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ブロックチェーン総研by Pacific Meta

トークンとは?暗号資産との違いと種類、企業が発行するときの法区分をわかりやすく解説

トークンとは、既存のブロックチェーン上で発行され、価値や権利を表すデジタルの証票です。米ドル建てのUSDCや日本円建てのJPYC、不動産を裏付けにしたセキュリティトークンも、仕組みの上ではすべてトークンにあたります。

価値や権利の記録は、どう変わる?
従来は証券、決済、会員証を各社が別々の台帳で管理する。トークンでは既存のチェーン上の共通の記録で扱う。

国内では2020年5月にセキュリティトークンの規定が、2023年6月に電子決済手段(いわゆるステーブルコイン)の制度が施行され、企業がトークンを使う前提が整いました。ウォレットとステーブルコインを組み合わせれば、銀行口座を持てないAIエージェントでも支払いを行えるため、トークンは決済の仕組みの部品としても検討の対象になります。

  • トークンは既存チェーン上で発行者が設計するデジタルの証票
  • 技術上のコインとの区別と、法律上の暗号資産の区別は不一致
  • 種類は支払い・利用権・権利・唯一性・議決権の5つが基本
  • 日本法では表す権利で暗号資産・電子決済手段等に区分
  • 発行検討は表す権利の定義と法区分の確認から着手
監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。

トークンとはブロックチェーン上の価値や権利の証票

トークンとは、既存のブロックチェーン上で発行され、価値や権利を表すデジタルの証票です。発行者が存在し、スマートコントラクト(取引条件を自動で実行するプログラム)によって、送金の条件や付ける特典を設計できます。

チェーン、規格、スマートコントラクト、表す権利、法区分の役割を並べる。
トークンを形づくる要素

設計の土台になるのが公開された規格です。Ethereumでは、代替可能なトークンの標準としてERC-20が、1つずつ区別できる非代替性トークン(NFT)の標準としてERC-721が定められています。規格に沿って作れば、対応するウォレットや取引の仕組みでそのまま扱えます。

国内では資金決済法と金融商品取引法が、トークンの一部の類型を規律しています。トークンの性格は「何を表すか」で決まるため、同じ規格で作っても、表す権利が違えば適用される法律も変わります。

なお、生成AIで文字を処理する単位の「トークン」や、ログイン時に使う認証トークンは、本記事のトークンとは別のものです。

暗号資産(コイン)とトークンの違い

コインとトークンの違いは、主に技術上の成り立ちにあります。ビットコイン(BTC)はBitcoinの、イーサ(ETH)はEthereumの、それぞれ自前のブロックチェーンに固有の資産で、ETHはEthereumで取引を記録させる手数料の支払いにも使われます。一方のトークンは、USDCやJPYCのように既存のチェーンの上で発行されます。

基盤チェーン、発行者、発行のしやすさ、代表例を比べる。
コインとトークンの成り立ち
項目コイントークン
基盤チェーン自前のブロックチェーン既存のブロックチェーン
発行者特定の管理者がいない例が多い発行者が存在する
発行のしやすさチェーンの構築から必要規格に沿えば比較的容易
代表例BTC、ETHUSDC、JPYC、NFT
日本法の扱い暗号資産に該当しうる表す権利により暗号資産・電子決済手段・有価証券等に分かれる

注意したいのは、この区別が法律上の区別と一致しない点です。資金決済法第2条第14項の暗号資産の定義は、独自のブロックチェーンかどうかを要件にしていません。既存チェーン上のトークンも暗号資産に該当しうるため、技術の見た目で「トークンだから暗号資産ではない」と判断できません。

トークンの種類は表す対象で分かれる

トークンの種類は、そのトークンで何を表すかで分けると整理しやすくなります。基本の型は支払い・利用権・金融商品の権利・唯一性・議決権です。

支払い、利用権、金融商品の権利、唯一性、議決権の5つに分ける。
表す対象による5つの型
  • 支払いに使うトークン:法定通貨などの価値と連動し、送金や決済に使う
  • サービスを利用する権利のトークン:特定のサービスや特典を受ける権利を表す
  • 金融商品の権利を表すトークン:株式や不動産の受益権などを表す
  • 唯一性を証明するトークン:1点ずつ区別でき、所有を追跡できる
  • 議決権を表すトークン:プロジェクトの運営方針への投票に使う

種類①:支払いに使うトークン

ステーブルコインが代表例です。Circleが発行するUSDCは、流通中の1枚ごとに1米ドルまたは同等の米ドル建て資産を分別口座で保有しています。JPYC株式会社が発行するJPYCは日本円建てで、Ethereum・Avalanche・Polygon・Kaiaの4チェーンに対応しています。

USDCとJPYCの通貨と裏付け、対応の特徴を並べる。
支払いに使う代表的なトークン

種類②:サービスを利用する権利のトークン

ユーティリティトークンと呼ばれる型で、保有者がサービスの利用や特典を受けられる権利を表します。会員権やサービス内の利用券をトークンにする設計が該当し、何に使えるかを発行者が決める点が特徴です。

種類③:金融商品の権利を表すトークン

セキュリティトークンは、株式・社債・不動産の受益権などをトークンで表したものです。従来の紙の証書や証券会社ごとの台帳による管理を、ブロックチェーン上の記録へ置き換えます。

セキュリティトークンで権利の記録がどう変わるかを比べる。
証券の管理の置き換わり

種類④:唯一性を証明するトークン

NFTは、ERC-721規格で1点ごとに識別され、所有を1つずつ追跡できるトークンです。デジタル作品だけでなく、物理資産の所有を表す使い方もあります。

ERC-721で1点ごとに識別し、所有を1つずつ追跡する。
NFTで所有を追跡する流れ

種類⑤:議決権を表すトークン

ガバナンストークンは、保有量に応じてプロジェクトの運営方針へ投票できる権利を表します。ethereum.orgもERC-20の用途例に投票用トークンを挙げています。

種類の名前より「保有者が何の権利を持てるか」で見ると、自社の用途に合う型を選べます。

日本の法律ではトークンの種類ごとに扱いが変わる

同じトークンでも、表す権利によって適用される法律が変わります。主な類型と該当しうる法区分は次のとおりです。

支払い、利用権と議決権、金融商品、NFTの法区分を並べる。
種類ごとに該当しうる法区分
種類該当しうる法区分発行・取扱に関わる主な論点
支払いに使うトークン電子決済手段(資金決済法)発行形態(資金移動業型・信託型等)、仲介の登録
サービス利用権・議決権暗号資産または前払式支払手段など不特定の者と売買できるか、発行者のサービスでのみ使えるか
金融商品の権利電子記録移転有価証券表示権利等(金融商品取引法)有価証券としての募集・取扱のルール
NFT表す内容により個別に判断決済や投資の性格を持つかどうか

日本では、法定通貨の価値と連動するいわゆるステーブルコインの一部について、資金決済法上の「電子決済手段」として整理される枠組みが設けられています。金融庁によれば、2023年6月1日から電子決済手段等取引業の制度が始まり、国内で仲介等を営むには登録が必要になりました。JPYCは資金決済法上の電子決済手段で、発行体のJPYC株式会社は資金移動業者として登録されています。

2020年のセキュリティトークンの規定から2025年のJPYC発行開始までの動き。
企業がトークンを使う制度の整備

金融商品の権利を表すトークンは、令和元年資金決済法等改正の政令等が2020年5月1日に施行され、制度が整いました。金融商品取引業等に関する内閣府令は、これを「電子記録移転有価証券表示権利等」と定めています。この権利を表すものは、資金決済法の暗号資産の定義から除かれます。

ポイントや会員権に近いトークンでは、前払式支払手段との境界が論点になります。資金決済法第3条第1項は、対価を得て発行され、発行者等から物品やサービスを購入する際の支払いに使える証票等を前払式支払手段と定めています。発行形態を決める前に、表す権利から法区分を逆算する順序が実務の起点です。

本節は制度の一般的な整理であり、個別の事業スキームがどの区分に当たるかは、弁護士や当局への事前相談で確認する必要があります。

企業はトークンを資金調達・決済・顧客接点に使っている

企業のトークン活用は、資金調達、決済、顧客との接点の3つの領域で進んでいます。

資金調達、決済、顧客接点でトークンが何を置き換えるかを並べる。
3つの活用領域と置き換わる仕組み

活用①:資金調達と資産の小口化

2024年5月、トーセイ・三菱UFJ信託銀行・東海東京証券は、デジタルアセット基盤「Progmat」を使い、不動産を裏付けにしたセキュリティトークンの公募による募集・発行を完了したと発表しました。信託の受益権に係る証券情報・取引情報を、デジタルアセット基盤で発行・管理する形にした例です。

不動産を裏付けにした受益権をProgmatで発行し、公募で投資家に届ける。
不動産セキュリティトークンの公募

活用②:決済と送金

JPYC株式会社は2025年10月27日に日本円建てのJPYCの発行を始め、裏付け資産として発行残高の100%以上を日本円(預貯金および国債)で保全しています。銀行振込で行っていた送金を、チェーン上のトークンの移転で行う使い方です。2026年2月にKDDI・Progmat・Pacific Metaが共同で主催したJapan Stablecoin Summit #2では、金融庁・メガバンク・JPYC・Circleなどが登壇し、ステーブルコインの実装に向けた実務やユースケースが議論されました。

送金の手段と裏付けの管理を、銀行振込とJPYCで比べる。
振込とトークンの移転の違い

活用③:顧客接点と会員権

カシオ計算機はVIRTUAL G-SHOCKのプロジェクトでNFTを顧客との接点に使っており、2024年3月からPacific Metaの支援で海外プロジェクトとのコラボやコミュニティ運営を進めています。会員証や限定特典を紙のカードや自社データベースからNFTへ移すと、保有者との関係を継続的に設計できます。

紙のカードや自社データベースの会員証とNFTの会員証を比べる。
会員証をNFTに移すと変わること

トークンに関するよくある誤解

トークンは発行の技術的な難度が低いため、誤った前提で検討が進むことがあります。代表的な誤解は次のとおりです。

発行、法区分、用途、利用者についての誤解と実際。
トークンでよくある誤解
よくある誤解実際
誰でも自由に発行・販売してよい表す権利によって資金決済法や金融商品取引法の対象になり、登録や手続きが必要になる場合がある
トークンは暗号資産ではない独自チェーンかどうかは法律上の要件ではなく、既存チェーン上のトークンも暗号資産に該当しうる
トークンは投資で利益を得るもの決済・会員権・証券の管理など、投資と無関係な業務用途が中心になりつつある
発行すれば利用者が集まる保有者が得られる権利や使い道を設計しないと、保有し続ける理由が生まれない

発行が容易な分、法区分の確認は発行前の工程に組み込みます。

トークン発行のリスクと設計上の注意点

トークン発行のリスクは、事業の停止や損失として表れます。法務・技術・市場・経理のそれぞれで論点が異なります。

法区分、スマートコントラクト、価格変動、会計税務のリスクを並べる。
発行前に確かめる4つのリスク

リスク①:法区分の誤り

トークンは表す権利で法区分が変わります。区分を誤ったまま発行すると、必要な登録を欠いた状態で事業を続けることになり、販売停止や回収の対応を迫られます。

区分の誤りが登録の欠落を生み、販売停止や回収につながる。
区分を誤ったときの影響

リスク②:スマートコントラクトの脆弱性

トークンの動作はスマートコントラクトに書かれた内容に従います。プログラムに不備があると、保有者の資産が意図せず移転されるおそれがあります。公開前に外部の監査会社によるコード監査を受けるのが一般的です。

設計、実装、外部監査、公開の順に進める。
コードの不備を防ぐ手順

リスク③:価格変動と流動性

売買できるトークンは市場で価格が動き、売りたいときに買い手がいない場合もあります。会員権や特典として配るトークンでも、価格が下がると利用者の不満や評判の低下につながります。

リスク④:会計・税務処理

トークンの発行・保有・受け渡しの会計処理は類型ごとに異なり、経理部門との事前の整理が欠かせません。暗号資産の売却益は、現時点では原則として雑所得(総合課税)として扱われます。2026年7月に成立した金融商品取引法の改正法に伴い、暗号資産取引業者が取り扱う暗号資産の売却など一定の取引から生じる所得は、改正法の施行日の翌年1月以降に申告分離課税へ移行する予定です(施行日は本記事の基準日時点で確定していません)。取引時点の取扱いは国税庁の公表資料で確認してください。

現行の雑所得から、改正法の施行後に申告分離課税へ移行する予定。
暗号資産の売却益の課税の見通し

トークン活用の検討は表す権利の定義から始める

トークン活用の検討は、表す権利と用途の定義から始めます。法区分も基盤の選定も、この定義で決まります。着手は権利の定義から事業化の判断までの順に進めます。

権利の定義、法区分の確認、基盤の選定、PoCでの判断の順に進める。
トークン活用の検討の進め方
  1. 表す権利と用途を定義する(決済・利用権・証券・唯一性・議決権のどれか)
  2. 定義した権利から法区分を確認する
  3. チェーンと発行基盤を選ぶ
  4. 会計・税務の処理を経理部門と整理する
  5. PoCで利用者の反応と運用負荷を測り、事業化を判断する

各段階で確認することは次の表のとおりです。

業務と権利、法務、基盤と体制、会計税務の4観点で確認する。
着手前のチェックリスト
検討の目的・論点確認すること確認先完了の判定
自社の業務で使えるかトークンで置き換える既存の業務と、保有者が得る権利事業部門・想定利用者置き換える業務と権利を1文で説明できる
法務・規制上の要否該当しうる法区分と、必要な登録・手続き資金決済法・金融商品取引法の条文、弁護士、当局区分と必要手続きの一覧が法務部門の確認を経ている
発行基盤の選定チェーン、発行基盤、ウォレットの対応範囲情報システム部門・基盤提供事業者候補を比較した選定理由が文書化されている
会計・税務の処理発行・保有・受け渡し時の会計処理と税務経理部門・税理士・国税庁の公表資料仕訳の方針が経理部門で合意されている
体制・委託先管理スマートコントラクトの監査、運用と障害時の責任分担開発委託先・監査会社監査の実施計画と責任分担表がある

表す権利の定義、法区分の確認、発行基盤の選定は、それぞれ事業部門・法務部門・情報システム部門の判断が絡み合います。1つの部門だけでは結論が出ず、比較表を作った段階で検討が止まりやすいのはこのためです。

トークンを使った事業の構想から設計までの進め方は、支援内容で整理しています。

Pacific Metaのサービス

ブロックチェーンの事業構想・戦略設計を支援します。

業務課題の特定から適合性判断・PoC設計まで、導入検討の最初の一歩を伴走します。

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トークンに関するよくある質問

トークンとコインのどちらを信頼すればよいですか

技術上の区別だけで安全性は決まりません。安全性は、発行者の体制、スマートコントラクトの監査の有無、裏付け資産の管理方法で変わります。トークンの場合は、発行者が誰で何を保証しているかを確認することが判断の材料になります。

発行者の体制、監査の有無、裏付け資産の管理で安全性を見る。
安全性を見る3つの観点

個人や中小企業でもトークンを発行できますか

技術的には規格に沿って発行できます。ただし表す権利によって資金決済法や金融商品取引法の対象になり、登録が必要になる場合があります。発行前に、前払式支払手段や暗号資産に該当しないかを確認する必要があります。

トークン化とは何ですか

不動産や証券、会員権などの権利を、ブロックチェーン上のトークンとして表すことです。管理を紙の証書や個別の台帳からチェーン上の記録へ移すことで、小口に分けた発行や移転の記録がしやすくなります。

ステーブルコインはトークンですか

USDCやJPYCのように既存のチェーン上で発行されるステーブルコインは、仕組みの上ではトークンです。日本法上は、法定通貨の価値と連動するものの一部が電子決済手段として整理されます。

トークンとは何かのまとめ

トークンは、既存のブロックチェーン上で発行者が設計する、価値や権利を表すデジタルの証票です。同じ技術で作っても、表す権利によって暗号資産・電子決済手段・有価証券などの区分が変わります。証券・決済・会員管理の仕組みを置き換える部品として、企業の活用はすでに始まっています。

権利を表し、法区分を確かめ、既存の仕組みを置き換える。
トークンの要点と検討の起点

自社のポイントや会員権、資金調達をトークンで設計する場合、どの権利を表すかの判断が、適用される法律と必要な体制を決めます。事業と法務と技術を同時に見る必要があるため、社内の検討だけでは論点を詰めきれない場面が出てきます。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言・投資助言ではありません。暗号資産には価格変動リスクがあり、投資元本を失う可能性があります。個別の判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。

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