ENS(Ethereum Name Service)は、イーサリアム上で動作する分散型ドメイン・命名プロトコルとされています。ENS DAOのトークンホルダーは、専任のスタッフを配置するENS財団に対して基金(エンダウメント)のオンチェーン管理権限を委任・移管する提案を可決しました。投票は賛成127万ENS、反対約48万ENSとなり可決された一方で、共同創業者のアレックス・ヴァン・デ・サンデ氏が反対票を投じるなど、DAOの直接管理と組織運営のバランスを巡る重要な決定として注目を集めています。
決定の概要と投票結果
今回の投票では、専任の執行役員やスタッフを配置したENS財団に対し、DAOの基金のオンチェーン制御権を授与する提案が提示されました。投票結果は、賛成127万ENS(1.27 million ENS)、反対480,690 ENSとなり、賛成多数で提案が承認されました。
この決定により、実務的な意思決定や組織運営の能力を持つ財団側へ基金の管理権限が移されることとなります。従来のようなトークンホルダーによる直接的な投票プロセスから、実務組織を通じた効率的な運用へと舵を切る取り組みと見られます。
共同創業者の反対意見とガバナンス上の問題提起
一方で、今回の移管に対してはガバナンスの観点から強い懸念も示されています。ENSの共同創業者であるアレックス・ヴァン・デ・サンデ(Alex Van de Sande)氏は、提案に含まれる実行可能コード(executable)を独自に解析・検証した上で反対票を投じました。
同氏は、コードが実行されることでDAOが基金の制御チェーン(管理構造)から消失・排除されてしまう点について警告を発しています。権限を財団に集中させることでDAO本来の非中央集権的なガバナンス構造が損なわれるリスクがあるとしており、分散型自律組織における資金管理の安全性と透明性をどのように担保すべきかという課題が浮き彫りとなっています。
ポイント
・ENSのトークンホルダーが、専任スタッフを有するENS財団へ基金のオンチェーン管理権限を委移管する提案を可決しました。
・投票結果は賛成127万ENS、反対480,690 ENSとなり、賛成多数で承認されました。
・共同創業者のアレックス・ヴァン・デ・サンデ氏は実行コードを解読後、DAOが基金の制御チェーンから外れることを理由に反対票を投じました。
・DAOによる直接管理から専門組織への権限委任という、Web3ガバナンスの運用効率と分散性のトレードオフを示す事例として注目されます。