概要
ロビンフッドは欧州市場向けモバイルアプリに Arbitrum のレイヤー2ブロックチェーンを組み込みました。
暗号資産を「投資対象」ではなく 金融インフラ として活用し、ユーザーがウォレット管理やネットワーク設定を意識せずに取引できる環境を実現します。これにより、DeFi と伝統金融(TradFi)の境界が消え、暗号技術が金融の基盤へと移行する流れが加速するとみられます。
スマートコントラクトから10年、描いていた構想が現実に
Arbitrum 共同創設者のスティーブン・ゴールドフェダー氏は、2013 年にスマートコントラクトに着目して以来、「信頼不要」の金融基盤を構築する構想を温めてきました。
同氏らは世界規模の需要に応える多層設計を掲げて Arbitrum を開発し、今回のロビンフッド統合がそのビジョンの具現化になったと位置付けています。
ロビンフッド、暗号技術を“縁の下”へ
ロビンフッドは Arbitrum を活用し、欧州ユーザーにも米国と同等の取引体験を提供します。
表面上は従来どおりの直感的 UI を維持しつつ、バックエンドでブロックチェーン処理を実行します。暗号資産を コア技術スタック として採用する大手フィンテック企業としては初の本格導入例となりました。
「資産」と「基盤」、2 つの暗号資産観
ロビンフッド CEO ブラッド・テネフ氏は CNBC のインタビューで「暗号資産には取引資産と基盤技術の 2 側面があり、後者は金融の次の進化段階だ」と強調しました。
同氏は紙・オンプレミス・クラウドに続く「第四の基盤」として暗号技術が今後の取引や金融サービスを支えると述べています。
DeFi と TradFi の融合、次のステージは“Fi”
ゴールドフェダー氏は「暗号技術は既存システムの延長線上にあり、5 年後には DeFi と TradFi が区別されなくなる」と指摘しています。今回の統合は、両者を融合させ「ただの金融(Fi)」へ移行するマイルストーンになるとみています。
ブロックチェーンを“隠す”ことで大衆化を促進
Arbitrum の普及には、ユーザーに鍵管理や RPC 設定を意識させない運用が不可欠だと同氏は説明しています。ロビンフッドは暗号処理をアプリ内に直接組み込み、暗号ネイティブでないユーザーでも従来と変わらない操作感で恩恵を受けられるよう設計しました。
共通ミッションで手数料低減と金融包摂を推進
ロビンフッドは「金融アクセスの民主化」、Arbitrum は「オンチェーン金融基盤の普及」を掲げています。両社の理念は一致しており、本提携により低コスト取引と金融包摂を世界規模で進める狙いだと強調しています。