ソラナ財団は7月29日、ソラナ(Solana)ネットワークの1ブロック当たりの計算作業量(コンピュートユニット:CU)上限を、従来の6,000万CUから1億CUへ引き上げるアップグレードを発表しました。このアップグレードは同日、メインネットのエポック1009開始時に有効化されました。これにより、アプリケーションの構築方法を変更することなくブロックの計算容量が約66%拡大し、ネットワーク混雑時の処理能力向上が期待されます。
需要急増に対応するブロック容量の約66%拡大
ソラナ財団によると、2025年7月22日にブロック上限を6,000万CUへ引き上げて以降、今回の1億CUへの引き上げまでに生成されたブロックの11.2%が5,600万CU以上を使用していたとのことです。これは、およそ9ブロックに1ブロックが上限に近い高負荷な状態であったことを示しています。
今回のアップグレードは、こうしたブロック容量に対する需要増加を受けたものであり、需要急増時の処理余力を拡大する狙いがあります。スロット時間を変更することなくブロック全体の容量を約66%拡大することにより、満杯に近いブロックを巡ってトランザクション同士が競合する状況の緩和が見込まれます。
単一アカウント制限の維持と並列処理の最適化
今回のアップグレードで変更されたのはブロック全体で処理できるCU上限のみであり、特定の1つの書き込み可能なアカウントに処理が集中した場合の上限は1,200万CUのまま据え置かれます。また、1ブロック内におけるアカウントデータサイズの合計増加量上限も100MBから変更されていません。
そのため、増加した容量は主に、互いに異なるアカウントへの処理を同じブロック内に収容するために活用されます。特定のアカウントを共有する混雑したプログラムや市場には従来通りの制限が適用される一方、それらと関係のない処理は同じブロック内でより多く実行できるようになります。取引や決済など異なるユースケースがブロックスペースを奪い合うことなく成長できる環境を目指した設計となっています。
改善提案「SIMD-0286」の実現とインフラ事業者への影響
今回の引き上げは、ソラナ向けインフラを開発するジトラボ(Jito Labs)のルーカス・ブルーダー(Lucas Bruder)氏が2025年5月に提出した改善提案「SIMD-0286」に基づくものです。
実現の背景には、バリデータクライアントの性能改善に加え、バリデータによるブロック伝播を高速化するLinuxのネットワーク技術「XDP」の普及があります。現在はメインネットのステークの70%超を担うバリデータがXDPを有効化しており、コアエンジニアによって安全な引き上げが可能と判断されました。
なお、今回のアップグレードによるデータ形式やインデックス処理の仕様変更はありません。ただしソラナ財団は、RPCプロバイダーやインデクサー、暗号資産取引所といったインフラ事業者に対し、1億CUのブロックが継続的に生成された場合でも自社システムで問題なく処理できるかどうかの対応確認を呼びかけています。
ポイント
- 1ブロック当たりの計算量上限が6,000万CUから1億CUへ引き上げられ、ブロック容量が約66%拡大しました。
- 約9ブロックに1ブロックが上限近くまで使用されていた背景があり、需要急増時のトランザクション競合緩和を目指しています。
- 単一アカウントのCU制限(1,200万CU)やデータサイズ制限(100MB)は維持し、互いに異なる処理の並行実行能力を高めています。
- バリデータによる伝播高速化技術「XDP」の普及(ステークの70%超)などを背景に「SIMD-0286」として実装されました。
- データ形式に変更はないものの、RPCプロバイダーや取引所などのインフラ事業者には大容量ブロックへのシステム対応確認が求められています。