤル形式のゲームでは、相手を銃で撃つなどの暴力描写や流血があることも珍しくありません。
こういった表現があることで「教育的に悪い」「スポーツとしては違う」という意見が多くなり、特に子供の参入が難しくなるソフト・アプリも存在します。
選手への誹謗中傷
eスポーツ選手は、SNSやYouTubeなどで情報を発信する機会も多く、一般の人とのコミュニケーションを積極的に取る選手もたくさんいます。
その分、勝敗や戦い方によっては批判を受けることもあり、果ては誹謗中傷へつながるケースも続出しています。
プロゲーマーの割合が少ない女性を差別するような発言も度々問題となっており、選手への誹謗中傷は根深い課題点の1つです。
JeSU(日本eスポーツ連合)問題
プロライセンス制度を作り統括団体として活動をしているJeSU(日本eスポーツ連合)ですが、大会の賞金などをめぐってトラブルになることもありました。
過去には、JeSU公認大会となっていた「CAPCOM ProTour 2019アジアプレミア」において、プロライセンスを持っていない優勝選手が賞金を大幅に減額されたと発言したこともあり、少なからず批判を受けている部分もあります。
ゲームを「遊び」と捉える日本の風潮
プロゲーマーという職業が誕生している一方、現在の親世代はゲームを趣味の延長線上と捉え、プロゲーマーを目指しても無駄だと考えることがほとんどです。
身内からのサポートや社会的な評価を受けづらい職業になってしまっているため、周りの目に絶えられずにプロゲーマーの道を断念する人も多くいます。
「eスポーツ 日本」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
日本のeスポーツの問題への対策
上記のような問題点を解消するためには、競技としてのeスポーツと趣味のゲームとの明確な基準を作るとともに、職業としてプロゲーマーを選んだ人に対する法律の整備を進めていく必要があります。
プロとして活動する以上は賞金を得て生活をすることになるので、お金の面で不安を感じさせない仕組み作りが、今後の課題として急務でしょう。
世界のeスポーツの問題点は?
特に韓国・アメリカなどでは高額賞金の出るeスポーツ大会が多く、年収が高いプロゲーマーもたくさんいます。
しかし、動くお金の量が大きくなるほどトラブルも増えており、例えばオンライン大会で替え玉をしたり、賭けの対象になっている大会で八百長が起きたりと、eスポーツ関連の事件は後を絶ちません。
世界的に見てもまだまだeスポーツの課題は多く、発展途上の分野と言えるでしょう。
「eスポーツ 賞金」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
eスポーツそのものが抱える問題
eスポーツ、つまりはゲームそのものが抱えている問題も中にはあります。
最近では、WHO(世界保健機関)が「ゲーム障害」を病気として認定するなど、長時間プレイをすることによる依存への注意もなされています。
そこまで重症化しなかったとしても、長時間プレイによる運動不足や腱鞘炎など、怪我や病気に繋がる可能性はあり、健康面への悪影響は否定できません。
また、競技とした見たときには何十年も続く普遍的なタイトルが無いことも問題点として挙げられます。
同じシリーズタイトルでも、新作が出たりアップデートされたりする度に大幅なバランス調整がおこなわれることは珍しくないため、プレイヤーにとって変化が激しすぎるという難点があります。
eスポーツがオリンピック種目になる可能性と問題点は?
eスポーツを将来的なオリンピック種目に推す声も多く聞かれますが、現状では難しいと思われる点も存在します。
この見出しでは、eスポーツがオリンピック種目になる可能性・問題点について見ていきましょう。
IOC(国際オリンピック委員会)によるeスポーツイベント開催
まず、IOCの立場としてはeスポーツに否定的な動きはなく、むしろ発展に前向きな姿勢が見られます。
2018年にはeスポーツの影響、および将来の発展の可能性についてシンポジウムを開催しており、2021年5月にはIOCが競技連盟と初めて主催したeスポーツ大会も開催されました。
ちなみに、競技に選ばれたゲームとしては『eBASEBALLパワフルプロ野球2020』『グランツーリスモSPORT』などが挙げられます。
IOC会長バッハ氏のeスポーツに関する発言
IOCがeスポーツの発展を前向きに捉えている一方で、バッハ氏はオリンピックの競技とするには課題がある旨の発言もしています。
具体的には「暴力的なゲームプレイを制限する必要がある」「eスポーツをさらに細かく調整するための国際的な統括団体が無い」といった課題を挙げており、少なくとも直近でオリンピック種目とするには厳しいという見方です。
eスポーツがオリンピック種目になる場合の問題点
バッハ氏の発言のほか、上で紹介したような「普遍的な競技ではない」「ゲームソフトメーカーの著作権が問題になる」といった要素も、オリンピック種目にするための障壁となるでしょう。
選出される競技(ソフト)によってゲームメーカーを巻き込んだ利権関係が生まれるので、公平性を保ったルール作りは非常に難しくなることが予想されます。
「eスポーツ 種目」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
「G-JOBエージェント」を活用してeスポーツを支える人になろう!
「ゲームは好きだけど、プロゲーマーになるのは流石に厳しい」と考えている方も多いと思います。
そのような方におすすめしたいのは、G-JOBエージェントを活用してeスポーツに携わる仕事をすることです。
G-JOBエージェントは、ゲーム業界のクリエイターへ転職することに特化しているエージェントサービス。
業界に特化している分だけ担当のコンサルタントは知識が豊富ですし、G-JOBエージェントでコンサルタントになるためには「ゲーム会社での人事経験3年以上」「ゲーム開発現場のマネージメント経験」「国家資格コンサルタント所有者」のいずれかに該当する必要があります。
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案件の検索までは登録不要なので、まずはサイトで雰囲気をチェックしてみてください。
eスポーツの問題点についてのまとめ
今回Pacific Metaマガジンでは、eスポーツの問題点について紹介してきました。
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 日本におけるeスポーツの問題点として、諸外国への立ち遅れ、法律の問題、JeSU(日本eスポーツ連合)の問題、ゲームを遊びと捉える風潮などがある
- それらを解消するためには「プロと趣味を分ける基準作り」「プロゲーマーを守るための法律整備」などが急務となる
- 他の国でもeスポーツをめぐる事件が起きたり、ゲームへの依存が社会的な問題になっていたりと、世界的にも課題はまだまだ多い
- IOCもeスポーツには前向きだが、オリンピック種目にするためには問題点があるという認識をしている
- ゲーム業界に携わりたいならG-JOBエージェントを要チェック
急速な発展とあわせて様々な問題点が噴出しているのが、現状のeスポーツ業界です。
問題点やリスクを理解した上で、上手にeスポーツ・ゲームと付き合っていきましょう。