米法執行団体の全米保安官協会(NSA)は2026年9月3日、暗号資産の市場構造を定める「CLARITY法案(クラリティ法案)」への反対を撤回し、立場を中立に改めることを書簡で明らかにしました。同法案に対しては分散型金融(DeFi)の規定などを巡り法執行機関からの強い懸念が示されていましたが、有力団体が中立に転じたことで米上院での法案審議における障害の一つが後退した形です。明確で効果的な規制の枠組みを整備するため、立法プロセスを進めることが優先されたとみられます。
株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。
立場変更の理由と法執行機関の動向
全米保安官協会(NSA)は議員宛ての書簡において、クラリティ法案は複雑であり依然として重要な詳細が検討されている段階にあると説明しました。そのうえで、明確かつ効果的なデジタル資産規制の枠組みを整備するためには立法プロセスを進めることが適切であると判断し、これまでの「反対」から「中立」へと立場を変更したとしています。
法執行機関側の対応を巡っては、NSAとは別団体の全米主要郡保安官協会(MCSA)がすでに2026年7月時点で法案への反対を取り下げて中立に転じていました。NSAはその後も反対姿勢を維持していましたが、今回の判断によって主要な法執行団体の足並みが中立で揃うこととなりました。
DeFi規定を巡る懸念とブロックチェーン協会の主張
クラリティ法案を巡っては、法執行機関側から分散型金融(DeFi)に関する規定への強い懸念が寄せられていました。NSAは2026年7月31日付の書簡で、一部のDeFi参加者が登録や本人確認(KYC)、マネーロンダリング対策(AML)、制裁法上の義務から広く除外される可能性があると主張していました。これにより、金融犯罪の防止や犯罪ネットワークの捜査、盗難資産の回収が困難になるとの警戒感を示していました。
これに対し、米暗号資産業界団体のブロックチェーン協会は2026年8月3日、NSAの主張は法案のDeFi規制を根本的に誤解していると反論していました。同協会は、法案には州や地方の法執行機関への資金提供など、暗号資産犯罪への対応能力を強化するための措置も盛り込まれていると説明していました。
今回のNSAの書簡では、これまで指摘してきた個別の懸念が解消されたかどうかについて言及されていません。しかし、数カ月にわたり法案に反対してきた有力法執行機関が審議の進展を容認する姿勢を示したことは、今後の立法手続きにおいて重要な転換点とみられます。
ポイント
- 全米保安官協会(NSA)がクラリティ法案への反対を撤回し、立場を中立に変更しました。
- 同協会は法案の詳細が検討中としつつも、効果的なデジタル資産規制の枠組みを整備するため立法プロセスを進めることが適切と判断しました。
- DeFi参加者に対するKYCやAMLなどの義務適用除外を巡る従来の個別懸念について、解消されたかどうかの言及はありません。
- 先行して中立に転じた全米主要郡保安官協会(MCSA)に続き、有力法執行団体の反対撤回により上院での審議に向けた障害が一つ後退した点で注目されます。