イベント集客や地域活性化の施策を計画しているものの、従来の紙スタンプラリーではマンネリ化して効果が薄れていると感じていませんか。
さらに、ブロックチェーンやNFTなどの新技術に興味があっても、具体的な導入ノウハウや費用対効果がわからず踏み切れない方も多いのではないでしょうか。
今回、Pacific Meta Magazineでは、NFTスタンプラリーについて以下の内容を紹介しています。
- NFTスタンプラリーの定義や従来手法との違い
- 仕組みやメリット、活用シーンと成功事例
- 導入ステップや法規制対応、リスク管理のポイント
- 具体的な費用感やROI向上のコツ、将来展望
- よくある質問と運用成功へのヒント
最後まで読むことで、NFTを活用したデジタルスタンプラリーの実像が掴め、企画担当としての次のアクションを明確にできるはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
Pacific Meta(パシフィックメタ)では、Web3やブロックチェーンを活用した事業の構想・戦略策定を伴走支援しています。
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NFTスタンプラリーとは?

NFTスタンプラリーとは、ブロックチェーン上のNFT(非代替性トークン)をスタンプに見立てて配布する新しい集客・周遊施策です。
従来の紙スタンプラリーは、物理スタンプを押して台紙を埋めるものでした。
しかし、NFTスタンプラリーではQRコードやGPS認証を通じてデジタル上で「スタンプNFT」を収集します。
NFTの特徴として改ざん耐性や希少性が担保されるため、スタンプそのものがコレクション価値を持つこともポイントです。
背景にはイベントや観光地のデジタル化ニーズがあります。
ファンエンゲージメントを高めるツールとしても注目されています。
NFTスタンプを集めるだけでなく、保有しているNFTに応じて将来的に特典やコミュニティ参加の権利を与えるなど、新たな体験価値を創出できるのが魅力です。
NFTスタンプラリーの仕組みは?
NFTスタンプラリーは、おもに下記の流れで進行します。
まず主催者がスタンプ数に応じてNFTを発行し、それらを保管するウォレットを用意します。
多くの場合、ユーザー側で専門ウォレットを作成しなくてもよい「カストディアル方式」が採用されます。
これにより、メールアドレスやSNS認証だけでNFT取得が可能です。
続いて、現地にあるQRコードやGPS対応スポットをスマホで読み取ると、スマートコントラクトが発動しNFTスタンプが付与されます。
参加者はデジタル上でコレクションを増やす感覚で周遊スポットを巡ります。
そして、一定数集めると特典を受け取る仕組みです。
ブロックチェーンはPolygonや独自チェーンなど、ガス代やスケーラビリティを考慮して選択されます。
大阪万博や今治市の事例では、NFTスタンプが譲渡不可のソウルバウンド形式になるなど、運用目的に応じた細かな設定が可能です。
NFTスタンプラリーのメリットとは?
次に、NFTスタンプラリーのメリットを紹介していきます。
集客効果とユーザーエンゲージメント強化
NFTスタンプラリーは、参加者が「限定NFTを手に入れたい」という収集意欲を刺激します。
たとえばタイ国政府観光庁の「NFTデジタルスタンプラリー」では短期で5,000枚以上が配布されました。
実際の周遊先への来訪率が大きく向上したとの報告があります。
単に紙スタンプを集めるよりもデジタル特典が魅力となり、SNSでの拡散も期待できるため、全体的集客効果が高まります。
回遊率向上
NFTは「限定コレクション」の感覚を参加者に与えます。
そのため、複数スポットを巡る動機付けが生まれます。
たとえば「万博のNFTスタンプラリー」では、関西広域の観光地を巡るとパビリオン限定グッズに応募できる仕組みを整えました。
これにより、利用者の回遊率向上を狙っています。
紙と違い、各スポットの訪問ログを正確に把握できます。
また、追加ミッションやレアNFTの配置など様々なゲーミフィケーション要素を導入しやすい点も回遊率アップに寄与します。
NFTスタンプラリーの主な活用シーンとは?
次に、NFTスタンプラリーのユースケースを紹介していきます。
観光地での地域振興モデル
地方自治体が主催し、景勝地や名所のQRコードを巡る事例が増えています。
今治市の取り組みでは、NFTスタンプを全て集めることで地元の特産品や記念NFTがもらえる仕掛けが話題となりました。
この取り組みは、観光客の滞在時間延長や島嶼部の周遊促進に貢献しました。
商業施設での店舗回遊施策
ショッピングモールなどでは、館内の各店舗を回ってNFTスタンプを収集するキャンペーンを実施できます。
紙の台紙よりも運営コストが下がります。
かつNFTを使うことで自社アプリへの登録や顧客データの収集が容易になる点がメリットです。
イベント会場での体験価値向上
音楽フェスや博覧会では、ステージやブースごとにNFTスタンプを設定します。
これにより、参加者が回遊しながら限定ノベルティを獲得できるようにします。
東京オートサロンのように、車のデザインが進化するNFTを配布するなど、演出を加えた体験価値向上が可能です。
NFTスタンプラリーの最新事例
ここでは、NFTスタンプラリーの国内外の最新事例を紹介していきます。
大阪万博:デジタルスタンプラリー

大阪・関西万博(EXPO2025)では、デジタル技術を活用した「NFTスタンプラリー」が開催されています。
これは、専用アプリ「EXPO2025デジタルウォレット」を通じて、リアルおよびバーチャルな会場でスタンプを収集し、NFTとして記録する新しい体験型イベントです。
今冶市

愛媛県今治市では2024年7月22日(月)から12月31日(火)までの期間で、デジタルスタンプラリーにNFT技術を導入しました。
市内5か所の観光スポットを巡ってNFTスタンプを集めると、、LLAC(Live Like A Cat)の人気コレクション「KODONA SERIES」の限定デザインNFTを取得できます。
5種類すべてを集めると、オリジナル刺繍入り今治タオルが当たる抽選に応募可能でした。
男木島

香川県の離島・男木島では、ゲーム作品「Summer Pockets」の聖地巡礼とNFTスタンプラリーが融合したイベントが開催されました。
島内の各スポットに設置されたQRコードを読み取ることで、限定デザインのNFT(全6種類、うち1種類は有償)を取得できます。
すべてのNFTを集めた参加者には、記念グッズがプレゼントされました。
タイ国政府観光庁

タイ国政府観光庁は「Amazing Thailand NFTs」キャンペーンとして、国内外の旅行者向けにnftデジタルスタンプラリーを展開しました。
主要な観光スポットや空港でNFTを配布し、集めた数に応じて割引クーポンや特典を提供しています。
累計数万枚のNFTが発行され、国内旅行の促進と観光DXを世界的にアピールしました。
CASIO(カシオ計算機株式会社)もWeb3領域で挑戦されている日本の企業様のうちの一社です。
Pacific Meta(パシフィックメタ)では、CASIO初のWeb3事業の戦略構築、海外プロジェクトとのコラボレーション・グローバル展開・コミュニティ運営など幅広く支援をしています。
下記の記事では、支援内容の詳細をCASIOのプロジェクトメンバーへのインタビューと共にご紹介しているのでぜひ、こちらもご覧ください。
⇒ CASIO社のWeb3事業のグローバル展開支援。戦略構築、コミュニティ運営を伴走しながら、海外大型プロジェクトとのコラボを実現
NFTスタンプラリー導入ステップ
次に、NFTスタンプラリーを導入する際の一般的なステップを紹介していきます。
企画設計:ターゲット設定とKPI策定
まずは「どの層に参加してもらうか」「何をもって成功とするか」を明確化しましょう。
来訪者数、スタンプ獲得率、SNS拡散数などKPIを設定します。
そして、事前に開発予算やROI目標を擦り合わせます。
実装・テスト:開発体制と検証プロセス
システム構築時には既存のNFTスタンプラリーサービス利用か自社開発かを選定します。
そして、PoC(概念実証)で小規模テストを行います。
QRコードが正常に読み取れるか、不正が起きないかなどをチェックします。
ユーザー体験を最適化してから本番に移ります。
運用開始とプロモーション展開
リリース後は、SNSやプレスリリースなどを使って周知を強化します。
さらに、参加者にハッシュタグ投稿を促し、SNSでの話題喚起を図りましょう。
運用期間中は運営スタッフの問い合わせ対応や、スタンプ交換スポットの定期チェックが重要です。
NFTスタンプラリー運用時の法規制・権利処理チェックポイント
NFTスタンプラリーを実施する際には、以下のような法規制や権利処理への配慮が必要です。
まず景品表示法(景表法)への対応が欠かせません。
景品の価値や提供条件が法律の上限を超えないように設定しましょう。
NFTそのものを景品とする場合、譲渡可否や実際の市場価値が問題になるケースがあります。
大阪万博のように譲渡不可のソウルバウンドNFTにすれば、転売目的の価値は発生しにくく景表法リスクを抑えやすいです。
さらに、電子帳簿保存法や税法上の懸賞規定など、経費処理や抽選で提供する賞品の扱いにも注意が必要です。
NFT配布やデジタルクーポン発行が金銭的価値を伴う場合、適切な会計処理を行いましょう。
状況によっては当選者の一時所得税などが絡むこともあります。
そのため、事前に法務・税務担当と相談するのが安心です。
知的財産権の観点からは、NFTの画像・キャラクター使用に対する著作権や商標権の確認が重要です。
コラボ元からの正式許諾を得ないままNFT化すると権利侵害を問われる可能性があります。
NFTスタンプの二次利用を想定するなら、利用規約で参加者との権利帰属を明確にしておきましょう。
個人情報保護法にも留意が必要です。
NFTスタンプラリーの運用では、ユーザーの連絡先やアカウント情報を取得する場合があるため、利用目的の明示・同意取得が欠かせません。
抽選や景品送付で住所やメールアドレスを扱うなら、プライバシーポリシーを整備し安全管理措置を徹底してください。
また、NFTが暗号資産や前払式支払手段に該当しないか確認しましょう。
多くの事例では単なるデジタル記念品として配布されるため該当しません。
しかし、もし購入や譲渡を活性化する仕組みを導入するなら資金決済法の対象になるか検討が必要す。
海外取引の有無がある場合は、関係国の規制にも注意が必要です。
まとめると、NFTスタンプラリーは法規面でのハードルは従来の景品施策と大きく変わりません。
しかし、NFT特有の譲渡価値や著作権扱いなど追加要素があります。
十分な事前調整とリーガルチェックを行い、利用規約・運用マニュアルを整備することが成功のカギです。
NFTスタンプラリーのリスクと課題とは?
NFTスタンプラリーに取り組むには、そのリスクやか課題についても事前に把握しておく必要があります。
ここでは、課題とその対処法を簡単に紹介していきます。
セキュリティ対策が必要
ブロックチェーンやウェブアプリを扱う以上、サイバーセキュリティ対策は欠かせません。
専用のセキュリティ監査サービスを利用し、スマートコントラクトのバグや脆弱性を洗い出すのが有効です。
QRコードの漏えい対策やシステム障害発生時のバックアップ運用も事前に検討しておく必要があります。
トラブル対応プロセスの設計が必要
実際の運用では、「QRが読み取れない」「NFTを受け取れない」といった問い合わせが起こり得ます。
問い合わせ受付チャネルを明示し、一定のフローで対応できるようスタッフを配置しましょう。
万一の不正取得やバグ発生時には、運営側がスタンプ履歴を修正できる仕組みや補填策を用意することが重要です。
NFTスタンプラリーの今後の展望は?
NFTスタンプラリーの今後の展望を紹介していきます。
地域コミュニティ創生への応用可能性
NFTを活用すれば、単発イベントにとどまらず継続的なコミュニティを形成しやすくなります。
保有者限定のイベント招待やDAOによる企画参加など、地域住民やファンと共に施策を作り上げる可能性もあります。
今治市のように終了後にDiscordコミュニティを開設し、長期エンゲージメントを生み出す事例が増えつつあります。
ブランド戦略としてのNFT活用拡大
企業にとってはNFTスタンプラリーが単なる集客施策ではありません。
ブランドのファンクラブやロイヤル顧客向けプログラムとして使われる流れも加速しそうです。
将来的には他社コラボレーションによる相互特典や、限定デジタル資産を活用したキャンペーンなど、Web3時代ならではの新しいマーケティング手法が拡大すると考えられます。
NFTスタンプラリーについてよくある質問
ここではNFTスタンプラリーに関してよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。
Q1. NFTスタンプラリーにウォレットが必要ですか?
A. 多くのサービスで専用アプリやアカウント連携が用意されているため、暗号資産用ウォレットは不要です。
主催者側が「カストディアル形式」で一括管理するケースが一般的です。
Q2. コストはどれくらいかかる?
A. 規模と機能により数十万円から数百万円の幅があります。
既存プラットフォームを利用すれば初期導入費が抑えられます。
しかし、大規模に独自開発する場合は開発コストが高くなります。
Q3. どんなプラットフォームを選べばいい?
A. UXを優先するならLINE系の「DOSI」やPolygonなどガス代が安いチェーンを採用した国内サービスが多いです。
サポート体制や機能拡張性を比較して選ぶとよいでしょう。
Q4. 効果測定はどうする?
A. QR読み取り回数やNFT発行数、コンプリート率などデータ取得がしやすい点がメリットです。
アンケートやSNS分析と組み合わせ、来訪実数や滞在時間、売上増などを計測します。
Q5. 従来のデジタルスタンプと何が違う?
A. NFTならば改ざん耐性やコレクション性、イベント終了後もユーザーとつながる仕組みが作れます。
単にスタンプを貯めるだけでなく、ブランドコミュニティ化できる点が大きな違いです。
NFTスタンプラリーについてまとめ
今回、Pacific Meta Magazineでは、NFTスタンプラリーについてについて以下の内容について紹介してきました。
- NFTスタンプラリーの基本概念と従来スタンプとの違い
- QRコード連携やSBTなど仕組みの詳細
- 観光地・商業施設・イベントでの導入メリットと事例
- 導入ステップや法規制、コスト感とリスク管理
- 地域コミュニティや企業ブランド戦略への将来的可能性
NFTスタンプラリーは、紙のスタンプカードを置き換えるだけではありません。
より強固なファンコミュニティを作り出したり、収集意欲を高める新しい仕掛けとして期待されています。
今治市や男木島、タイ国政府観光庁など国内外で成功事例が続々登場しています。
大阪万博でも大規模活用が進むなど、導入のハードルも下がってきました。
一方で、景表法・著作権・セキュリティ対策などの運用面は慎重な検討が必要です。
適切なプラットフォーム選定とルール整備、PoCによるテストを経て、安心して実施できる体制を構築しましょう。
効果測定が容易で、参加者データを活用した次回施策へのフィードバックも期待できるのが大きな利点です。
将来的にはDAO型コミュニティ形成やブランド訴求など、Web3時代の先進施策としての展開も見込まれます。
ぜひ、本記事を参考に「NFTスタンプラリー」を活用したプロジェクトを検討してみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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