これまでは本やアパレルなどの業界で聞き馴染みが強かった「二次流通(二次販売)」ですが、NFTの世界でもよく使われる言葉です。
今回Pacific Metaマガジンでは、NFTにおける二次流通の仕組みについて説明をおこないます。
この記事の内容は以下の通りです。
- NFTにおける二次流通とは?
- NFTの二次流通では手数料(ロイヤリティ)が発生する
- NFTの二次流通が実装されているNFTマーケットプレイスを紹介
- NFTの二次流通の活用例
NFTにおける二次流通の概要から注意点までを紹介していきます。
NFTの二次流通とは?
まずは基本用語の説明と、NFTにおける二次流通の考え方について紹介していきます。
NFTとは
NFTは非代替性トークンと訳され、全て替えの利かない一点物であることが大きな特徴です。
誰から誰に渡ったかという取引履歴が毎回記録されるため、著作者や所有者を把握することが可能で、著作権を無視したコピー品が出回るのを防ぎやすいというメリットがあります。
NFTの二次流通とは
二次流通は、他の業界であればいわゆる中古品、もしくは転売品が他の人に流れていくことを指す言葉です。
基本的には古本や古着などとイメージは同じですが、NFTの場合は二次流通でも著作権を持つ人にお金が入り続けるという違いがあります。
二次流通は著作者にとってもメリットが大きく、NFTの取引では二次流通をメインにしたマーケットプレイスも多く存在します。
NFTにおける二次流通の手数料
続いては、二次流通で作者が儲かる仕組みについて説明します。
大手マーケットプレイス「OpenSea(オープンシー)」での実例も入れつつご覧ください。
二次流通の手数料(ロイヤリティ)とは
二次流通で作者に還元される収益のことを通称ロイヤリティと呼びます(例えばOpenSeaでは「クリエイター収益(Creator Earnings)」と表現されています)。
二次流通品を購入する人からすれば、手数料として購入金額に上乗せされる仕組みとなっています。
ロイヤリティの有無や金額については、NFTを販売するマーケットプレイスごとに異なります。
二次流通の手数料(ロイヤリティ)は誰がもらえるのか
ロイヤリティは、一次流通品として最初に出品・販売した人に価格の一定割合が入り続ける仕組みです。
「二次」流通とは言いますが、三回・四回と何度転売されてもロイヤリティは発生し続けます。
高額で転売されれば、最初の販売価格を二次流通のロイヤリティが上回ることもあるでしょう。
二次流通の手数料(ロイヤリティの)相場
ロイヤリティの相場は、平均的には売却された値段の3~5%程度の割合です。
例えばOpenSeaでは0.1%~10%の間で出品者が値を設定できます(0にすることも可能)。
一度売れた後のモチベーションを保つためにも、5%前後でロイヤリティを設定するユーザーが多いようです。
二次流通の手数料(ロイヤリティ)の設定方法
ロイヤリティはユーザーごとに設定できることがほとんどとなっています。
マーケットプレイスごとに細かいやり方は変わりますが、大抵は出品者用の設定画面から変更することが可能です。
OpenSeaであればアカウントメニューの「My collections」画面に「Royalties」という設定項目があり、簡単に設定することができます。
二次流通の注意点
まず、二次流通品の出品ができるかどうかはマーケットプレイスごとに違います。
さらに、ロイヤリティの割合設定についても各サービスのルールに左右されるため、規約をチェックすることが必要です。
また、NFTの売り方によってはロイヤリティが発生しないケースもあります。
例えば、OpenSeaで販売したものをRarible(ラリブル)で転売されるとロイヤリティが発生しません。
現状ではロイヤリティの設定がNFTそのものではなくサービスごとに紐づいているため、サービスをまたいだ流通には適用されないことに要注意です。
さらにもう一つ、NFTを購入した場合は所有者としてのライセンスが移行しますが、基本的に著作権は譲渡されないことに気をつけましょう。
二次流通とあわせて二次利用のガイドラインなども確認しておきましょう。
https://pacific-meta.co.jp/magazine/119574/NFTの二次流通が実装されたNFTマーケットプレイス
ここでは二次流通品を扱っているマーケットプレイスを5つ紹介します。
これ以外にもまだまだあるので、慣れてきたら複数登録するのも良いでしょう。
※情報は2022年9月時点のものです。
OpenSea
取扱コンテンツ | NFTゲーム、アート、トレカ、音楽など |
決済に利用できる仮想通貨 | ETH、WETH、SOL、USDC、DAI、MATIC、KLAY |
対応しているウォレット | MateMask、TorusWallet、Portisなど |
対応しているネットワーク | Ethereum、Polygon、Klaytn、Tezos |
公式サイト | OpenSea |
OpenSeaは世界的にも有名なマーケットプレイスで、幅広いジャンル・単価の商品が並んでいます。
使い勝手も非常に良いため、最初に登録するサービスとしてもおすすめです。
書かれている言語は英語ですが、スマホアプリもあるので手軽に利用することができます。
Rarible
取扱コンテンツ | NFTゲーム、アート、写真、音楽 |
決済に利用できる仮想通貨 | ETH、FLOW、SOL、XTZ、MATIC |
対応しているウォレット | MateMask、Torus、Portisなど |
対応しているネットワーク | Ethereum |
公式サイト | Rarible |
Raribleは、NFT取引をするとRARIというトークンが入手できることが特徴的なサイトです。
RARIのチャートも一緒にチェックしつつ利用するようにしましょう。
また、クレジットカード決済ができるのも大きな利点となっています。
FanTop
取扱コンテンツ | フィギュア、トレカ、イラスト等 |
決済に利用できる仮想通貨 | なし |
対応しているウォレット | BLOCTO |
対応しているネットワーク | FLOW |
公式サイト | FanTop |
FanTop(ファントップ)は、アニメやマンガといったエンタメジャンルをメインとする日本のマーケットプレイスです。
アプリを使って3DやAR上でNFTを鑑賞できるサービスもあり、購入後に楽しめる要素も用意されています。
決済手段はクレジットカードなど法定通貨のみとなっており、仮想通貨の取引費用がかからないのも嬉しいポイントです。
LINE NFTマーケット
取扱コンテンツ | アート、キャラクター、ゲーム、音楽、スポーツ、有名人、メタバース |
決済に利用できる仮想通貨 | LINK |
対応しているウォレット | LINE BITMAX Wallet |
対応しているネットワーク | 独自ブロックチェーン |
公式サイト | LINE NFT |
LINE NFTマーケットにはLINEのアカウントがあればすぐに登録できるため、始め方で困ることは無いでしょう。
独自の仮想通貨やウォレットを採用しているため導入の手間はありますが、ガス代が無料で済むというメリットがあります。
PLT Place
取扱コンテンツ | NFTゲーム、デジタルアート |
決済に利用できる仮想通貨 | PLT |
対応しているウォレット | PLTウォレット |
対応しているネットワーク | Palette |
公式サイト | PLT Place |
PLT PlaceにはNFTゲームの『ELF Masters(エルフマスターズ)』『CryptoNinja Party!』などのコンテンツがあります。
現状ではPaletteネットワークのみの対応ですが、今後はイーサリアムチェーンなどにも対応してクロスチェーンになる予定です。
NFTの二次流通の活用例
この記事最後の見出しとして、今までとは違ったNFTの使い方を目指している事例について2つ紹介します。
本
NFTにおける二次流通の仕組みを使えば、将来的に電子書籍を古本として流通させられるかもしれません。
普通の電子書籍は購入後に売れないので古本という考え方が存在しませんが、NFTであればコピー品が出回るリスクが回避できますし、作者にお金が入らないという古本屋の問題点も解決できます。
参考記事
電子書籍を古本として売れる?NFTをブロックチェーンで管理、二次流通市場の創出へ
チケット
イベントやライブなどのチケット販売では、常に高額転売などの問題が発生しています。
この問題を解決するため、チケットにNFTを付与させることによって所有者をチェックして、一定の条件であれば二次流通(転売)を認める仕組みが構築されています。
空白席を出さずに調整がしやすくなるうえ、二次流通によって開催者に利益を出せるなどのメリットが考えられます。
参考記事
モノバンドル、企業向けNFTチケットソリューション「Hokusai Ticket」提供開始
NFTの二次流通についてまとめ
今回Pacific Metaマガジンでは、NFTにおける二次流通の仕組みについて以下の内容をご紹介しました。
この記事のポイントを改めて整理しましょう。
- NFTの二次流通は著作権を持っている人にロイヤリティが入り続けるという特徴がある
- ロイヤリティはNFTを扱うマーケットごとに決められており、3~5%程度が相場となっている
- 何度転売が繰り返されてもロイヤリティは入り続けるが、別のマーケットに出品されると無効になってしまう
- NFTの特性を活かして、電子書籍やチケットなどにも活用事例が広がろうとしている
NFTの制作・販売をおこなうのであれば、マーケティング活動をおこなうと共に二次流通の仕組みについても理解しておきましょう。