金融庁は2026年9月1日、暗号資産のレンディングやウォレットサービスなどを提供する「IZAKA-YA」の運営会社イザカヤ・リミテッド(Izakaya Limited)に対し、無登録で暗号資産交換業を行っていたとして警告を発出しました。同社は香港に拠点を置き、インターネットを通じて日本居住者を相手方に暗号資産関連サービスを展開していました。同サービスを巡っては8月下旬から利用者による出金遅延の訴えが相次いでおり、規制当局による無登録業者への厳格な対応が示された形です。
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出金停止トラブルと高利回りキャンペーンの経緯
IZAKA-YAは2023年4月に設立されたイザカヤ・リミテッドが同年12月から提供を開始したサービスで、通常最大年利12%のレンディング機能をはじめ、ウォレット、スワップ、購入、送金などの機能を提供していました。
しかし2026年8月下旬、SNS上で利用者から出金できないとの訴えが相次ぎました。これに対し同社は8月24日、不正な資金流入やマネー・ローンダリングの疑いがある取引を確認したため一部アカウントの送金や出金を一時停止していると説明し、これまで不要としていた全利用者の本人確認(KYC)を必須化すると発表しました。その後、8月27日には個別確認を完了した一部利用者への送金を実施したと公表しています。
出金への懸念が広がる一方で、同社は8月25日に他社からの資産移動などで実質年利150%とするキャンペーンの期間を8月31日まで延長したほか、初回レンディングに対して年利500%相当(上限1万円相当のUSDT)の追加報酬を付与するキャンペーンを実施していました。また、ステーブルコイン「JPYC」を提供するJPYC社の岡部典孝代表取締役が利用者へ慎重な行動を呼びかけ、金融庁へ状況を情報提供したと報じられるなど、業界内でも波紋が広がっていました。
暗号資産レンディングを巡る規制の枠組みと法改正
今回の金融庁の警告は、同社が日本居住者を対象に無登録で暗号資産交換業を行っていた事実に対するものです。公表資料では、提供機能のうちどれが交換業に該当したかや、出金遅延の原因、顧客資産の保全状況については言及されていません。
日本の現行制度において、事業者が利用者から暗号資産を借り入れるレンディング行為そのものは暗号資産交換業の登録が不要とされています。この場合、借り入れられた暗号資産には法的な管理規制が及ばず、利用者が事業者の信用リスクや価格変動リスクを負う仕組みとなっています。一方で、暗号資産の売買や交換、その媒介、あるいは他人のための暗号資産管理を行う場合には資金決済法に基づく登録が必要です。
なお、2026年7月15日に成立した金融商品取引法および資金決済法の改正法では、利用者から暗号資産を借り入れる業務も「暗号資産取引業」の対象に追加されました。この改正法の施行後は、これまで登録不要とされていた暗号資産レンディングも原則として登録規制の対象となる予定です。
ポイント
- 金融庁が香港所在のイザカヤ・リミテッドに対し、日本居住者向けに無登録で暗号資産交換業を行っていたとして警告書を発出しました。
- 同社が運営する「IZAKA-YA」では8月下旬に出金遅延が表面化する一方、実質年利150%や年利500%相当などの高利回りキャンペーンを展開していました。
- 現行制度では暗号資産の借入れ自体は登録不要であるものの、売買や交換、資産管理業務には登録が必要であり、今回の警告対象となった具体的な機能は明かされていません。
- 7月15日に成立した改正法により、今後は暗号資産の借入れ業務も「暗号資産取引業」として登録規制の対象に追加される点で注目されます。