米ドルの決済インフラ構築を手がけるフィンテック企業のAugustusは、シリーズBラウンドで1億8000万ドルを調達し、評価額が10億ドルに達しました。同社は、従来のコルレス銀行(国際決済を仲介する中継銀行)ネットワークに代わり、伝統的な決済システムとステーブルコイン(法定通貨と価値が連動する暗号資産)を常時稼働で接続する次世代の清算銀行(クリアリングバンク)の構築を目指しています。この取り組みは、ステーブルコインやAI技術の普及に伴い、迅速かつ24時間稼働可能なクロスボーダー決済インフラへの需要が高まっていることを背景に、業界で重要な一歩と位置づけられています。
資金調達の概要と投資家
Augustusは、Tiger Globalが主導したシリーズBラウンドにおいて1億8000万ドルの資金調達を完了しました。このラウンドには、HummingbirdやQED Investorsのほか、Nubank、Ramp、Circle、Deelなどの有力フィンテック企業の創業者らも参加したとされています。今回の調達により、同社の累計調達額は約2億1000万ドルに達し、企業評価額は10億ドルを突破してユニコーン企業(評価額10億ドル以上の未上場企業)となったと報じられています。
従来のコルレス金融に代わる常時稼働インフラ
同社が目指すのは、処理が遅く週末に稼働しない従来のコルレス銀行ネットワークの課題を解決することです。Augustusは、SwiftやACH、SEPAといった伝統的な国際決済システムと、ブロックチェーン上のステーブルコイン決済をシームレスに接続するAPIファーストのプラットフォームを提供しています。
また、同社は独自に開発したAI駆動のコアバンキングシステムであるMarbleを運用しており、バックオフィス業務にAIを組み込むことで、決済時間の短縮と24時間365日の稼働を実現しているとされています。すでに大手暗号資産取引所のKrakenなどを顧客に抱え、年間で数十億ドル規模の取引を処理している実績があるとされています。
連邦銀行憲章の取得と今後のグローバル展開
Augustusは2026年5月に、米通貨監督庁(OCC)からナショナルバンク(連邦政府の認可を受けた国法銀行)憲章の条件付き承認を取得したとされています。これは2010年以降でわずか8社しか受けていない限定的な承認であり、同社が提携銀行を介さずに、連邦政府の規制に準拠した銀行インフラを独自に構築できる強みを持っています。
今回調達した資金は、米ドルの決済インフラ拡大に加え、ラテンアメリカ、東南アジア、中東、アフリカなど、米ドルへの直接アクセスが困難な地域におけるフィンテック企業や金融機関へのサービス提供に充てられる計画とされています。
ポイント
- AugustusがシリーズBで1億8000万ドルを調達し、評価額が10億ドルに到達しました。
- 伝統的な決済システムとステーブルコインを24時間365日接続する清算銀行の構築を目指しています。
- AIをバックオフィスに組み込んだ独自のコアバンキングシステムであるMarbleにより、迅速な決済処理を実現しているとされています。
- 2026年5月に米通貨監督庁(OCC)から連邦銀行憲章の条件付き承認を得ており、規制に準拠した独自のインフラ構築が可能です。
- 調達資金を活用し、ラテンアメリカや東南アジアなどグローバル市場への決済インフラ展開を加速させる計画です。