アニメは、沢山の工程を色々な担当で分けて制作されていることはご存知の方も多いと思います。
中でも「原画マン」は、アニメ制作の中心になる役割だと言っても過言ではありません。
今回Pacific Metaマガジンではアニメーター・原画マンについて以下のことを紹介します。
- アニメーター・原画マンの仕事は?
- 原画マンの給料・年収はどのくらい?
- 原画マンと動画マンの違いは?
- アニメーターに就職するなら専門学校!
アニメ制作を仕事にしたい方にとって、原画マンは憧れの職業のひとつではないでしょうか。
今回はそんな原画マンの仕事内容や給料など、知っておきたい情報を、掘り下げてお話したいと思います。
アニメーター・原画マンの仕事内容
原画マンの仕事内容はひと言で表すと「作画担当」 になります。
アニメの構成を決めて、登場人物に命を吹き込みます。
作品の世界観そのものを作成できるので、やりがいがあるとても魅力的な仕事です。
ただ、それだけではバク然としすぎていて、イマイチぴんと来ないかもしれませんね。
そこで、まずは原画マンの仕事内容の流れを大きく3つに分けてご紹介します。
原画の作成
原画マンのメインになる仕事は原画の作成です。
キャラクターの細かい表情や動きを具現化し、原画にしていきます。
30分のアニメ1話につき、原画を作成する数は300から400カットもあるのをご存じですか?
これを1人の原画マンだけで作成するのは難しいですよね。
なので、原画マンは1話の原画作成につき、およそ15人から20人ほどが担当しているようです。
意外と大人数ですね。
原画の作成で大切なことは「その1枚で何を伝えたいのか?」をしっかりと考えて描くことです。
1枚の絵でそのキャラクターの感情や状況を伝えていくことが原画マンの仕事です。
原画マンによって原画の描き方は色々とあるようですが、1シーンを通してラフから進めて清書していく方法が良いようです。
そうすることで、位置関係や対比などがしっかりするそうです。
また、原画の作成をするときは、担当した箇所のはじめから順番に…という描き方が良いみたいですよ。
作画打ち合わせ
アニメ制作は監督がストーリーを決定し、演出家と共に絵コンテや設定資料などを用意するところからスタートします。
次に原画マンの元へこの絵コンテと資料が渡されます。
それから原画マンと演出家、制作進行係で打ち合わせをしていきます。
ここでは演出家から、絵コンテや設定資料だけではわかりにくいキャラクターの動きを説明されたり、画面構成の細かい意図なども指示されます。
ちなみに、絵コンテ自体は、簡単に棒人間のような描き方をされていることが多いので、詳しい説明がないと、どれがどのキャラクターなのかわからないということもあります。
なので演出家から原画の描き方などをしっかり確認していく必要があります。
同時に、作品の提案をしたり、仕事内容についての不明点などをあげていきます。
絵コンテとは、作品全体の設計図のことです。
小さなレイアウトがたくさん詰まっている、とても大切な資料です。
設定資料には、キャラクター設定や美術設定が書かれています。
キャラクター設定は「キャラ表」ともいわれ、表情集が載っていたり、キャラクター同士の対比などが載っています。
美術設定は、小物や背景などの詳細設定が描かれています。
原画マンは複数の作品を担当していていることがほとんどです。
しっかりと作画打ち合わせをしなければ、作品自体を理解できないまま作業を進めることになってしまいます。
そのため、原画マンにとってこの作画打ち合わせ作業はとても重要になりますね。
タイムシートの作成
原画マンは1人で1つのアニメを全て担当するわけではありませんでしたね。
自分の担当する原画を作成する前後には、それぞれ別の担当者がいます。
なので、タイムシートを使って行程を報告していく必要があります。
タイムシートは「表形式」になっています。
作品の指示や注釈を書く欄があり、それを仕上げることで次の担当原画マンがスムーズに仕事を進めることができるようになるのです。
そこにどのタイミングでキャラクターにセリフをしゃべらせ、どういう動きをさせるか、またどのくらいの間を持たせるのかなどを考えて、表に記入していきます。
創造性を問われる大切なところになりますね。
ただ作業工程を伝えるだけでなはいので、とてもやりがいのある作業だと思います。
具体的には1秒を24分割にしたものを1単位としていて、画面上にタイミングとして指定していきます。
メモ欄もあり、そこに特殊効果を入れたり細かい撮影処理を記載します。
最近では作成のスケジュールが詰まりすぎてしまい、タイムシートに記載する内容にも若干変化が出てきているようです。
原画マンの給料・年収はどのくらい?
原画マンの仕事はとてもやりがいがありますが、一体どれくらい給料をもらっているか気になりますよね。
「1つの仕事単価はいくらくらい?」「年収はどれくらいになるの?」など給料についての疑問にお答えしたいと思います。
一般的な原画マンの年収・月収
まず、原画マンには2通りの働き方があります。
ひとつはフリーランス制です。
こちらは完全請負制のものと、基本給が決まっていて1カット製作するごとに〇〇円追加というパターンのものがありますね。
そしてもうひとつはアニメ制作会社の正社員で固定給制です。
イメージとしたら正社員雇用が普通ではないの?と思われるでしょうが、実は違います。
原画マンの約90%はなんとフリーランス契約なのですよ。そして完全請負制が約60%というから結構シビアですね。
正社員の場合、決まった金額を給料として受け取れますが、フリーランスではそうもいきません。
原画マンの仕事をスタートしたての時は、通常の生活をすることすらむずかしいかもしれません。
しかし、経験を重ねるごとに給料単価は上がっていきます。
実力次第で大きく変動すると考えておきましょう。
平均値としては、原画マンの月収はおよそ20万円くらい、年収は250万円というデータがあります。
原画1枚あたりの単価
完全請負制がほとんどを占める原画マンの給料ですが、実際の原画1枚あたりの単価はどのくらいでしょうか?
こちらもアニメ制作会社によって単価に違いがあるのでひと言では言えませんが、だいたい1カット描いて4000円から5000円程度と言われています。
単価そのものは特別安いわけではないな…という印象ですよね。
ですが、これは1カットあたりの料金です。
少しむずかしいのですが、1カットの中に色々なものを描かなければならないときは、それぞれ1枚ずつ描き分けてようやく1カットとなるのです。
なので、1カットが1枚の時もあれば、5枚、6枚と必要なこともあり、「1枚当たりいくら」と単純に計算しにくいのが現状ですね。
そこで、原画マンの原画製作の単価は1枚あたりと考えるより1カットあたりと考えておいた方がよいでしょう。
原画マンと動画マンの違い
アニメーターと呼ばれる職業には、今お話ししている原画マンと、もうひとつ「動画マン」があります。
原画マンの仕事内容は先にお話ししましたが、同じアニメーターでも動画マンはまた違う仕事をします。
動画マンの仕事は、簡単に言えば原画マンが描いた絵を動画用紙にトレース(なぞり描き)して、動画になるように仕上げていくことです。
トレース作業が多いのですが、原画を忠実に再現して均一な線で仕上げなければなりません。
さらにカットに合わせて動きがなめらかになるよう、枚数をたくさん描かなければいけないので、原画マンに比べて1カットの制作量はかなり多くなります。
パラパラ漫画を作るイメージですね。
ちなみに基本的には、動画マンでキャリアを積んでからでないと原画マンになることはできません。
なので、原画マンになりたい方は動画マンとして数年働く必要があります。
絵を描くスキルは動画マン時代で身につくので、頑張ってほしいと思います。
アニメーターに就職するなら専門学校!
専門学校では、資格や技術を身に着けたうえで卒業するためのカリキュラムが組まれています。
幅広く学術的な知識と教養を身につけるのもよいことだと思います。
でも、将来のビジョンが明確な場合には、専門学校に入学することをおススメします!
ちなみに、一押しなのは代々木アニメーション学院です。
代々木アニメーション学院は、全国に10拠点もあるので好きなところに通うことができてとても便利ですよ。
全国どこの学校に通っても偏りがないようオリジナルテキストや授業時間数、カリキュラムの進行も統一させています。
アニメーターになるために必要な「作画技法」や「人体描写」を徹底的に指導してくれるアニメーター科があるので、「原画マンになりたい!」という方には非常に心強いと思います。
でもいくら技術があっても、業界の専門知識がないと仕事をスタートするには不安が残ってしまいますよね。
そこでアニメーター科では、アニメ制作会社で即戦力となれるよう、業界のルールや実践力などの知識もしっかり教えてくれます。
また、同列の専門学校でも珍しいアニメーター経験者が担任をしています。授業では現役のプロが講師となって指導する経験も積めるのはとても貴重です。
他にないオリジナルの教材も大変魅力的ですね。
下記の記事では、アニメーターの転職について詳しく紹介しています。
ぜひ、こちらもあわせてご覧ください!
アニメーター「原画マン」についてのまとめ
- 原画マンの仕事内容は大まかに分けて「原画の作成」「作画打ち合わせ」「タイムシートの作成」の3つある
- 原画マンの給料は、フリーランス契約と正社員契約がある
- 原画マンの年収の平均は250万円ほどであるが、実力次第で大きく変動する
- 原画マンになるには、まずは動画マンを経験しなければならない
- 原画マンになるためには、代々木アニメーション学院で技術を学ぶのが近道である
今回Pacific Metaマガジンではアニメーター・原画マンについて紹介しました。
原画マンはアニメ作成の花形ともいえる職業です。
経験と技術が必要な仕事なので、道のりは長いですが大変やりがいのある仕事ですよ。
日本のアニメ界を背負って素敵な作品をたくさん作っていただきたいですね!