暗号資産ハードウェアウォレット「COLDCARD」を巡る不正流出事件で、第3波の攻撃者が盗み出したビットコインのオンチェーン移動を初めて実行したことが明らかになりました。米暗号資産投資会社Galaxy Digitalのリサーチ責任者であるAlex Thorn氏の報告によると、攻撃者はクロスチェーン型の分散型取引所THORChainを経由し、盗難資金の一部をイーサリアムに交換しています。ビットコインからイーサリアムへチェーンをまたいで資産を移していることから、追跡を困難にする資金洗浄を試行している可能性があります。一連の被害総額は約1億1,470万ドル相当に上っており、攻撃者による資金の移動が始まった事例として注視されます。
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THORChainを経由したクロスチェーン交換と資金追跡の状況
Thorn氏の公表によると、第1波から第3波に分類されている一連の流出事件において、攻撃者の当初のアドレスから盗難資産がオンチェーン上で動いたのは今回が初めてとなります。第3波の攻撃者は、盗み出した資金のうち約10%に相当する約20.5BTCを、THORChain(異なるブロックチェーン間で暗号資産を交換できる分散型取引所)を通じてイーサリアムへ交換しました。
この交換の過程において、一部の取引が返金されるなどの問題が発生しているものの、攻撃者は残る資金の交換を繰り返し試みている状況です。一方で、第3波で盗まれた資金の約90%は現時点でも移動していません。Thorn氏はTHORChainを経由した資金を新たなイーサリアムアドレスまで追跡しており、その詳細な情報を関係当局や暗号資産関連企業へすでに共有したと説明しています。攻撃者が今後イーサリアム上で資金の流れを難読化できるか、あるいは規制対応の緩い取引所を介して移動できるかについては、今後の状況次第とされています。
シード生成時の不具合による流出の背景と被害規模
今回の資金移動は、COLDCARDのシード生成における不具合を突かれた一連のビットコイン流出事件に起因しています。COLDCARDの開発元であるCoinkiteは7月30日、秘密鍵の生成元となるシードを作成する際、十分なランダム性を確保できないファームウェア上の不具合が存在していたことを公表しました。攻撃者はこの脆弱なシードから秘密鍵を再生成することで、不正に資金を窃取したとされています。
Thorn氏が8月24日に公表した集計データによると、一連の攻撃によって8,865のアドレスから合計1,789.28BTCが流出しました。この被害額は盗難時の価値で約1億1,470万ドル(1ドル=160円換算で約184億円)に達するとみられています。
ポイント
- ハードウェアウォレットCOLDCARDの第3波攻撃者が、盗難資金の約10%にあたる約20.5BTCを初めて移動させ、THORChain経由でイーサリアムへ交換した点で注目されます。
- 一連の攻撃で当初のアドレスから資金がオンチェーン移動したのは初であり、追跡を困難にするための資金洗浄を試みている可能性がある点で重要です。
- 第3波の盗難資金の約90%は依然として未移動であり、取引の一部返金などのトラブルに直面しながらも交換の試行が続いている点が挙げられます。
- 追跡された新たなイーサリアムアドレスの情報は、関係当局や暗号資産関連企業へ速やかに共有されている点で対応が進められています。
- ファームウェアの乱数生成の不具合に起因し、合計8,865アドレスから1,789.28BTC(約1億1,470万ドル相当)が盗まれた大規模被害の動向として注視されます。