eスポーツは2000年代に入る頃から世界中に定着しはじめました。
2010年代になると、ゲーム関連の企業が競技会を次々に企画し、開催資金を提供するようになります。
世界各地で高額な賞金を賭けた国際大会が頻繁に開催され、その市場規模は2020年時点でおよそ9億7390万ドルにまで膨れ上がっています。
日本でもNHKの特集番組でeスポーツが取り上げられたり、国体競技に採用されるなど拡大の一途をたどっています。
eスポーツはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いのスポーツだといえますね。
今回Pacific Metaマガジンでは以下の内容を中心にご紹介します。
- eスポーツの種類
- eスポーツの人気タイトル
- 全国高校eスポーツ選手権の種目
- eスポーツの競技人口
eスポーツタイトルの詳細を一覧にし、種目別の特徴や魅力についてもご紹介していきます。
eスポーツとは?
eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、ビデオゲームやモバイルゲームなどの電子機器を使ったゲームを競技的にとらえたものです。
従来からあった「コンピューターゲーム大会」と本質的な違いはありませんが、ゲームを競技としてとらえることで「スポーツ」にしていこうというニュアンスが加わったとイメージしてください。
とはいえ、eスポーツはスポーツなのか?と疑問を持つ方もいるでしょう。
大辞泉でスポーツという言葉を引くと「一定のルールに則って勝敗を競ったり楽しみを求めたりする身体活動などの総称」とあります。
スポーツの語源から解釈すると、eスポーツはスポーツだといえまね。
自動車などの乗り物を使った競技を「モータースポーツ」と呼んだり、将棋を「マインドスポーツ」と呼ぶのと同じだと考えればしっくりくると思います。
eスポーツの魅力はどこにあるのでしょうか?
下記にまとめてみました。
プレイする場所を選ばないこと
サッカーや野球などのスポーツは競技をするとき、実際に会場に行く必要があります。
しかしeスポーツでは、画面を通してゲーム上で競技をするため、プレイ端末とコントローラー、テレビなどの画面を移す機器などがそろっていれば場所を決めずにプレイすることが可能です。
また、リアルスポーツのように広いスペースも必要ありません。
年齢や性別によってハンデがほとんどないこと
体を使うリアルスポーツの競技は、結果に大きな差がでてしまうので性別や体型などを細かく分けてプレイしているものが多いと思います。
けれどもeスポーツは体型や年齢、性別による違いがほとんどありません。
スキルさえあれば誰でも同じ条件で競技をすることができます。
一目見ただけで競技の状況がわかること
eスポーツの競技会では、対戦画面でプレイヤーの状況を常に把握することができます。
お互いの状況を瞬時に判断できる「分かりやすさ」はプレイする側にはとても重要です。
色々な種目を自由にプレイできること
eスポーツの種類は9種目ほどあり、プレイ端末もたくさんあります。
タイトルの数が多いのはもちろんのこと、毎年次々と新作のゲームが開発、販売されていくことはプレイヤーや観戦者にとって大変魅力があります。
同一プレイヤーが競技の種目を自由に選択できるのは他のスポーツにはないeスポーツの特徴ですね。
eスポーツの種目
ここから、eスポーツの種類にはどのようなものがあるのかを紹介します。
競技会で採用されているゲームの種類や特徴などを一覧にしてみました。
また、参考までに大会の賞金なども記載しておきますのでご覧ください。
FPS(ファーストパーソン・シューター)
ゲームタイトル名 | プレイ端末 | 公式ホームページ |
Apex Legends | PC/PS5/PS4/Xbox One/Nintendo Switch | Apex Legends™ ゲーム概要 |
レインボーシックスシージ | PC/PS5/PS4/Xbox One/Xbox Series | レインボーシックス シージ |
カウンターストライク:グローバルオフェンシブ | PC/PS3/Xbox 360 | カウンターストライク:グローバル攻勢 |
Overwatch | PC/PS4/Xbox One/Nintendo Switch | オーバーウォッチ |
FPSはシューティングゲームの一種で、操作するキャラクターは一人称視点になります。
基本的に画面に表示されるのは腕や武器・道具などプレイキャラクターの一部のみです。
FPSでは、死角になるところが多く、ゲーム初心者には難易度が高いところもありますが、その分奥深さもあり、やればやるだけ結果がついてくるという魅力があります。
世界的にも大変人気がある種目です。
FPSはどのeスポーツタイトルも人気があるため、比較的高額な賞金設定であるのが特徴です。
2019年に開催された「カウンターストライク:グローバルオフェンシブ」の世界大会では賞金総額が23億円でした。
TPS(サードパーソン・シューター)
ゲームタイトル名 | プレイ端末 | 公式ホームページ |
FORTNITE | PC/PS5/PS4/Xbox One/Nintendo Switch/Android | フォートナイト |
PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS | Windows/PS4/Xbox One/Android/ios | PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS |
荒野行動 | Windows/PS4/Nintendo Switch/Android/ios | 荒野行動 公式サイト |
スプラトゥーン2 | Nintendo Switch | スプラトゥーン2 | 任天堂 |
TPSはシューティングゲームの一種で、三人称視点でキャラクターを操作するものを指します。
TPSは特に日本で人気がある種目です。
TPSは没入感には欠ける部分がありますが、周りの状況が把握しやすくなりプレイしやすいという利点があります。
TPSは海外ではそこまで注目度が高い種目ではありませんが、「FORTNITE(フォートナイト)」は大変人気があるeスポーツタイトルになります。
2019年に開催された世界大会での賞金総額はなんと32億円ほどでした。
なお、一覧ではFORTNITE(フォートナイト)はスマホでプレイできると記載していますが、2020年8月以降のダウンロードは当面不可能となっています。
MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)
ゲームタイトル名 | プレイ端末 | 公式ホームページ |
League of Legends | mac/Windows | リーグ・オブ・レジェンド |
Dota2 | mac/Windows | Dota 2 |
Arena of Valor | NintendoSwitch/ios/Android | 伝説対決 -Arena of Valor- |
Hero of the Storm | mac/Windows | ホーム – 嵐の英雄 |
MOBAはRTSから派生した種目になります。
複数のプレイヤーを2チームに分け、味方と協力し合いながら敵チームの陣地を破壊して勝利を目指す「陣取り合戦」スタイルのゲームです。
ゲーム開始時に選択したひとつのキャラクターを最後まで操作するのが特徴になっています。
シンプルなルールではありますが、即座に変化していく状況に応じて柔軟性のある判断や思考を求められるため、とても奥が深いゲームです。
MOBAは日本ではそれほどメジャーではありませんが、世界的にはとても注目度の高いゲームの種類で、賞金も高額な設定になっています。
2021年「Dota2」の世界大会の賞金総額は歴代最高の40億円以上でした。
MOBAとしては珍しいスイッチやスマホがプレイ端末になっているeスポーツタイトル「Arena of Valor」でも2019年の世界大会総額賞金は約8,000万円になりました。
RTS(リアルタイムストラテジー)
ゲームタイトル名 | プレイ端末 | 公式ホームページ |
スタークラフトⅡ | mac/Windows | スタークラフトII公式ゲームサイト |
WarcraftⅢ「Reign of Chaos」 | mac/Windows | ウォークラフトIII:リフォージド |
エイジ・オブ・エンパイヤ | mac/Windows/Windows Mobile | エイジ・オブ・エンパイア |
クラッシュ・ロワイヤル | ios/Android | クラッシュ・ロワイヤル公式サイト |
RTSは敵の本拠地破壊・制圧が勝利となる「陣取り合戦」スタイルのゲームで、プレイヤーはリアルタイムに進行していく時間に対応しつつプランを立てて敵と戦います。
プレイヤーが動かすのは少人数であったり一国すべてだったりと多様であることが特徴です。
2018年に開催されたStarCraftⅡの世界大会の賞金総額は7億4,000万円でした。
また、スマホがメインのeスポーツタイトル「クラッシュロワイヤル」でも2021年の競技会の総額賞金は約1億8,000万円となっています。
プレイ端末がスマホでこの賞金額なのはすごいことですよね。
格闘ゲーム
ゲームタイトル名 | プレイ端末 | 公式ホームページ |
ストリートファイターⅤ | PS4/Windows | CAPCOM:STREET FIGHTER V CHAMPION EDITION |
鉄拳7 | PS4/Windows/Xbox One | TEKKEN OFFICIAL |
大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL | Nintendo Switch | 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL |
ドラゴンボールファイターズ | PS4/Windows/Xbox One/Nintendo Switch | ドラゴンボール ファイターズ |
格闘ゲームはプレイヤーが操作するキャラクターが1対1で戦う対戦ゲームです。
eスポーツタイトルには2Dタイプのものと3Dタイプがあります。
プレイヤーが操作するキャラクターを選び、攻撃で敵の体力ゲージをより消耗させたほうが勝利となるのが一般的なルールです。
チームに所属せず、個人競技としてプレイするプロが多いゲームの種類になります。
2021年6月に開催された「Intel World Open」のストリートファイターV部門での賞金は2,800万円でした。
格闘ゲームの賞金額はずば抜けて高額な印象がありませんが、年間を通じて多くの競技会が開催されているため、都度好成績を残すことができれば多額の賞金を稼ぐことができます。
2019年、格闘ゲームで最も賞金を稼いだeスポーツプレイヤーはアメリカ人男性で、年間約7,000万円の賞金を手にしていました。
スポーツ
ゲームタイトル名 | プレイ端末 | 公式ホームページ |
ロケットリーグ | Windows/PS5/PS4/Xbox One/Nintendo Switch/Android | ロケットリーグ® |
FIFA21 | Windows/PS5/PS4/Xbox One/Xbox Series/Nintendo Switch | FIFA 21 – EA SPORTS™ |
ウイニングイレブン2021 | Windows/PS4 | eFootball ウイニングイレブン 2021 |
NBA 2K | Windows/PS4/Xbox One/Nintendo Switch/Android/ios | 2Kジャパンオフィシャルサイト |
スポーツゲームはその名の通り、サッカーや野球、バスケットボールなどのリアルスポーツをゲームとして競い合うものです。
チームの選手を操作してスポーツをし、得点数で勝敗が決まります。
基本的なルールはリアルスポーツに準じています。
2021年6月に開催されたロケットリーグの世界大会での賞金は2,800万円ほどでした。
DCG(デジタルカードゲーム)
ゲームタイトル名 | プレイ端末 | 公式ホームページ |
シャドウバース | mac/Windows/Android/ios | Shadowverse 公式サイト |
ハースストーン | mac/Windows/Android/ios | ハースストーン |
マジック:ザ・ギャザリング アリーナ | mac/Windows/Android/ios | MTG ARENA|マジック:ザ・ギャザリング |
デュエル・マスターズプレイス | Windows/Android/ios | DUEL MASTERS PLAY’S(デュエル・マスターズ プレイス) |
DCGは2人対戦型のゲームで、基本的には個人競技になります。
コンピュータでデータ化されたカードを複数枚使ってデッキを作成し勝敗を競います。
囲碁や将棋のような頭脳戦であることが特徴です。
日本発祥のゲームの中で非常に賞金が高いeスポーツタイトルが「シャドウバース」です。
2018年・2019年の世界大会での賞金総額はそれぞれ1億円以上になりました。
パズルゲーム
ゲームタイトル名 | プレイ端末 | 公式ホームページ |
ぷよぷよeスポーツ | Windows/PS4/Nintendo Switch | ぷよぷよeスポーツ | SEGA |
テトリス | PC/ゲームボーイ/ファミコン/スーパーファミコン/ios | テトリス |
パズル&ドラゴンズ | Android/ios/Fireタブレット | パズル&ドラゴンズ公式サイト |
モンスターストライク | Android/ios/Fireタブレット | モンスターストライク公式サイト |
パズルゲームはアクションパズルに分類される種目になります。
勝敗はどれだけパズルを消し続けられるかで決まります。
誰しもがわかる単純なルールのため、子供から大人まで幅広くプレイができるのが特徴です。
「モンスターストライク」や「パズル&ドラゴンズ」はスマホがメインのプレイ端末です。
2021年9月6日NHKで放送された番組、「eスポーツモンスト」は「モンスターストライク」を特集しています。
NHKがeスポーツを大々的に取り上げたことで大変話題になりました。
2019年、モンスターストライク「モンストグランプリ2019アジアチャンピョンシップ」での賞金総額は1億円以上でした。
音楽ゲーム
ゲームタイトル名 | プレイ端末 | 公式ホームページ |
beatmania ⅡDX | アーケード | beatmania IIDX 28 BISTROVER |
osu! | mac/Windows/ios | ようこそ! | osu! |
太鼓の達人 | PS2/DS/アーケード | 太鼓の達人 ドンだー!世界一決定戦2021 |
チュウニズム | アーケード | CHUNITHM PARADISE LOST |
音楽ゲームは、通称「音ゲー」と呼ばれ、プレイヤーが音楽のリズムに合わせて疑似的に楽器を演奏するゲームです。
ゲームのルールはタイミングを合わせて指定されたボタンを押す「リズムアクションゲーム」となっていることがほとんどです。
音楽ゲームは得点形式になっていて、スコアによって勝敗が決まります。
そのため、基本的には個人競技という特徴があります。
基本的にプレイ端末がアーケードであることが多いので、ゲームの種類としてはマイナーな類ですね。
また、音楽ゲームには「実況中継がしにくいこと」「機材によってスコアが変わってしまうこと」など、eスポーツとしてクリアしなければならない課題があります。
コナミは課題をクリアするために試行錯誤し、2019年12月、音楽ゲーム界で初のeスポーツプロリーグを発足させることに成功しました。
このことを皮切りに、eスポーツプレイヤーからの注目度は急上昇しています。
2021年に『BEMANI PRO LEAGUE 2021』でプロリーグの大会が開催されました。
賞金は2,000万円になります。
全国高校eスポーツ選手権の種目は?
2019年11月1日、eスポーツをする高校生に向けた支援団体、一般社団法人全国高等学校eスポーツ連盟(JHSEF)が設立されました。
JHSEFが主催となって開催されているeスポーツ競技会が全国高校eスポーツ選手権です。
全国高校eスポーツ選手権の種目は下記の3種目です。
参加概要を簡単にまとめてあるので、参考にしてみてください。
Rocket League
参加概要 | 受付期間内にエントリーをした最大256チーム |
競技形式 | トーナメント形式(シングルエリミネーション形式) |
チーム人数 | 3vs3 |
サーバー | アジア東部サーバー |
マッチ時間 | 5分間 |
マッチ内容 | Bo3(先に2勝したチームの勝利) |
Fortnite
参加概要 | 受付期間内にエントリーをした最大800チーム |
競技形式 | サーキット形式 |
チーム人数 | 2人(デュオ) |
サーバー | アジアサーバー |
試合数 | 6試合 |
勝敗について | 生存ポイントと撃破ポイントの合計点で勝敗を決定 |
League of Legends
参加概要 | 受付期間内にエントリーをした最大256チーム |
競技形式 | トーナメント形式(シングルエリミネーション形式) |
チーム人数 | 5vs5 |
マッチ内容 | Bo1(Best of 1、1戦中1勝する) |
なお、チームメンバーは同じ学校の生徒同士でなければいけないので、注意してくださいね。
eスポーツはオリンピックの正式種目になる?
国際オリンピック委員会(IOC)は2021年4月22日、eスポーツを競技種目とするイベントOlympic Virtual Series(OVS)を発表しています。
OVSは2021年7月より開催された東京オリンピックのプレイベントのひとつで、eスポーツ種目は5タイトルでした。
eスポーツ界の大きな進展だといえます。
とはいえ、eスポーツがオリンピックの正式種目になるためにはまだまだ課題があります。
ちなみに、2021年10月に開催される「三重とこわか国体」の文化プログラムとして「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2021 MIE」の開催が決定しています。
参加者は小学生から一般まで9部門あり、eスポーツの国体種目は6タイトルほどとなっています。
国体の競技としてeスポーツが採用されることになったのは、日本のeスポーツ界にとって大きな成果となりました。
「eスポーツの歴史」についてより詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
eスポーツの競技人口は?
世界規模で世の中に広く浸透しているeスポーツですが、どのくらいの人が競技会に参加しているのか…など、知られていないことも結構ありますね。
ここでは、eスポーツの競技人口や視聴者数について紹介します。
世界の競技人口
2021年9月時点で、世界のeスポーツの競技人口は約1億3千万人と言われています。
ちなみに2020年の調査で、eスポーツの観戦者数は世界中でおよそ4億9500万人というデータも挙がっています。
eスポーツは今後の伸びしろが大きく、とても期待されている分野であることが分かりますね。
日本の競技人口
日本の競技人口は2021年時点で約360万人ほどです。
比較として、日本のサッカーの競技人口を挙げると、およそ750万人となっています。
サッカー競技人口のおよそ半分がeスポーツで競技をしているということになります。
eスポーツの歴史を考えると驚異的なスピードで浸透していると思いませんか?
「eスポーツの賞金」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
eスポーツの種目についてのまとめ
今回、Pacific Metaマガジンではeスポーツ種目について重点を置き、下記の内容を紹介してきました。
- 2021年現在、eスポーツはスポーツとして広く認識されている
- eスポーツの魅力は、「場所を選ばずできること」「誰もが平等にプレイできること」「一目見て進行状況が分かること」「ひとりのプレイヤーが色々な種目をプレイできること」である
- eスポーツの種目には「FPS」「TPS」「MOBA」「RTS」「格闘ゲーム」「DCG」「スポーツ」「パズルゲーム」「音楽ゲーム」がある
- 2021年東京オリンピックのプレイベントで、eスポーツが公式競技として開催された
- 2021年の国体文化プログラムでeスポーツが採用されている
- eスポーツの競技人口は、日本で約360万人、世界では1億3000万人ほどである
eスポーツの競技には参加できる種目がたくさんあります。
紹介した一覧の他にも多くのeスポーツタイトルがあるので、気になる種目があればチェックしてみてくださいね。
色々な種目にチャレンジして腕を磨き、高額賞金取得を目指すのも夢があってよいかもしれません。