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ブロックチェーン総研by Pacific Meta

ポリゴン・ラボがポリゴンPoSのノードソフト「Bor」の脆弱性2件を修正。処理時間が数十ミリ秒から約11秒に遅延するDoS問題に対応しv2.10.3への早期更新を求める方針

ポリゴン・ラボは10月15日、ブロックチェーン「ポリゴンPoS」のノードソフトウェアである「Bor(ボー)」に存在した2件の脆弱性を修正したと発表しました。これらの脆弱性は、取引やブロックの並列処理を行う機能に起因するもので、悪用された場合には比較的少ない取引コストでノードに過大な負荷をかけ、処理を遅延させることが可能でした。すでに修正版となる「Bor v2.10.3」がメインネットおよびテストネット向けに公開されており、同社が把握する限りネットワーク上での悪用は確認されていません。

監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。

発見された脆弱性の詳細と実装された対策

今回修正された脆弱性は、Borに搭載されている複数の取引を並行して処理する機能「BlockSTM V2(ブロックSTM V2)」に存在していたサービス拒否(DoS:システムに過大な負荷をかけて正常な処理を妨害する攻撃)に関する問題です。深刻度はいずれも「中(Medium)」と判定されており、同機能が標準で有効となっていたBor v2.10.1およびv2.10.2が影響を受けます。

1件目の問題は、並列処理において計算結果を一時保存する領域に容量の上限が設定されておらず、ノードのメモリを過剰に消費する可能性があった点です。ポリゴン・ラボの検証ではブロックの処理に1秒以上を要する事例が確認され、同様の負荷が連続して発生した場合にはノードが新たなブロックの処理に追いつけなくなる懸念がありました。これに対し、開発チームは保存領域に容量の上限を設ける修正を行いました。

2件目は、スマートコントラクトの処理時に同一の計算が繰り返し実行され、ノードに極端な負荷が生じる問題です。検証環境では、通常の逐次処理であれば数十ミリ秒で完了する取引が、並列処理下では約11秒を要する状態となっていました。この問題に対しては、計算結果を再利用する仕組みへ変更することで負荷を抑制する対策が講じられました。

ネットワークへの影響範囲と更新の実施手順

今回の脆弱性はノードの処理速度や安定稼働に関わるものであり、取引履歴の合意を形成するコンセンサス自体に影響を与えるものではありません。また、修正版を適用することによって取引の実行結果が変化することもないと説明されています。

更新作業においては、ネットワーク全体のルールを変更するハードフォークを伴わず、各ノードが個別にソフトウェアを更新できる仕様となっています。ポリゴン・ラボは公開版の配布に先立ち、ブロックの生成や検証を担うバリデーターおよび主要なインフラ提供事業者へ非公開版を先行配布しました。10月5日にテストネット「Amoy(アモイ)」、10月8日にメインネットでの先行導入を進め、主要な関係者への適用が完了した段階で一般向けに公開版「Bor v2.10.3」をリリースしました。同社は、現在v2.10.2以前を運用しているノード運用者に対し、速やかに最新版へ更新するよう要請しています。

ポイント

  • ノードソフトウェア「Bor」の並列処理機能に存在した中深刻度のDoS脆弱性2件が修正され、ネットワークの安定運用が図られた点で注目されます。
  • 逐次処理なら数十ミリ秒で済む処理が約11秒かかるなど低コストでの負荷増大リスクが存在しましたが、実際の悪用は確認されずに対応が行われました。
  • 取引履歴の合意形成(コンセンサス)や取引結果には影響せず、ハードフォークを伴わずにノード単体で更新できる仕組みとなっています。
  • バリデーターや主要インフラ提供者への先行配布を経て公開版がリリースされており、運用者に対して迅速なアップデートが呼びかけられています。

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