米Robinhoodは、Arbitrumの技術をベースとした独自のレイヤー2ブロックチェーン「Robinhood Chain」の開発を進め、2026年にテストネットおよびメインネットへと展開しています。同社は2025年に欧州向けに米国株やETFをトークン化して取引するサービスを開始しており、従来の金融商品を販売するインターフェースから、資産が流通・決済されるインフラそのものを担う体制への戦略転換を進めています。証券や現金を同一ネットワーク上で扱うことで取引と決済の同時実行や24時間稼働の実現を目指しており、米国の伝統金融機関や市場インフラ企業の間でも同様のオンチェーン化が進んでいます。
Robinhoodによる独自L2開発とインフラ構築の狙い
Robinhoodは2025年に欧州向けに米国株やETFのトークン化取引サービスを開始したことに続き、Arbitrumの技術を基盤とした独自レイヤー2「Robinhood Chain」を2026年にテストネットからメインネットへと展開させています。
従来のRobinhoodはユーザーと既存の証券市場を結ぶ取引窓口でしたが、株式やETF、将来的なプライベート資産までをトークン化し、自社チェーン上で移転や決済を行えるようにすることで、金融商品の流通インフラへの移行を図っています。証券、現金、担保、配当などを同一のデジタルネットワーク上で処理できるようになれば、取引と決済をほぼ同時に実行できる可能性があり、市場の24時間365日稼働に近づきます。また、スマートコントラクトを活用することで、配当の支払いや担保管理、資産移転などのプログラム処理が可能になると見られています。
米国金融機関への広がりと規制整備の進展
ブロックチェーンを取引や決済の基盤として活用する動きは、Robinhoodにとどまらず米国の伝統金融機関全体に広がっています。JPMorganはKinexysなどを通じて預金や決済、証券取引の接続を進めており、Citigroupは企業向けキャッシュマネジメントやトークン化資産の発行・移転・カストディ基盤の研究を行っています。さらに、BNY Mellonによるステーブルコインとカストディの接続、DTCCによる株式やETF、米国債のトークン化、NASDAQによるトークン化証券の組み込みなど、清算やカストディを含む各レイヤーでオンチェーン化が進行しています。
こうした動きの背景には、米国の規制当局であるSEC、CFTC、OCC、FRB、FDICなどがデジタル資産やトークン化証券、ステーブルコイン、銀行によるブロックチェーン利用に関する制度整備を進めている点があります。規制の不確実性が低下することで、従来の概念実証(PoC)から実際のサービスへの移行が進む可能性があります。取引と決済の同時実行により従来の清算や仲介による収益が減少する可能性がある一方、デジタル資産カストディ、トークン発行、ウォレット、ステーブルコイン、トークン化預金などの新たな収益機会への適応が金融機関に求められています。
ポイント
- RobinhoodがArbitrum技術を基盤とする独自レイヤー2「Robinhood Chain」を2026年に展開し、自社で取引・決済インフラを保有する戦略へ転換している点で注目されます。
- 株式やETFなどの資産と現金を同一ネットワーク上で扱うことにより、取引と決済の即時化や24時間稼働、スマートコントラクトによる業務自動化が目指されています。
- JPMorgan、Citigroup、BNY Mellon、DTCC、NASDAQなど、米国の主要な銀行や市場インフラ機関でも資産のトークン化やオンチェーン接続が進展しています。
- SECやFRBなどの米規制当局による制度整備が進んでおり、規制の不確実性が低下することでブロックチェーン技術の実サービス移行が加速する可能性があります。