米国の証券決済・清算を担う中央機関DTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)は、自社インフラが扱う114兆ドル相当の資産を対象に、ブロックチェーン基盤のトークン化サービスを来月より開始することを明らかにしました。同社はこれまでサンドボックス環境で検証を重ねており、本サービスは実証実験段階から本格的なインフラ整備への転換を意味します。証券取引後の権利確定や決済を司る中核機関がオンチェーン化に踏み出す動きであり、資本市場のデジタル化を構造的に推進する重要な進展として注目されています。
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実証実験から基盤整備へ移行するDTCCのトークン化サービス
米国の証券決済および清算を担うDTCCは2026年9月25日、自社システムが扱う114兆ドル相当の資産を対象としたブロックチェーン基盤のトークン化サービスをまもなく開始すると発表しました。同社最高経営責任者(CEO)のフランク・ラサラ氏が明らかにしたもので、サービス開始は来月を予定しています。
DTCCは証券取引成立後の権利関係を記録し、決済を完了させる基幹システムを運営する機関であり、実証実験を中心とするスタートアップとは異なる立場にあります。同社は「デジタル・ローンチパッド」と呼ばれるサンドボックスで検証を重ねており、今回のサービス開始は実験段階から本格的な基盤整備への移行を示しています。
サービスで対象となる資産は、ラッセル1000指数の構成銘柄、主要株価指数に連動するETF(上場投資信託)、および短期・中期・長期の米国債です。なお、公表された114兆ドルは同社システムが取り扱う資産規模の全体像であり、サービス開始初日からすべての資産がオンチェーン化されるわけではありません。既存の決済システムとの整合性確保や規制対応が必要となるため、段階的に展開されると見られます。
金融機関や規制当局が並行して進める証券流通基盤の構築
トークン化された証券の流通環境を整備する動きは、DTCC以外の主要機関や規制当局の間でも並行して進んでいます。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)は、24時間365日の取引や即時決済に対応したトークン化証券基盤の構築を計画しています。また、仮想通貨サービスを提供するBlockchain.comとニューヨーク証券取引所は、トークン化された米国株式やETFの提供に向けた覚書を締結しており、市場データの相互配信も計画されています。
規制面でも環境整備に向けた動きが見られます。米証券取引委員会(SEC)は9月17日、許可制のAMM(自動マーケットメーカー)流動性プールを通じたトークン化米国株式の取引を暫定的に認める、5年間の時限的な規制適用除外を発表しました。この措置では対象となる銘柄数や取引参加者に制限が設けられていますが、新たな取引形態の検証が進められています。
こうした市場インフラの動きを踏まえ、ドイツ銀行はトークン化された資本市場が2030年代までに金融インフラの中核になるとの見通しを示しています。
ポイント
- 米国の証券決済を担う中央機関DTCCが、114兆ドル規模の管理資産を対象にしたトークン化サービスを来月開始する方針を示し、金融の中核インフラが実運用へ移行する点で注目されます。
- 対象資産にはラッセル1000構成銘柄や主要指数連動ETF、米国債が含まれ、極めて流動性の高い主要金融資産がオンチェーン化の対象となる点で重要視されます。
- 114兆ドル全額が一斉に移行するのではなく、既存システムとの整合や規制対応を考慮して段階的に進められる見込みです。
- ニューヨーク証券取引所による24時間365日取引や即時決済基盤の計画、SECによる5年時限の取引規制免除など、民間と規制当局の双方が環境整備を進めている点で大きな意義を持ちます。
- ドイツ銀行が2030年代までにトークン化市場が金融インフラの中核になると見通すなど、従来の証券決済基盤そのものの刷新が進みつつある点で注目されます。
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